719hさんのレビュー一覧
投稿者:719h

英文解釈考 新訂
2023/03/19 22:55
英文の殿堂を垣間見るような
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かの「和文英訳の修業」を物した著者の、
恐らく最後の著作となった本です。
英語学習書の巨大購買層である、
大学受験生を考慮してなされるべき、
難易度における手加減が、本作でヮ、
語彙面でも構文の組み合わせの点でも、
全く感じられないのヮ寧ろ清々しいほど。
人生における英語学習が、
高校卒業後に進む学校に合格して、
或いヮ既にそれ以前に、絶える方にヮ、
向かない本かと。

美しい日本の詩 声でたのしむ
2023/03/17 18:28
よくぞ残してくれた。よくぞ編んでくれた。
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現代に纏められた日本語の詞華集としてヮ、
「折々のうた」と双璧を成す作品でしょう。
あとヮ、収録作品のうちのどれだけを、
実際に音読し、暗唱できるようになるか、
が問題ですね。

スペインのことわざ
2023/03/17 17:17
中身そのものの表題
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スペイン語の諺に興味がある、
とまでヮ行かなくても、
その世界を垣間見てみたい
程度の人にもおすすめできる1冊です。
収録されている諺の数ヮ、
項目として扱われている601個に、
一部の項目で紹介されている類義の諺を
足したものになります。
西語表現力の向上にヮ勿論ですが、
西語話者との話題作りにも役立つかと。
2023/03/17 17:16
著者によるモンゴル関連著書としてヮ、イチオシ
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冒頭から、かの草原の国に対する
著者の溢れんばかりの思い入れが
迸り出たような筆致で、
文章が綴られています。
個人的にヮ、
オゴダイについて書かれたくだりが、
特に気に入っています。
あの物欲の薄い皇帝の中に、
モンゴルの人々の心性の一典型を
見てしまうのです。

再構築した日本語文法
2023/03/17 17:09
再構築という名付けヮ伊達じゃない
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日本で普及している、
主な日本語教育教科書における
文法概念や用語にとらわれず、
その両面で新機軸を打ち出した
包括的な文法書です。
なぜか、日本の斯界の関係者からヮ
まともに評価されていないように
見受けられるのですが・・・。
10箇所を優に超える誤植があるので、
ひつじ書房のウェブサイトから正誤表を
引き出して該当箇所を訂正しましょう。
2023/03/17 17:06
文庫版論語多しと言えど・・・
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読みやすさと、解説の充実度においてヮ、
吉川論語の右に出るものヮないと思います。
何しろ、読み下し文ヮ総ルビだし、
解説ヮ、弟子に語った話を、口調もそのままに
収録したそうですから。
これぞ血の通った論語。読んでいて心が
ぽかぽかとしてくる、稀有の書です。
一冊に纏められて遥かに便利になった編集版で
味わってください。

英文構成法 5訂新版
2023/03/17 17:04
英作文力の足腰を
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問題を解くことも大切ですけれど、
恐らくそれよりも重要なのヮ、
全例文の暗記、より具体的にヮ、
和訳文を見た瞬間に例文を
暗唱できるようになるまで、
音読することでしょう。
この難行を完遂した者にとってヮ、
この本が売れ続けている理由ヮ、
自明過ぎるほど自明です。

日本刀
2023/03/17 17:02
日本刀に関する基礎知識をあなたに
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よくぞ復刊してくれたと思います。
小ぶりながらも手堅くまとめられていて、
まさに新書版の面目躍如といったところですね。
電子書籍版ヮ新字新仮名にしたらしいですけれど、
こちらの紙版の方ヮ、元の旧字旧仮名のままです。
個人的にヮ、仮名遣いヮともかく、
漢字ヮ戦前の繁体字の方に
体系的な美しさを感じるので、
この点も花マルであります。

和漢朗詠集 現代語訳付き
2023/03/17 05:02
声に出して読める読める
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書き下し文が総ルビという、
まさに音読向きの編集がなされた、
文庫版和漢朗詠集です。
講談社学術文庫版との最大の違いヮ
本書ヮ白文までもが収録されていること。

鬼のうで
2022/09/19 18:30
げげげげげ、ぐわーん・・・復刊されてる
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渡辺綱と茨木童子との一連の闘いに
焦点を当てた作品です。
異論はあるかもしれませんが、
学齢前の児童には余り馴染みのなさそうな語彙や、
一般的とは言い難い擬音擬態語は、
本作においては重要な役割を担っていると思います。
なんとなればこれら2つが、本作中の出来事を
異世界の事件のように感じさせる小道具として
有効に機能していると思うからです。

地図のない道
2022/03/14 21:09
近いようで遠い水の町
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美文の書き手として知られる著者が、
ヴェネツィアのユダヤ人と娼婦について
綴った本です。
社会の日陰者とされた対象を、
客観と共感との釣り合いをとりながら、
澄み切った筆致で描き切っています。
加藤周一氏の伴侶だった矢島翠さんの
解説も読みどころ。

柿の種
2022/02/28 23:47
読むほどに、読み返すたびに、味わいが深まりゆく珠玉の科学随筆
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身の周りの平凡な出来事の中に見出した、
興味深い事象を、平易かつ流麗な文体で
綴ったまことに稀有な本です。
理系も文系も非系も無系も、
挙って繙いてみてもらいたい一冊です。

自省録 改版
2021/08/06 16:27
酷暑から解き放ってくれる精神の清涼剤
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本文庫版が日本社会において
長く読みつがれていることには、
内容そのものもさることながら、
訳文の文体も与って力があるように
思います。
もしもこれが、主語と述語との対応が
あやふやで、てにをはすら整わない、
ずるずるべったりの口語体で訳されて
いたとしたら、書店の店頭からも、
読書人の書架からも、
とっくに消え失せていたかもしれません。

ばけものづかい
2021/06/16 20:07
お化けに親しむにはちょうどいい
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化け物屋敷を購入した、
人使いの荒いおじいさんが、
化け物を怖がるどころか、
こき使ってしまうお話です。
作者の絵のやわらかな印象が、
話の筋にも染み込んでいる
ような名作絵本です。

漱石詩注
2021/06/09 14:10
碩学からも称賛される漱石の漢詩の水準
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本書の巻頭において、編者の吉川氏は、
漱石が「専門の漢詩人ほどには、
中国詩の韻律の法則を記憶しないというのである。
この謙遜は、一バアセントほどは、真実である」
と、慎重に但し書きをつけつつも、結局は、
「日本人の漢語の詩として、めずらしくすぐれる」
と、殆ど手放しで漱石の漢詩を讃えています。
元々岩波新書だった同名書籍の増補版である
この一冊は、二十一世紀の今日、
確かに岩波文庫に加えられるべき古典となったと
思います。
なお、増補部分に相当する付録以外の全ての
漢詩の書き下し文には読み仮名が振られており、
音読派の読者を楽しませてくれることでしょう。