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近代日本の地下水脈 哲学なき軍事国家の悲劇 1 みんなのレビュー
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紙の本
どこかズレているような
2024/01/25 22:52
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
軍人勅諭を自由民権運動などから将兵を近づけないようにする為に「政治への関与を厳しく戒める」目的で制定されたなら何故、昭和の軍人が政治的な振る舞いをするようになったのかを論じるべきなのに軍人が「やりたい放題」はないではないか。本文にあるように戦陣訓は昭和16年に制定されたのに、それ以前のノモンハン事件でソ連・モンゴル側の捕虜になった将校には自決を強要して下士官兵には自決を強要しないまでも軍法会議にかけた上で冷や飯食いにしたのはどういう事なのか?東條英機の伝記を書いている人が「あの戦争の責任」は東條個人に責任があるという論理で話を進めるとわけが分からなくなる。
石原莞爾のような自己チューで頭の中で思いついた「王道楽土」「五族協和」な満洲国を作り出した独善的な軍人を「東條英機の敵」なので?高く評価しているのも解せない。保阪正康自身の秩父宮伝にあるように満洲国が「石原のいうとおりにこの国は理想郷などではなく、日本軍閥と日系官吏の思うままになっている」で旧韓国のように皇帝や大臣、軍司令官などは満人でも日本人が次官や顧問として「内面指導」を行い「内、鮮、満」の日本人が支配民族として君臨する国家を作り出したのは「王道楽土」の「理想を知らない」軍人や官僚、財界人などではなく石原莞爾など関東軍の参謀達ではないか?たまたま東條の敵で戦後は病身なので戦犯裁判にかけられなかったにしても、こんな軍人が「天才」だと今でも高く評価された事の方が問題ではないか?この男と辻政信のような瓜二つな参謀や若林東一のような命令を違反しても「終わり良ければ全て良し」と評価された軍人などとどこが違うのかが分からない。石原莞爾は韓国併合の過程を学ばなかったのだろうか?
大正天皇について書かれている個所は原武史の本とよく似ている。「遠眼鏡事件」が「軍部によって意図的に流布された形跡がある」とはいかなる情報を元にしているのか?原武史は日経の記者時代に裏を取って記事を書く事を学ばなかったのか?と思うが保阪正康は朝日ソノラマの編集者時代に怪しげな情報をも鵜呑みにしていたのか?軍部(つまり山縣有朋?)「気に入らない」大正天皇を「主君押込」して皇太子裕仁親王を摂政にしたとでも言いたいらしいが原武史が書きそうな事だ。
日本軍のあり方を批判する為に第二帝政下のドイツ軍は「市民社会が成熟」して「「皇帝の軍隊」から「国民の軍隊」へと変貌し、シビリアン・コントロールが根付いていった」だそうだ。何かの間違いじゃないのか?クノップの「ヒトラーの戦士たち」にあるように出自が高くないパウルスは優秀な人材ならいくらでも欲しいはずの海軍には入れず陸軍に入ったのがいい例だ。第一次大戦中はルーデンドルフの独裁が行われて責任を取らずに「ユダヤ人と社会主義者が背後の一突き」とドイツ革命後も「国家の中の国家」を主張して「政治的に中立」というよりヴァイマル共和国に敵対的な帝政時代の価値観を保持していたからこそヒトラーの政権掌握で彼に追随して何もかもなくしてしまったのに、たまたまヴァイマル時代に軍人は政党に入党出来なくなっていたのを奇貨として戦後長らく「国防軍神話」が流布されていたものだ。「軍旗宣誓でヒトラーに忠誠を誓ったからこそ彼の命令に背けなかった」と言い訳をしながら。だからこそ連邦軍では「国家の中の国家」ではなく「軍服を着た市民」という概念を作り出したものだ。DDRの国家人民軍は「ドイツ農民戦争と自由戦争の伝統を継ぐ」というよりSEDが支配する赤い武装SSが本当の姿にしても。
全体的にどこかズレているような感じがしてならない本だ。
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