紙の本
面白かったです
2021/11/19 10:34
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投稿者:iha - この投稿者のレビュー一覧を見る
文筆を生業とする女性(名前は最後まで出てこなかった)と年上の女性喜和子さんとの交流の物語です。話は主人公が上野で偶然喜和子さんと出会ってからの出来事を追憶をたどるように進んでゆきます。同時に、喜和子さんが欲してやまなかった帝国図書館にまつわる物語も、挿入という形で同時進行してゆきます。自由と本を愛し続けた喜和子さんの物語がとても切なく、そして明治の世から終戦までを上野のお山から見続けた帝国図書館の物語がとても幻想的でした。
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【本に学び、本を守り、本を愛した人々の物語】私が年の離れた友人から依頼されたのは「図書館が主人公の小説」だった。上野に出来た日本初の国立図書館を巡る本と人の歴史物語。
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国際子ども図書館はなじみの図書館なので今に至るまでの歴史を物語の中で感じることができ新鮮でした。
2重構造になっていることで時代を追う描写に奥行きが生まれ、ぐっと入り込む感覚、時代に翻弄されたのは人だけではなく本も同じであり、もし、彼らに命が吹き込まれていたならば私たち人間が語ることができないほど様々な情景を目にしてきたことであろうと思いました。
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始まりから、一人の女性に振り回される物語。少しずつ、年月を経たせながら発覚していく事実が、少しミステリーな雰囲気を醸し出している。
彼女はその部分だけが自分を作ったことにしてしまったのだろうか。自由を得た彼女は、何を思ったのだろうか。金欠の歴史を持つ帝国図書館と樋口一葉が結ばれる未来はあっただろうか。
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喜和子さんとの出会いから始まり、帝国図書館の歴史をはさみながら、喜和子さんの過去を紐解いていく物語。
mondeさんの「路地裏bookshelf」を使った表紙が素敵で、題名と表紙だけで即決購入してしまいましたが、すみからすみまで私の好きなものが詰まっていて、本当に楽しくて幸せな読書時間だった。一気に読んでしまうのがもったいなくて、あと一章で読み終わるところで一晩寝かせたくらい。
帝国図書館の成り立ちと歴史を辿りながら、戦争、老い、母と͡娘の確執、LGBT、そんな現代社会の問題もえぐっていて面白い。
一葉の足跡を辿る喜和子さんのわくわく感、すごくわかるな~。
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高校生の娘がカバーに一目惚れでとりあえず買った。
小説家志望の主人公が、上野の公園でであったふしぎな年配の女性喜和子さんから、日本初の図書館の誕生とその図書館にかかわる人や図書館に通ってきた文豪らのエピソードをきいていきつつ、上野という土地と喜和子さん自身の謎に迫っていく物語。
年配の女性の数奇な過去といえば中島京子の十八番。使命を帯びつつ常に金欠に悩まされ国の非常事態には図書館行政が停滞しという図書館の苦難の歴史をめぐるうんちくもまた楽しくきかせ、文化の街上野は昔からあるのかと思いきや、東京文化会館ができるより前にはかなりしっかりした自治組織さえあるバラック集落があったとか、興味深い話に目から鱗が何枚落ちたことか。
合言葉は「いつか、図書館で会おう」
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夢見る図書館と夢見る喜和子さんのお話。
題名に「図書館」って入ってなかったら読むことのなかった本でしたが内容もストーリーの流れもよいお話でした。途中ちょっとミステリ風?って思ったけど、他人の人生を調べるなんて当人以外からしたらミステリなの当たり前だなと思ったり。
ちょっと喜和子さん理想のヒトかもしれない。
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昨年たまたま上野の国際こども図書館を訪問し、その素晴らしい建築物を知っていたので、この本を読むのに大いに助けになった。帰り道も日暮里駅までの上野桜木あたりを通り、風景や建物がとても印象に残っており、東京のこの辺りは底力があるなぁ、素晴らしいなと感銘を受けた。
行かれたことのない方はぜひ行ってみてください。
この本から得られるものが倍加するのは間違いないです。
そんなに遠い昔でもない日本の姿、当時を知る方々からいつまでもお話が伺えるわけでもないのだなぁ。
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とにかく表紙が魅力的。表紙とタイトルの情報で、内容は全くわからないままに読み始める。
星には表紙のインパクトを含む。こんな風に星をつけたのは初めて。
内容も、少しずつ謎が解き明かされていくのと、”夢見る帝国図書館”?がどうなっていくのか気になって、すいすい読めた。
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なんだかわからないけど、とてもよかった。
すごく面白い!とかそーゆーのではないのだけど、ぐいぐいと引き込まれ
良い本を読んだなという気持ちになった。
他の本でも思ったけど、昔に日本は本当に男尊女卑の国だったのな~と
ちょっと悲しくなる。
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辻村深月さんの「東京會舘とわたし」もそうだが、近代の歴史的建造物を通して、この国のおよそ150年を振り返る事ができる。
一つは、主人公が後に書いたと思われる小説「夢見る帝国図書館」のパート。文明国家の象徴として建てられた帝国図書館の視点から、建設や蔵書構築に奔走した福沢諭吉や永井荷風の父らや、この図書館をこよなく愛した文豪たちの在りし日の姿が語られる。
もう一つは、教科書などに載ることのない、市井に片寄せあって暮らす人々の戦後の歴史。主人公が偶然知り合った「喜和子」というチャーミングな老女。彼女が断片的に記憶する戦前から戦後に掛けての上野界隈の話は、私が自分の母から聞いた「昭和30年頃はまだまだ上野には浮浪児が沢山いた」という話と重なり感慨深かった。
喜和子さんが亡くなった後、主人公は上野のかつての姿と彼女の人生を調べていき、喜和子さんの娘と孫に分かった事を伝え、家族のわだかまりがとけていく…。
喜和子さんの物語の合間に、夢見る帝国図書館の話が挿入されている。
喜和子さんの人生を振り返る事で、戦前、戦後間もなくの女性達の地位の低さや、性的マイノリティの存在を知る事になる。
この本の後に読んだ「1982年生まれ キム・ジヨン」と合わせて、色々と考えさせられた。2019.9.22
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「夢見る帝国図書館」。まずタイトルがいいじゃないか、「帝国図書館」という古風な名前に「夢見る」というこれも少し古ぼけたロマンチックさを漂わせる言葉がついて、まるで竹久夢二の描く少女の絵のようだ。
話もまたよし。物語が始まったとき主人公はまだ作家の卵。上野である一人の老女と出会う。老女の名前は喜和子。自分で縫い付けたという頭陀袋のようなスカートを履いた小柄で、少し不思議な雰囲気を漂わせる女性。喜和子は主人公に帝国図書館の物語を書いて欲しいと言う。
主人公とこの老女の関わりが物語の一つの軸。
もう一つの軸は帝国図書館。明治維新で江戸から明治となり、日本が世界に開国したとき、西洋の一級国には必ずビブリオテーキ、つまり図書館というものがある。図書館がなければ立派な国とは言い難い、だから日本にも図書館を!という声が高まり、上野に「帝国図書館」が設立されるが、蔵書数も少なく、いわんや湯島聖堂内の建物を借りた、とても一国のビブリオテーキとして誇れるものではない。もっと立派な帝国図書館を!と奔走する人々や、菊池寛が、芥川龍之介が、樋口一葉がその図書館を訪れて、、、という帝国図書館とその時代の人々の物語がもう一つの軸。
不思議な女性喜和子の謎と、帝国図書館の波乱万丈の物語が並行して進んでいく。
グイグイと引き込まれて一気に読んでしまった。
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ある女性にまつわる回顧録、とだけ言うと、小さいおうちにも通ずるものがあるが、国立図書館と文学史をベースにして読むと面白い。
「真理がわれらを自由にする」とても響く言葉だ。
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真理がわれらを自由にするところ
図書館を愛する人々がいて、人々や本を愛する図書館がいる。いろいろなことが図書館を介して交錯する。
混沌としたストーリーと戦時の状態とがうまく重なり合って"わたし"と同じように謎解きをするかのようでした。
日本の図書館の歴史は短いだろうけど、それでも歴史上の人々が通って、様々な事件を乗り越えて、今の図書館があるのだなと知ると、改めて図書館に行きたくなります。
図書館が恋をしたり、本が会話するっていうのも面白かったです。
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史実と空想が混ざりあい、不思議な味わいがある。
喜和子さんの生涯を紐解きながら、夢見る帝国図書館の年代も進んでいく。
何か偉業を成し遂げた訳でもない普通(?)の女性の人生が、本を読み進めるための起爆剤になり得ることに物語の魅力を感じる。
当たり前のように通っている図書館が、社会情勢やそれによる資金不足に振り回されなから今の形になっていたのだと思うと、感慨深い。
作中作の文章では、森見登美彦のような、とぼけたユーモアを感じた。