紙の本
時代小説短篇集
2021/04/18 14:44
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かずさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
以前から読んでみたい一冊でしたが大手書店では在庫切れ。ふらりと入った書店で見つけ購入。時代小説を牽引する女性作家5人、朝井まかて 梶よう子 西條奈加 畠中恵 宮部みゆき の短篇を集めたもの。主人公は江戸時代の庶民。お仕事小説の分類。5篇とも小一時間で読めるので作家の作風を知るにも便利。宮部みゆきの「坊主の壺」は現在のコロナ禍を見透すような作品。編者はあえて載せたのでは無いと記す。各作品共江戸に生きた人々の心意気がみえる。
紙の本
人気作家5名による時代小説アンソロジーです!
2021/01/06 09:35
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、5人の人気作家による豪華な時代小説アンソロジーです。収録されている作品は、湯屋を愛する少女が、初めての仕事に挑戦するという朝井まかて氏の「晴れ湯」、小間物屋が仕入れた奇妙な守り刀の正体が気になる梶よう子氏の「月に叢雲、花に風」、また、付喪神になって逃げ出したという根付けの行方を追っていく畠中恵氏の「利休鼠」、さらに、三流料理屋が人気役者の接待に挑んでいく西條奈加氏の「千両役者」、そして最後に、材木問屋に伝わる掛け軸に隠された秘密が気になる大御所・宮部みゆき氏の「坊主の壺」です。どれもが非常に興味深く、作品にのめり込んでしまう傑作です。ぜひ、読んでみてください。
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畠中恵さん、宮部みゆきさん目当て。
この両人はやっぱり面白い。
どちらも読んだことはあるけど、それでも楽しめる。
謎解きありの西條奈加さんもいい。
朝井さん、梶さんもナイス。
お仕事をがんばる少女が健気でちょっと切ない。
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こういうアンソロジーは大好き(^^)
湯屋、三十八文で小間物を売る店。三流の料理屋の算段。
そして、コロリが流行った時代の不思議な物語。
堪能しました。
面白かった!
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晴れ湯 朝井まかて
月に叢雲、花に風 梶よう子
利休鼠 畠中恵
千両役者 西條奈加
坊主の壺 宮部みゆき
花のお江戸のお仕事小説
どちらのご商売も繁盛しますように
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図書館で予約して、半年以上待ってようやく順番が回ってきた。
一気読み。
時代小説って、なんかほっとするんだよな~。
実際の江戸時代は、一種の恐怖政治みたいなもので、小説のようにほのぼのとしたものではなかったのだろうけれど、現代を生きる自分とどこか地続きのファンタジーのような感じがして、しっくりくる。
朝井まかてさん、梶ようこさんは名前だけ知っている初めて読む作家さんだったが、
この短編が含まれる本編も気になる。
2021.07.19
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202012/買ったら5作中3作既読だったけど再読含め面白かった。でも宮部みゆきのは、このアンソロに期待してた系統ではなく怖かった…。編者によるとコロナ渦前の選択だったそうでそういうとこも余計にゾッとした。
※メモ
既・朝井まかて:晴れ湯(福袋)
既・梶よう子:月に叢雲、花に風(ご破算で願いましては みとや・お瑛仕入帖)
未・畠中恵:利休鼠(つくもがみ貸します)
既・西條奈加:千両役者(上野池之端 鱗や繁盛記)
未・宮部みゆき:坊主の壺(ばんば憑き)
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【収録作品】「晴れ湯」朝井まかて/「月に叢雲、花に風」(「みとや」シリーズ)梶よう子/「利休鼠」(「つくもがみ」シリーズ)畠中恵/「千両役者」西條奈加/「坊主の壺」宮部みゆき
全部読んだことのある作品だったが、アンソロジーとして読むとまた別の面白さがある。シリーズものは、この先を知っている分、ちょっと切ない気持ちにもなった。
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仕事をテーマにした5編の短編時代小説アンソロジー
「晴れ湯」朝井まかて(『福袋』所収)
湯屋の娘で10歳のお晴が、けなげに家業に励もうとする姿がいじらしい。
この話以外はミステリー仕立て。
「月に叢雲、花に風」梶よう子(みとやシリーズ『ご破算で願いましては』所収)
親と店を失って、何でも38文の江戸版100均ショップ「みとや」を立ち上げた兄妹だが、兄が仕入れてきた「月に叢雲」の守り刀は祟りの噂のあるいわく付で、妹のお瑛はうろたえて一騒動持ち上がる。
「利休鼠」畠中恵(『つくもがみ貸します』所収)
姉弟で営む損料屋(レンタル業)に持ち込まれた相談は、婿入り先からもらった当主の証の鼠の根付けが、自分で動いていなくなったという話で、損料屋の付喪神(百年を経てあやかしになった道具)たちが情報収集すると、真相は意外なことに。
「千両役者」西條奈加(上野池之端 鱗や繁盛記』所収)
料理屋の「鱗や」は人気の役者を囲む金持ちの夫人たちの集まりの席を引き受けたが、事前に注意するよう言われていた落花生アレルギーで参会者が倒れた。若旦那の八十八朗は犯人を推理し、大事にならないにきっちり解決策まで手を回す。
「坊主の壺」宮部みゆき(『お文の影』所収)
ちょっと怖い怪談仕立て。
材木問屋田家の主は、疫病を避ける方法を知っていて、人々の救済に力を尽くす。家族を失ったが命を救われて田家に奉公したおつぎは、主が持つ掛け軸の絵に書かれている壺に入っている男が見えたが、他の人には見えなかった。おつぎは主から重大なことを明かされ、次の代を託されることになる。
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江戸の商売アンソロジー。すっかりアンソロジー好きになってしまった。手軽なので細切れ時間に上手く合うこらか、それともせっかちになっているのか。朝井まかては銭湯物。当時の銭湯が目の前に現れるかのように詳細。特に、囲碁をやったり、物を売ったりする社交場があったこと、湯屋株という証明書?みたいなものが無いと営業出来なかった事など、細かい。そこに銭湯の娘の話と両親の話を混ぜてうま〜くできあがってて、説明臭くない。
西條奈加の「千両役者」がストーリーは面白い。ちょっとした推理物。いつの時代もイケメン役者にはタニマチ的なファンがいるという話に、役者を使った料理屋の宣伝、ファン同士のいざこざを当てはめてあり、終わり方も気持ち良い。ラストを飾る宮部みゆきは不思議な掛け軸とコレラの流行の話。ちょっと妖的な要素も…このなんとも言えない奥の深さは宮部みゆきならでは?現在の状況とも重なり、昔はどれほど大変だったろうと思う。
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お仕事小説の時代もの版か。
銭湯に古道具屋、百円ショップ?それに料理屋、材木問屋と、そこで働く女性たちが主人公。
それぞれに面白いが、宮部みゆきの『坊主の壺』が、現代のコロナ禍を連想させ、印象深い。
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時代モノを堪能するべく妻の本を漁る。朝井まかて、梶よう子、西條加奈、畠中恵、宮部みゆき、錚々たる女性作家さんのアンソロジー。朝井まかて「晴れ湯」のお晴がとても可愛らしい。湯屋で働く10歳のお晴。男湯で垢すり、もみほぐしを行う(職名・三助)。男性の背中を洗うお晴の可愛らしさが何とも言えない。「あいよ、一丁あがりです!」。お晴は三助稼業が大好きで、習い事(勉強、書道、裁縫)が面倒でサボってしまう。江戸人情を体験できて大満足でしたが、江戸時代に長男以外の職探しは難しく、運悪ければ遊女に・・・朝5梶5畠4西4宮4
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2020(令和2)年発行、KADOKAWAの文庫本。5編。宮部みゆき『坊主の壺』聖の力は偉大。前半の旦那の少し謎めいた言動の秘密がそれとは。比較的よくある類型の話かもしれないが、掛け軸の絵がタネになるのは面白いかも。畠中恵『利休鼠』物についたつくもがみがメインの話だが、私にあった話のようで面白かった。機会があれば読んでみたく思う。
掲載作:『晴れ湯』朝井まかて(講談社文庫『福袋』)、『月に叢雲、花に風』梶よう子(新潮文庫『ご破算で願いましては みとや・お瑛仕入帖』)、『利休鼠』畠中恵(角川文庫『つくもがみ貸します』)、『千両役者』西條奈加(新潮文庫『上野池之端 鱗や繁盛記』)、『坊主の壺』宮部みゆき(角川文庫『お文の影』)、解説:末國善己
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お仕事時代小説の短編、女性作家の作品集。作家間の話しの進み具合のテンポの違いなど、楽しめた。
最後の、坊主の壺、はご時世にピタリと合うため
一番早く読み切りました。安政五年から150年経ちますが、人の本質はさほど変わらないのでしょうか。
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大好きな 女性時代小説家の時代小説アンソロジーである。
「晴れ湯」朝井まかて
神田松田長の松乃湯 経営夫婦の一人娘 お晴は、10歳で、三助をしている事から始まる。
金太郎のような赤い前掛けを 首の後ろで、紐で括り、頑張っている姿は、微笑ましい。
湯屋株も持たず、亭主は道楽を決め込み働かず、母親の苦労を見かねて、お晴は、優しい子である。
手習いも、他の子供とちょっと距離が、離れて居り、三助で頑張っているお晴をからかうせいか、お晴は、三助で、頑張るのだが、小火を出したり、母親が、心労で、倒れたりで、父親に、仕事が、バトンタッチされる。
さてさて、お晴は、父親が、仕事に三日坊主と、推測しているのだが、・・・・この先は、どうなる?と、つい思ってしまった。
「月に叢雲、花に風」 梶よう子
何でもかんでも、三十八文の店『みとや」を経営する兄の長太郎と妹のお瑛。
今の100円ショップのような店である。
兄の仕入れた守り刀を 家に置いて、夜を過ごしたお瑛は、カタカタなる音に怖さを感じる。
その上に、湯屋で、守り刀の怖い噂話に、余計、怖さを募らせるのだが、・・・・
ご隠居が、連子格子窓の格子が、緩んでカタカタなるのと、守り刀は、持ち主を守る役目と、・・・・
身寄りの少ない兄妹に、話相手になってくれるご隠居さんが、居て、心強い!と、思った。
「利休鼠」 畠中恵
初め、着物の色の話かと、思っていたのだが、作者を見れば、畠中恵氏。
これは、付喪神の話と、直ぐに理解。
古道具損料屋『出雲屋』を経営する清二とお紅。
今のレンタルショップのような店。
清二が、商売の常連さんの遊女から、困っている武士の勝三郎を紹介されるのだが、養子に行く先から預かった鼠の根付が、足が生えて、遁走してしまい、探して欲しい・・・と言う難題を持ちこまれてしまう。
縁組の相手の娘は、元の許嫁を見て、自分に見向きもしないし、兄は、弟の禄の高い縁組に嫉妬しており、父親は、勝手に縁組先を決めてしまうという、理不尽さに、どうとでもしてくれ・・・と言う気持ちになっていたのだが、清二は、助言をする。
相手の女性に「綺麗だ!!」と言いなさいと。
この時代に、男性で、武士が、このような言葉を使用しなかったのだろうから、効果覿面かもしれない。
「千両役者」 西條奈加
料理屋の「鱗や」は、再建に乗り出した若旦那の八十八朗が、建具から、女中の着物迄、新しくしてしまう。
母と娘は、着道楽に芝居にうつつを抜かしているのだが、その芝居の人役者の会食を この鱗やお店で、取り持ってもらう事に・・・・
そんな中、落花生アレルギーの事件が起こるのだが、・・・・
おんなの嫉妬からの出来事であり、八十八朗の機転で、役者とお内儀の不倫をうまく収める。
しかし、めでたしめでたしの話なのだろうか?
今の時代だったら、どうなのだろう。
不倫を正当化のようにしているのが、少し合点が、いかないような気がした。
「坊主の壺」宮部みゆき
この話は、読んだことが、ある。
今のコロナ禍にピッタリ。
材木屋問屋の主人 重蔵が、お救い小屋等を建造して、ボランティア活動をするのである。
質素・倹約・礼儀の商売の道徳を持ち合わせて、献身的な善意である。
掛け軸に描かれた壺の怪異に、お救い小屋で、世話になり、その後、重蔵から、奉公人になったおつぎは、その異様なお坊さんが、見えるのである。
そのお坊さんの言い伝えで、おつぎは、若旦那の嫁になり、重蔵の後を継ぐことになっていく。
摩訶不思議な話なのだが、掛け軸のお坊さんが、重蔵の顔になっている事に、少し、納得と安心と入り交じった話になっている。
どれもこれも、面白い。
バッサバッサと、剣豪の話でなく、お仕事小説なのだが、何故か、安心しながら、読んでいた。