サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

  1. hontoトップ
  2. レビュー
  3. 山好きお坊さんさんのレビュー一覧

山好きお坊さんさんのレビュー一覧

投稿者:山好きお坊さん

38 件中 31 件~ 38 件を表示

紙の本魔術と錬金術

2016/02/17 18:58

「魔術」が近代科学の萌芽となる

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ルネサンスの始期は中世から始まっていたことを知り、目から鱗の感で、周辺の書物をあたり出した。従然から強い関心があり、「魔術」が、近代科学の萌芽となり、途中から大きく袂をわけたことを知る。「魔術」という言葉が禍々しいものをイメージさせるからであろう、どうやら「白魔術」が科学へと続いていくもので、呪術を含む「黒魔術」は「魔法」と使い分けるべきらしいことも知った。本書著作者の『魔術師たちのルネサンス』から派生して本書を手にした。読書は次々に読書のすそ野を拡げてくれることを痛感しました。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本稀覯人の不思議 長編本格推理

2016/02/17 17:40

漫画コレクターの殺人事件

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この本のメインは、この世に2冊しかない手塚本の1冊を所有しているものが、稀少性を絶対化するために、もう1冊の所有者を殺し、本を燃やしてしまうのだが、昔、本のコレクターが同じことを実際に実行した記事を何かの本で読んだ記憶がある。狂気の部類だろうが、いそうである。
推理小説的には、いわゆる密室殺人もので、推理をきくとなるほどと納得してしまうが、犯人は二人組みであったなんて、肩すかしぎみの不消化さが残った。あまり、推理小説は読まないので、さもこれがトリックの真実であると作者から押し付けられる感じが残り、後味はすっきりしない。これからも、本に絡むものは読むが、単なる殺人事件的なものには食指が動きそうも無い。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本雪の練習生

2016/02/16 22:53

クマがしゃべり、人と交わる。それってナーニ?

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

いやはや、どうなっているの、白熊がサーカスを引退して、監視国家華やかなるソ連で自伝を執筆。クマがしゃべり人と交わり、かって枕を交わしてもよいと思ったが、体位がままならず、キスで終わったオットセイが編集長をつとめる雑誌に持ち込み、掲載される。まいった、まいった、頭を空にして
ページをめくった。
実在の人気ホッキョクグマ「クヌート」に関心があり、興味を持って本書を手にした。
 いったいこの作品の主張は何か。東側の監視社会の状況、閉塞感は嗅ぎ取れた。それよりも、動物に喋らせ、人間と同じ次元の生活をおくらせるという設定は、戯画なのか。動物としての役割をこなさせると同時に人権をも行使させる。
第二部では、調教師ウルズラの見る夢の中でのトスカとの会話が、夢でありながら、現実世界におけるトスカとの了解事実となって、進展する(「日中は共通言語がないのでトスカと話し合うことはできないが、ちょっとした態度や目つきで、きのう夢の中でトスカと話したことについてトスカが考えているのが分かる。」108頁)。荒唐無形と思われるが読み進めるのにさほどの違和感はない。実験的手法の作品と形容するのか、「さて、さて」である。 
人間のもつ欺瞞=「目の前に満面の微笑がひろがっているが、脇の下から嘘がぷんぷんにおってくる。微笑みは人減が顔にのせる表情のうちで最も信用できないものの一つだということが分かってきた。」(59頁)
 猛獣グループのショー=虎とライオンと豹を並ばせて得意になっている人間は、少数民族に派手な衣装を着せてパレードさせる連合国家のようなものだ。自治権は認めなくても、パレードの衣装で多様性を強調する。肉食動物たちは自然の中ではお互いに距離を置いて、無意味に殺し合わないで生きている。それを無理に狭い場所に集めて、動物図鑑の一ページのような光景を作りだして誇る人間というのは本当におろかな動物で・・・」(81頁) 
 警察署に保護された幼いウルズラを引き取りにきた母が、サーカスで働くことを認めたときの言葉が?=「サーカスで働けるようにしてくれたのは母だった。「ありがとう。」「お礼なんていいの」と答えるほほの手がものすごく大きい。「お母さんのてはどうしてそんなに大きいの?」「それはわたしがトスカだから」(148頁)、トスカは、ウルズラがサーカスにきちんと入り、未来に調教を任されるホッキョクグマである。唐突しか思えないこの言葉、しっくりしない。
 パソコンに写る、成長したクヌートから離れていった飼育員ミヒャエルとの会話(242頁)といい、新聞記事で死亡したはずのミヒャエルの夜の訪問(250頁)といいクヌートの心象の世界がさも現実かのように描かれる。はて、はてと悩む。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

これからどうする?

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

これからの進むべき社会、いやこれしかない道を示してくれた。高度に経済的、物質的に成熟した資本主義社会において、もう成長や拡大を目標にして政治・経済を進めることは誤りであり、不可能であることを理解させられた。先進国がこの目標を持ち続ければ、経済の閉塞から大戦に踏み込んだ歴史の過ちを繰り返しかねないと感じた。物があふれ、供給力は過剰となってはいても、生活困窮者はなくならないどころか増大している現実、為政者はどこに目を向けているのか疑問になる。それが経済学の主流となっている市場主義経済学の教えに起因していたとは驚く。それにしても、「佐伯啓思」という学者の筆力に驚いた、論理的でわかりやすく、訥々と論を進める描写に圧倒された。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本雪男は向こうからやって来た

2016/02/16 10:57

雪男はいた?いない?

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

文章がイイ、実に飽きさせない。時系列的ではなく、エピソードを遡って興味深く背景、経過を著述するので、心底引き込まれる。 知っている登山家、冒険家がどんどん登場してくる。その度に、この登山記録は読んだ、所有しているがまだ読んでいない、とついこすぐられているような満足を感じさせてくれる。 著名な登山家の名前が陸続と出てきた。雪をキーワードにつながる状況をうまい構成で読ませてくれた。雪男を見た人は、魅されてその後の人生を雪男探索に明け暮れる。他人を納得させる証拠の写真を手に入れるために。第三者には否定的見方しかされない状況を、「いただろ、この写真を見てみろ!」とドヤ顔で言わんがために、いや、本当はいなかったのではという自分の心に芽生える疑いの気持ちをはっきりと打ち消さんがために、その影を追い続けるのであろう。なんとなく得心できる。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本幽霊たち 改版

2016/02/14 22:00

シュールさにしびれる

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

翻訳者の柴田元幸さんは、アメリカ文学の中でもポール・オースター大好き人間らしく、ほとんど一手に翻訳している。後に彼の新訳で読む『ガラスの街』にいたっては、すでに他の翻訳者が角川書店から出版していたことが、痛恨の極みと解説文の端々に感じられるほどであった。それだけに期待して読み始めたが、噂に違え難物であった。私立探偵ブルーが受けた仕事が変っていて、向かいのビルの真向いの部屋に出入りするブラックを一日中見張り、報告書をまとめて郵送するというもの。ブラックは何をするではなく、窓際の机にすわり、何か読み書きしているだけ。ブルーの頭は、ブラックへの集中と仕事への疑問から狂わんばかり、とうとう、変装して接触を試みたり、部屋に押し入るに至る。内容の多くはブルーの思考の上で展開する。この仕事の目的、意味が不明、ブラックもまたブルーと同じ頼まれ私立探偵でもあるようだし、実にシュールな感じのする作品である。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本タタール人の砂漠

2016/02/13 23:26

幻想文学の名作古典

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

具体的な場所や時代を明示せず、国境のある砦を舞台に、過去敵軍が侵攻してきた北面の荒れ果てた砂漠を監視するという状況だけで話が進む。とはいえ、飽きさせず、何か起きそうだという気持ちを読み手にも絶えさせない筆力は相当なものである。人生を暗喩しているとの解説だが、楽しめれば良いと思う。「幻想小説」のイメージが随分、この作品によって大きく広がった気がする。でも、マトモジャン!という感想を抱いた。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本異類婚姻譚

2016/01/31 21:55

夫婦は異類にはじまり同類へと変化する

8人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

タイトルが良い、読みたくさせる猥雑さがある。
 超美人ともったいなくも離婚したパッとしない男と結婚して専業主婦で暮らす容姿の普通の女性が夫婦生活の進むにつれ、夫婦二人の顔が変化して似てきたことに驚く。夫の顔の鼻や目や口が時として勝手に崩れるがごとく位置をずらす。妻サンちゃんの注視に気づくと慌てて正位置に戻る。このころから旦那は人間ではないのではと思い始めた。物に憑かれたように携帯ゲームに興じたと思っていると、今度は今までしたこともなかった揚げ物調理に凝る。体調不良を理由に頻繁に会社を早退するようになると、美人な元妻とよりを戻そうとしているのかとサンちゃんは疑心暗鬼になる。耐えられず、旦那に「あんたのすきなものになりなさい」と問い詰めると、なんと旦那は、山芍薬に変じてしまう。サンちゃんは、キタヱと猫のサンショを捨てに行った群馬の山奥に、その山芍薬を植え、時々会いに行く。
 怪異譚だが、作者は何を言いたかったのか。世間でいう「夫婦は似てくる」ということをベースに、似てくるには理由がある「楽に生きるにはツレアイの姿に同化すればよい、意見でも過ごし方で目立つ差異には「角がたつ」。夫婦とはいえ所詮他人同士、波風立てないほうが気は楽だ。そう考えた方が一方にドンドンと食べられるがごとく自分を喪失させ、無意識に相方に似せていく。 本書では、似ていくことを気取られ、「似るのではなく、好きなものになれ」と怒鳴られた亭主は一輪の白い花を抱く山芍薬になった。ラストに清涼感が漂う、読後しばらく瞑目して、わが夫婦のあり様を思った。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

38 件中 31 件~ 38 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。