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紙の本
イギリスの作家たちが奏でる怪談の傑作集です!
2020/05/21 11:15
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、河出文庫から刊行されている怪談集シリーズの一冊です。これまでに日本をはじめ、アメリカ、ドイツ、イタリア、ロシア、中国などの怪談集が出されており、非常に好評を得ています。同書にも、イギリスの文豪たちによる怖い、奇妙な話が収録されています。居住者が次々と非業の死を遂げる家、乗客が連続して身投げする蒸気船、呪われた屋敷で見つかった驚愕の幽霊の正体など、読者はワクワク・ドキドキの連続です。同書に収録された一例を挙げると、ウェルズ「赤の間」、ティンパリー「ハリー」、ブラックウッド「空き家」、ストーカー「判事の家」などです。ぜひ、同書でイギリスの怪談を味わってみてください。
紙の本
科学の世紀の怪談
2020/08/30 21:59
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
怪奇小説でなく怪談ですか、と編者の由良さんが言いながらふふっと笑うのが聞こえそう。怪奇小説とは文学と怪談の中間だとすれば、文学と現実の中間にあるのが、伝承や噂話といった怪談なのかもしれない。そのほんとかどうか分からないが、科学では説明できない怪談の方を、あえて集めてみようということらしい。ただし19世紀以降になると超自然現象に対して懐疑的な見方が生まれたことが、これらの作品からは見て取れる。
H.G.ウェルズといえばとりわけ科学的思考の権化みたいな人だが、「赤の間」は確かに怪談で、それでもそれを幽霊とは認めようとしない。
レファニュ「遺言」では呪いか幽霊であることの存在は認めざるを得ないし、「ロッホ・ギア物語」でも何か超自然的なことがあるのは確からしいが、それがなんであるかを決めつけようとはしない。
M.R.ジェイムズ「若者よ、口笛吹けば、われ行かん」幽霊ではないかもしれないが、何かいるらしい。
ブラックウッド「空き家」語り手の叔母がなぜかノリノリ、「僥倖」人に悪さをする幽霊でなく助ける方、怖いけど身に迫る怖さでなく純粋な怪異なんですね。
B.ストーカー「判事の家」これは悪意、敵意が怖いのであって、幽霊とか怪異のレベルの話でない。ある意味一番怖いとも言える。
A.N.L.マンビー「霧の中での遭遇」これも悪意はない、むしろ善意の霊。A.J.アラン「ノーフォークにて、我が椿事」ユーモラスな語りもあり、設定としても恐怖には遠い。科学を盾に恐怖から逃れようとする心理の逆を衝いているようにも見える。
A.クィラ=クーチ「暗礁の点呼」名もなき戦死者の物語であり、これも近代社会の生んだ新しい怪談と言えるだろう。
R.ティインバリー「上段寝台」定番の船の上に現れる幽霊。太平洋な大西洋の真ん中の場合、それがどこから来たのか見当がつかないという怖さがある。それも遠洋航路が開発されて生まれた怪談だろう。
結局怪談と一言で言っても、その位置付けはどんどん多様化しているのだ。怪異自体の恐怖だけでなく、それに子供や愛する人を奪われる恐怖という視点もある。古い屋敷に住み着いた幽霊というのは、ゴシック流行の生んだ形態な気もするし。古典的な俗説的な怪談を期待していると、いつのまにか思いもよらない遠いところに連れて行かれてしまうようなアンソロジー。
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