紙の本
この本が、ベストセラーとなった背景
2022/04/26 05:05
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投稿者:ダックスフンドはドイツ語 - この投稿者のレビュー一覧を見る
冒頭でいきなり「エコバッグやマイボトルを使用して、温暖化対策をした気でいるのは有害だ」と厳しい言葉で始まる。つまりはエコフレンドリーなことをして、免罪符を手に入れた気でいるなということだ。
人間が地球上に住む限り、住宅や農地などを造り出し、そこで既に環境破壊に加担してる。それは、エコバッグを使うぐらいでは、とても帳消しになどならないと言うことだろう。
資本主義を批判し、マルクス主義を再評価するなどとんでもないと、拒否反応示す人も多いだろう。冷戦時代の、西側からのプロパガンダも相まって、私たちの中では、社会主義と言えば、旧ソ連、旧東ドイツ、北朝鮮など、人権無視の、おぞましい独裁国家ばかりが浮かぶ。
著者はドイツ留学の経験があるが、ドイツでも、東ドイツが消滅し、マルクスなんて禁句という雰囲気の中で勉強したのでないだろうか。
しかし、厳密に言えば、必ずしも社会主義と人権蹂躙の独裁が結び付くわけでない。元より独裁者の性質を持つ者が、マルクス主義を悪用したといった方が正しいだろう。
そして、冷戦時代から30年以上経過する現在、事情は変わった。際限なく、利潤を追求する資本主義は、最早持続不可能という段階まで来ている。
これ以上は、利潤を追求し、地球上の資源を消費を続けるべきでない。資本主義は、奨励できたものでなくなっている。
現在は、マルクスが警告を発した頃よりも、遥かに森林破壊等は進んでいる。この先、50年も100年も、ペース落とさずに資源の開発なんて、どう考えたってできない。
この本がベストセラーになったと言うことは、みんな薄々気付いてるのではないだろうか。経済発展ばかりを追求し続ければ、環境破壊のしっぺ返しが待ってる、欲の赴くまま、資源を消費して、経済発展を追求し続けた結末は、環境破壊により、生存すら難しくなる、元も子もなくすと。
書中に書いてあった「居住でなく投機用に次々とマンションが建てられている」と。「最近、マンション増えすぎじゃね?」と町歩きながらふと思うことがあるだろう。
そして、どうも灯りの点いてない部屋も多く、空き部屋が多そうだとも思ったことがあるが、なるほど、そういうことか。
マンションを買っては売るという、「個人商売道具」のマンション建設のために、元の住民は立ち退きを余儀無くされたのだ。これも、「持つ者が、持たざる者を犠牲にする」資本主義の典型例だろう。
電子書籍
新しいマルクス
2023/03/01 10:01
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投稿者:ラブレー - この投稿者のレビュー一覧を見る
30年以上前に大学でマルクス経済学を学んだが、すでに遺物の感があり、時間の無駄だと思った。しかし、近年のマルクス研究をふまえた本書は新しいマルクス経済学を提示し、可能性の視野を広げた。
紙の本
2021年新書大賞
2022/10/31 08:48
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投稿者:higassi - この投稿者のレビュー一覧を見る
2021年新書大賞を遅ればせながら。「はじめに」にある通り「マルクスの『資本論』を折々に参照しながら、「人新世」における資本と社会と自然の絡み合いを分析していく」……というと難しそうですが、不思議と分かりやすく読めました。具体的なアクションを起こしていかないとですね。
紙の本
地球危機の解決策
2021/09/18 16:08
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投稿者:かずさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
異常気象・新型コロナによる地球の危機。その解決策をマルクスの資本論に見出した斬新な解決策の研究著作。資本論と聞いてどの様なイメージを持つか?世代によって違いはあるだろうが共産主義・社会主義のバイブル。古い崩壊した体制の経済理論。と思う人が大半ではないだろうか。書き出しは温暖化対策としてあなたはなにかしかしているだろうか。との問いから始まり善意と思う消費行動は無意味・有害と強烈な言葉から始まる。解決策へ向かう前に現在資本主義の問題点を述べ、マルクスが資本論上梓後自然や科学を研究していたこと。そこから現在直面している危機への解決策へと導いている。少々マルクスの考えの考察・説明が繰り返されるが資本論を読み飛ばした人には勉強になるかもしれない。後半の解決策や具体的活動の中には正にと思うところが多かった。
紙の本
マルクスを見直してみようと思った
2021/07/17 07:39
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投稿者:チップ - この投稿者のレビュー一覧を見る
過去のものと思われていたマルクス
マルクス エンゲルスは名前は知っていたが詳しくは全く知らなかった。
資本主義が息詰まった時代に新たに目指すべきは何なのか?
グリーンニューディールの偽善を知った。
理想論すぎる部分もあるが、これか目指すものを探すヒントのひとつになると思う。
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読むと、自分の無力にうちひしがれるばかり。この危機に、自分の出来ることのなんと微々たることか。マイボトルとかエコバッグとか、ロスを出さないとかよく考えて買い長く使うとか、もうとっくに、そんな個人レベルでどうこうという段階は越えているのだろうと思う。環境に対する危機感や行動を、一部の「意識高い系」の人の立派な行い”で終わらせるべきではないし、新たな分断も生まれるべきではない。そんなことをしている時間は、たぶんもうない。
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感想をnoteに書いて拡散してます→ https://twitter.com/lumciningnbdurw/status/1310413293211664384?s=21
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序文タイトルにあるSDGsは「大衆のアヘン」であるという言葉は、まさに資本が人々を欺き自身の行為を正当化しようとする象徴的な行為を表していると思いました(本書を読んだ翌週にはSDGsに関するオンラインセミナーを主催しているのですが笑)。
さて以前斎藤幸平さんのZoomウェブセミナーに参加したときに日本の緑の党に今後の方針になるものを秋頃に発売するとおっしゃっていましたが、本書はまさに今後の活動指針を策定する上でのバイブルになるものだと言っても過言でもないです。最晩年のマルクス研究の成果を現代に蘇らせ、従来の一般的とされてきたマルクス主義の進歩史観的、生産至上主義的考えを覆し、「脱成長コミュニズム」、「参加型社会主義」というまさにマルクスの復権というような今日の資本主義社会に対して、非常にラディカルで有効な考えを示されています。
こうした考えが徐々に欧州でも「フィアレスシティ」、「ミュニシパリズム」して表見し、市民による政策決定、地域密着型政党の躍進につながっています。こうした動きは今後さらに加速し、グローバル資本や新自由主義的な政府に対抗していく大きな勢力になっていくはずです。
また今盛んに欧州で議論をされているグリーン・ニューディール、本書では気候ケインズ主義と呼ばれている、の欺瞞を暴く議論も大変参考になりました。
本当に示される概念といい、ファクトといい参考になるばかりの本だったので、今後の運動のバイブルとしていきたいです。脱成長コミュニズムの柱の1つとなっている生産過程の民主化は、日本でも復権の動きが出てきてますが、今後ますます声高に叫んでいきたいと思います。地球を破壊し続ける資本主義の異常な収奪、本書でいうところの帝国的生産様式の超克を急ぐ必要があります。残された時間は本当に少ないです。
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いやあ、おもしろかった。途中からワクワクしながら読んだ。マルクスが晩年にどんなことまで考えていたのかがわかった。そこがまずおもしろい。そして、いま具体的にどのような動きがあるのかも興味深かった。だいたい文系の著者によって気候変動について書かれたような本では、「地球に優しく」などと書かれることが多いのだろうが、温暖化なんて地球にとっては屁でもないわけで、まあそんな批判的な目で本書を読み始めた。ところが、マルクスの話から脱成長コミュニズムへとどんどん話はおもしろくなっていくわけだ。「貨幣に依存しない領域が拡大することで、人々は労働への恒常的プレッシャーから解放されていく。その分だけ、人々は、より大きな自由時間を手に入れることができる。」もうこのあたりの件は、私自身本当に望ましい生活で、こんな状態が理想である。最終章に向けて具体的な動きも語られており、もうますます期待をよせることができる。さて、自分には何ができるか。ずっと広井良典さんとか佐伯啓思さんとかの本を読んできて、自分の中では「右肩上がり」なんてことばは全く響かなくて、人口は減った方がいいと思っているし、この「脱成長」の気持ちはとってもよく分かる。で、何をするか。まあとりあえずは、こういうものの考え方があることを子どもたちに伝え、あと4年たって定年を迎えたら、貨幣に依存しない、それから、競争とか勝ち負けとか気にしない、そんな生き方ができるといいなあ。そして、もうブルシット・ジョブにはつきあわずに、エッセンシャルワークだけをしていたい。ところで、本書のキーワードをたどっていけば、あきらかに柄谷行人さんと重なっているのだけれど、結局著者はまったくふれていない。これは意識的なものなのだろうか。
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成長神話から逃れられない資本主義のままでは温暖化、環境破壊は止められない。かといって経済と環境保護の両立を目指す気候ケインズ主義にも限界がある。地球と人類が生き残る鍵はマルクスの晩年の思想から読み取れる脱成長コミュニズムしかない・・・ 資本主義に包摂されて「この道しかない」と敷かれたレールの上で走り続けて到達した社会は想像を絶する格差社会。地球に残された寿命はますます残り少なくなっている現状を見ると確かに根本的な思考回路の軌道修正が必要な時期になっているのかもしれません。3.5%の人が動き出すと社会は変わるそうな。それぞれの立場で何ができるか真剣に検討するときの参考になります。おすすめ。
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一気に読んだ。経済成長はなくとも豊かな生活を送れる希望が持てる。脱成長を生産の側から考えるところは非常に良かった。日本が隔絶されてる感じが危機感を覚える。行動変容につなげていきたい。
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マルクスは本当は最後の最後にエコな共産主義に到達していたんだ、そしてそれこそが人類が進むべき道だよ・・・という主張。かなり牽強付会。人新世というキーワードはエコじゃない世界を表現するために使われただけで、この本で人新世についてわかるわけではない。
半分以上が現実の否定を延々と書き連ねているだけでホワッツ・ニューがいつ出るかと我慢して読んでいたら、マルクスが最終的にはエコな共産主義を志向していたんだよと・・「脱成長コミュニズム」を目指すべきとくる。
脱成長はわかる、しかし、そもそもコミュニズムでは成長できないことが歴史で証明されているじゃない。それでは食っていけなかったんでしょ。5本の柱が書かれているが・・・なんとも空疎。
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気候変動問題について、「なぜ解決しなければいけないか」という前提から、現在提示されているSDGsなどの取り組みでは根本的な解決には至らないことを丁寧に解説し、そこから解決策として現在の経済システム(資本主義)そのものの問題点へと進んでいきます。
最新のマルクス研究から見えてきた最晩年のマルクスの思想をベースに、「脱成長コミュニズム」という考え方を著者は提示しています。
私自身はこの「脱成長コミュニズム」の価値観に非常に共感・賛同ですが、同時に実現の難しさも感じます。「脱成長コミュニズム」実現には、著者は「使用価値重視への転換」が必要だと書いていますが、どうやってこの「使用価値重視への転換」を実現できるのか。
各地域での取り組みも紹介されていましたが、やはり地域コミュニティをベースとした小さなコミュニティで生きていくことが答えなのだろうか、と思いつつ、インターネットで他のコミュニティの情報にも簡単にアクセスできる現代において、そうした小さなコミュニティは成り立つのか、これから様々な実践として取り組んでいかなければならないのだろうと感じています。
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他の仕組みがうまくいかないという説明には説得力があるが、では、脱成長のコミュニズムが成立するというイメージが全く出来ないのは、読者の想像力の欠如なのだろうか。
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図書館で借りて読み終えた。
考えた。
どこまでも貧しく不合理なのが資本主義だとは思っていたが、気候変動を止めるには資本主義システムとはっきり決別しなければならないことがよくわかった。
考えた。
もっと勉強しよう。急いで。
この本を買うことに決めた。