日本の歴史修正主義の原因
2022/02/18 08:31
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投稿者:かずさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
アジアにおける日本の国としての侵略行為と植民地支配。これらの事実を捻じ曲げた方向で正当化する歴史修正主義。その根本の原因と今の時代が抱えている問題を歴史学者・社会学者が論じている。個々の「東京裁判史観」「沖縄集団自決強制」「南京大虐殺」「従軍慰安婦問題」を否定する修正主義を取り上げているのではなく歴史観をイデオロギーと混雑して一般大衆へ向け発信しているグループ、歴史学会の在り方を掘り下げ原因を考えている。歴史を学びなおしたい人や簡単に知りたいと思って商業主義に乗った本を読んだだけにしてしまうと修正主義の大きな罠に掛かってしまう恐ろしさも知らせてくれる良書。世界的見地からも問題を考えている。
歴史修正主義と対峙する人々の物語
2020/11/14 18:51
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投稿者:ぷー - この投稿者のレビュー一覧を見る
反知性主義、左右の乱暴なラベリング、分断する社会、そして利用される歴史の問題。歴史修正主義は過去の史実を脅かすのではなく、現在の私たちの人権意識の問題なのではないか、そんなことを思った。
一般向けのシンポジウムをもとに編まれている読みやすい一般書。巻末の参考文献も厳選されていて、思考を進めるのに役立つだろう。
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歴史修正主義について単純に否定するのではなく、社会から求められる意味合い、拡大させた学者サイドの責任など冷静な議論がされている好著。娘さんにも読んで是非とも読んでいただきたい。
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自称リベラルの偏りがよくわかる。
書名からして啓蒙書を気取るが、何の定義もせずにいきなり「歴史修正主義」を批判する当たり、内輪の自己満足を出ない。
世間に受けないことは自覚しているが、マルクスの弁証法的史観にぶら下がっているようでは明るい未来はない。
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本書では、歴史認識問題の現状を把握し、「ではどうするか」というところまで踏み込んで考察。
イギリスとの比較などにより、現代史の大きな流れの中で歴史認識問題を位置付け、単に歴史修正主義を批判するだけなく、それを克服するために歴史学に何が求められているかというところまで論じられており、歴史認識問題を考える上で有益な一冊であると感じた。ファクトに基づく「良質な物語」が必要という本書が示す処方箋にも納得感があった。
一方、自分も歴史修正主義の問題性は強く認識しているが、第1章などの断罪的な論調には、少し違和感を覚えた。
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歴史修正主義との対峙について、専門分野の異なった四名の著者の論述がまとめられている。植民地主義の精算についてや、歴史学会における課題など興味深かったが、課題解決の困難さが浮き彫りになる内容でもあった。
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うーん、戦争とか植民地主義とか、正直まともに向き合ってこなかったから、この本でそれぞれの人たちが言うところの歴史修正主義がどういうものかよく知らないので、内容については何も言えない。
小林よしのりとか百田尚樹とか、名前の知られている人たちはこの本では歴史修正主義者ということなんだろうか。
学界と在野の研究家が対立することなくやっていけば、結局のところいいのになと思ったが、ことはそんなに簡単ではないのだな。
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2021.11.10
どちらにも寄ってない、誰にも何にも偏ってないフラットでニュートラルな状態でいたいしそういう知識と事実を知っていきたいなと思った
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昨今オープンレター問題で話題の呉座勇一氏が本書で論じるのは奇しくもことの発端となった網野善彦。本書で強調される「国民の物語」としての歴史が歴史修正主義という悪貨によって駆逐されている状況は、社会を変えていくためにマジョリティとどうコミュニケーションを取っていくか、その方法論が問われるわけだが、それは冒頭の問題を巡る差別を取り巻く状況にもまた当てはめるのは偶然ではなかろう。
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歴史問題に対してどのような姿勢(立場)で向き合っていくかを論じた本
ファクトがなく、ある種大衆扇動的な歴史修正主義についての批判が多かった印象。
しかし何が悪く、どこが一般に受け入れられているかを考察し、歴史修正主義者から学ぶべきところも記載してあった。
2020年出版の本ということで非常に新しく、共感できる点も多かった。
前半は歴史問題の認識(の差)を説明するもので面白かった。後半は歴史学者や歴史認識について今後日本がどうあるべきか、的な内容であった。
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ネトウヨ
嫌韓・嫌中
慰安婦問題はデタラメ
ホロコーストは無かった
ヘイトスピーチ
などなど、日頃、「こういうのおかしいよなぁ」と思っている事について知ってみたくて読んでみました。
上記のような思想的傾向を「歴史修正主義」というそうです。
この歴史修正主義に対して向き合い、評価し批判するために有用な本だと思います。
「はじめに」に本書の目的-歴史認識問題の現状を正確に把握し、未来を考えるきっかけを作る、と書いてあり、その目的に沿った5つの章と最後の座談会が配されておりいずれの論考も面白い。
わたしには特に以下の章が読み応えがありました。
第二章 植民地主義忘却の世界史
第四章 「自虐史観」批判と対峙する
第五章 歴史に「物語」はなぜ必要か
巻末の参考文献リストで、この本を起点としてさらに問題を深掘りしていけるようになっている作りも親切です。
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日本国内の歴史修正主義の問題点や歴史修正主義の議論への対応に対する検証はもちろん今でも意味の大きい議論だとは思う。また、2020年に本書が出版されたこと自体にも大きな意味はあったと思う。
ただ、出版後2年でいろんな出来事があったり、いろんなことが分かったりした今読んでも、タイミングが遅すぎた
他方で、旧宗主国と旧植民地との関係に視野を広げた議論や、その関係性の議論をベースとした日本と韓国、アジア諸国との関係の議論は、高校の世界史で習っている歴史が基礎となってきる議論のはずなのにあまり考えていなかったことに気づいた。自分にとっても視野がが広がったと思う
4勝以下は流し読み
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ある種の「歴史」を語るのが憚られる雰囲気が漂う昨今、正面から切り込む一冊でした。非常に参考になりましたが、こうした言説すらも攻撃の対象になるのかもと思うと難しい時代になったと思います。