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2022/11/02 04:30
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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
東京會舘の歴史を綴りながら、辻村深月さん自身の想いを盛り込んでいく著書の下巻は、直木賞の受賞がクライマックスになるのだが、同時に様々な人たち……三島由紀夫らにも愛された、この会館の姿がクローズアップされていく。著者の思い入れがたっぷりと描かれていて読み応えがあり、3回目の、つまり現在の建物へと移り変わる経緯も興味深い。上巻は古い出来事が詳述されておらず不満を覚えたが、それはそれ、さすがに直木賞作家だけのことはあると考えが変わった。
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辻村先生の作品では珍しいミステリー要素のない作品.
上巻より下巻の方が好きかな.
すてきな金婚式の第六章「金環のお祝い」,震災での出来事に料理クラブの思い出を重ねた第八章「あの日の一夜に寄せて」,直木賞受賞のときに語られる家族とのわだかまりとその後を描いた第九章「煉瓦の壁を背に」が特によかった.
辻村先生はスクールカーストの絡んだミステリーが抜群にうまいのだけれど,こんな話もいいな.
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【デビュー十五周年を迎えた著者による、ドラマ満載の物語】記者会見や授賞式、結婚式などで知られる東京會舘。大正十一年の落成から改装を経ての再開まで、昭和、平成と集った人々を描く長編。
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1話1話いい話に落ち着きすぎ。
ハートフルなご都合主義が、現代女性作家風というか、薄っぺらく感じました。
思い入れは感じられただけに、もう少し読み応えのあるものにならなかったのかと残念です。
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この人はドラマをつくるのが本当に上手だなあと、ため息まで出る。
感嘆してしまう。
年代を経るごとに、「今の」東京會舘に近くなってくるのだろう。我々がいま、東京會舘に抱く思いに、登場人物の感じ方も近づいてくる。登場人物と東京會舘の距離ですら、この人にとってはお手の物である。
この建物に、この場所に訪れる人は、どの人もそれぞれに特別な思いを抱いてやってくる。
それを丁寧に、それぞれの人の物語を描いて、各人のなかの「東京會舘」を浮き彫りにしている。
美しい話だ。
東京會舘に行ってみたくなるし、レストランで食事もしてみたくなる。
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読めることが幸福につながる作品というものは少ない。
読み終わった時に優しい、暖かい気持ちになることができた。
一度、わたしも東京會舘へ行ってみたい。
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今年読んだ中で、間違いなく一番好きな本。
辻村さんの作品の中でも、この作品にあまりスポットライトが当てられていないのが不思議なくらいです。
辻村さんといえば、人間の奥底にある闇を静かにえぐりだすような、ドキッとさせられる描写が好きです。今までで一番好きだったのは「子どもたちは夜と遊ぶ」。水の底からさらに深く沈めていくような心理描写に、気が付けばのめりこんでいました。
ただ、本作品は全くテイストを変え、従業員たちのプライド、人の温かさ、憎しみの裏にある愛おしさなど、辻村さん独自の感性で紡がれた「光」を感じることができる作品です。従来の辻村ファンたちがそこを敬遠しているのであれば、本当にもったいない。
どの一篇をとってもすばらしいのですが、とある従業員のこだわりが見える何気ない一幕が印象に残りました。主人公の女性が、真鍮の柱を磨く玄関係に対し、「真鍮は汚れやすい。いっそのこと汚れにくい素材で作ればよかったのにね」との感想に対して、玄関係が返した一言。
“真鍮であることには意味があります。(中略)真鍮だからこそ、私たちは毎日、この柱を磨く必要があります。他の素材だったら、ひょっとするとおざなりになって、毎朝磨くことはないかもしれません。―この柱は、素材そのものが磨きなさい、という玄関係へのメッセージなんです。”
東京會舘での何気ない一幕を描いたシーンですが、特に大きな役職のない「玄関係」の一人がこういった心持ちで仕事をしている場所、という印象が心地よく残りました。
全編をとおして登場人物たちのゆるいつながりが描かれていますが、最後の章ですべてが鮮やかにつながり、そして本作品の核の部分が明らかになります。「東京會舘に行きたい」はこの本を読んだ誰もが感じると思いますが、読み進めるうちに「私も東京會舘の歴史に携わりたい!」と思わせてくれるような、深い印象とあたたかな余韻を残してくれる作品でした。
P.S. 第八章のクッキングスクールのエピソードの中で、東京會舘のカレーの秘訣が出てきます。もちろん食材や調味料などは本場にかないませんが、この「秘訣」を試してみたところ、普通のルーで作ったカレーがびっくりするぐらい美味なカレーになりましたのでぜひ一度お試しを^^
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図書館でかりた単行本で読了済みだけれど、購入。
物語のラストに新章追加(そうそう、東京會舘は今年三代目新本館が竣工したのだ…!)。解説は出久根達郎。
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時代背景のせいか、上巻に比べるとやや緊迫感にかけるが、 東京會舘行ってみたくなる人が増えるだろうなと。
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歳月を経て建て替わっても
東京會舘が東京會舘で在り続ける本当の理由は
東京會舘を愛し そこで働くことの矜持を持って
その魂を伝え続けてきた人々の軌跡であり
その魂に触れて東京會舘を愛した客たちが
それぞれの感謝と愛着を 子や孫に受け継いだ奇蹟。
その人たちの思いのいずれかが欠けても
東京會舘は風化し変容し とうに消えていたはずだ。
まだ見ぬ東京會舘に私も足を運べるとしたら
それに勝る喜びはない…そう思わしめるだけの
東京會舘の素晴らしさが この小説からは溢れ出している。
思いをつなぐ人が歳月とともに増えていく。
歴史とは こうして築かれるのだと思う。
掛け値なしの素晴らしい作品でした。
辻村さん 本当にありがとうございます。
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辻村さんファンだからと、手に取った本だったけれど
行ったことのない東京曾舘の歴史とその人たちのストーリーにふれて、愛着をもつことができた。
するすると読めて、さらりと涙を盗んでいくのはさすが。
いちばん心に残っているのは、
下巻で今読んだからかな。
あの日の一夜に寄せて
煉瓦の壁を背に
この二編。
上巻のバーテンダーさんのお話も、プロの仕事と心意気を見せられてグッときた。
いつかプルニエと東京曾舘のバーに行ってみたいな。
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旧館に引き続き読んだ。
この短編を書いたとされる作家が作品の中で登場してくるのだが、彼にまつわるエピソードはとても良い。
両親に対して、自分のやっていることに対して理解を全く得られておらず、反発する反面、それでも気にかけてくれる両親が最後まで憎みきれず、縁を切ったあとでもお互い少しずつ歩み寄ろうとする姿がすごく印象的。
縁を切るのも、歩み寄ろうとするきっかけが起きたのも東京會舘のレストランでの出来事だったのだが、その時の會舘スタッフの渡邉さんの対応が素晴らしすぎる。
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建て替えられた新館が舞台。
ここでも従業員のプロ意識の高さは確実に引き継がれている。
クッキングスクール、東日本大震災、マナー教室、芥川賞・直木賞の授賞式、3代に渡る結婚式。
それぞれに纏わる物語が心に響く。
旧館で使用されていた3基のシャンデリアのその後についても、東京會舘の精神が感じられて、胸を打たれた。
旧館を知っているお客様、新館しか知らないお客様、両方のお客様に思い出として残っていく様が、新生東京會舘となった現在の建物にも引き継がれていくことを期待する。
東京會舘には行ったことはないけれど、いつか行ってみたいと思った。
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何故だかこの本はどうしても読まなくてはいけないような気がした。唯一無二の建物が持つ、唯一無二の物語たち。仕事に対するプライド、家族との愛や確執、戦争と平和。いろんなものが詰まっていた。
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上巻から引き続き、どんどん読み進めたくなります。登場人物、みんな好きになります!久々に自分にハマった作品でした。