紙の本
フーリエの時代から現代に続く大数学者の奮闘記
2019/02/18 21:21
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:akihiro - この投稿者のレビュー一覧を見る
体系だった「完成品」の集合・位相をまとめた本ではなく、集合・位相の分野がどのように誕生して発展したかを、時代の流れに沿って紹介した数学史の本です。
学校の教科書では科学史の観点が抜けていて、必要性がわからないまま学ぶことも多いです。本書では、厳密な理解ができなくても、それぞれの分野が発展した経緯がわかるので、必要性を理解することができました。
数学の定義や定理は、まるで格言のようです。「有理数の切断を実数と呼ぶ」という定義を本書で知ったとき、数学は突き詰めると文学と同化すると感じました。
紙の本
集合と位相をなぜ学ぶのか
2021/05/08 17:58
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:イ! - この投稿者のレビュー一覧を見る
集合と位相のことというよりも集合と位相がなぜ出てきたのかということが詳しく書かれている.数のことについての記述から始まる.
紙の本
難解で分かり難い「集合と位相」についての書です!
2019/02/05 10:00
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、数学の「集合と位相」について書かれた書です。そもそも集合や位相は数学の中でも難解で、なかなか手ごわいテーマです。なぜ、そんなにも難しいテーマを私たちは高校時代に学んできたのでしょうか。実は、集合と位相を学ぶと、過去の数学者たちの創意工夫や数学の発展史が見えてくるのです。同書は、そのことについて丁寧に、分かりやすく解説してくれており、読後には集合と位相を学ぶ意味が理解できるようになります。
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現代数学の基礎となる集合・位相がその歴史と共にわかりやすく語られている。こういう本が増えると良いですね。
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なぜそんなこれくりまわした概念を導入するのかが全く分からなかった、集合も位相も。
必要に迫られ天才たちが乗り越えた軌跡を丁寧に明かしてくれた。
そうか、必要に迫られて道具を作ったんだ。
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学生時代に集合・位相を学んでから、社会人で必要に迫られて確率論に手をつけるまでに時間をあいたためか、確率空間の定義との関連がうまく飲み込めていなかった。
線形代数を勉強していたときにも同様の躓きをしたが、この本のように、複数の理論間もしくは理論と応用間のつなぎを果たす解説書は私のように(日本的にいえば)文系あがりにとっては大変ありがたい。
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いい本です.
集合と位相の標準的な教科書を読み終えたあとで読んだのですが,そのような本では往々にして洗練された後の概念が先行します.
この本では,数学的概念が必要性に駆られて生まれる様,またそれらがどのように形を変えて今の抽象概念へと精錬されたかなどが,明快に書かれています.
特に,位相概念の導入については,懇切丁寧に書かれており,非常にわかりやすかったです.ただし,ルベーグ積分の項は,詰め込んだ感があり,読みにくかったです.ルベーグ積分を勉強したことがない人にとっては,ハードルが高いように思います.
とはいえ,かんたんに集合と位相,ルベーグ積分等を勉強した人であれば,それらを血肉にする過程で,必ず役立つ本だと思います.
大学時代にpublishされていたら良かったのに.
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なんだかんだやってない人にとってはうんざりしてしまったけどもなんとか最後まで読んだ。
理解しようとしなくてもまずは読んでみることは大事かもしれない。。大変だが
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集合と位相は,理系なら一度は触れるであろう基礎科目であるが,微分積分や線形代数に比べると必要性を疑うことが多い分野であると思う。本書では集合と位相を学ぶことのモチベーションとして,諸分野が成立してきた歴史を軸に解説する。副読本としておすすめ。
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集合論・位相空間論が誕生した契機を解説しています。フーリエ級数・積分の歴史的な話を概観し、カントールが集合論を研究し始めるまでの背景を説明しています。そして位相やルベーグ積分の話が展開されます。難しい計算はなく、すらすら読めます。
集合・位相の最初期の歴史を知れるのがとても良かったです。位相の公理は最後の最後に出てくるので、本当に位相のことを身に付けるには本書以外の何かで練習をする必要はありますが。
なお、hontoで電子版で買って読みましたが、数式がところどころ変だったのは残念でした。紙版だと大丈夫なのかどうかは確認していません。しかし、それを差っ引いても良い本です。
位相空間論でつまづいた数学徒や、数学関係者以外の人で教養として高校数学以上のことを知りたい人に合うと思います。
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現代の数学がどのように研究されてきたのか、その上で、集合と位相が数学の基礎として確立されたのか、解析学と確率論の紐付けがよくわかった。
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数学がどのようにして成り立っていったか、当時の学者たちが何を解決しようとして問題に取り組んだのかがわかる。
得てして開発した本人が思ってもいない方向に活用されることもあることが面白い。
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固くない数学書。タイトルのとおり集合論や位相論の解説書ではない。微積分の成立、フーリエ級数からはじまり、現代の数学が成立する歴史をたどり、その過程で、どのような必要性から集合・位相が生まれてきたのかを説明する。通常の教科書では、最初から抽象的な定義が降ってきて非常にとっつきにくい。しかし、それを歴史に沿って説明されると、成り立ち、必要性、使い方などの理解が深まる。解析学を厳密に定義するために集合論が作られた。しかし、そのカントール自身が実数直線Rと平面R^2の濃度が等しいことを「証明してしまった。そこで対応ではなく距離を定義し、その違いを写像の連続性に見出したのが位相論の成り立ち。その過程で抽象的かつ厳密に定められた集合と位相を用いて、数学が改めて記述・定義されるようになった。