紙の本
結末は出ているハズなのにスリリング
2022/04/05 13:46
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投稿者:higassi - この投稿者のレビュー一覧を見る
乱歩賞作家の呉勝浩さんの話題作を遅れ馳ばせながら。ショッピングモール「スワン」で発生した凄惨な事件の真実が、バレエ「白鳥の湖」と重ねながら明かされていきます。結末は出ているハズなのにスリリングさ溢れる一冊でした。
紙の本
どんどん読めるが、エンディングにたどり着いて、そんなところでつまずく感じ。
2021/06/21 15:49
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルの「スワン」は、大型ショッピングモールの名称であり、その中で、ある時陰惨なテロ事件が起きた。
改造銃で、無差別に撃ち殺された死者が21名。重軽傷者も多数だし、しかし、犯人はその場で自殺。事件の経緯に謎が残り、その事件の場にいながら生き延びた女子高生いずみは、なぜか、世間から激しいバッシングを受けることになる。
架空の話ながら、ちょっとしたボタンの掛け違いで現実にも起こりそうな事件。
しかし、物語は、その後、そのテロ事件現場にいて、助かった数名が、ある目的で集められ、彼らが知る、事件の様子を語る“お茶会”のシーンがメインとなって続いてゆく。
この作家の作品は、本書を含めて2冊しか読んだことはないが、印象は同じ。物語の続きが気になり、どんどん読み進むが、個人的には、語られるラストで肩透かしを食らった感じ。気分的には、この結末の為に、長い物語を読みづづけてきたのか...という、ちょっと残念な感じ。おそらく、私には、この作家の物語を読みこなすチカラがないのかな。そう思うことにした。
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投稿者:のんきち - この投稿者のレビュー一覧を見る
直木賞候補ということで、初読の作家さんだったが購入してみた。事件があっけなく終わってしまうので、あれっと思うが、その後に壮絶な物語が待っていた。真相を知ると胸が痛む。極限状態で人がどのような行動をとるのか。憎むべきは犯人なのだ。彼女のことは誰も責められはしない。
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まだ途中
2020/01/15 14:54
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投稿者:座敷婆 - この投稿者のレビュー一覧を見る
めちゃくちゃ面白い。
評価まだあがるかも。
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乗り越えられない悲劇の物語
2019/12/28 07:51
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投稿者:Otto Rosenthal - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルの『スワン』は物語の始まりであるテロ事件の起きたショッピングモールの施設名と、主人公いずみがバレエを習っていることに由来しています。バレエが本作に描かれる悲劇のモチーフになっています。
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衝撃の犯罪小説
2019/12/28 07:41
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投稿者:Otto Rosenthal - この投稿者のレビュー一覧を見る
大量殺人テロ事件に巻き込まれた主人公・片岡いずみは、犯人集団に次に殺害される被害者を指名することを強要されて生き延びた。その心の傷を抱えながら生きるいずみに届けられた謎の招待状から物語は思わぬ方向に展開します。
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悲劇の多面性は、ミステリー
2019/11/25 10:17
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
大型商業施設で発生した無差別大量殺人事件。どのような目的でその事件が発ししたかわからないが、その最中に生み出される、様々な人の瞬間的な判断と行動が、潜む。個々の事実を、ジグソーパズルのように、すべて埋め合わせるだけで、真実がわかるわけではなかった。法治国家における罪、それに対する罰、それらは、サッカーの試合での単なるファールにすぎず、イエローカードにも成りはしないのかもしれない。悲劇というのは、もう一つだけでなく、多くの顔を持つのだろう。そんな多面性が、ミステリーの醍醐味である。
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ショッピングセンターで起こった無差別テロ。手製の銃と日本刀で手あたり次第に人を殺していく2人の犯人たち。ゴーグルにつけたカメラで録画した映像はSNSに流される。
なんてこった。どんな事件だよ。ひどすぎる。と憤りながら読むのだけど、事件には謎が多すぎて全貌が見えない。
被害者21名のうち多くは展望ラウンジにいた。そこで二人の女子高生が生き延びた。世間は一人に同情し、一人を責めぬく。なぜか。なにが二人の明暗を分けたのか。ラウンジでいったい何が起こっていたのか。
生存者5名が招待された、目的のわからない茶話会。ラウンジで生き残り世間からの非難を一身に受けている女子高生いずみ隠している真実とは。
なんだろう、この息苦しさは。そこであの日何が起こっていたのか。「真実」はどこにあったのか。すべてが明らかになってもなお消えない、いや、明らかになったからこそ消せないこの痛み。
理不尽と理不尽が重なり合うとき、そこに生じる暗闇の深さたるや。
どうすればよかったんだ。ほかに何ができたというんだ。
誰もが他人事でしか体験できないこの最悪の状況をもうしばらくの間味わっていたい。
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いずみは何を隠しているのだろう?その思いだけで、重たい気持ちを持ちながら、読み進めた。
これだけの悲劇が起こっている以上、そこに納得できる真実も理由もあるわけはなく、それこそ悲劇の渦中にいた人達が『乗り越えられるはずはない』のだけど。
幸雄の亡くなり方や、いずみの出した結論に、
隠していたことが分かったとて何なのだろう、と重たい気持ちばかり残った。
自分も含め、人間と言うのは厄介で、真実を知りたいと思ってしまうし、白黒つけたいと思ってしまうし、悪気もなく正義だなんてもので人を責めてしまう。そもそも、真実って何なのだろう?その場その瞬間に起こっている1つの事実があったとしても、そこに複数の人間がいた場合、それを受け止める人の数だけ真実は違ってくる。
当事者のいずみが『知ってることはぜんぶ話し』『これ以上、伝えようがない』位に言葉を尽くしても、『ほんとうを伝えることは、できない』と言っていることこそが真実であるように思う。
それなのに、そこに関わってすらいない人達が、勝手に真実を求め白黒をつけたがる。そんなこと意味が無いし出来もしないのに。
それでも、自分の心の内に起こる「どうして?」と言う気持ちは抑えられない。どうしてこんなことが起こったのか?どうして救えなかったのか?
だけど、少なくとも、その疑問に勝手に答えを出して、無関係の自分が無責任に批判することはしてはいけない、と当たり前のことだけど、改めて強く思った。
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重く、心に残る物語でした。
自分だったら、一体どうしたのだろうか。
無差別銃撃事件に巻き込まれた人物の、その後の話。
自分がその時「正しい」と信じた行動が、自分自身や他人によって、疑念に変わっていく。人によっては責め立てられる。犯人でもないのに。
どんな事件も、当事者にしか分かり得ない思いがある。
現実の報道でも、その時あった真実が果たしてどのくらい伝えられているのだろうか…。
きっとこの先どの報道を見ても、残念ながら、当事者の気持ちを本当に心から理解することはできないのだろう。
でも誹謗中傷に走るのではなく、「真実はその人たちにしか分からない」と考えて、とどまりたい。そう強く感じました。
簡単に人を傷つけてはいけない。
何も知らないなら、尚更。
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テレビで特集されていたので、購入。
冒頭では、事件のシーンが書かれていて、淡々とした文章が羅列しているのに事件の迫力が伝わってきます。
その後は、何か意味ありげな生存者5人が招かれて、ある一人の被害者の死の真相について、明らかになっていきます。
なにか秘密を抱えていそうとは思ったのですが、どう終わりに近づいていくのか、わかりませんでした。なので、どんどん予想しない展開に圧倒されるばかりでした。最後はちょっと前向きにさせるような終わり方でしたが、余韻は深く残りました。悲劇の連鎖は、いつまでも続くということを見せられました。
この事件の真相は?とどんどん引きこまれていく一方で、複雑な気持ちにもなりました。事件には関わっていない真相を知りたくなっていく。事件を知ったところで、また新たな事件に興味を持つ。あまり深くのめり込みすぎると、誰が悪いのか、もちろん犯人が悪いのに死亡すると、新たな悪を探そうと奔走する。それで、批判する。その現場にいた人の心情は異常なのに的確な判断ができません。
後になって、第三者が冷静な判断で、分析したところで批判する立場ではありません。それが終わったら、別の事件を取り上げる。当事者はずっと続きます。その人にしかわからない心情があるので、第三者は掘り下げないことが大切だと実感させられました。
人間って罪深いなぁと改めて思ってしまいました。
もしもその状況にいたら、どんな判断をし、どんな行動ができるか、あなたはどうですか?と問われたような作品でした。
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極限の状況下で正しい選択ができるかどうか
その選択が正しいかどうかなんてわからない。
それでも選択していかなければならない。
例えそれが間違っていたとしても
乗り越えていかなければならない。
最後のシーンは映像でも観てみたい。
倫理上、実写化は無理か。
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ショッピングモール内で起きた銃乱射事件。
僅かな時間で多くの人が傷付き、亡くなった。
その事件から生き延びた女子高生が主人公。
これは始終緊張しっぱなしで、ジンワリと嫌な汗が出てくる。
生き残った人たちは「あの時ああすれば」と後悔の連続で
、その重さは読み進めるのが辛いほど。
一番悪いのは犯人のはずなのに、生き残った人たちは喜んでも良いはずなのに、どうしてもそれが出来ないひりついた空気、その微妙な空気感を作り出した作者は流石だな。
自分が弱っている時に読むと、そのまま沈み込んでいってしまいそうな1冊。
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ショッピングモール「スワン」で起こった無差別殺傷事件。そこで生き残った人たちが集められ、とある真相を知るために真実を語ることを要求される。息詰まるような緊迫感の中、あのとき何が起こったのかが少しずつ語られてゆくサスペンス。
とにかく気になってぐいぐい読まされるのですが。しかし読み心地はつらいです。なんでそんなことで責められなくてはいけないのか。善と悪のふたつしかないような狭量な認識でつるし上げられる人たちがあまりに気の毒。誰にだって善と悪の部分があって当たり前だし、その悪だってただの弱さだったり保身だったり、生きていくうえで当たり前のものだと思うんですね。誰が悪いかって言ったら犯人しかいないでしょ。ああ腹が立つ。
しかし。そんな中でも「とある真相」を隠し続けるいずみの姿が力強くて清々しいです。この真相も明かされたら、無責任な世間はとことん追い詰めるのでしょうね。だからこそ明かさないのが正解だけれど。たった一人で世間に立ち向かおうとする彼女の未来が不安でもあります。でもきっと、悲劇に負けずに乗り越えることができるのだろうと信じられます。
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ショッピングモール「スワン」で発生した無差別テロの当時の動きを解明するために会合に参加する生き残った人々の騙しあいと、被害者でありながら犯人に協力したとして主人公の少女の取り巻く憎悪に満ちた環境が書かれる。
物語のテンポがいいので映像化向きかと思うが、主人公の(かつての)友達が、死にたくないがために少年の遺体を犯人から向けられる銃からの盾にして、それを悔いて(衝動的に)自殺しようとしたり、さらにはそれを庇うために事実を話さないでいられるような女子高生がいるだろうか?
現実的とは言いがたいので★4つ