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あられさんのレビュー一覧

投稿者:あられ

149 件中 31 件~ 45 件を表示

「本」ではないです

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2018年に書店の店頭で無料で配っていた販促用冊子ですね。確かもらってきた記憶があるのですが、捨ててしまったようです。こういうものこそ、デジタル化されていると資料的な意味で有益かもしれません。

内容は、講談社文庫の簡単なカタログです。平成元年(1989年)から30年(2018年)までを扱い、右のページにはその年を象徴するようなイラストを添えて主な出来事を5件箇条書きにし、左のページにはその年に出た講談社文庫を3冊掲載、という形です。

あくまで文庫で出た年で掲載されているので、実際にその本が世に出たのはもっと前なんだけどな、というものも散見されます。現在でも入手可能な本から選ぶという制約はあったのでしょうが、カタログ的にまとめるのなら、そのあたりはもっと配慮がほしかったです。例えば1991年の本として紹介されている『ノルウェイの森』は、ブームになったのは1987~88年でした。

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花だけでなく実でも探せる

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同じシリーズの『散歩の花図鑑』を紙と電子版で所有しており(レビュー投稿済)、良い感じだったので、こちらも電子版で購入しました。

構成は本書も『花図鑑』とだいたい同じで、「目次」で季節ごとに分類され、「写真目次」では黄色系、赤系など花色で分類されていますが、同じ要領で果実・種子の色からも探せるようになっています。編集はかなり手間がかかったのではないかと思います。

掲載されている植物ですが、確かに街中で見かけることはほとんどないにしても、山まで行かずとも、都内でも等々力渓谷や石神井公園のようなところ、あるいは団地の敷地内でうっそうとした茂みになっているようなところで見かけるようなものもけっこう入っています。シュンランなど、野生のものを見る機会はなくても民家の玄関先などに植えられているのを見る、という花もあります。シャガやクサノオウ、ホタルブクロ、オオバギボウシなどは、私は日常生活の中でわりとよく見かけるのですが、確かに、コンクリの割れ目から生えているような植物ではないかもしれません。

実際に見たことがなくても、この本で写真を見て「かわいい花だな、いつか現物を見てみたな」と思う花々もたくさんあります。ハナネコノメ、セントウソウなど。

花が小さいもの(数ミリ単位)が多く、写真は電子版で大きく拡大表示できるのが楽しいです。

以前、白いフワフワした綿毛だけが目立っていて、何の植物かわからないものがあったのですが、果実・実の写真目次の「白系」のところにその植物らしき写真があるので、その植物の解説で花の時期を調べて再度確認に行ってみたいなと思っています。

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電子書籍アイの物語

2019/05/26 17:47

あの頃、想像されていた「人工知能」

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「アイ」は「AI」で、2010年代後半に「エーアイ」というカタカナ語が一般に広く浸透する前の本です。

7編の短編小説を、それぞれの間に挟んだインターミッションでひとつの大きな物語として綴り、さらにプロローグとエピローグを置いて、一冊の本としてパッケージしています。

初版がハードカバーで平成18年(2006年)に出ています。収録されている7編のうち2編は書き下ろし、ほか5編は1997年、99年、2003年、04年、05年に発表されたもの。

つまり2019年の今、この本を読むことは、かなり近い近過去においてやや遠い近未来を描いていた作品群を読むということにほかなりません。「人工知能」が「SFの世界に出てくるもの」だった時代はもう過去になっていますが、実際には、現実世界で(おそらく投資を呼び込むために)イメージだけで語られている「人工知能」像のほうが、この小説で描かれている「人工知能」よりよほどSFじみています。

そういう点、ある意味で足元を見直せる本かもしれませんね。

最後に、好みの問題かもしれませんが一応……。日本のSFがとっつきづらいのは、理屈云々ではなく、独特の「男目線」の臭みがあるせいだと思うのですが、この本も例外ではありません。本題以前に、「ぼーっとしている男子の世話を焼き、テキパキと指導する、可愛い(自分のタイプの)女の子ロボット」「男子の成長を促す女子」というプロトタイプの連続は、読むのが苦痛でした。(ハインラインにせよディックにせよ、翻訳もののSFではこんな苦痛は感じたことがないと思うのですが、それは私があまりたくさんSFを読んでいないせいかもしれません。)

あと、これも好みですが、情報量のわりに言葉数が多すぎて、読むのに時間がかかりました。人工知能はこういう文章をどう読むのだろうという感想を抱いています。

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電子書籍エスカルゴ兄弟【電子特別版】

2019/05/26 16:54

出会い

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最後のページを閉じながら「あー、おもしろかった!」と思わず口にしてしまうような小説でした。会話主体で、キャラの濃い登場人物たちが繰り広げるドタバタコメディという印象ですが、ただドタバタしているだけでなく、ジャン・コクトーから稲庭うどんまで、ある意味教養小説かもしれません。世界が閉じていなくて、爽快な読後感です。"「料理とは?」というテーマ" の解でもありますね。

個人的には食通ではないのですが、ああ、こんな料理はぜひ食べてみたいな、と思うことが何度かありました(ただし、伊勢うどんだけは……)。エスカルゴ牧場に行く機会を作れたら、と思っています。

物語の主要な舞台となっている吉祥寺という街の空気も、いい感じで小説の中で生きています。

津原さんは、某出版社の社長がとんでもないことをツイートしたという例の騒動で初めて知った作家さんです。本作にも出てきますが、万事塞翁が馬ですね。

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電子書籍世界一やさしい!栄養素図鑑

2019/05/22 22:29

イメージが明確になる

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セールで電子書籍が格安になっていたタイミングで立ち読みしてみたら、中身がよさそうだったので購入しました。栄養については昔、学校での「家庭科」で一通り習ってはいるのですが、新しい用語などは雑誌やテレビで見るたびにあとから覚えている(覚えていないものもある)ので、一度体系立てておきたいとも思っており、そういうニーズには合っていると思います。

元の本は2016年に出ています。「図鑑」と言っても昨今流行りの「キャラ図鑑」で、構造式などは出てこないし、正確性・厳密性という点ではツッコミどころはあるのでしょうが(例えばビタミンEを含む食材について「塩気が少なめのオーガニックのアーモンド」が薦められているのですが、「オーガニック」を薦める根拠がわかりません。「塩や油を使わない素焼きのアーモンド」を薦めるのならわかるのですが……。またほかの方も指摘されていますが「酵素」の説明の記述はやや疑問です)、栄養素のイメージは明確になります。ビタミンB群を家族にたとえるのは上手いと思いました。

解説本文の文章はくだけすぎておらず読みやすい文章で、マンガは面白く読めます。

電子書籍とはいっても紙の書籍のページを画像にしただけで、商品説明にある通り、本文検索やハイライトはできません。単に読み流すのでなく、しっかり使いたいのなら、紙で買ったほうがよさそうな本です。

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電子書籍イケ麺レシピ103

2019/05/22 01:44

実用性高いです

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電子書籍がセールで格安だったので何となく買ってみたのですが、正解でした。

麺類って、何となく固定観念にとらわれてしまっていて同じような感じでしか食べないのですが、この本は新鮮味のあるレシピがけっこうたくさん載っています。ざっと見たところ、作り方も難しくないです。普通にごはんが作れる人なら問題なさそう。

078の「トマトとアボカドとそばのマリネ」(そば×イタリアン)を作ってみました。茹でて冷水でしめてからキッチンペーパーで水気を取るという工程で、「いつもの蕎麦」とちょっと違った食材になりました。アボカドとの相性もばっちり。ここから自分でさらに広げていけそうです。

ナスがおいしくなってくる季節になったら、048の「焼きナスのカッペリーニ」を作ろうと思ってます。焼きナスをペースト状にしてソースにするという発想は、自分ではなかなか出てこないですね。

登場する「イケメン」料理人は、和食やアジアン、フレンチ、イタリアンとさまざまな専門分野をお持ちですが、フレンチが意外と素材そのままを生かした手数の少ないシンプルなレシピで役立ちそう(南仏風なのかな)。

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電子書籍虐殺器官

2019/04/30 02:45

没後10年

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2009年に伊藤計劃さんがわずか34歳で亡くなってから、今年で10年になりました。この10年間で、現実はますます、伊藤さんが想像した「2001年9月11日以降の世界」のようになりつつある面も多くあります。今、2007年に発表されたこの『虐殺機関』を電子書籍で、あるいは店舗で電子マネーで購入している私(たち)は、おそらく「計数されざる者」には入れません。そもそもスマホを持っている時点でダメですね。完全追跡を嫌ってスマホ決済は利用せず、ポイントカードはお餅ではなく、日常の買い物は現金で……ということをしていても。そういえばこの小説は英訳されていますが、それをエドワード・スノーデン氏は読んでいるでしょうか。氏は仕事で日本にいたこともあり、日本語も少しできますよね。スノーデン氏の「暴露」がなされたとき、伊藤計劃さんと対談できていたらどんなに刺激的な結果になっただろうと思ったものです。伊藤さんがいなくなってから10年、最初に読んだときには正直「すごい小説だけど、世の中の変化によって、案外早く古びてしまうのではないか」と思っていたのですが、全然そんなことはなかったですね。

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高校以来

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開高健は、高校の国語の教科書に小説が掲載されており、「この文章はとても苦手だな」と思ったきりになっていました。

今回、「お試し」ということで無料で、小説だけでなくルポルタージュの文章も読めるとのことで、日ごろ、開高健の名前を見るたびに高校で読んだっきりというのも情けないなあと思っていたので、ダウンロードしてみました。

結果、高名な『ベトナム戦記』を通読し、『夏の闇』を少し読んでみたのですが、「やはり、この人の文章はとても苦手だな」と思いました。書店での立ち読みではなかなか落ち着いて読むというわけにはいかないので、こう結論できる前に読むのをやめてしまっていただろうと思います。

私はそのような結論でしたが、逆に「何で今まで読んでいなかったんだろう! これはスゴ本だ!」と思う人もいるだろうと思います(そういうアクの強い文です)。一度ダウンロードしてみれば、世界が広がるかもしれませんよ。

なお、この本をDLしたのは、同シリーズの他の作家さんで読んだことがない書き手のものをDLするついででした。

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ドラマ化を期に、電子書籍を入手

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10年ほど前に友人が「おもしろいよ」と貸してくれたマンガ。
当時「これはすごいなー」と夢中で読んだのですが、
書籍を増やす気になれない時期だったので買いはしませんでした。

今回ドラマ化されたのを見て、
改めて読み返したくなったので、電子書籍で入手しました。

ドラマはドラマでよいのですが、
「淡々とした日常の中にすっと入ってくる隙間風」のようなものの表現は、
マンガの描写のほうが私には伝わってきます。
特にシロさんと両親の間の空気感。
ドラマで「説明調のセリフ」で読まれると、マンガで再体験したくなります。

でもドラマだと、その両親の間にもいろいろあったであろうことも
説明なしでも伝わってくるんですよね。役者さんってすごいな、と。

そんな感じで、しばらくはドラマにあわせて読んでいくかなと思っています。
2007年にすでにこういう表現があったこと、今思うと驚きですよね。

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電子書籍ジーヴズの事件簿 才智縦横の巻

2019/04/20 01:55

皇后陛下がもうすぐ御読みになる本

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昨年10月、美智子皇后様がお誕生日をお迎えになられたときに、「天皇陛下のご退位後に読みたい本」としてすでに所有されているとおっしゃられたことで話題沸騰のジーヴズ・シリーズ。どの書店に行っても大量に陳列されています。

学生時代に勧められて読んだときはあまり好みではないなあと思ったのですが、この機会に、評判のよいこの翻訳で読んでみようと落手いたしました。

結果、「この小説って、こんなにおもしろかったっけ?」という印象です。若いころはピンとこなかったのが、この年になってわかるようになったのかもしれません。

作者のウッドハウスは1881年の生まれで、ジーヴスのシリーズは1917年から74年にかけて出版されているそうですが、「古きよき時代」を感じさせつつも現代に通じる要素もありました。例えば詐欺師の手口など……。収録されている作品はいずれも上質なユーモアで、クスリ、ニヤリとさせる笑いに満ちていますが、中でも「ジーヴズの春」が秀逸でした。

児童文学関連のお仕事を拝読させていただいた印象ですが、美智子皇后様はたいへんな読書家であり、的確な評論家でもあり、このスットコドッコイなご主人とやり手の従者という名コンビの連作小説をどうお読みになるのか、これから機会があれば感想をお伺いしたいですね。

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肉の味が好きな人向けのベジタリアンレシピ本

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最初に何げなく開いたページが「ラーメン」のレシピで、材料に「鶏がら風味のスープ」と書いてあったので、「ベジタリアン本ではなく、野菜中心でヘルシー系のレシピ本かな」と思ったのですが、その「鶏がらスープ」、鶏はもちろん魚介や卵を含めて動物性の食材を一切使わずに作るというので驚きです。香味野菜をじっくり炒めて旨みを引き出し、粉山椒で味を引き締めています。といっても、じっくり炒める程度で普通に食べ応えのある味を作るのは素人には無理。この本ではだしの素として、ムソーの野菜ブイヨンを使っています。だから何とか一般家庭でも再現できるのではないかと思います(「2時間炒めて6時間煮込む」みたいな本格的すぎるレシピは、一般家庭では無理ですよね)。

「鶏がらスープ」だけでなく、全体に、肉の味が好きな人が動物性食材を採らずに満足できるレシピ、というコンセプトの本で、大豆ミートを使った鶏のから揚げ(風)やハンバーグ(風)、きのこを使った魚介風の料理(えのきたけの旨み成分が魚介のそれと同じ)のようなものが多いです。れんこんとごぼうをすり下ろして海苔に乗せて成形し、甘辛い照り焼きのたれを塗って焼くとうなぎのかば焼き風になるとか、豆腐とターメリックで卵のキッシュのようになるとかいうレシピは試してみたいですね。

ほか、ソースや香味オイルの作り方が事細かに紹介されているし、発酵食材の使い方も丁寧に指南されているし「なぜこれでそういう味になるのか」という解説も充実していて、とても情報量の多い本です。よくここまでコンパクトにまとめてあるなと編集の手腕に感心しました。この版型のこの厚さの本で、普通のレシピのほか、ベジチーズやフォカッチャ生地の作り方まで入っているのですから、驚くよりありません。

著者は埼玉県でナチュラルフードのレストランを経営するオーナーシェフ。お店にも一度行ってみたくなります。

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電子版をスマホに入れて

19人中、19人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

梅が咲くころになると、道端や植え込みの端の雑草も花を咲かせるようになります。普段は気にも留めないのですが、よく見てみるととてもかわいらしい。でも名前を知っているのはナズナやホトケノザなどごく一部です。

「雑草という草はない。それぞれに名前がある」という牧野富太郎の言葉通り、どの草にも名前があります。それを知ることができたら……と書店の店頭で類書を見比べて購入したのがこの本です。

ポケット版なので持ち歩くのも苦にならないサイズですが、電子版ならスマホに入れておけばいつでも参照できるので、セールのときに電子版も購入しました。

電子版はスマホでは見づらいことは確かですが、紙の本で使い勝手がわかっているので、外出中にささっと花の名前を調べるには不自由はありません。

「目次」は、季節ごと(早春、陽春、初夏、盛夏、秋、初冬、厳冬)の分類ですが、本書の特色はその次に配置されている「花色もくじ」です。黄色・橙色、赤・ピンクなど花の色別にサムネイル・サイズの写真が並んでいるので、ささっとそこだけ見て、「この白い小さな花は何だろう……タネツケバナっていうんだ」などと調べることができます。巻末には植物名からひける索引がついています(が、電子版ではこの「索引」は植物の掲載の有無を見るくらいしか使えません)。

花ごとの説明のページは気取らない感じの写真や図解とあっさりした説明で構成されていますが、中には「お花摘みではガッカリさせられる花のひとつ」といった楽しい解説もあります。

私は東京都内の住宅街の散歩のお供にしていますが、この本だけでは調べきれないものもけっこうあります(その場合は写真を撮って帰ってネットで調べています)。なので、少し知識のある方にとっては物足りない一冊かもしれません。

なお、電子版は、基本的に紙の本を画像化してあるだけなので、検索やハイライトは使えません。書き込んだり付箋をペタペタ貼ったりして使いたい場合は、紙の本の方が向いています。

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紙の本空飛び猫

2019/03/19 04:52

弾力に富んだ日本語の翻訳文学

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都会の片隅で、なぜか翼を持って生まれた4匹の子猫。お母さんに可愛がられてすくすくと成長し、やがて巣立つときが来て、よりよい環境を求めて飛び立ってゆく……という物語が、柔らかく弾力に富んだ日本語に翻訳されています。S. D. シンドラーの緻密な絵もすてきです。原著は1988年。

巻末に村上春樹さんによる「訳注」があります。少し英語を習った人(例えば中学3年生)が読んでもわかるように、原文の英語の特に面白いところに注意をひいてくれます。

キャラの立った4匹の子猫たちが森の中で出会う生き物たちもまた、キャラが立っていて読みどころが多いのですが、私は個人的にはジェーン・タビーお母さんの毅然としたところ、子供たちに依存しないところが印象に残っています。アーシュラ・ル・グウィンの物語には必ず出てくるようなタイプですね。

ル・グウィンは子供向けに書いていますが、日本語訳のこの本は、言葉自体は易しくても、ふりがながないので、小学生だと自力で読むのは難しいところもあるかもしれません。ただ、それは同時に「この漢字はどう読むの?」などとコミュニケーションのきっかけにもなるでしょう。

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電子書籍陰謀論の正体!

2019/03/06 02:32

ぼやーっとした印象

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原発が社会的に最大の関心事だった2014年に出た新書で、原発についての言及が要所要所を引き締めています。2019年の今から見ると、若干、遠い目になります。

このころ、題名の末尾に「!」をつけるのが流行っていたのかもしれませんが、本書は「!」をつけるような断言調ではないです。たくさんの実例が集められ検討されているし、語句単位・文単位で非常に興味深いと思うところは多いのですが(例えば「科学研究の根本にある身もふたもない政治性」という語句や、「陰謀論は無知な大衆が信じたものではなく、権力の側が利用してきた」という指摘)、全体として物事についての理解が深まるわけではなく、逆に、非常にぼやーっとした印象の本です――第四章は、他の章とトーンが違って力強いのですが。

特に、第二章「陰謀論とは何なのか」でなされている "陰謀論を嘲笑する人々もまた、陰謀論的なのだ" という主旨(これは私の解釈での言葉ですが)の主張はかなり無理があるし、仮にそうだとして「だから?」と思わざるをえません。「911陰謀論」が「テロ後のアメリカでは全体主義化に対する鎮静効果すらあったのではないだろうか」という主張に至っては、何を言っているのかわからないレベルです(せめてもう少し丁寧な記述はできなかったのかと思いますが、PATRIOT法などが制定された時期、陰謀論によろうが何によろうが、「鎮静効果」の事実はないですよね)。

また、「陰謀論」とひとくくりにしてあれもこれも一緒くたに扱っているのは著者なのですが、同時に「(陰謀論だという)ラベル貼り」にはかなり感情的な抵抗が示されていて、どういう立ち位置なのか、何をしたいのかがよくわかりません。大量の情報が未消化のままで立論されているという印象です。特に「陰謀論はバカにされ、嘲笑されている」という前提が、陰謀論をめぐる状況の解説を感情論的にしてしまっていて、建設的議論になっているようには思われません。

個別の事例はよく調べられているし、アメリカという国にとっての「陰謀論」のかかわりなど、検証・報告の部分には見るべき点が多くあると思います。それだけに、この本は「陰謀論カタログ」のようにまとめ、今の西洋の「陰謀論」で重要な要素である宗教性(ラプチャー、フラットアースなど)も扱うようにした方が、見通しがよくなったのではないかと思います。

ちなみに「アポロ陰謀論」は「科学に無知な大衆の愚かな妄想として嘲笑」されているわけではなく、海外で製作されたジョーク番組を真に受けたり、その裏を過剰に読んだりした結果の無理やりな解釈が、「嘲笑される」以前に呆れられており、ジョーク番組についての指摘すら跳ね返して「アポロは月に行っていない」と言い張るごく一部の人々は「ああいう人たち」と、いわば別枠扱いされているのではないでしょうか。(なお、私が見落としているのかもしれませんが、本書では「アポロ陰謀論」を広めたのがジョーク番組であるということはスルーされているようです。もしそうなら、「科学 vs 陰謀論」というフレームで議論しようとしているのはわかりますが、いただけないですね。)

第4章に出てくるジグムント・バウマンの「グローバリゼーションによって国家が解体された」という主張は、2019年の現在、ますます重要さを増していると思います。「グローバルな出来事のあおりを、個人がクッションもなく、じかにくらう時代になった」。その中で「陰謀論」がどういう役割を果たしているかについては、更なる考察・分析が求められるところです。

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電子書籍絶対美味のベジ料理

2019/02/28 13:10

お野菜の味を引き出す調理法

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「お野菜に味をつける」のではなく、「お野菜の味を引き出す」調理法が満載。本編は、「加熱でうまみを凝縮」「うまみと香りで味の奥行き」「大豆たんぱくのボリュームで満足感」の3つの章に大別されており、最期に著者の経営するベジタリアン・レストランのレシピが紹介されています。

ささっと手早く作る、というわけにはいかないレシピが多く(さすがに家庭で「30分炒める」とかいうのは普段は無理です)、調理法はそんなに難しくはありませんし、そういうのは時間のある休日にでもやってみようかと思います。ズッキーニを1時間炒めるのとか、夏休みに子供と一緒に実験感覚でやってみるのがよいかもしれないですね。「色が変わると予想したが変わらなかった」、「ずっと観察していたが変化はなかった」というのも科学的には重要なことですし。

一方で「下ゆでして、ささっと炒める」程度で気軽に作れるレシピも少なくないです。普段の食卓に無理なく取り入れられるものだけフセンを立てておいて、その食材の旬の季節になったら試してみるとよさそうです。表紙の「レタスのブレーゼ」(ですよね)は、作るのに1時間以上かかるソフリットを使わず、市販のベジタリアンのスープストックを使ってやってみましたが、塩の使い方のアドバイスのおかげでレタスのよいお味が出て歯ざわりもよくできました。

著者の太平さんは元々インド料理で修行された方とのことで、レンズ豆のカレーのレシピは、クミンシードとターメリックだけで「カレー粉」を使わないので「家庭でやっても薬臭くなるかな」と思っていたのですが、うまくできました。時間もあまりかからず(下ごしらえから完成まで30分程度)、定番になりそうです。

肉・魚がないと物足りないという人も、肉・魚はさっと焼いて添えるなり別皿に載せるなりすることにして、まずはこのレシピどおりに作ってみてください。もし物足りないならば、次回からは自分で肉・魚を入れるようにアレンジすればOKです。

太平さんのお店「ロータス&フラワーズワン」は、現在ではリニューアルし「野菜キッチンCocomo」としてよりカジュアルな形で営業中。この本に出ているレシピの少なからぬ部分は私には自宅で作れる気がしないこともあり、一度行ってみたいお店です。

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