紙の本
素晴らしかった
2023/04/17 21:01
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:風霞 - この投稿者のレビュー一覧を見る
千早茜さんの魅力がぎっしり詰まった作品でした。
「あとかた」や「男ともだち」で描かれた、繊細で強かで魅力的な男女が、この作品でも鮮やかに描かれていました。歴史小説故の厚みと、千早さんの豊かな人物描写が合わさって、味わい深い時間を過ごしました。直木賞受賞と知って、勝手ながら本当に嬉しかったです。千早さんの作品は、生きづらさを感じた時、そっと逃げ道をくれて支えてくれました。人に合わせて揺らぎそうになっても、貫く力をくれます。この作品もそうでした。そして、この作品は更にその先の世界を見せてくれました。乗り越えた後の世界、ウメのように生き抜いて味わいます。力をありがとうございました。
紙の本
石見銀山を生きる
2023/02/19 08:09
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
人が生きると言うことを考えさせられる。
ウメ、喜兵衛、岩爺、隼人、登場する人たちが皆んな魅力的。
銀山で生きるということは、男は早く死に、女は子を産んで次の男を選ぶ。この山で生まれて、生き続けることは、そういう事なのだ。
読み応えがあり、最初から最後まで一気に読める。
直木賞 やっぱり凄い
紙の本
銀堀の家族たち
2023/02/02 08:46
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
女はか弱く、ひとりでは生きていけないと思われ、男は力強く世の中を生き抜いていくと思われている。しかし、男は女がいないと生きていく甲斐がなく、互いに寄り添うことが出来れば幸せだ。主人公はウメと名付けられ、親にはぐれた状態で石見銀山の銀堀の集落に拾われるが、その生涯は、銀堀の生き様を見つめながら、その男たちの鉱山仕事のによる短命を無為と思いながら、心のどこかでその中に光り輝くものがあるように思い、生きていく。淡々とした流れを持つ物語なのに、足掻くように生きる熱き思いが感じられた。
紙の本
堂々たる力作です。
2023/01/24 20:56
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:クッキーパパ - この投稿者のレビュー一覧を見る
書店に平置きされた直木賞候補作の中から、表紙の美しさにも魅かれて、本書に手が伸びました。初めて読む著者の作品ですが、すぐに受賞作品が発表され、嬉しい気持ちになりました。石見銀山の過酷な労働環境下、主人公の成長と、天才山師との微妙な関係などが、きっちりした文章と、美しい自然描写とともに描かれていきます。時代背景はあまり多く描かれないことで、ストーリーに集中できたと思います。主人公の強さ、生命力を感じつつ、後半の展開も良くて、殊に最後の二章は感動的でした。著者はインタビューで現場を歩き回ったと言っていましたが、この世界遺産も一度訪れて「間歩」を実際に見てみたいと感じています。素晴らしい力作です。
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今までの千早さん作品とはガラッと変わったとのだったので正直購入を躊躇ったけど、やはり気になって購入。
なんかすごい世界だった。
男たちと同じように銀堀になるとことを望んでいたウメが体つきが変わって、生理がきて、どれだけ失望したかと思うと心が痛い。
とはいえ、あまりウメには共感てぎず、どっちかというと隼人の方が興味が湧いてしまった。
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戦国末期の石見銀山では、銀の採掘が盛んに行われていた。
貧しい暮らしをしていたウメは、村の米を盗み逃げた家族とはぐれてしまい、石見銀山へ辿り着いた。そこで天才山師の喜兵衛に拾われ、銀山の知識と秘められた鉱脈の在処を授けられ、女だてらに抗道で働き出す。だが、徳川の支配強化により喜兵衛はやる気を失っていき、ウメは取り残されてしまう…
抗道で働く事に誇りを持っていたけど、子供から大人へと身体が変化して行く事に焦るウメ。それにより、男の力には敵わない事を思い知らされる。
庇護者の喜兵衛が居なくなった事で、ウメ自身とても辛い目にあったのが目を背けたくなりました。
そして、幼馴染の隼人の一途にウメを想う気持ちにとても魅力を感じました。ただ、ウメの中に喜兵衛の想いが消えずに残っていたのも確かで、そこに夕鶴や龍が絡み、複雑な思いでした。
結局、全ての男は消えてしまいウメの強い想いだけが残ったのも切なかったです。
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どんなに辛い境遇にあっても、なぜ生を選ぶのか
なぜそこまで強くいられるのか
頑張ればその先に幸せがあるというわけでもないのに
地獄を見てもなお、這ってでも生きるということって
同じ命なのに
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直木賞受賞作品
石見銀山へ二、三年前に行ってきたので
ウメの言う間歩が、鮮明に想像できる。
今は銀堀もおらず人もまばらで
街も空き家が目立つ。
興味深く見学できたが、この本を読んでからは
全く違った印象となる。
人の業の深さを見せつけられる場所、だったなと
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直木賞受賞おめでとうございます!!!!
ずっとずっとこの日を待ち焦がれていました
千早茜さんの美しい言葉や世界観が大好きで
ファンになってからは新刊が出るたびに追いかけてきました
だから直木賞を受賞され 嬉しくて涙がでた!
繊細さの中に 凄みがあり...
燃えるように熱く “生きる” 強さを感じた
千早茜さんの熱い想いが
より純化し 様々なものを削ぎ落し 磨かれていく...
まるで黒い刃物のごとく 鋭い文体に変わってきている!!
終盤を迎えるにつれ 徐々に光が増していく!!
石見銀山の全てをのみ込むような暗闇から一転...
混じりけのない銀の光を観たような気にさせられ...
最後はあまりの眩しさに瞼を閉じ...
強烈な光を瞼を透かして感じたほどだった!!
めちゃくちゃ抽象的な表現だけど...笑
初めて手掛けた時代小説だとは思えないほど
生と性がタペストリーのように織り交ざりあい
匂い立つところが素晴らしかったです!!!!
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銀山に生きるウメの生涯。ウメの愛した男たちが皆魅力的で最後まで飽きることなく惹き込まれた。消えた喜兵衛の深い愛情を後になって知ったときは漸く報われたような気がして涙が溢れた。
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石見銀山での人々の生き様が詳細に描かれていて、なかなか読み応えがある。
山師に教わった知識をフルに活かして、銀山で大活躍する女性を期待していたけど、、、。やっぱり事実に沿ったお話にすると、女性の位置ってそうなのね。
そこだけが切なくて個人的には残念。
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銀堀としての才能を持ちながら女性「性」から逃げ切ることができなかった主人公の物語。
今以上に辛いだけではなく苦しい時代だったんだろうなと思わせる話でした。
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愛した男を何人も見送って、果ては自らの子まで見送って。
石見銀山の女達は男達が死んでも肥えて生き続けると揶揄されつつ、それでもウメが銀山から離れなかったのは、何よりもウメが銀に魅力を感じていたからなのだろうか。
それとも、自分が愛した男達を連れ去った山の最期を見届けたかったからか。
ウメは山が好きだったと思う。しかし、山は容赦なく山に入る男達の肺を蝕んでいく。
山を敬いながらも疎ましく思うその感情は誰にも分かるまい。
女は山には入らず、男と子を作ってその子が男子ならば成長して山に入る。男は短命で、女はまた子を作る。その繰り返し。
吐血して死にゆく身内を見てもなお、山に入るのをやめない男達の感情も私には分からない。逃げ出したくならないのか。
個の命より全体の繁栄なのか、隼人や龍は本当にその選択で良かったのかなどと色々思ったが、一貫して変わらないウメの芯の強さに救われた気がした。
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大好きな千早さんの新刊。
はじめは歴史系?と読みづらそうと思いきや、読みやすく没頭出来る文体。
後半からは涙の連続。仕方ないと思いつつ逃れられない別れに泣かずには読み進められない。
「生きることを選ぶ、それがどれほど強靭な選択か」と島本さんの帯文言に大きく納得。
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ウメ(主人公)の女性としての力強さに強く心を打たれ、鮮烈なインパクトを受けました。
銀の山で山師の喜兵衞に拾われ間歩を知り、銀掘として行きたいと強い気持ちを抱きながらも、容赦なく女であることを知らされ、間歩に入れなくなる日が訪れる。幾多の禍事にさらされながらも、女として銀の山で生きていく事を選び、受け入れるウメの生涯にひきこまれ、物語であれ、他人の人生にこんなに感動をおぼえたのは、しばらく思い出せません。
昨日読み終えましたが、まだ余韻が残っています。
石見が銀であふれていた時代、ウメや隼人のように、銀の人達は生きていたのどろうか?
島根を石見を訪れ、銀の山にゆっくり想いを馳せたいです。
素晴らしい一冊に出会えました!
文句のつけようがない直木賞作品です。