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そうなんだ
2020/05/27 20:06
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投稿者:飛行白秋男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
カルメン/宝塚で観た感動した舞台の原作が意外と短編で驚いた。
タマンゴ/奴隷船の悲惨な状況がよくわかりました。
タマンゴもよく生きていられましたね。
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19世紀のフランス人作家メリメの傑作2作が味わえます!
2020/05/11 09:52
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、19世紀に活躍したフランスの作家であり、歴史家、考古学者、さらに官吏でもあったプロスペル・メリメが著した代表作です。同書の表題作「カルメン」は、メリメは執筆前に二度スペイン旅行を行い、その一回目の旅行の際に「カルメン」の題材を思いついたと言われています。「カルメン」の中では、作者に仮託される考古学者がスペインで出会ったある山賊の身の上話を紹介するという体裁でカルメンの物語が描かれていきます。彼はカルメンという情熱的なジプシー女に振り回されたあげく、悪事に身を染めてお尋ね者となり、ついには死刑となるという物語です。その他、「タマンゴ」もメリメの傑作です。ぜひ、この傑作2作を、十分に味わってみてください。
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セクシースパイ?
2019/11/26 11:09
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投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
三十の条件がそろったスペインの美女とまでいかないまでも魅惑的なカルメンの有名なオペラの世界を活字で楽しむという、映画鑑賞後の原作読み的な感覚。黒人奴隷の話も余韻を残す作品。
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「カルメン」は、オペラで感じるような男女のもつれの悲劇というより、ロマやバスク人といったマイノリティの欧州での地位や彼らの信仰についての考察の中に男女の物語が織り込まれたような一編だと感じた。語り手は欧州あちこち出向いてマイノリティについて調べたメリメ自身の姿が投影されている。「タマンゴ」の役は訳者自身が解説で述べている通り確かに堀口大學訳と比較して陰影と品格を感じはするが、堀口同様やや言葉の使い方が洗練されてはいないものの中公文庫の杉捷夫訳の方が状況を表現できているように思った。いずれも読み応えがある物語だが、本作は全体を通して物語の翻訳というより、自身の研究成果のサブテキストとしているような印象で、訳より解説の方が力が入っているように読めた。だからなおのことなのか、論争のあるカルメンの第4章が3章までより読みやすく、解説もいかにも研究者らしい内容だがこちらも物語本編以上に読み応えがありすっと頭に入ってきた。オペラを見たり小川洋子さんのラジオ番組「パナソニック・メロディアスライブラリー」を聞いた後間をおかずに読めばよかったなとちょっと後悔。さらに印象が比較できたのに。
また私が読んだ2019年8月発行の初版第1刷では、解説のp.203でユゴーの作品に触れて当時の人種概念についての見解を述べているが、10行目で本文中の訳注を(9ページ)としているが、訳注があるのは15ページ。光文社さま、再販があれば訂正を。
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魔性の女「カルメン」に翻弄されたドン・ホセの語り、というスタイルの作品。恋愛小説の古典として、また奔放な女性の代名詞として知られる作品ですが、文体は硬派な印象ですし、「ジプシー」という階層(生き方)についての前提知識があるとより内容がわかりやすいかもしれません。
まじめだった青年が、一人の女の虜になり、嫉妬から殺人まで起こす様や、その挙句に愛する女本人を手に欠けるところなど、恋愛によって身を滅ぼすというストーリーの典型であるように思います。
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戯曲でなんとなくしか知らなかったカルメン。
賢く、強く、美しくて、踊りがうまく、男を翻弄するカルメンが魅力的。ホセが、カルメンに惚れて、堅気の兵隊からロマのコミュニティに入っていくところも面白い。
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カルメンといえば魅惑的な女性の代名詞だが、実は原作もオペラも映画も見たことがなく、正しいあらすじを知らなかったのでこちらを読んだ。色々ある訳本の中から新訳を選んだのだが、とても読みやすくて、非常におすすめだった。
話はメリメと思われるフランス人考古学者が、コルドバ辺りのアンダルシアで、たまたまホセ・ナバーロという怪しい素性の男と知り合うことから始まる。ナバーロに貸を作る形になった作者は、罪を告白して死刑になろうという彼から最後に身の上話を聞くのだ。
話の筋は周知の通り、ロマ人のカルメンに惚れてしまったナバーロが、彼女と一緒にいたいばかりに軍の出世は愚か、罪を犯して、今で言うところの、密輸や強盗といった犯罪組織の仕事に手を染めて堕ちていく、というところ。だが、主眼は、靴下が穴だらけだったり、決して清潔ではないはずの描写のカルメンの、自由人たる魅力、彼女の周りに現れる男性の影に嫉妬を抑えられないナバーロの心情描写が巧みで、読み進める手が止まらなかった。
またメリメはロマ人の言語研究に後年ハマったそうなのだが、フランス語で書かれているであろう原文に、ロマ語のみならず、バスク語やスペイン語、ラテン語の知識も散りばめられている。フランスもバスクとロマという文化を共有している国であるだけに、スペイン内におけるロマ人やバスク人の立ち位置までも描かれていて面白い。