紙の本
社会活動家による不正確な分析と誤解だらけの本
2020/08/30 23:05
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:もちお - この投稿者のレビュー一覧を見る
ソフトバンクは20年3月期決算で1兆円を超える営業損失を計上した。この事象に対する説明としてあるべきはそれ以前に1兆円を超える営業利益を出していること、純粋な投資会社にとって営業利益はさして意味がある数値ではなく、株式の時価総額と手元現金を足して有利子負債を控除した純投資額こそが正しい評価であるということになるべきだが、本書ではこの点に触れていない。一事が万事こんな形でスタートアップの評価がバブル傾向にあったことは間違いないが、WeWorkはともかく、UberはAI関連銘柄ではないと切り捨てるには早すぎる。バブルかどうかは事後的にはしか分からないというのは経済学の基礎の基礎だが、このような基礎を怠るあたりが活動家の社会分析なのだろう。他にも、三菱UFJの海外銀行に対するのれんの減損、丸紅の資源投資の減損、航空会社の苦境等並べているだけで新しい話がない。日本製鉄の大赤字が金融危機の足音というのは意味が分からない。そもそも、鋼鉄は適正価格を無視して中国とインドでダンピングしている領域である前提がないから、こういう分析になるのだろう。後半は特別会計の闇として日本にGDPの6割も官制が搾取するという珍説を披露しているが、統計データや具体的な推定値がないから、単なる聞きかじりの話にしか感じられない。もちろん、この手の人に多い、竹中氏は巨悪の根源で小泉改革で私腹を肥したかのような書き振りとなっている。最後にベーシックインカムが日本を救うとなっているが、これは社会保障の抑制手段としてしか有効ではないことが分かっていないというのが絶望的。総じていえるは、著者は正確な経済学の知識を持っておらず、有効な社会活動したいのであれば、まともなブレーンを付けるか、少なくとも学部レベルの経済学の知識は身につけるべきである。
紙の本
翻弄される日本経済?
2021/08/05 12:17
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投稿者:ぶたたぬき - この投稿者のレビュー一覧を見る
巨大企業の現況が、本紙で大体理解できた。 ただ、それが正しい経済分析かどうかはおくとして、経済的読み物としては、さらっと読めるもので面白かった。
また、今の企業の在り方や日本経済の彷徨(迷走)、金融機関の不甲斐なさなど色々考えさせられる。
往々にして経済予測は当たらないものではあるが、個人的にこれからの日本経済の未来を想像するにおいて、その材料を与えてくれるものだった。
それにしても日本の大手金融機関の力量の無さは何なのだろう。
本紙を通して一貫して感じた点である。
優秀な人材を集めている?筈なのに・・・ねぇと。
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ソフトバンクは投資会社に変化している、コロナショックの経済への影響、危険な会社(金融商品)がよく分かった。貯蓄型、年金型、外貨建て保険商品は危険、CLO(ローン担保証券)を所有しているのは農林中金、年金制度を廃止しベーシックインカム導入を検討すべき、等現在の危機的状況を認識させてくれる点で啓発書だと思う。
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今から12年ほど前(2008)にリーマンショックというものがあり、株式市場が大暴落したのを皮切りに日本経済が大打撃を受けたのを記憶しています。そのときは、低所得者にお金を貸し付けて家を買わせて、土地価格の上昇がとまると同時に返せなくなった人たちの債権が不良債権となったのが引き金になったと理解しています。
この本によれば、前回と同様なこと、さらにスケールをアップさせたことが進行しているようですね。前回と比較しても投入されている金額が途方も無い額のようなので、クラッシュするときは前回の比ではないそうです。人間って学習できないのでしょうか、それとも学習して巧妙に騙す仕組みを考えているのでしょうか。残念でなりません。
日本では、その危ない金融商品に大きな銀行やこの本のタイトルとなっている、ソフトバンク等が絡んでいるようですね。数日前、ソフトバンクがまた大きな会社を買収したというニュースが流れました。買収することで、手っ取り早く事業を拡大するのは良いのですが、この買収はソフトバンク、そしてそのサービスを提供を受けることになる日本人にとって幸せなことなのでしょうか。
あと数年以内に大きなクラッシュがくると思いますが、その日に備えて自分はどんな準備をしておくべきか、また現在の通過が価値をそれなりに持っている間に、それをどうすれば自分や家族のために活用できるのかを考えさせられた本でした。
以下は気になったポイントです。
・昔の銀行は本業の融資で利益を出せたが、ゼロ金利が定着すると本業で儲けられないので、金融資本家の組成した元本の保証されていないハイリスクな金融商品(CLO)を大量二購入した(P12)
・今回の危機はコロナウィルスの感染拡大が実体経済を直撃し、実体経済の落ち込みが金融市場に波及するという、リーマンショックとは逆の流れとなる(P17)
・孫氏はソフトバンクグループの27%を握る筆頭株主であるが、そのうちの4割が担保として押さえれれてしまった(P58)
・危険と思われる保険商品は、貯蓄型・年金型・外貨建てである(P68)
・経営リスクの高い保険会社は、日本生命・大樹生命、安全なのは、東京海上・住友生命・損保ジャパンである(P76)
・日本の会計基準は、のれん代(10億円の会社を100億円かけて買った場合、資産の部に差額の90億円をのれん代=無稽固定資産)として計上し、毎年償却する、20年以内で自由に設定して良い、国際会計基準では償却は不要(P87)
・世界中でお金は余っているので国債の増発は不要、ベージックインカムなどで分配のやり方を変えるべき(P91)
・丸紅は1858年に伊藤中兵衛が創業し、のちに伊藤忠と丸紅に分割された(P95)
・1バレルあたりの採算ラインは、サウジアラビア:7ドル、シェールオイル:50ドルであるが、サウジアラビアの贅沢な国家予算を維持するには90ドルが必要とされる(P99)
・丸紅はガビロンを買収して世界2−3位の取引量を占めているが、穀物メジャーにはいれてもらえない(P100)
・今回の一律10万円給付にあたり諸経費も含めて、12.8兆円必要、赤字国債発行額は当初14.5兆円が23.4兆円となった、2020年の新規国債発行額は、58.2兆円となった(P172)
・FRBもいつまでもドルを擦り続けるわけにはいかない、いずれ弾が切れる、2023年には量的緩和が限界を迎えるだろう(P186)
・基軸通貨が破綻すると、土地を含めた金融資産が4分の1となる、そこで大きな問題は食糧危機が起きること(P187)
2020年9月21日作成
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すごい経済的な目線でソフトバンクはじめ、色んな会社の財務状況を分析していて面白い。
ただ経済知識が浅いのでちょっと読むのが難しく、
中々理解できないページもあった…もっと本を読もう。
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ソフトバンクがいつしか巨大投資会社になり、その結果危機的状況に陥ってることを描いた一冊。
ソフトバンク以外にも日本の投資会社が世界からカモにされているということがよくわかった。