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紙の本
たいまつの火をつなぐようにして
2018/06/14 16:00
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今年(2018年)2月10日、文学者石牟礼道子さんが亡くなりました。90歳でした。
石牟礼さんといえば、公害病水俣病の被害者の皆さんの視点に立った『苦海浄土』で知られる文学者ですが、本書はその晩年彼女の良き伴走者であり理解者となった批評家であり詩人でもある若松英輔さんが彼女の死後新聞等に記した追悼文八編を核にして出来上がっている。
若松さんは2016年9月にNHKEテレ「100分 de 名著」という番組で『苦海浄土』が取り上げられた際に解説を担当したことでも知られている。
若松さんは「この本は、石牟礼道子論とよばれるようなものではないが、随想という様式だからこそ書き得る問題は、いくつか提示できたように感じている」と、「あとがきに代えて」という一文の中で記している。
確かに堅苦しい論ではない、平易な文章ならでは伝わるものがある。
特に著作名はとても知られた『苦海浄土』ではあるが、その実三部作となった作品は大部のものでなかなか読み切るのは容易ではない。
それでも石牟礼さんが伝えたいことを理解しようとすれば、若松さんのこの方法はとても有効だろう。
ある追悼文のおわりに若松さんはこう記した。
「「いのち」とは何かを考えるためには私たちは、まず「虫」の眼をよみがえらせなくてはならない。それが石牟礼道子の遺言だったように思われる」と。
若松さんがこの文集で私たち読者に伝えたかったことは、そういった石牟礼さんが私たちあとに残された者たちへ伝えようとした思いだったにちがいない。
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