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【ロシア・ウクライナ戦争の現況と行方は】ウクライナ戦争勃発から500日。終わりの見えない戦争、世界情勢の行方は。『ウクライナ戦争の200日』に続く著者の最新分析。
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小泉悠氏と三氏の対談。
(ただし、戦況分析についてはどうしても書籍故のタイムラグが大きい)
そして、改めて思うのは、この戦争、出口がない。両国とも二千層を水耕し続ける以外に出口が無い。詰んでる。と言う絶望である。
そして、翻って日本を見たとき、我が国はここまで中国相手に抗戦できるのだろうか?と言う懸念である。経戦能力の劇的な充実こそが、抑止力になるのだろう。
抑止力仕事しろ。
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雑誌等に掲載される対談の体裁になっている文章を集めた一冊で読み易い。脇で対談をゆっくり聴くような感じでドンドン読み進め、素早く読了に至った。
2022年秋頃から2023年夏頃に行われ、各種の媒体に発表された6本の対談が取上げられている。著者は6本の全てで、発言者、聞き手として登場している。対談の相手は軍事関係の研究者、或いは主に中国、加えてロシアを研究しているという3人である。何れも、それほど多く居るのでもない専門家であると見受けられる。そういう皆さんの論を、少し纏まった、更に一般向けに判り易く纏まった形で読む事が叶うのは、非常に善いことだと思う。
著者はウクライナの戦争を巡って様々な発言を繰り返していて、それらは各種媒体でも取上げられている。本書のような対談を纏めた本ということでは、既に開戦から半年程度の期間のモノを纏めたモノを発表している。それの後を受けて対談を纏める企画が持ち上がった時、前に出した「200日」を受けて「500日」という題を想定したそうだ。が、戦争の“500日目”が瞬く間に過ぎ、戦争が収束する気配も無いことから『終わらない戦争』という題が登場したそうだ。
6本の対談、その前後の著者による文章と何れも興味深い。が、殊更に記憶に残るのは「戦争を“終える”ということ」に関して、過去の戦争の経過の研究を踏まえたという論だった。
何らかの思惑が在り、それを実現する見通しが在って、戦争という手段が択ばれて開戦に至る。それは意外に簡単に出来てしまうのかもしれないが、収束を図るのは何時でも困難なのだ。開戦時に明る過ぎる見通しを持ってしまっている、または都合が悪くない想定のみで、簡単にその想定が外れてしまうというのが往々にして在る。
そういうことではあるが、戦争を継続することで生じる「現在の犠牲」というモノが在り、対して戦争を完遂することで排しておきたい「将来の危険」というモノも在って、両者のバランスという中で戦争の収束が図られるというものなのだそうだ。そして収束に向けた協議は、往々にして少し長い時間も要してしまう。
「現在の犠牲」が堪え難いということになれば、妥協的な停戦の途が探られる可能性は高まる。が、現状では両陣営が互いに「将来の危険」を排するという側に力が入っていると見受けられる。「終わらない戦争?」という情況である。
ウクライナの戦争を巡っても、ウクライナ、ロシアの両陣営は各々に「将来の危険」を排しようと「現在の犠牲」を払い続けている。「一体、何処迄?」というようになって行くのだと思われるが、互いに排しようとしている「将来の危険」は「非常に高いハードル」になってしまっていて、収束に向けた協議が巧く進められない状態に陥って時日を経てしまっている訳だ。
ウクライナで激しい戦禍が続くと、戦争を通じて排する「将来の危険」ということの以前に、国民や社会や国土の「“将来”そのもの」がオカしくなる、または破壊されてしまうのではないかと危惧も抱いてしまう。
そして気になるのは「4年目?」という話題だ。ロシアで2024年に大統領選挙が予定されている。その選挙を乗り越え、ウクライナでの戦争を更に続けるとな���ば、「2025年に“次”のラウンド」ということも在り得る。そうなってしまうと、2022年以来の戦争は「4年目」に突入である。
更に本書では、開戦以来の戦況に関する話題も色々と豊富である。両陣営が、戦闘継続能力を大きく削ぎ落すような「決定打」に欠けているのかもしれない。そういう様子に、何処かの人達の妙な思惑のようなモノでも絡まっているのか?何やら解り悪い中で戦闘は毎日続いている。
本書も含め、このウクライナの戦争を巡っては、判り易く纏められたモノも多く世に問われているので、それらに触れて考える材料は収集し続けなければならないと思う。
戦争は天災ではない。人間が始め、人間が続けるモノだ。とすれば、停めるのも人間がやらなければならない筈だ。少しなりとも早く“過去形”になることを願って止まない戦争である。今、或る程度広く読まれなければならないかもしれないと見受けられる一冊であろう。
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対談本なのでさっと読めました。
前半は今回の戦争をやや俯瞰的に、後半は時系列で追っていくような構成です。
おわりにで書かれているように様々な見地から戦争を考えないといけないと改めて思いましたし、終わらせるのは本当に難しいと再認識しました。
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2022年9月から2023年7月まで6回にわたり3人の識者と語ったものを加筆修正。
ある時点における限られた(そして多くの場合は信憑性の不確かな)情報を専門家たちはどのように捌いているのか、という思考プロセスを記録しておくことにこの対談本の意義があると考えた。
自身は軍服の色褪せ具合に目が行ってしまう所もありもっぱらロシアの軍事研究を生業にしているかなり珍しい立場にあるが、自身としてはなにかできることをするほかない。それは多分、社会に欠けがちな軍事的知見をフル回転させてこの戦争について語り合うことであろう。
1.ウクライナ戦争を終わらせることはできるのか。
千々和泰明氏と「文藝春秋ウェビナー」2022.9.9月号
~千々和氏は「戦争はいかに終結したか」の著書がある。この戦争の終わらせ方としては、ロシアがゼレンスキーを打倒してしまう、又はロシアの”妥協的平和”としてウクライナから撤退する、の二つがあるがどちらも現実的に考えにくいので、その中間のどこかになる。交渉では答えが出ず、やはりウクライナが力でロシアを押し返すしかないのではないか。
2.プーチンと習近平の急所はどこにあるのか?
熊倉潤氏と「中央公論」2023.3月号
熊倉:プーチンはロシア社会の中から出て来た存在だから、プーチンがいなくなっても今のロシアは変わらないと思う。中国では賢人統治を望む意識が強い。まだ二十世紀の延長戦を戦っている人たちがいる。十代の時に文化大革命の洗礼を受けて人格形成がなされた習近平のような人たちがフィジカル面で限界を迎えるころに、驚くほど時代の動きか加速するのかもしれない。
以下高橋杉雄氏と
3.ウクライナ戦争「超精密解説」
「文藝春秋」2023.5月号
4.逆襲のウクライナ
「文藝春秋」2023.7月号
5.戦線は動くのか 反転攻勢のウクライナ、バイタリティ低下のプーチン
「文藝春秋」2023.8月号
6.戦争の四年目が見えてきた
「文藝春秋ウェビナー」2023.7.25
高橋:停戦は、ロシアがウクライナの占領を諦めて引き上げるか、ウクライナが占領されている土地を諦めてロシアに引き渡す、この2パターンしかない。・・現実的な停戦シナリオが描けない。
小泉:どんな戦争も絶対に、地域的な知識がないと分からないこと、軍事的な知識がないと分からないことがあるので、様々な分野の研究者が皆で話し合いながら、全体像を描いていくべきだと思っている。
2023.9.20第1刷 図書館
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こういった進行中の戦争についての本、防衛論などを研究している方の著作を読むのは初めてでした。
題材が題材なので、感想の言葉の選び方を慎重にしなくてはならないかもですが、読み物として、興味深く自分にとっては気付けなかった視点がもたらされる有意義な読書となり、端的に言って面白かったです。
この面白かった、という視点、言葉が。
この本の中で淡々と戦争について語られる論の展開、考え方が。
読む前にこう言った書物になかなか手が伸びなかった理由、懸念のひとつでした。
今現在、生身の人間が苦しみ、悲しみ生活を奪われ、時には命まで落とす。酷く惨たらしい状況に対して、対岸の火事とまで無関心にいかずとも、火の粉がこちらに振りかからない他人事の様に、感情のスイッチや揺れ動きが現地の人や関係者と異なって、淡々としているのは何かの欠落ではないのか、良いのか?と引っかかっていました。
戦争はいけない。
ロシアによるウクライナ侵攻はとても衝撃でした。ここまで長く続くと思わず、どうしたら終わるかも全く皆目見当つかず。ただ無力に願うだけしかできませんでした。
それが、考えも視野も狭く、きちんと世界の状況や戦争について考えられていなかったのではないかとこの本を読んで思いました。
戦争反対も、ロシアのウクライナ侵攻に対する反対声明も、声を上げることは簡単です。人々にそれが広がり、ウクライナの国旗のカラーを身につけ、SNSで表明し、著名人が多くの人に影響を与え、知る機会にはなったとは思いますが、それ以降果たしてどれ程の人が真剣に、戦争を止めるために何ができるか考えたのか。
戦争を止めるために武器の供与についてより戦略的に考え、効果的に使用するべきではと語るその意見は戦争推進派ではなく、攻撃的でなく、武力的でなく、現代において真摯に戦争に向き合っての意見のひとつなのかもしれない。
戦いについて、武器について淡々と語るのは、冷酷ではと思っていたけれど、何もできず願うだけで自分たちはぬるま湯で贅沢してただ暮らしている人々よりかは、現地の状況に寄り添っているのかもしれないと思った。
これはあくまで私の感想なだけで、この本の著者も、おそらく対談相手も、そういったお気持ち表明的な感情論ではなく、淡々と防衛論について考えているだけだと思うのですが、それが逆に、そういった人や考え、意見に今まで触れたことがなかったため、こういった人も意見も考え方も存在としてあるべき、異なる専門家や意見を持つ人が意見を交わして、最適解に辿り着ければ良いのではと思えるきっかけとなり、こういった本をさらに読んでみたい、日常的にも情報を追いたいと思ました。
プーチンが退任すれば、ウクライナ侵攻も、他の問題も片付くと思ってプーチン憎しでいました。
確かに「始めた」点では憎む感情は間違いはないかもしれないけれど、問題を矮小化というのか、複雑に絡み合った国内や、国家間の関係や問題を無視して簡単なところに問題を見出してそこだけで騒ぐのは愚かなことなのだなと気付かされた。
ウクライナとロシア��、不思議な、タイミングの合わなさやお互いを騙せているのか読めていないのか、ズレていることが功を奏したのか、悪かったのか。
こんなに長く戦争が続いていることについて、何故なのか、の一説として納得できる話であった。
中国の官僚の不文律の定年制度がしっかりしていて、新陳代謝が進むのが羨ましいなと思いました。
千々和さんとの対談は、ロシアのウクライナ侵攻だけでなく今までの戦争からの流れを汲んだ意見という感じ。
熊倉さんとの対談は各国の政治、価値観を引き合いに出し、それが判断にどう影響するかという感じ。
高杉さんとの対談は最新情報を元につぶさに観察された戦略、地政学的な感じがしました。
千々和さんの本が読みたくなりました。
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イズムィコ先生の文藝春秋等での対談をまとめた本の第2弾。前作と違い文化人との対談がなくなり国際政治学者との対談だけ(半分以上は高橋杉雄先生との対談)になり、議論が深まっているように感じます。
基本的にウクライナからすれば国がなくなるかどうかの瀬戸際なので休戦は難しく、ロシアからすれば自国が攻撃されたわけでもないので成果もなく休戦するわけにはいかないわけで、戦争を終わらせる手段が殆ど無いと感じていましたが、本書でその思いが深まりました。
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ロシアのウクライナ侵攻の経過を著者と軍事専門家の対談という形でまとめられている。終わりの見えぶ、全然も膠着している現状にどう落とし所をつけるのかというのは難問であり、長期化の様相を表している。
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「ウクライナ戦争の200日」に続く対談集。
6本掲載されるが後半4本は高橋杉雄氏とのもので、対談者は3人。
米国の武器支援出し渋りもあり戦局は膠着、両国国内の事情から早期停戦は困難との見立て。
本書は何よりマスコミ露出停止前の高橋氏と著者との対談が目玉であろう。
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ロシア・ウクライナ戦争がはじまった年に行われた対談も含まれているので、今更読む必要があるかなと思いつつ読みはじめたけれど、普通に参考になる本だった。
日本の安全保障と朝鮮半島、台湾の安全保障の間には密接な関係がある。
あっさり読み終えることができる割には読みごたえもあって良い。
ロシア・ウクライナ戦争がはじまる前までは、もうこんな戦争は起きっこないと根拠もなく信じ込んでいたタイプなので、戦場のニュースを見ても、戦争をしていることしかわからない。
こういう軍事的知見に立った読みやすい本が出てくれるのは助かる。こういう本が必要な世界であることは悲しいけど…。