電子書籍
納得のおもしろさ
2019/05/31 19:52
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投稿者:qima - この投稿者のレビュー一覧を見る
あぶらののったノンフィクションライターさんの1冊。日本人が普通に思い浮かべる「中国人」を少し斜めから見たレポートは、いつも固定観念をほどよくグラグラさせてくれる。とはいえ、この本をおもしろいと思えるのは、ある程度中国についての知識がある人に限られるのが残念なところでもあったりしますが、、、
紙の本
中国の今を知るうえでは、面白い本
2018/11/11 17:36
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投稿者:くりくり - この投稿者のレビュー一覧を見る
2015~2018年春まで、ディープな中国を訪ねたルポルタージュ。
アメリカも中国を無視できない、政治的にも、世界経済のなかで大国となった中国は国際的にもその影響力を増している。
取り残される日本の書店には、そんな中国を批判する書籍が山積みだ。
さて、今の中国は本当のところどうなっているのか?本書を読むと「批判」ではないが、「中国大丈夫か?」「中国したたかだなー」と思われる、本当の「今」が垣間見ることができる。
例えば、社会主義国だが、まだまだ都市部と農村部の格差が甚だしいことが、中国のシリコンバレーと呼ばれる広東州深ジェンの三和のネットカフェに沈んだ若者達によって示される。彼らは農村部で生まれ、親の出稼ぎで家庭崩壊となった「留守家庭児童」として成長し、本来の社会性を獲得出来ずに成長した。中国社会格差の犠牲者だ。
また、広東州広州市は、10万人のアフリカ人が住み着くリトルアフリカと化している。中国のアフリカ進出は、最近のことではない。文化大革命で混乱していた中国が、こと、アフリカに対しては独立を支援し、地道に援助をつづけ今日に至っている。「中国は過去にアフリカを侵略したことなく、ただ助けてくれている」とアフリカ人に信頼されている。人、物、金が両国の間で行き来している。中国を先進国と見なすアフリカ人が中国を目指す。
現在の中国のトップ習近平の聖地陝西省富平県・延川県を訪ねる件では、個人崇拝が政治的に行われている状況や、現政権の主導する人々の人間関係、縁故政治の実情が知れる。
トンデモ開発や、内モンゴルに出現した誰も住んでいないマンション群など破天荒さが半端ない。中国のカンボジアへの援助に見る、現中国の外交政策の一端など、日頃のニュースでは知ることの出来ない視点で、中国の今を知るうえでは、面白い本である。
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中国社会の底辺層やマイノリティ層、あるいはそういう人たちにかかわることを生業としている人たちへ取材した本…と書くと「中国という重箱のすみをつつくような本」のような印象を受けるし、この本を読む前はそういう本なのかな、と思っていたのです。
しかし、読んだ後は「重箱のすみにこそ、その重箱の扱われ方が現れるんだな」と感じた、そんな一冊。中国という「派手な重箱」を、すみっこから見渡したい人におすすめの一冊です。
文化大革命真っただ中に習近平が青年期を過ごした田舎を訪れ、「多様な価値観に触れるべき青年時代にずっと農村にいたことで、習近平は「それしかしらない」人物である(p.97-98)」と断じたくだりは、今の習近平政治を理解するのに重要な視点だな、と感じた反面、はたして自分はどうなんだろうか、と自省させられるくだりでもあった。
またそんな習近平にすり寄る「文革の子」たちを「彼らは歳を取って変になったのではない。変な人たちが歳をとっただけなのだ(p.105)」と評するくだりも興味深く、またいろんなことを考えさせてくれる一節だった。
力量や地位がある人間より、それらがない人間の方が、より政治に翻弄されやすい。それを体感的に理解したうえで利用する為政者が習近平という人らしい。そんな政治に翻弄された「社会の周縁に身を置くがゆえにかえって承認欲求が強い」「自分語りが好きそうな人(p.23)」の口を通して、現代中国を語らせる著者の視点は非常に興味深かった。
この本を読んで、この著者が「中国周縁社会論」を書くとおもしろい本になるだろうな、と感じた。
でも、それ以上に読みたいと思ったのは、いろんな問題を抱えた「社会的弱者」ながらも、社会のより内側に入り込もうと格闘しているであろう人や、そんな人たちと直接かかわっている人たちの声。この著者が中国の「学園もの」や「下町工場もの」を書いたら興味深いだろうな、と感じた。
どういう方向であれ、著者の次回作に期待したい一作。
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普通は見られない、あるいは見ようとしないいろいろな中国の側面や場所を取材したルポ。
中国内部だけでなく、カンボジアやカナダにも。
中国という国はダイナミックではあるが、いろいろな意味で恐ろしい。
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共産党による一党独裁・メディアコントロールの行き届いた中央集権の中国において、人目につかないor報道されない地方や下層民などの「さいはて」に迫った本。中国で暮らすアフリカ人ビジネスマンなど「一帯一路」を別の角度から見ることもできるのです。
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中国の繁栄を、どう解釈すればよいだろうか?
経済規模は、既に日本の3倍になり、
未だに日本より遥かに高い経済成長を実現している。
統計操作をしているからだろ!と突っ込む人がいるかもしれないが、
経済規模だけではなく、科学技術や学術分野でも、
多くの分野で日本を圧倒している。
そんな状況の中で、以前は中国経済「ヤバい論」(良い意味でも、悪い意味でも)、
「一党独裁の政治体制への批判」、「人権問題」、そして、「中国脅威論」や「嫌中論」
また中国のIT分野などを見て、「中国スゲー論」や爆発的な訪日観光客の増加に伴う、
一部の「中国人の行動」を見て「イラっとする論」など、
バランスを欠いた見方が目立つ。この本は、割とバランスが良いと思う。
著者は、専門が中国現代史だけに、
その豊富な知識と、おそらく高い語学能力と、中国への並々ならぬ好奇心がある。
また、現地の情報を見聞きし、また現地の人と交流をして、ルポしていることがわかる。
多くの中国通が跋扈している日本だが、バランス良い見方をしている人は、
供給面でも、需要面でも、ほとんどいない。その中で、著者は、割とバランスが良い見方をしている。
ただ、中国レポの難しい所は、ある一か所の現象を見て、
中国を語ることはできないことだ。
ある一部の現象をみて、全体を語ることができない。
一つの省で、日本と同程度の人口規模を抱える国だ、
そもそも中国には、ある母数から「平均」を導き、
それが重要だという概念が箕臼だ。
著者も、それをよく知っているからだろう、
取材テーマ―が、かなりバラバラだ。
しかし、バランスがいい。
繁栄している影で、中国では多くの問題が噴出している。
民主的には、問題が噴出してきた方がよい、
なぜなら、問題がないと解決できないからだ。
中国が抱える問題は、中々、その大小関わらず、正確にはわからない。
だから、本当の所は、いったい何が起こっているのか、多くの人はわかっていない。
それは、日本で報道されるものならば、なおさらだ。
例えば、教育。
過激な学歴競争で多くのモノが脱落する。
日本だと1800人に1人の学生は東大に入れるが、
中国だと8500人に1人しか清華大か北京大には入れない。
また近年は、良い大学を出ても簡単には就職は見つからない。
また、良い就職が見つかっても、組織では、成果を厳しく要求される。
そういう現状に対して、今の所、若い人の反発や、改革が、
大きなうねりとなって、行動としては、現れていない。
制度や体制を批判することは、できない。
中国では、過激な競争で勝ってきた見返りがあまりに小さいと思う。
もうすでに、多くの中国の方が、努力と報酬がまるで見合っていないことを、
知っている。しかし、豊富な社会資源がなければ、この現状から、脱出することはできない。
激烈な競争社会の中で、多くの中国の方は、もちろん疲れ、疑問に思っている。
しかし、圧倒的多数の���者が社会批判をすることはできない。
現状ますます競争は苛烈になっている。
競争に敗れた者は、「努力をしなかったからだ」という社会コンセンサスが、
強力にあり、そういう者は、発言する資格もないし、場所もない。
ネットは以前、そういう場だったが、取り締まりが厳しくなり、
また、言っても変わらないことを、心の底から理解している。
中国が残酷な所は、「自分の代わりは、いくらでもいる」ことだろう、
だから、如何に価値があるかが大事になり、自分に付加価値をつける行動をする。
1を10に言ったり、できないことも、できると言わなければ、いけないのは、
何が本当や嘘かという基準ばかりではなく、その社会に背景がある。
経済規模や成長率は、ある程度、生産年齢人口やその増加率で決定されるが、
中国は、この二つが、莫大にいて、またこれから数十年に渡って労働者が増える。
これは、経済成長がこれからも続くことを意味するが、
それが、果たして、多くの中国の方に良いかという問題がある。
この著作では、中国深セン三和地区を中心にネットゲームにはまる若者に、
インタビューをしている章がある。中国のどの都市でも、こういう光景は見れる。
今の所は、そういう社会の底辺にいる若者がなれる就ける職業は少なくない。
成長と共に、莫大な関連産業や仕事がうまれているからだ。
そういう職業は、良い意味でも悪い意味でも「食っていける」。
また、政府や企業も失業率を気にするので、
ぎりぎり食っていける職業を生み出すことには余念がない。
「競争に負けたからから、ああなった」と、多くのモノは言う。
本人も、それを自覚している。
競争に勝った人と負けた人のコミュニケーションが、
中国には存在しない。
「話しを聞いてほしい、実は、、、、」と言っても、
誰も耳を貸さない。
耳を貸すのは、自分にとって、利益があるか、ないかだ、
他人に同情する余裕は、あまりない。
それよりも、家族と自分の利益を絶対優先で考える。
当たり前と言えば、当たり前な行動をしている。
一度、競争を降りたら、そこで人生がほぼ終わりなのが中国という社会だ。
ホッと一息できるのは、ある恵まれたごくごく一部の層だけだ。
中国では、ある一部の層と、その関係を持っている人が、
多くの資源、それは、政治、経済、教育、医療など、あらゆる分野を、
管理(実質は支配)している。ほとんどの者は、競争に絶対に参加しなくてはいけないが、
その競争に勝つことは、ほとんどできなく、脱落も許されていないのが、中国社会だ。
こんな過激な社会が日本の近くにある。
違って視点で見れば、多くの学びを得ることができる。
どの国でも生きるのは大変だが、現在、衰退していっている国に住んでいるのなら、
なおさら、中国という国や人に対して、偏った見方が生まれてしまうだろう。
しかし、中国の動向を正しく知ることやと中国人の生き方を交流を通して知ることは、
私たちに多くのことを気づかせてくれると感じる。その入門書��して、本書をおススメしたい。
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物凄く面白い。広州のリトルアフリカ、習近平の聖地、カンボジアの中国化、カナダの反日団体訪問、がかなり面白い。が、帯の「行ってはいけない」が気に食わん。中日辞典とか言い物を出してる会社なのに、担当者はバカか?センスなさすぎ。
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カナダで南京大虐殺記念日を制定させた団体の話が非常に面白かった。意外に中立的である一方、その中立性が中国共産党に利用される可能性がある。一方的にメールを送りつけるネトウヨは相手に塩を送っているなどなど。
そしてSAPIOが割とちゃんとしている、というのも意外だった。この内容だと掲載してくれないと思うのだが、修正なしで載せてくれるなどなど。
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ディープな中国像が中国内外から見えてくる1冊。
7章8章は興味深かった。個人的には内モンゴルの章のモンゴル族とチベットやウイグル族の国への認識の違いみたいなところも面白かった
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同著者のコラム等を読んでいることもあり、内容としてはいろいろと被るため、補完的な部分と、時にオンライン記事の方が深堀されているものがあったように思う。著者の好奇心と様々なトピックに関し、興味深く読んだ。
第8章に出てくる香港系カナダ人との歴史認識に関する対話は非常に興味深いが、結果的に中国共産党の利する方向に向かうあたりの行が自身の中国人との対話経験と合わせてすごくわかるような気がする。この点に関しては、日本は完全に情報戦で負けて、何か言えば言うほどドツボにハマる状況になってしまっている。日本のことを何も知らない人には説して理解してもらえるが、中途半端に偏った情報しか持たない人に理解をしてもらうことが非常に難しい・・というかできない事がよくわかる事例のような気がする。