紙の本
エチュードに続く心理調査官の活躍
2018/08/18 22:30
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
今野敏がシリーズにしている警視庁捜査一課碓氷弘一が主人公の物語である。このシリーズももうシリーズ6作目となる。殺人犯を追求する捜査一課だが、この碓氷は後方で調べ物を得意とする主人公である。調べ物となると、どうしても専門家が必要となる。シリーズでも多様なエキスパートの手を借りている。
本書では以前にも登場した警察庁の心理調査官が2度目のお手伝いとなる。前回ではエチュードと題したエピソードであった。人の目を幻惑する犯罪なので、テレビ向きではないと思っていたが、テレビドラマ化されてしまった。私は見ていないので、肝腎のテレビ向きではないところをどのように処理したかは不明である。
今回も心理調査官の説明は簡単には理解できない。同日の同時刻に自殺2、殺人2が発生したという。田端捜査一課長はさすがに同時刻発生の事件にこだわり、碓氷に調査を命ずる。碓氷が懸命に調べても事件相互の共通点などは見つからない。事件相互に関連はないのかもしれないと皆が思う。
心理調査官が自ら解明するというよりは、気になる点を指摘し、それを捜査員が聴いているうちに様々な想像が為される。これが事件解明のカギとなった。心理捜査官が来るまでの手掛かりがつかめない状態を表現しておいたのが効いたのだと思う。
事件は意外な共通点が見つかった。おそらくそれ以外はないと思われるので、あとはその点を厳しく追求していくしかないと思われた。すると真相はもう一段上にあったというなかなか凝った造りであった。さすがに警察捜査の第一人者である今野の手になるものである。心理調査官と碓氷のコンビで別シリーズにするのも一手かも知れない。
紙の本
『隠蔽捜査』などの傑作でお馴染みの今野敏氏のもう一つの傑作です!
2020/07/31 10:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『隠蔽捜査』(吉川英治文学新人賞)、『果断 隠蔽捜査2』(山本周五郎賞・日本推理作家協会賞)などの傑作を次々に発表されている今野敏氏の作品です。同書の内容は、ゴールデンウィーク明けの朝、出勤した警視庁捜査一課・碓氷警部補の元に、都内で起こった2件の自殺と2件の殺人の報が入ってきます。一見関連性がないように見える各事件なのですが、発生時刻はすべて同じ日の午後11時だというのです。さらにその後、同日同時刻に別で3件の事件が起きていたことが判明します。第五係と再度捜査協力に訪れた心理調査官・藤森は、意外な共通点に気付きます。一体、その共通点とは何でしょうか?また、それは事件解決につながるものなのでしょうか?続きは、ぜひ、同書をお読みください。
紙の本
人間的な部分をちゃんと描くので面白い
2019/06/18 22:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
久しぶりの碓氷弘一シリーズ『マインド』。
再び、心理捜査官の藤森紗英とのコンビで、同時刻に発生した7つの事件の謎に挑む。
謎解きも心理戦も面白いけど、今野敏は主人公の人間的な部分をちゃんと描くので面白い。
碓氷が催眠術をかけられて深層心理を露わにしたら、家族への負い目が出てくるあたり、かなり面白い。
投稿元:
レビューを見る
ホントに多くのシリーズを持つ氏だからこそ書ける、地味なオジさんが主人公の、でも不思議と面白いんだよね。
投稿元:
レビューを見る
殺人、自殺、性犯罪……。ゴールデンウィーク最後の夜に起こった七件の事件を繋ぐ意外な糸とは? 藤森紗英も再登場! 大人気シリーズ第6弾。
投稿元:
レビューを見る
面白かった!スーッと読みやすく、それでいてストーリーの設定が良い。シリーズ第6弾とのことなので、他巻も読みたい。
投稿元:
レビューを見る
ゴールデンウィーク明けの朝、出勤した警視庁捜査一課・碓氷警部補の元に、都内で起こった二件の自殺と二件の殺人の報が入る。一見関連性がないように見える各事件だが、発生時刻はすべて同じ日の午後十一時だという。さらにその後、同日同時刻に別で三件の事件が起きていたことが判明。第五係と、再度捜査協力に訪れた心理調査官・藤森は、意外な共通点に気づくが。
投稿元:
レビューを見る
相変わらずの碓氷シリーズの安定的面白さ。
大阪出張の帰りに一気読み。
エチュードの藤森がたくましくなって帰ってくる。
超面白い!ではないけど、相変わらずの最後まで読ませる。安定の面白さ。です。
そして再び。やっぱり本を読もう。おもしろいよ。と、気付かされるのでした。
ありがとう今野敏。
投稿元:
レビューを見る
「普通」の刑事碓氷が、異色の相棒と共に事件を解決するシリーズ第6弾。
今回は、『エチュード』で登場した美人心理調査官藤森紗英と再びタッグを組んで、同日同時刻に起きた七つの事件を追う。
この作品では、碓氷のぼやきというか、モノローグがやたら目についた。
刑事という仕事についてとか、また職場や同僚のことや、あるいは家族について。
内面描写を多用することで、「普通」だという碓氷の人となりを際立たせ、他のシリーズと区別化を図ろうとしているのだろうか。
碓氷の奥さんは、『隠蔽』シリーズの竜崎の妻と言動が似てきているけど、警官にとっても仕事をする男にとっても、妻の理想像か(笑)・・・
投稿元:
レビューを見る
このところ多忙につき、読感を書いている時間がない。
とりあえず、読みましたということで、読了日と評価のみ記載。
2018/9/2
投稿元:
レビューを見る
面白かったです。
「警視庁捜査一課・碓氷弘一」シリーズはパートナーとの絡みで時に現実離れした展開になっていて、あまり好きではなかったのですが、今回の心理調査官との絡みは落ち着いていて、話の展開も楽しく読めました。
また犯人のキャラクターもなかなか興味深く、またどこかで登場してほしいです。
ラストもホロリとさせられました。
投稿元:
レビューを見る
5月-8。3.5点。
碓氷弘一シリーズ。同日23時に殺人・自殺・強姦が複数発生。怪訝に思った捜査一課長が、碓氷達中心に特命捜査。
藤森心理調査官も加わる。
じわじわ捜査していく感じが面白かった。
次作も期待
投稿元:
レビューを見る
心理学には全くの興味もないし、そういった経験もない。ただ大学の時に一コマ心理学をとっただけ。そんな自分が、虜になるぐらいこの本は深いところでストーリーがつまっている。
刑事と心理学者が、ガチの心理戦を繰り広げる。
投稿元:
レビューを見る
シリーズ第6弾にして心理調査官藤森紗英が再登場し、またも碓氷とのコンビで、同じ日付、同じ時刻に発生した殺人事件2件、自殺2件、そして強姦2件、盗撮1件、計7件の事件のつながりの解明に挑みます。
殺人事件で確保した被疑者の供述が要領を得ない様子があり、だったらあの心理調査官が出てくればいいのに、と思っていたところに登場したものですから、個人的にはすごく盛り上がりました。
タイトルの「マインド」、また7つの事件の裏になにかつながりがありそう、被疑者は犯行当時のことをよく覚えていない、となればマインドコントロール的なものが介在しているであろうことは、かなりの読者が気付いていたのではないかと思いますが、それでも容疑者の水沢とのやりとりはさながら高度な心理戦の様相を呈していて、次々とページを読み進めてしまいます。
そして黒幕である持田と藤森の対峙も非常に読み応えがありました。直接対面しているシーンよりもむしろ、持田の足取りや行動を読み解こうと藤森が推理力を駆使するシーンをこそ推します。果たして、藤森の読み通りの結果であるのかが知りたくて、またしてもページをめくる手が止まりません。
いわば”静”なる戦いというべきでしょうか、力や迫力を感じさせる”動”の展開とはまた違った魅力がありますね。
それにしてもシリーズが進むにつれて、碓氷による自身の内面を描写するシーンが増えましたね。また捜査一課の係長や課長など碓氷の周辺の人物の登場シーンも増えました。1作目ではちょっぴりアウトローなイメージがあった碓氷ですが、なかなかどうして組織、いやチームといったほうがしっくりくるでしょうか、そのなかで自身の居場所を確立し、周囲からもその実力を認められ、碓氷本人が思っている以上の存在感なのだと思います。
そして家庭でも、本人が思っている以上に家族は碓氷のことを父親として、夫として想っている、そんなことが伝わってくるラストシーンでした。
投稿元:
レビューを見る
2020年8月24日
書き出しがなんともくどい。
同じ日の同時後に起きた4つの案件。
ということだけど、タイトル「マインド」でもう何が起こるか何が原因か早くもネタばれと思って冷めた気持ちで読み進めた。
でも展開はさすがの今野敏さん。捜査も取り調べも目がはなせなくなった。
動機もなんとか納得できた。
でも、そのために命を失った人、殺人を犯してしまった人、性犯罪を犯した人の人生はどうなるのだろう。
その大きな影響を読者に考えさせたいのかもしれないが、その人達の行く末に思いを馳せると、その罪の重さでどうにかなってしまうのではないかと思う。