紙の本
図書館で借りて、そのあと買い直した
2023/07/13 17:23
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投稿者:甘いっ子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「表紙かわいいな」「燃える双子ってどういうこと?」と思いながら図書館で借りて、本を開いたら小さめの文字びっしりでちょっと後悔したが、読み始めたら止まらなくなった。図書館で借りた本の中ではNo. 1の面白さだった。
リリアンのサバサバした性格も好きだし、双子たちの愛おしいこと。作中に出てくる固有名詞も最高で「ウータンクラン」って一般的な日本人分かんないだろwと思って爆笑したし、カールの堅物や食えない侍女メアリーも笑えるし、登場人物はみんなクセ強で、世の中の嫌な面や皆んなが実は抱えてる問題の描写とか、全体を通して大変私好みな話だった。
まるで映画を観ているような面白さ……と思ったらやっぱり映画化の話来てるみたいで納得。
あまりに気に入ったので、わざわざ買い直した。こういう出会いがあるから読書は最高ですね。
紙の本
こういうお話が読みたかった!
2022/07/10 18:05
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投稿者:moon - この投稿者のレビュー一覧を見る
双子が題材、もしくは主人公が双子のどちらかだったりすると必ずといっていいほど悲しいお話ばかり。死別、離別、敵対、好敵手、復讐相手etc.と自分自身が双子だからこそ読了後はなんだかなぁと切なくなる。
だからこそ、このお話の楽しかったこと!こういうお話が読みたかった!
まず双子は仲がいい、しかも一緒に発火しちゃうなんて、その場にいる人たちや本人たちは怖いだろうけど、読み手は楽しかったです。どうやってそれを改善させていくのか、これからの夢とか将来とか少しずつ見出だされていく仮定も良かった。リリアンと双子の出会いは衝撃的。そこから愛情や労りが生まれてきて、それぞれ自分らしく生きようとする三人が眩しいくらいに素敵でした。なにより主人公のリリアンがいい。直感的に言葉を発して行動して目をそらさない彼女が格好良かったです。人にお薦めしたいです。
紙の本
世の理不尽さの中に垣間見える美しさ。
2022/11/27 18:40
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投稿者:ゲイリーゲイリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
語り手であるリリアンは、これまでの人生で幾度となく周囲の人の身勝手さに振り回されてきた。
親からのネグレクトや親友の裏切りなどの経験を経た彼女は、厭世的で自身にも他者にも決して期待しない。
そんな彼女のもとに親友から届いた、とある双子の世話をして欲しいという依頼。
本作は邦題の通り、その依頼の発端となった「燃える」双子とのひと夏を描いた作品である。
自身と同様、いやそれ以上に不遇な境遇を送ってきた双子たちに自己投影をするリリアン。
ひと夏という期間限定の依頼だったということもあり渋々依頼を承諾した彼女だったが、次第に双子たちに対し愛情が芽生え始める。
また、これまで誰からも対等に接してもらえなかった双子たちも、対等に真摯に自分たちと接してくれるリリアンのことを信頼していく。
こうしたリリアンと双子たちの美しく愛おしい人間関係が描かれる一方、人間関係の負の側面も本作は描いていく。
愛してもらえないと分かっていても断ち切れない関係や、過去の出来事をうやむやにしようとした結果生じたぎこちなさなど、
決して他人事とは思えない割り切れない感情や関係性がリリアンのドライで自嘲気味なユーモアで語られる。
そうした人間関係の負の側面ばかりを経験してきた彼女は、この世界はしょせんこんなもんだと鼻で笑い茶化してばかりいた。
もちろんそれは自分を守る一種の防衛本能であり、私自身そうした人生観には共感できる。
しかし彼女は双子たちと共に過ごすことで、茶化すだけではなく、そんな世界の理不尽さ不条理さに声を上げ抗おうとする。
これまで世の理不尽さや不条理さの被害者だった彼女が、そうしたことから双子たちを守る庇護者へと成長していく様は、
理不尽なことや不条理なことで満ちている世の中であっても、諦めるにはまだ早いかもしれないという一筋の希望を見せてくれるだろう。
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特殊な設定、環境にも関わらず、さくっと読める物語でした。
主人公の思い切っちゃう感じや双子の賢さがよかった!切ない面もあるけど…
なにより好きなのは家政婦のメアリー。彼女の作る料理を食べてみたい。
物語の後、リリアンと双子たちはどうなったのか。
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良かった! 泣けるし、笑えるし、びっくりする。ストーリーに引き込まれ子どもが発火しないかヒヤヒヤするし、金持ちの政治家には腹が立つし読書の時間が待ち遠しかった。
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レジ打ちの仕事を掛け持ちし、自宅の屋根裏部屋でその日暮らしの生活をしているリリアン(28歳)。そんな彼女のもとに、上院議員の妻である旧友から、夫の前妻の子供(双子10歳)の教育係の仕事を頼まれる。ただこの子たちは、興奮すると〈発火〉する体質であった。
登場人物がクセだらけの人たちで、リリアンのどこかダルそうな語りでありながらリズミカルに進む。彼女と双子の育ってきた境遇が重なる部分があり双子に自分の姿を投影し、そんなところも彼女らにとっては良かったのかも。最後は「してやった」と爽快な読後感。
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翻訳特有の言い回しや、横文字の名前が苦手な私だけど、これは読みやすかったし、面白かった。
双子と会うまでは少しだらけたけど、そこからは一気にスピードアップ。リリアンと双子はもちろん、他のキャラクターもみんなクセつよで、読んでて印象に残る。ハッピーエンド(=波乱の幕開け)で良かった。ムームー着てみたい。
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この本が言いたい事をまとめれば、
多くの大人は子供たちと出来る限り関わらないようにしたり、自分の都合を押し付けてばかりいる。
しかし、子供たちの人格を尊重して付き合えば、子供たちも懐き信じてくれる。
くらいでしょう。それをストレートに物語にしたら、なんだか重苦しいばかりの話になりそうなところを、主人公の双子を発火する子供(文字通り燃え上がります。服も焼けるし火事にもなりますが、本人はダメージを受けません)にしたので、なんだか楽しい話になりました。そして登場人物を片っ端から「一見xxだけど実は・・・」とした事も成功の一つでしょうね。端役なのですがメイドのメアリーのキャラなど、なかなかです。
どこかにアメリカと日本の視点のズレみたいの物が有って、疑問符が浮かぶことも時々あるのですが、なかなか面白い小説でした。
原題:Nothing To See Here(見るべきものはない)。このタイトルだと手にしなかっただろうな。
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このノベルは盛り上がるところとそうでないところが適度に仕組まれ、抑揚が利いた作品の印象がする。
著者が持つ人生訓や道理がリリアンやマディソンの口をとおして語られ、納得や同意、説得させられるところが散りばめられている。
独創的で個性的なこの作品を訳者も我々読者に素直に伝えている良作と思う。
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なんとも説明的なタイトルで辟易するが、原題は“NOTHING TO SEE HERE”とそっけない。ただでさえハンディのある翻訳物なので、ぱっと見てわかるタイトルとカバーは致し方ないのかもしれない。
ぼくが本書を手に取って最初に思ったのは、キングの『ファイアスターター』ばりの活劇小説だったが、実際はまさかの家族小説だった。
テネシー州の上院議員の妻となった高校時代の親友からの頼みで、亡くなった先妻の遺児(双子)の世話をすることになったリリアン。だが、この双子は興奮すると発火するという特異体質だった……。
訳者あとがきにもあるが、リリアンと双子だけでなく登場人物すべてが一癖も二癖もあり、単純に善悪の判断はつかない。様々な思惑がからみ、物語は想像不能な展開を遂げる。おもしろかった。
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とってもおもしろかった!!
今年の個人的ベスト5に入るし棺桶本としても追加したい一冊。
大好きな作家さんがおもしろいと仰っていたので息をするようにポチッとしたのだけど、本当に読めてよかったと思えるいとおしい物語。
人間嫌いのリリアンが10歳の双子と過ごす一夏の物語と言ってしまえば、どこにでもあるような物語に聞こえるけれど、これはどこにもない唯一の物語だし、発火体質という特異な要素がありながらも、ファンタジーではなく、あくまでリアリティのある物語。
子どもの描かれ方もとても好きで、余計な美しさもわざとらしい子どもらしさもなく、双子たちの描かれ方がナチュラル。アンナチュラルな発火という要素があるのにナチュラル。それがすごいよね。
『発火』と特別なのように思えるけれど、子どもって実際に燃えないだけでこの発火に匹敵する心の炎が燃えるときがある。だからとてもナチュラルに感じたのかもしれない。
わたしはリリアンとマディソンの関係性も好きで、女同士ってこういうとこあるんだよね、と時折頷きながら読みました。
またこうして死ぬまで大事にしたい一冊に会えて幸せだなぁ。
これから何度も読み直すとおもう。
三人がこの先も『悪くない』日々を過ごせることを祈ってしまうし、時々勝手にこの先を想像して楽しんでしまうだろうな。
年齢性別問わず楽しめる一冊だとおもう。
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タイトルでちょっと引いていたのだけれど、あれ?『地球の中心までトンネルを掘る』のケヴィン・ウィルソン?ということで読む。『地球の〜』は不思議さが強かった(それがよかった)けど、こちらは意外にも”ちゃんとしたお話”で、おセンチ具合もちょうどよかった。
しかし『地球の〜』について著者プロフィールには原題のみで邦題はなく、訳者あとがきでも邦訳に触れられてないのはどうしたわけだろう。リリアンで初めてケヴィン・ウィルソンを読む人や、興味を持った人に、いささか不親切なような気がしました。
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めっちゃ可愛いな!どいつもこいつも。
発火する双子ってだけですでに面白いのに、双子以外も実に魅力溢れる登場人物たちで楽しかった。
リリアンから見た人物評もユーモア溢れる表現で面白い。カールやジャスパーですら多面的に描かれると可愛い。なんかこう、とても素敵な物語を読んだなという感覚。
発火するけど、まぁなんとかなるんじゃない?と思わせるリリアンの語り口が頼もしくて、でも甘くみてて、そのユルさというか、総じて可愛いよみんな。色々ままならないけど、まぁなるようになるよね。
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『人体自然発火現象の対処法を知りたい人へ…いないか』
なにこの面白さ!!!世界中の不幸をすべて背負い込んだようなリリアン。ひょんなことから燃える双子のお世話をすることに… とにかく、読んでいてリリアンが可哀想でしかないけど、文句をブツブツ言いながらも双子のために頑張る姿に、ついつい応援に力が入る!いや〜、面白かった!
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さえない生活をしているリリアンに友達のマディソンから双子の面倒を見て欲しいと頼まれる。底辺のリリアンと富みと権力を持ったマディソンの変わった友情と発火する双子へ芽生えた愛が生き生きと描かれている。雑で少しばかり下品なリリアンの真面目で愛情深い優しさに、彼女を好きにならずにはいられない。