紙の本
企業優先の国策とガラパゴス化
2023/05/23 18:06
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
ガラパゴス化した日本社会のひずみが、人々の生活をむしばみ、人の命を軽くみなすようになった現実を描くミステリーの幕開けだろうか。ガラパゴス化した日本製品を生産し続ける企業、その未来が不明瞭にもかかわらず何とか守ろうとする国の施策、その結果として、働く人の価値は低く抑えられ、非正規雇用者の工業部品のような扱いを生み出している現実を、じっくりと描き出す。一つの殺人事件の裏には、何が隠されているのだろうか。後半の展開が気になる。
電子書籍
現代社会について考えさせられる
2020/01/02 19:21
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投稿者:bookholic - この投稿者のレビュー一覧を見る
ある青年の悲しい末路を、良心的な刑事が辿っていくというストーリーに引き込まれました。
現代社会の歪みのようなことも気づかされ、読後飲食店などで働く方々を見る目が変わりました。
しばらくして読み返したい本です。
紙の本
ガラパゴス上
2023/11/07 13:27
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投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
捜査一課継続捜査班に勤務する田川は、動機の木幡に頼まれて鑑識の手伝いをする。そこで身元不明のファイルを見て自殺と判断された被害者が実は他殺であったことを見抜く。身元調べから始めた田川は現場へ行き被害者の手掛かりとなるものを探し始めると、「新城 も」と書かれた紙切れを発見する。それを意味するものを探し始めるのだが・・・・・。
地方から職を求めて上京する人々が食い物にされている状態に少し憤りを感じました。非正規の問題は国会でも取り上げられてますが、結局は経団連のような利益至上主義の方針には逆らえないようですね。消費税議論もそうですが、経団連みたいに政治に口を出す任意団体は潰してしまえばいいと思うのですが。
電子書籍
捜査上に浮き上がる社会の闇
2022/01/29 20:29
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投稿者:yino - この投稿者のレビュー一覧を見る
食品偽装に迫った「震える牛」の続編。今回は派遣労働者の闇に迫る。前作同様、リアリティがあり、かつ読みやすい文体でどんどん引き込まれます。
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食肉偽装問題が題材の前作「震える牛」から四年。51歳の田川刑事が挑むのは派遣労働者偽装殺人の陰に潜む大企業のリコール隠し。そして、捜査の前に立ち塞がるのはSITの鳥居警部補。大企業や人材派遣会社と癒着し、隠蔽工作に奔走する彼にも暗い過去が―。真っ向から正義を貫く田川と黒い執念を燃やす鳥居、熾烈な攻防戦の序曲に胸が高まるが、所謂【氷河期世代】に属する自分は、作中で語られる派遣労働者達の劣悪な雇用環境に心が痛む。コスト削減の名の下に【部品】扱いされる彼らの苦しみを他人事とは到底思えない。息苦しさと共に下巻へ。
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「ガラパゴス(上)」
震える牛の事件から四年後。梢に娘が誕生。
「震える牛」に続く読了。前作は抜群に面白くて田川信一にも強い魅力を感じ、これはシリーズものになればいいのに・・・と思ってました。しかし、ちゃんとシリーズものでした。有難や。
今回は、前作の4年後の2015年8月、田川信一が鑑識課である木幡祐司に協力を依頼されることから始まる。ノルマを達成する為、同期である田川に泣きついてきた経緯から、田川は身元不明者リストに目を通すうち、2年前に自殺として処理された案件に不審を抱く。事件前日に起きた通り魔殺傷事件が起きていたことからも他殺の疑いを強め、木幡と共に再捜査を開始するのだ。
自動車メーカー、人材派遣会社、そして警察官の3者によって生み出された闇を田川が炙り出す一冊。田川の捜査側だけではなく、彼ら加害者の視点からも事件の側面が描かれています。田川が偽装殺人を見破るのと時を同じくして、警察官の再就職を斡旋する鳥居の悪徳警官振りや自動車メーカーが推し進めるコストカットと引き換えに犠牲にしたもの、鳥居と人材派遣会社の森社長との黒い関係が並行して描かれています。
また、本書はハイブリットカーを題材に日本の自動車メーカーが世界から置いてけぼりになっているガラパゴス化の実態と推し進められるコストカット、その余波を受けて深刻化する派遣労働者の労働環境を加害者側と被害者側の視点でリアリティを以て描いており、非常に考えさせられます。特に、取り換え可能な部品の様に扱われる派遣労働者とそう扱って当然という人材派遣会社との格差は、現実社会の暗い闇を描いています。
上巻は、派遣労働者である田川の近所に住む工藤の話を聞いたところで終わります。工藤から話を聞き、日本の雇用環境が激変したことを思い知らされる田川。派遣の現場の声が痛烈に響く所は、告発小説たる所以です。
下巻へ一気に引き込まれる吸引力はさすがの一言。
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ストーリーの背景が少し前という感じがして新鮮さは無かったが、確かに社会や経済の問題として大きな議論があった。
この時期より少し経済が持ち直してきているが、まだまだ雇用形態が派遣という事で思い悩んでいる人々がいると考えると暗い気持ちになる。
下巻には明るい結末があるとは思えないが読まずにはいられない。
ストーリー展開が巧みだと思う。
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古い団地の一室で、自殺に偽装して殺害された心優しき青年。遠き故郷を離れ、日本各地を転々とする派遣労働者だった彼は何故殺されたのか。現代の生き地獄を暴露する長編ミステリー。
資本主義経済は搾取する側とされる側の下成り立っている。ただひと昔前は、そこに我が国独特の家族的な労使関係が存在していた。その妥協点を消滅させた国際間競争や政策によって起こる悲劇。読み進めるのがとても苦痛に感じる。でも目を背けてはいけない。
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警視庁捜査一課継続捜査担当の田川信一は、メモ魔の窓際刑事。同期の木幡祐治に依頼され、身元不明相談室に所蔵されている死者のリストに目を通すうち、自殺とされたナンバー903の男が他殺だったことを看破する。二年前に死体が発見された都内竹の塚団地を訪れた田川と木幡は、室内の浴槽と受け皿のわずかな隙間から『新城も』『780816』と書かれたメモを発見。903の男は、沖縄県宮古島出身の派遣労働者・仲野定文と判明した。仲野は福岡の高専を優秀な成績で卒業しながら派遣労働者となり、日本中を転々としていた…。
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とある事件からストーリーが企業の人材派遣労働者への非人道的な問題へと発展。
刑事ものかとおもいきや、前作「震える牛」を彷彿とさせる。
後篇の展開に期待!
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このところ多忙につき、読感を書いている時間がない。
とりあえず、読みましたということで、読了日と評価のみ記載。
2018/10/21
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震える牛があまりにも面白かったため、続けて拝読。
テーマは派遣労働者とエコカー問題。
派遣労働者を物として扱う企業の姿勢を強調しており、少し過激な内容。
「人間は置かれた環境と歳月で激変する」
同感。
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自殺だと思われていた事件が本当は隠蔽工作の為の殺人だった。
少しずつ真相が暴かれて行く。
続きが楽しみですね。
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今回も事件はフィクションでも背景はノンフィクションでは、と考えさせられます。
田川さんの地道な捜査で明らかになって行く過程が先を急がせます。
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震える牛に続いて面白い。
今回は身元不明遺体から自動車業界と派遣労働者にスポットを当て、前作同様「力を持つ側」の欺瞞を描く。
この作品が書かれてから5年弱が経ったものの、依然として厳しい状況は変わらないだろう。
規制も進んで以前ほどの無法地帯よりはマシになったと聞くが、それでも不安定なことに変わりはない。
今年のようにコロナで業績が悪化してしまうと、真っ先に切られてしまい、首が回らなくなってしまう。
SNSで犬探しの情報はどんどん集まるのに、何百人分もある身元不明者の情報が全く集まらない歪さへの指摘が興味深い。
各警察署で身元不明者の写真、情報が公開されているが、果たしてどの程度情報が集まってくるのだろうか。