紙の本
水運と日本史、世界史
2020/06/29 08:44
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投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
兵庫津の入港記録から中世の日本の海運の実態についてや筆者のイギリス留学の経験からテムズ川の水運、さらに江戸時代の水運など水と歴史についてわかりやすく面白い
紙の本
同感です
2019/04/27 12:41
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:怪人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大学学部の卒論では中世の瀬戸内海水運について研究し、大学院に進み、イギリスオックスフォード大学院での17~18世紀のテムズ川の水上交通の研究につながる。さらに、水が深まり世界の水問題に対象領域が広がってゆく。
これまで講演したものから編集されているので、各章とも内容に無駄がなくわかりやすい。とりわけ、4章、5章のイギリス留学体験記は興味深い。テムズ川の河川改修については建設工事の頃は人々の注目が集まるが、改修後のテムズ川がどのように使われ、活用されているのかについてはあまり知られていない、と指摘し、水上交通の調査研究に邁進する動機付けが述べられている。
日常的に利便性が実感できる道路とは異なり、河川や港湾といったやや地味なインフラ施設に関する指摘は同感である。
何より、人の生活に欠かせない水問題全般に関心を抱き研究を続け、広範に活動されていることに敬意を表する。
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お話をきちんときいたことはたぶんない。土木学会100周年式典のときはどうだったかな?
だけれど、水に関する見識、編集力、表現力の高さにうならされそうだ。
「水」をとおして世界の実情、情勢をみて、科学の力を味わう。関心を広げてくれた「水」にも感謝、という前書きの言葉も印象的。
水のおかげで地球上では水平・鉛直方向に熱循環し、さらにはサハラの砂のおかげでアマゾンにも養分そして豊かさが供給されているという話、も愉しいが、、
京都の背後には物資生産・運搬の大動脈である瀬戸内海があって(※西日本はこれゆえに租税もコメなどの重いものにできた)、目前にも淀川の先に琵琶湖があり、北陸ともつながっていて、、というスコープも見事。面白いよなあ…!
さらにはオックスフォードでもテムズ川水運についての研究の話。。ああ余程研究がたのしかったんだろうなぁというが、伝わってくる。
図書館に通っては、該当のページを書写したりコピーしたりだとか、あるいは蔵書から取り寄せを頼むだとかいうプロセスが克明につづられる。
ほこりをかぶたような古い書物をめくる楽しみは、確かにある。そしてそういうことに集中力と時間を投じられるという、一流の片りんもみせるのである。
もし皇族に生まれなかったら、いずれかの分野で著名な研究者になっていたのだろうか。
序文の「水に感謝」にもあったが、「テムズ川に感謝」というフレーズもいいなぁ。
まわりの環境あってこその好奇心、探求心、という想いなのだろう。
うん、テーマがあれば、研究もいいかなぁ・・・
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4/4に報道ステーションで皇太子殿下本紹介!
中世の交通史・流通史の研究者、徳仁親王(皇太子)の本が紹介され大きな話題です!
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これまで研究されてきた中世瀬戸内の海運や、テムズ川の水運、水をめぐる環境問題に関する講演をまとめた一冊。
読みやすいし、コンパクトにまとまっていてわかりやすい。イギリス留学時代の話は向こうの研究環境や史料の状況がわかって面白い。
自然災害への視線や、被災者への思いも伝わってくる。
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陛下の知識と教養ぶりに舌を巻いた!本当に真摯でお優しい、人柄の表れた本だった。講演を生で聴いてみたいものだなぁ。天皇陛下になられたからお忙しいなんてものじゃないだろうけど。宮家の方々は学者が多いけれど、昭和天皇、上皇陛下とも生物学がご専門だったけれど、水運というのは地理も歴史も物理学さえも絡んだなかなか高度な学術分野なので、ひたすら感心しているところ。
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今上陛下の皇太子時代に行った講演を元にまとめた本。
陛下が学生時代に水運について学び、そこから今日の水害被害に心を痛めていることを理解した。
今後も被害が大きくなることが予想される水害等の被害の対策について、日本国内だけでなく世界中に発信してくれることを望む。
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世界各地の水運について知ることが出来た。
後半の章では世界の水に関する問題や災害への対応や日本が水害対策の先進国である事、日本が他国の水害対策や復興の手伝いをしている事が分かった。世界中がMDGsの開発目標にあるように水関係の衛生環境が向上してほしいと感じる。
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最も感銘を受けたのは、オックスフォード大学でのテムズ川水運の研究です。教授と研究テーマや史料について相談したり、様々な図書館などを訪ね、史料を丹念に読み、分析する、天皇陛下の学問に対する真摯な姿勢には心を打たれました。文体からも、そのお人柄が伝わってきました。令和に生きるすべての人に読んで欲しい一冊です。
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天皇即位直前に出版された本。1987年から2018年までに行われた8つの講演録が収録されている。学生時代の研究課題であった中世の水運史、水の利用の問題、水害についてと、水をキーワードに多くのテーマで語っている。とてもわかりやすい言葉で説明されており、内容も講演する国や地域のことや、その時の話題などをうまく盛り込むなど、聞き手のことをよく考えて練られたものだと言うことがよくわかる。皇室関係者の研究について、趣味のようなものかと思っていたが、実際に深く探究されていることがわかった。皇室にも水運史にも興味がない人にも、おすすめしたい本。