紙の本
前島密の生き方って面白い
2024/06/07 06:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「日本近代郵便の父」前島密(ひそか)は日本史の授業で必ず登場するから
その名前は広く知られている。
明治維新後の近代化に貢献した偉人の一人であることは間違いないし、
彼の肖像画は今でも一円切手に描かれているから見た人も多いだろう。
そんな前島がどんな生涯を送ったのかを描いたのが
門井慶喜さんの『ゆうびんの父』である。
門井さんには東京駅の建設に携わった辰野金吾を描いた『東京、はじまる』や
日本で最初に地下鉄を走らせた早川徳次を描いた『地中の星』など、
維新後の日本を作っていった人間を数多く発表している。
そのどれもが面白く、この『ゆうびんの父』もそんな作品群に名前を連なるものとなった。
前島密は維新を成し遂げた雄藩の人ではない。
現在の新潟県上越の生まれで、ましてや武士ではなく、農家の出である。
近代化の偉人でいえば、渋沢栄一とよく似た出自といえる。
そんな前島がのちに「ゆうびんの父」と呼ばれるようになるまでのそれは
旅の連続であった様子が、
門井さんの決して深刻にならない文体でぐんぐんと読ませていく。
前島が「ゆうびん」と出会うのも偶然ともいえるが、
その事業に着手してはじめてそれこそが自分のやりたいことであったと気づく。
案外、人生とはそういうものかもしれない。
何をしたいのか、どんなふうになりたいのか悩んだ時、
その時々でしたいところに行くだけだった前島のような生き方も参考になるだろう。
この長編小説では前島の人生のまだ半ばまでしか描かれていないが、
前島密は1919年、84歳まで生きた。
電子書籍
前島密
2024/06/07 19:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
小学校時代に、自分の学校は光村図書出版の国語の教科書でしたが、それに、前島密の伝記がありました。2年生か3年生くらい?その後、1円切手の人、というイメージでした。色々と、あったんですね。こういう人こそ、次の新紙幣の肖像にしたらいいのに
紙の本
ゆうびんの誕生
2024/06/03 17:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本における郵便事業を国家事業として創業した前島密の半世紀である。幼少期から、知らずに旅をしていた主人公。人生の無目的に苦しみ、全国各地を旅したり、船乗りになったり、英語を学んだり、徳川幕閣へさかんに建言したりしたのは、人生の目的を渇望し発見できなかった軌跡であった。明治初期に新政府に出仕し、そこで郵便事業という目的を見つけた。郵便という言葉を創り、制度を成り立たせた主人公は、確かに「ゆううびんの父」だった。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
読み終わりまるで大河ドラマのような壮大な物語でした。小学生の頃切手収集が好きで1円切手の前島密は知っていました。馴染みのある肖像画でした。ゆうびんの父納得です。5歳でひとり旅をするなんてすごいですね。波瀾万丈の生涯、幕末の有名人オンパレード、歴史小説としても読み応え充分でした。郵便制度の開拓は心震えました。あなたも読んで感動して下さい。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
門井さんが描く前島密が惜しい感じのヘタレ人間で、ユーモアがあって面白い。幕末の熱血志士とは違ったテイストの人生を生きる彼を応援したくなってしまった。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
『ゆうびんの父』 門井 慶喜 著
門井慶喜氏の本にハズレはないと新刊をゲット。と思ったところ、前半は前島密(上野房三郎)があっち行ったり、こっち行ったりの繰り返し。北は北海道から南は九州まで、上司・師・仕事を転々とし、「いつ本題は出てくるのやら…」と不安になってきます。後半から郵便事業の立ち上げとなり、ヤマト運輸の小倉昌男氏バリの活躍に移行します。しかも、前半の長々とした旅の経験が事業立ち上げに役立つということもわかりました。特に、旅を通じた維新の志士たちや勝海舟らとの交流が、やがて「人脈」となって活きてくることも描かれています。
いまでも郵便局には地元の「名士」が就くことが多いようですが(私の知人もそう)、東海道から始めた郵便事業を全国展開するための算段であったということもわかり、歴史がまだ生きていることを実感した一冊です。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
今まで一円切手の肖像の人を気にしたこともありませんでしたが、郵便の創設等の感動的なエピソードを知ることができました。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
日本の郵便の父_前島密の伝記
自分は教科書で1行レベルの知識だけ
なが〜い前置き
が
一応、郵便への伏線になっているのには関心
幼なじみとの再会シーンは
今も昔も同じだなと共感した
みんな一度は都会とか夢を見るのよね
で
何となく歳をとって
落ち着いていく
でも、それもまた幸せ
と悟ったような事を書いておく
最後、
終わり方は
あれで良かったのかな~?
クライマックスを
このエピソードで終わるのか〜
うーん
と俺はなった
もうちょっといい終わり方
あったんでない!?
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
日本の郵便制度を設計した前島密の半生(ほぼ)を描いた小説。
前島密の名前は知っていたが、ここまで魅力的な人物だとは思わなかった。図書館で受け取ったとき、その分厚さに予約したことを後悔したが、抜群の読みやすさと綴られるエピソードのおもしろさに引き込まれて無事に読了した。
日本郵政のHPに掲載された「前島密年譜」によれば、この作品以後も84歳で亡くなるまで、様々な方面での活躍が続いたらしい。興味や関心が次々に移り、そこに集中して体得したものが後によい結果をもたらしたのだろう。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
うわー、こんなところにも変人が。
タイトルから、前島密の話だと分かったけど、
まさか、前島密がこんなに変身だとは。
ネット生活が当たり前の現代でも、
郵便がなくなることはない。
最強の二番手、恐るべし
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
一つの時代にこれだけの改革者がいれば、時代が変わって当然と感じました。今の日本の礎を築いたのは間違いなく、知識欲おう盛で改革欲に溢れた人達が多く居たこの時代だと思いました。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
伝記は史実が大事だからか、説明くさくて読みにくいものが多かったが、本作は先が気になってどんどん読み進んだ。
前島密の人生が面白いというのもあるけれど、やはり作者の力だろう。
母の影響を多く書いているところが、男性作者だなあと思う。そして息子はみんなマザコンなくせに、ちっとも母を大事にしない。
当時の女性は、それが誉で息子の出世が己の幸せ?離婚までさせて連れてきた母を、7年間で飼い殺しなんで
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
郵便の父・前島密の伝記小説。高名ではあるがその生涯はほぼ知らなかったので、大変面白く、勉強になった。明治になるまでの記述が冗長で、郵便以外の前島の業績をもっと書いてほしかった面はあるが、郵便が一生涯の仕事となる軌跡が確り描かれていて良かった。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
幼少期から好奇心旺盛で、行動力がハンパない房五郎。紆余曲折を経て、前島密と名を変えても、彼のバイタリティーは続く。薩長土肥出身者を前にしても臆せず、彼ならではの芯の強さで難局を打開してゆく。郵便制度の基盤を完成させた前島密に感謝したくなる物語である。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
郵便制度の骨格を作った1円切手の肖像前島密。
人は望む人物になるのではなく、周囲の環境や時の運により、思わぬ形でその才を発揮する。郵便制度に至るまでの道程のとにかく長いこと。
挫折を繰り返しながらも前向きに生きれば道が開けて来ることを教えてくれる。