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投稿者:うみべ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「炎の牛肉教室」という題名だからといって、別に松岡修造みたいなクドいシェフが美味しい牛肉の選び方や調理方法を教える本ではない。むしろ、今までの牛肉に対する知識や考え方を改めさせられる本である。著者は牛肉にそれほど造詣が深いわけではない。しかし、黒毛和牛と国産牛の違いは何か、と投げかけてきたり、また日本中のみならず世界に出かけてはそこでの肉牛の生産方式を目と口で知るとともに、一頭の雌の肉牛に名前をつけて育て上げた後にその肉を食すなど、我々には考え付かない方法で牛肉について考えさせてくれる。店舗で売られている牛肉の「個体識別番号」のことを教えてくれたのは収穫であり、試しにやってみると意外なことがわかったりとても興味深い。一度読んだら牛肉の見方や買い方などが変わるかもしれませんよ。
紙の本
日本の牛肉事情
2018/01/23 17:44
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投稿者:melon - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本で作られた牛肉でもすべてが和牛ではなく、和牛ではない国産牛もある。というのも牛には肉牛と乳牛があり、乳牛であるホルスタイン種やジャージー種は牛乳を入手するのに都合が良いようになっている。そこでそれらは和牛とは認定されない。和牛は牛肉のための牛で、日本には黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種の4種類ある。黒毛和種が有名であり、美味しい牛肉である。この黒毛和種が有名であるのは、黒毛和種が市場で高く評価され、そのため生産者が積極的に選ぶ品種であることから、和牛の中では圧倒的なシェアを誇っているためである。他の3種と比較して黒毛和種だけが美味しいというわけではなく、それぞれに良さがあり、他の3種も美味しい牛肉である。しかし黒毛和種だけが評価されるのは、海外産の牛肉にはないサシがあり、日本の牛肉業界を救うためには黒毛和種が有利になる格付け方法を必要としたからだそうである。市場で高く評価されなければ肉牛を繁殖・肥育していくことはできない。市場で評価される黒毛和種ばかりが生産されるのも当然のことであろう。筆者はその現状を憂い、黒毛和種以外の赤身肉にも、それぞれの美味しさがあるのだから積極的に食べるのが望ましい旨主張している。確かに日本は霜降りばかりが評価され、本当の美味しさとはかけ離れたところで格付けされているのではないかと感じる。
筆者が日本短角種のオーナーとなり、繁殖して肥育し、さらにそれを売りさばくという経験をまとめている。そこでは経営の視点も持つことになり、やはり市場で評価されなければ生産コストが重くのしかかる現状が語られる。肥育する期間を長くすればより美味しい肉を生産できる傾向にあるが、それだけ餌代などが増え、利益を出すのは難しくなる。また売っていく段階では不人気部位の扱いが大変である。ヒレやサーロイン、リブロースといったステーキに向いた部位やイチボやランプといったロースとビーフに向く部位などは高値でも買ってもらえる。しかしバラやウデ、スネ、外モモ、肩ロースといった不人気部位は安値でも買い手を見つけるのが困難なようだ。肩ロースなどは肩と比べて柔らかく、まだ食べやすいと思うのだが、やはりリブロースのような高級部位とは違うのか、なかなか売るのが大変なのかと驚いた。これらの肉はハンバーグにはできるはずで、そうであればもっとハンバーグの価格が下がれば良いのにと感じる。
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牛と牛肉のお勉強。仕事にも繋がるということで。実はやまけんの本を読むのは初めて?
「A5」信仰に一石を投じる本。本当にA5が一番美味しいのか? 牛肉輸入自由化をきっかけに、日本の農家を守るために作られた格付け制度。高さと美味しさは本当にイコール?
あんまし牛肉を食べる機会はないけど、今後食べるときにはもっと「旨味」を意識して食べたいなと思いました。せっかく秋田にいるし、もっと短角牛食べよう。あと、土佐あかうしを食べてみたい。というか、高知に行きたい(笑)
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概要: A5信仰への疑問; 黒毛和牛以外の品種; 品種と餌が肉質を決める; 肉の育ち方が経済的には大事; 部位ごとの売れやすさの違い; 牛を育ててる人大変
感想: いろんな肉(部位・品種・育て方)を食べてみたくなった。たまたま筆者の方のtwitterで見つけて、但馬牛の経産牛の肉を農家がネット直販してるのを買ってみた。
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価格の決定プロセスの疑義に始まり,牛肉を取り巻く状況が具に語られる.自ら牛を所有することで,間違いのない事実が見えて来る.単なる牛肉情報本ではなく,確固たるテーマを提示する良書.
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「炎」とあるだけに熱い熱い新書です。赤身肉ブームの仕掛人(本人は否定していますが…)が描く、知らなかった牛肉の世界。A5神話や黒毛和牛神話がガラガラと崩壊します。なにしろ自分で牛のオーナーになって、生まれた子供「さち」を出荷し食べるという体験までしています。これはすごい。で、結局、うまいステーキ食いたくなる本です。
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第1章「牛肉の真実」は輸入自由化に伴って日本の牛肉格付けがどのように変わったのか、それが生産者にどのように影響したのか、結果として現状がどのようになっているのかがまとめられていて興味深い。そこからは「おいしい牛肉」を求めて、その方向性をどう考えるのか、実際に牛を飼って売ってみた結果、米欧濠の生産事情など。「格付け」に惑わされずにおいしい牛肉を食べるためには、知識が必要ということがわかった。
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【由来】
・図書館の新書アラート
【期待したもの】
・牛肉についての基礎知識を仕入れると、おいしい牛肉に出会える格率が上がるかも。
【ノート】
・ここ数年ばかり、牛肉を食べると脂肪に胸焼けするようになってきた。知り合いに言わせれば加齢によるものだそうだが。なお赤身ステーキは全然まだいけます。
・本書を読むと、牛肉の流通の構造や大体のコスト、生産者や販売者の言い分などが見えてくる。著者による実践、銀の匙(産まれた時から育てて、肉にして販売まで行う)もなかなか面白い。
・前に読んだうなぎ本でもそうだったが、とにかく安いものに盲目的に流れるのではなく、意識してきちんとおいしいものを食べるということも大事ということ。
・ちなみに帯にある「おいしい肉と出会うには?」の具体的な手法というのは、肉のパックに表記されてる生産者のバーコードで知調べるというもの。スマホで可能ではあるけど、ちょっとハードルが高いかと。
・なお、おまけ的に巻末においしいお店リストが掲載されているが、残念ながら北海道のお店はなかった。
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恥ずかしながら、牛の種類も育て方も良く知らなかった。更には格付けは味だと思っていたのも事実。基礎の基礎から良い勉強になりました!早く個体識別調べて、牛肉食べた〜い!!"
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<目次>
はじめに
第1章 牛肉の真実
第2章 美味しい牛肉の方程式
第3章 牛肉のおねだん~体験ルポ・ぼくは牛を飼ってみた
第4章 美味しい牛肉をめぐって~日本の「あかうし」篇
第5章 美味しい牛肉をめぐって~アメリカ・オーストラリア・フランス篇
第6章 ほんとうに美味しい牛肉を食べるために
巻末付録 美味しい牛肉を食べられる販売店・飲食店リスト
<内容>
「神戸牛」「松阪牛」…「和牛」と呼ばれる日本の牛肉は、「さしが入り(脂が過度に入り)、焼いても柔らかく、口の中でトロける感じ、というのが定番だ。しかし、著書は「それは違う」という。旨みのある赤牛や短角牛も十分美味しい。しかしこれらはマスコミや飲食店の口コミで否定されている(自分の舌の味わいでなく、他人の評価を読むだけで決められたもの)。本当にそうなのか?食のジャーナリストが切り込んだ。海外では、赤身のほうが美味しいとなるらしい。なれば、日本の牛肉は脂濃くて食べられないに違いない。和牛を海外に売り込みたいなら、そういう海外の常識を確認しないといけない。
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グルメ番組などで、
A5ランクの牛肉をほめる番組を見ることあるが、
このランク付けの由来、黒毛和牛が希少なのかどうかなど、
読んでおもしろかった。
肉を食べて、口の中で溶けるというのは触感としておもしろいだろうけど、本当においしいのかなとは感じていたので、なるほどと思えた。まあ、A5ランクの肉なんて食べたことないのだがw
経済動物に対し、感情移入をしていたら肉など一切食えなくなるし、
僕自身はこれからも肉を食うが、
また、牛の育て方などを読むと、アニマルウェルフェアについて考えさせられた気がする。