紙の本
花咲く名画たち
2018/10/16 22:22
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投稿者:pinpoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
ご存知『怖い絵』シリーズの中野京子氏の新シリーズ。
あとがきにも触れられていることだが、この手の名画鑑賞解説書は、どうしても地域や時代で分類されて編集されることがほとんどだ。でも仕方のないことなんだろう。だってこの長い美術史上に数ある名画たちをどういうくくりで取捨選択すれば、よりみんなの興味をかきたてるのか?歴史画や神話画なら、そのもとになったストーリーか、人物や小道具の微細な描写か、ひょっとしたら登場人物の衣装の美しさに注目する鑑賞者だっているだろう。本当に一枚の絵は、あらゆる要素をその中に含んでいてどのような角度、態度で見るかは人それぞれだから、万人向けの解説などはあるはずもなく、そのため一般的な美術史風にまとめるしかなくなる。
本作品は中野氏がドイツ文学者ということもあってか、やはりその絵が描かれた時代背景や歴史に重点が置かれている。それでも歴史にあまり詳しくないひとのために、それぞれの解説のうしろに歴史年表が添えられているのが今までありそうでなかった工夫だろう。すごくわかりやすかった。
ただ「怖い」とか「陰謀」とか、かなりざっくりしたくくりなので、「怖い絵」展のために絵の貸し出しをお願いしにいったときは、「怖い」の定義を細かく訊かれたりして中々思うように捗らなかったという苦労話を「芸術新潮」で読んだ記憶がある。本作品も「陰謀」の意味合いに拘ると首をかしげるチョイスもあったが、そこはそれ少しでも敷居の高い美術鑑賞に親しみをもってもらうという点ではとても有益だ。
紙の本
楽しく読めて勉強にもなる。
2018/10/06 22:19
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投稿者:無能リキ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハプスブルク家12の物語などのヒット作で知られる中野京子先生の作品
歴史物となると難しい言葉や文章が並ぶ事もあるが先生の作品は読みやすく今まで知らなかった歴史的事項も知れて楽しく読めます。個人的にはあの凜々しいカール五世の絵画、その裏側を知ってビックリその流れでナポレオンに裏も知ってビックリ。何がビックリか本を買いましょう(立ち読み厳禁で)しかし問題はこの本の主役は絵画なのですが文庫なのでどうしても小さく見えづらいなってしまう拡大鏡必需かも。それと見開きに絵画がに載ると真ん中がどうしても見えない、2冊買って一冊はバラして繋ぎ拡大コピーで確認してやろうかと思ったりして。(法律的どうなんだ?)
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【美しい絵画に秘められた歴史ドラマ】フェルメール、ゴヤ、グレコなどが描いた絵画から読み解く時代の息吹と人々の思惑。『怖い絵』シリーズも人気の著者の絵画エッセイ。
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昨年開催された「怖い絵展」を観に行きたかったが、大混雑してると聞いて泣く泣く断念。その後、とある雑誌にて本シリーズのことを知り、機会があれば読んでみたいと思っていた。
第3弾のテーマは「人間」。さまざまな愛憎や権力争い、それに伴う恐怖が臨場感を持って描かれる。”陰謀“という切り口は間口が広く、ピンとこない作品もあるが、解説がわかりやすいのであまり気にならない。作中の人物像、時代背景から、画家の経歴、作品が評価されるようになった経緯まで、多様な角度から展開する各作品のストーリーは奥深くて読み応え十分。
小説や戯曲にちなんだ目線も多く、『時の娘』の薔薇戦争、『Q』の宗教改革は、本書であらましを知った上で読書すればもう少し理解できたのかなーと思ってみたり。点で何となくわかった気になっていた時代の流れを、線としてざっくり解説してあるのが有難かった。国によって絵画や画家のポジションも違っていたりと、絵画にまつわる雑学も豊富で飽きない一冊だったのでリピートするかも。
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はじめに
01 消えた少年たち
02 産業革命とパラソル
03 甲冑のダンディズム
04 メディチ家出身のローマ教皇
05 トロイア戦争の悲劇
06 イタリア逃避行のゲーテ
07 私的通信
08 大自然の脅威
09 価値の転換
10 異端審問所の妖怪たち
11 無敵艦隊
12 あふりかえる死
13 笑うコサック
14 ナチス時代の恋わずらい
15 死にゆくピエロ
16 奇跡の瞬間
17 凶暴な選挙戦
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https://www.read4action.com/report/detail/?id=1897
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名画に秘められた、歴史と運命に翻弄されたドラマを探る。
01 消えた少年たち 02 産業革命とパラソル
03 甲冑のダンディズム 04 メディチ家出身のローマ教皇
05 トロイア戦争の悲劇 06 イタリア逃避行のゲーテ
07 私的通信 08 大自然の脅威
09 価値の転換 10 異端審問所の妖怪たち
11 無敵艦隊 12 あふれかえる死
13 笑うコサック 14 ナチス時代の恋わずらい
15 死にゆくピエロ 16 奇蹟の瞬間
17 凶暴な選挙戦
カラー画像、家系図、その年代の主な出来事の年表が適宜有り。
コラム有り。
絵画を描く画家、絵画に描かれた人物。その時代は?
絵画の中に秘められた歴史と欲望、運命に翻弄された人々を探る。
実際の陰謀自体は少なめです。が、描かれた何かに込められた
意図を図れば、意味深長でミステリー。陰謀の香りが漂います。
人物の表情のみならず、衣服や装身具、手に持つもの、しぐさ、
人物の配置等にも、絵に秘められた何かが秘められています。
これらを読み解くことで得られる情報は、当時の情勢を知るにも
有益で、絵画の見方が変容します。
加えて、画家や描かれた人物の運命・・・欲望に絶望、恋愛等の
エピソードが、分かり易く簡潔で語られるのが、良かったです。
ゲーテがイタリアに逃避行した理由。
異端審問の事実を描かずにいられなかったゴヤの心情。
美麗な甲冑にはとんでもない事実が・・・汚物まみれでも脱げない!
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このシリーズは怖いのかなと思って手を出せずにいたのですが、図書館で見つけてついに手に取りました。結果、読んでよかった!この巻に関しては怖くはなかったです。コロナ前は美術館にもよく行きましたが、この本を読んだ今なら、鑑賞時間は倍以上になりそう。怖い場面の絵画ももちろんありますが、軽妙な語り口かつ深い解説で、非常に興味をそそられます。食わず嫌いせず、他の巻も読んでみたくなりました。
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絵画は知識を持った眼で鑑賞すると
こんなにも面白く
そして心に響くものだと
中野京子さんが教えてくれるので
私の絵画好きは加速していきます。
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「怖い絵」の中野京子が解説するシリーズ。今作は歴史上の有名人だけでなく大衆にもスポットを当てている。それぞれの作品が描かれた背景が分かりやすく書かれていて、中世の人々の残酷さや力強さ、したたかさなどがリアルに伝わってくる。
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はじめての中野京子さんの本
かなり読みやすい!
原田マハさんの小説より、エッセイという感じなので初心者の方におすすめかも
世界史に興味がある方にもおすすめ!
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11月ラストの一冊はこちら。
おなじみ、中野京子さんのアートミステリーブック。
「名画の謎シリーズ」より、第3弾。
中野京子さんの本は、アートガイドのようで、何だか西洋美術史ミステリーのような、ワクワクさせる味わいもあるのが良いよね。
取り上げるアート作品の解説だけでなく、それが描かれた国やヨーロッパの当時の背景など、名画を通して神話や世界史も勉強できるという魅力の詰まった一冊。
スーラの「グランドジャット島の日曜日の午後」、フェルメール「恋文」、エルグレコ「ラオコーン」、ブリューゲルの「死の勝利」など、国、時代を行き来して、17作品を紹介している。
フェルメールの章での、オランダ画家のことに関しての記述が興味深かった。
17世紀のオランダ黄金時代。オランダでは中産階級の人々が狭い部屋に飾るために絵を買い求めた。
そのためにオランダの絵は、フェルメールのように小さい作品が多かったらしい。
まだ、その当時のオランダ画家は兼業が多かったらしく、フェルメールは画商も務めた。
そのためにフェルメールの作品数が非常に少なかったとも言われる。
また、オランダは「耳の人」でなく「眼の人」という表現もなるほど、と思った。
確かにオランダは思いつく作曲家がいない。でも、画家は、ゴッホ、モンドリアン、レンブラント、など沢山思いつく。
逆に、ドイツ人は「耳の人」らしい。
確かにドイツには3大Bのバッハ、ベートーヴェン、ブラームスがいる。
でも、有名画家は少なく、未だデューラーがその座を欲しいままにしているらしい。
巻末の宮部みゆきさんによる解説も面白かった!
確かに教科書では冷遇されている画家も、中野さんの手にかかれば興味が湧いてくるマジックにかかってしまう。
名画の謎シリーズ、読破してみよう。
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再読。こうやって絵を読み解くことが出来るのは幸せだと思う。
今回、何度目かの再読だが、01 消えた少年たち、については子どもといろいろ話をした。ちょうど薔薇戦争を習っていたからだ。教科書では薔薇戦争終結、チューダー朝が始まる、という二言で終わってしまうことだけれど、その中でもいろいろなドラマがあり、悲劇がある。私は「戦争の終わりに両家の男女が結婚し、ピンクの薔薇になりました、めでたしめでたし」のように覚えていたので、今回しっかり読んでみて、自分がなんと浅はかな読み方をしていたかを痛感した。
05 トロイア戦争の悲劇 はこの絵自体にはさほど興味がわかなかったが、先日行った、メトロポリタン美術館のエル・グレコの「羊飼いの礼拝」とそっくりな絵が、プラド美術館にあり、それを見比べて非常に興味深かった。グレコの光の当たり方は劇場のように見える。また人の顔の伸び方(子供の頃からソラマメ型と思っていた)がやはり独特。しかし嫌いにはなれない。フェリペ二世が「祈る気になれない」が評価していた、という気持ちが分かるような気がする。
12 あふれかえる死 はブリューゲル「死の勝利」。プラド美術館所蔵。大きい図で解説を読みながら、骸骨の動きや人の動きを見ていた。とても楽しい。ブリューゲル展、日本でやらないかなあ。
同様に 10 異端審問所の妖怪たち のゴヤも大きな図で見ていた。ゴヤ展、日本でやらないかなあ。13 笑うコサック レーピン「トルコのスルタンへ手紙を書くザポロージャ・コサック」も大きい図で見る。亡くなった義父が残してくれた「講談社 世界の美術館」シリーズが非常にありがたい。
先日行った、メトロポリタン美術館に来ていたジェローム(来ていた作品は「ピグマリオン」)。こちらで解説されていたのは「仮面舞踏会後の決闘」。決闘後の虚無感がとても現れているように思う。
ああ、見たい絵が尽きないなあ。
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怖い絵とコラボしたプラネタリウムに行ったことで、ひさしぶりに中野先生の御本が読みたくなり再読しました。
西洋画を見るのがとても好きですが知識は殆ど0、難しい本が読めない私でも楽しめます。まるで推理小説やゴシップを見ているような気分で絵画を鑑賞することができます。
グロスの項で「時代が求める才能というものがあり、その時どこにいるかで運命は大きく変わる」という文章が特に印象に残りました。
他の作品の感想でも書いたのですが、怖い絵コラボの企画展をまたやってほしい!