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【言葉と言葉の間、あなたと私の間をめぐる七つの物語】近づいたかと思えば遠ざかり、遠ざかると近づきたくなる。意識した瞬間にするりと逃げてしまうもの――傑作短篇集。
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難しいけど、読みづらくはないという不思議な作品。小説というドラマを盛り上げるためにつらいシーンが不用意に出てくることはないので、かまえて読まなくてもいいものの、「物語」として成り立っているかどうかは微妙なので(※貶しているわけではない)、集中してサッと読まないとストーリーを見失ってしまう。
起承転結があって最後で締められるわけではないし、展開も予測できなくて没頭してしまう。人に薦めたり紹介するには難しいかもしれないけど、多和田さんの小説はたぶんこの先もときどき読みたくなると思う。癖になる。
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今の自分には、わかんなかった部分もあったけど、わからないままでいいかと思った。わからないけど良かった。
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「胡蝶、カリフォルニアに舞う」のストーリー性に牽引され、「穴あきエフの初恋祭り」でかく乱される。多和田さんの作品には、人称の問題とセットで語り手の問題が埋め込まれていることが多いのだけれど、やはり、この本もそうだった。「おと・どけ・もの」は、多和田さんが詩人でもあることを強く感じさせる一編。韻文と散文を自在に往還できる作家さんは、本当に魅力的だ。
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多和田葉子さんの百年の散歩を読んだ後、この小説をみつけた。短編だったが、文字がぎっしり詰め込まれていて、読み応えがあった。言葉遊びの特徴ある文章はいつものことだが、なんとも文学的であった。
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読了2021.11.07
多和田さんの小説を読むと、日本語を"言語"として強烈に意識します。
意図的な変換ミスや、翻訳したかのような体言止めを用いたり。
読んでいて不意につまづく瞬間に言葉が誤配され、思いもよらない記憶と体験の引き出しを開けます。
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28冊目
2009年から2018年に『文學界』に発表された7つの掌編。
現実にいながら、ふと違う次元に迷い込んでしまうような一瞬、不条理な部分もあって夢をみているかのようです。そこに意図的誤変換からの言葉遊びが加わると私の精神もぐらぐら揺れ動いてしまいます。
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多和田葉子ってこんな笑える文章もかけるんだ。所々表現が難解で、ちゃんと解釈できてるか不安な箇所があるんだけど、多和田葉子らしい詩的で仄暗い言葉が散りばめられてて最高でした。私は新しめの短編が好みだった!
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7編の短編集。特に、「鼻の虫」「ミス転換の不思議な赤」の二作品が面白かった。
「鼻の虫」は、衛生博物館の「体の中の異物」という展示で見た人間の鼻の中で、何千何万年もの愛、共存してきたという虫を、ふと意識するようになる「わたし」の物語である。「わたし」は、携帯電話を梱包する工場での就職が決まり、海辺の町へ引っ越してきたが、この工場の描写や、社会描写からは、この世界が、現実とは異なる世界で、その工場は、どこか怪しげな雰囲気であることを感じさせ、しかし、「わたし」は、同僚の女性従業員がみな解雇されるなか、自分だけ課長に昇進し、管理職となる。
そんな生活の中、「わたし」は、朝起きると鼻の虫が、鼻の中に戻れるように、布団からすぐに起き上がらないように気をつけ、寝る前には、虫たちの食事や生活を想像しながら眠る。それは、引越し後、ペットを飼いたいと思ったこともあったが、鼻の中に虫を飼っていると思うと、目の前が明るくなるほどだった。そして、ある日、「わたし」が、いつもの工場へ向かうバスにあえて乗らず、逆の方向へと歩き出す所で、物語は終わる。
後半、「わたし」は、今の生活から、本音では解放されたいことを語る。そして、「寄生虫と人間は共存して」いて、「一度彼岸花を眼にしてしまったら、夢幻に墓場を訪れる度にその花を無視することができないのと同じで、一度博物館に足を踏み入れた者はもう眼には見えない寄生虫を見て見ぬふりをすることはできない」と言う。小さな虫の存在を知ってしまったことで、生きる活力を得た「わたし」のどことなくパッとしない毎日が、共感された。
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多面的な表情を見せる7編の短編集。
就職試験の面接を受ける為、10年ぶりに日本へ帰ってきた『I』。久しぶりですっかり変わってしまった日本に不安を感じ、面倒に思いながらも『優子』の家に身を寄せる。-胡蝶、カリフォルニアに舞う-
主人公の行動を淡々と綴っているうちに摩訶不思議な様相を見せる1編目。どこまでが現実で夢なのか、タイトルからそんな感じの短編集なのかと思いながらとみ進めていくうちに、途中現代社会に対する風刺なのかとか、さらに曖昧模糊とした話の連続に理解が追いつかない。解説を読んでさらに分からなくなった。
私にはこの世界を楽しむ感性は持ち合わせてなかったようだ。
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書店でタイトルと帯が気になり買ってみました。
詩的で色っぽくて文字を追いたい欲求を刺激してくれますね
同著者の本も読んでみたいなー