紙の本
『川滝少年のスケッチブック』
2023/07/10 19:42
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカで母と暮らす中学生の深青(みお)は、夏休み、岡山に住む父方の祖父をたずねる
そこで1931年生まれで91歳になる祖父が自分の子ども時代をふり返って描いた「十二歳の絵日記」を読ませてもらい、戦争の実態を知り、衝撃をうける
《おじいちゃんの絵日記で読む「戦争」と「昭和の生活」》──帯のコピー
著者の父・川瀧喜正氏が自身の戦争体験をスケッチブックに描いた漫画と文章をもとに、その戦争体験を祖父と孫の少年の物語に託して創作した現代の戦争児童文学
“川滝少年”の壮絶な戦争体験とそれをうけとめる深青の戦争への思いがストレートに表現されている
〈こんな残酷な、こんな無残な戦争がそれほど遠くない昔に起こっていたとは。〉
〈戦争とは、忍び寄ってくるものなのかもしれない。足音もなく。〉
以前は戦争と平和に無関心だったという著者が渾身の力をこめて訴える
〈みなさんに、戦争のおそろしさを、むなしさを伝えたいと思いました。
もしも、日本がふたたび戦争を始めようとしたなら、みなさんは「ぼくは、わたしは、戦争へは行きたくありません。武器を手にして、戦場でだれかを殺したり、殺されたりしたくありません」と、声を上げてください。
大人たちが起こそうとしている戦争を、あなたの力で止めてください。
子どもたちの力で、大人たちを変えていかなくてはなりません。〉
──「あとがき──声を上げる」より
戦争を知らない小中学生に、この夏ぜひ手渡したい一冊、2023年6月刊
この『川滝少年の〜』がヒットしたら『川滝青年のスケッチブック』も刊行できるという
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素朴でシンプルなイラストが、昭和の時代の懐かしさを感じさせる。
そして、その素朴なイラストの中で描かれる戦争の悲惨さは、どんなにシンプルに描かれようと、ひどい時代だったとしか言いようがない。
でも、写真やリアルな絵ではなく、戦争のおぞましさを全面に出しているわけではないので、そういう描写が苦手な子には、戦争があったという事実を知るのに最適な教材だと思う。
漫画風のイラストや、祖父と深青(みお)くんの会話から、第二次世界大戦がどんなものであったのか、当時を生きていた人の貴重な話がやさしく読めるので、いつか子どもと戦争の話をすることがあったら、この本を紹介したい。
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父「川滝少年」の漫画にしたスケッチブックに、
著者がフィクションの物語をつけた一冊。
川滝少年は終戦時13才、軍国少年として、生きていた。
作中では、孫の深青(みお)少年が、夏休みにアメリカから訪ねてきて
祖父といろいろ話し、戦争について知り、考えていく。
本音は★3.5というところ。
まず、それは、すごく表面的な味方なのではないかなぁ、
あるいは偏向していないかな、ということ。
たとえば、135頁。
「みんな、この人のために、喜んで(←ここが重要である!)死んでいったのだ。
そうするしか生きていく道はなかったし、それが正しい道だと信じていた」
ああ、そうか、この時点では川滝少年は、そう考えていたのか。
疑問を抱きつつも、出征し死んでいくことになった人びとの
手記などが明らかになるのは、もっと先のことだから、これはこれで良いのだね。
でも、このままだと、読者はその通りに受け止めてしまう。
それでは、まずいのではないかな。
声を上げられなかった、もっと複雑な思いがなかったことになってしまう。
とはいえ、岡山空襲で焼け焦げの遺体になれていく様子、
乗っている汽車にグラマンから攻撃を仕掛けられ九死に一生を得たなど
少年の語りを通し、現実味を帯びてくる。
知らなければ話にならない。
戦争が遠い昔の歴史でいてくれればよいのだけれど・・・
ユーモラスなイラストトともに、読みやすい一冊。
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戦争のあった時代の事が、マンガのおかげでよく分かる。文字の可愛さもあって、読みやすい。
今の時代の子供達には、是非、この本を読んでほしい。
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著者の父親が描いた戦時中のスケッチブックのマンガ。それをもとに著者が子ども向けて書いた戦争中の日本人の生活。今でいえば高校生くらいの川滝少年の日常生活。戦時中の生活を体験した人が少なくなっていく今、なにかの形で戦争の無意味さを伝えていかなくてはいけない。
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著者の父親が自分の少年時代を描いた絵日記をもとに、著者がそれを読む孫と娘の目線で描いた小説。当たり前に軍国少年として育つ戦時中の少年のリアルな日常は、戦争のない時代とあまり変わりがなく、私たちの時代と地続きなのだと感じる。戦争を知らない世代がほとんどになった今こそ、このような本が必要だと思った。
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アメリカで暮らしている小5年の男子、深青(みお)が夏休みに母の祖父を訪ねて岡山に行く。そこで同じ年頃を戦争中にすごした祖父のスケッチブックに記された毎日と向き合い、追体験していくお話。まずアメリカで第二次世界大戦がはじまる前の祖父の生活を絵日記のように記したスケッチブックを見つけるところからスタートする。
絵が多いので当時の生活がよく理解できる。岡山なので原爆の後に被爆者が運ばれてきたのを見る様子や、空襲の後の死骸がたくさんある状況に慣れていく様が心に残った。マンガ的なイラストだけでなく、深青が語る文章を並行して読まないといけないので、多少の読解力は必要。
戦争中の生活が現代とかけ離れてしまった今、子どもにも理解できる良い本だと思った。実在した少年の記憶(記録)なので、ドラマチックな展開になっているわけでもないのにこれだけちゃんと読める(読ませる)ことがすごい。
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へー『海軍めしたき物語』なんかを思い起こす軽やかで上手いイラスト、なんと著者のお父さんなの、この上手さでプロではないんだ!? と段階的にびっくりしました。戦争中や戦後のことの記録は資料的な価値が高いでしょうが、巻末の楽しそうなアメリカ旅行記もよかった。
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作者の父の残したスケッチブックにつづられた戦争体験をもとにした小説。
戦争であっても立場が変わると見え方が変わり、油断をすると平和はすぐに壊れてしまう。
戦争を経験した世代が減っている今、戦争を伝えるために次代の人たちに読んでもらいたい作品である。