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ルネサンスの女たち
2015/10/17 17:52
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投稿者:十字軍の鏡 - この投稿者のレビュー一覧を見る
塩野七海さんの「ローマ人の物語」にはまってしまい、彼女の初期の3部作を読みたくなって購入しました。予想通り、ルネサンス時代の4人の女性の生きざまに感動しました。
これを機会に「神の代理人」と「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」も読んでみたくなりますよ。なかなか本屋さんないのが残念ですが、探してみます。
塩野文学の出発点
2012/10/31 23:53
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コーチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
1969年に出版された塩野七生の文壇デビュー作。後に『ローマ人の物語』全15巻を書き上げ、その後も西ヨーロッパ中世史に関する数々の著作を執筆中である彼女の出発点となった作品が文庫本になったのは、意外なことに今回が初めてという。それを記念してか、今回の文庫版では、執筆当時の思い出を振り返った序文がつづられている。
それによれば、本作を書いた動機には、1960年代の高度経済成長のさなか、日本社会に充満していた微温的な雰囲気への反抗があったという。「みんなで仲良く、なんて嘘っぱちだと思っていたし、それで社会が進んでいると思って疑わない当時の日本のエリートたちが大嫌いだった。...イイ子でいたんでは生きていけないんですよ、昔のヨーロッパにはこういうたくましい人間が生きていたんです、と日本人に突きつけたい思いでいっぱいだった」。
本作におけるそのたくましい人々は、人類史上稀に見るほどに権謀術数の発達したルネサンス期のイタリアに生きた4人の女たちである。4人はそれぞれ、地位も、性格も、またそのたどった運命もさまざまであるが、どの女もさまざまな艱難を経験しながらも、運命を甘んじて受けるだけでなく、彼女らなりに我を通しながら生きている。塩野にとって、戦乱を生きぬいた女たちを描くことは、ぬるま湯のような環境に生きる60年代当時の日本人への反撥であり、また当時(今でもか)一般的だった「女=男の被害者」という視点へのアンチテーゼだったという。
それゆえ本書は、自主独立を尊び保守正道を歩むというその後の塩野文学の出発点となった作品といえよう。彼女はまた、ルネサンス時代を扱った本作の執筆を通じて、フィレンツェ、ヴェネツィア、さらに古代ローマといったその後彼女自身が取り込むことになるテーマが次々と見えてきたという。この意味においても、『ルネサンスの女たち』は文学者としての彼女の出発点となったわけである。
ルネッサンス期のイタリア上流貴族の女性達の伝記
2024/12/25 15:48
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投稿者:森の爺さん - この投稿者のレビュー一覧を見る
イタリア在住の著者によるルネサンス期のイタリア上流貴族の女性達の伝記であり、書かれているのはイザベッラ・デステ、ルクレツィア・ボルジア、カテリーナ・スフォルツァ、カテリーナ・コルネールの4人であり、著者の初期の著書の中では「チェーザレ・ボルジア 優雅なる冷酷」、「神の代理人」と本書はルネサンス期を描いた3部作となる。
この4人の貴婦人の中のヴェネツィア貴族であるカテリーナ・コルネール以外の三人は、当時の貴族階級の常としての政略結婚によりつながっている。 フェラーラ公エステ家のイザベッラはマントヴァ侯フランチェスコ・ゴンザーガと結婚するが、弟アルフォンソの再婚相手がルクレッツィア・ボルジアであり、妹ベアトリーチェの結婚相手はミラノ公ルドウィード・スフォルツァ(イル・モーロ)である。 教皇アレッサンドロ6世の娘であるルクレツィア・ボルジアは最初の結婚相手がミラノ公の傍系のペーザロ伯ジョヴァンニ・スフォルツァであり、三番目の夫がイザベッラの弟のフェラーラ公アルフォンソ・デステである。 そして、カテリーナ・スフォルツァはミラノ公ガレアッツォ・マリーア・スフォルツァ(イル・モーロの兄)の庶出の娘であり、嫡出の姉アンナはアルフォンソ・デステの最初の妻だが、出産時に死亡している。
イザベッラ・デステについては、夫フランチェスコ侯爵がヴェネツィアの捕虜となった際に侯爵の代理として、内政・外交に活躍して立派に留守を護ったが、皮肉にも復帰した侯爵に却って疎まれ、更に夫はルクレッツィアと関係を持つに至る。 ルクレツィア・ボルジアは父教皇と兄チェーザレの手駒として政略結婚し、利用価値が無くなった夫とは離婚(最初のペーザロ伯)あるいは死別(二番目のアルフォンソ・ビシュリエ、兄による殺害)した後に、アルフォンソ・デステと結婚するが、教皇の死とチェーザレの放逐後はフェラーラ公爵妃として平穏な一生を送る。 カテリーナ・スフォルツァはイーモラ・フォルリの領主であり、教皇シスト4世の親族であるジローラモ・リアーリオと結婚したが、夫の暗殺時の勇敢な行動で名を馳せた後、チェーザレ・ボルジアによる侵攻の前に敗北し、修道院で余生を送る。 カテリーナ・コルネールはヴェネツィア貴族の娘として、地中海の要衝であるキプロス島の王と結婚するが、結婚後まもなく王は急死し(毒殺が疑われる)、その後即位した幼い息子も死去して女王となるものの、完全に母国の傀儡となり、遂には退位しキプロス王国はヴェネツィア共和国に併合される。
著者はイザベッラとアルフォンソのエステ家の姉弟を高く評価しており、確かにイザベッラは軍事を除いて夫より有能であり、かつローマ略奪に遭遇しながら難民を収容して安全を確保する冷静さと聡明さは評価して余りあるし、弟の武人として優秀かつ大砲の専門家であるアルフォンソはボルジア家の没落により政略的価値の無くなったルクレツィアを離別していない。 その一方でルクレツィア・ボルジアについては傑物の父と兄に振り回され、最後の夫アルフォンソの度量を理解出来なかった平凡な女性としている。
カテリーナ・スフォルツァについては美貌かつ勇猛果敢という以外、男運と政治手腕に欠けている上に父親譲りの残酷さにより領民から見放されていたので、チェーザレ・ボルジアに敗北するのは当然だったが、子孫は後にトスカーナ大公となっており、カテリーナ・コルネールについては著者が「海の都の物語」で高く評価している冷徹な実利外交でどのようにキプロスを手に入れたか、またその為に自国の貴族女性をどのように利用したかが描かれている。
それぞれに見事な人生
2024/10/29 02:18
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投稿者:なお - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品に登場する4人の女性たちは、ルネサンスという激しい時代にあって、波瀾万丈の人生を生きた。
それぞれの立ち向かわなければならない困難も選択も違うけれど、運命を受け入れてベストを尽くす。
それぞれ、見事な人生である。
カテリーナ・スフォルツァの墓が未だに見つからない、というのが、あまりに理不尽で哀しい。
塩野作品の源流
2020/03/18 17:43
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
塩野七生はここに始まったように思う。
それほどに豊かエピソード揃い。
ルネサンスを強く儚く生きた女たちの物語。
ルネサンス
2019/11/25 19:53
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
イザベッラ・デステ、ルクレツィア・ボルジア、カテリーナ・スフォルツァ、カテリーナ・コルネールの4人。ルネサンスを生きた女性達、それぞれの個性が興味深いです。
それぞれの人生を歩んだルネサンスの女たち
2017/06/06 10:27
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投稿者:サラーさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
主役が男性であることがほとんどの塩野さんの作品では珍しく女性を中心に書いた作品。男から見て面白いのはカテリーナ・スフォルツァとイザベラ・デステでしょうか。カテリーナは絵に描いたような女傑でエピソードやチェーザレとの対決を読んでも楽しく、エステ家の女主人ことイザベラは当時の君主たちよりもブレない君主らしく振る舞いながら母親らしい一面もあり、とても興味深かったです。最後のカテリーナ・コルネールは政略に使われた感があり少し不憫に見える。チェーザレの妹も紹介されているのでボリューム的にもお得な一冊。
若さゆえ
2012/09/27 18:20
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投稿者:yukiti - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者自身が書いているように、若さゆえのよく言えば勢い、悪く言えば粗さが見える作品。
年を経て今の著者ならどう書くのか読んでみたい。
この著者の本を読むとイタリアに行きたくなる。