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にゃっつさんのレビュー一覧

投稿者:にゃっつ

63 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本損料屋喜八郎始末控え

2021/02/22 09:58

一力版「必殺仕置き人」

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2月にしては春めいた陽気が続いている。
コロナの自粛期間真っただ中だが、浅草には人があふれる日曜日となった。
こんなんで大丈夫かなと思いつつ、通勤の地下鉄に乗った。
しかし、しかしである。
日本人にとって、東京人にとって、「春は浅草」なのである。
隅田川の両岸が桜色に染め上げられて、春。なのである。
仕方ないかな、と思う。

そんなおり、
山本一力先生の新しいシリーズを知った。
「損料屋 喜八郎」シリーズである。
損料屋というのは、現代のレンタルショップであり、貧しい人々に鍋・釜、布団などの日用品を貸出し、賃料をもらうのを生業とする。
だが、この喜八郎、そんな老人・隠居の生業とされる損料屋にしては年若い。
そう、損料屋は仮の姿で、本当の仕事は勘定奉行の密偵なのである。
だから、仕事が金にまつわる厳しい話ばかりなのである。

一力ワールドは市井の庶民の話が主だが、このシリーズは札差と呼ばれる武家相手の金貸しの話が中心。
時代は松平定信が「棄捐令」を発布する前後。
武家相手に切米を担保に金を融通し、巨万の富を稼いだ札差たちが、棄捐令によって貸付金を棒引きにされてからの話である。
実に生々しく、厳しい話である。

そんな中身を江戸深川・門前仲町あたりの季節行事を絡ませながら読み進めさせる筆致はさすが。
知らず知らずに引き込まれ、江戸の四季を感じながら勧善懲悪と割り切れない、錆びついた味のする物語に浸れる。

幕府と政府、行政の呼び名は変わっても金に関する人々の感情は変わらぬものだと妙な感心をしてしまうが、日銀のインフレ策につられて上がる株価を見ていると油断ならないことじゃあると思ってしまう。

とはいえ、読後感は後味すっきりの一力ワールドであることは保証する。

春はもうすぐである。

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紙の本マスクは踊る

2021/02/15 10:05

令和になってますますパワフル

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オリンピック組織委員会がガタついているが、ショージ君はまったくガタついていない。
そんな安定感が感じられる「大人の分別学」の単行本である。
おまけに「タンマ君」も読めるという大サービス版。

令和の元号発表をこれほど深く掘り起こした人も少ないのではないだろうか。
自分はテレビでその場面を見て、「あ、そ」くらいしか思わなかったのだが、巨匠は視点がさすがに違う。
平成と比べて、あれこれ考察。つらつら思考。
結論としては、「簡単すぎる」と切って捨てている。
そういわれりゃそーだな、と凡人の典型である私は深くふかーく頷く。

かたや、田原総一郎氏と「老人とセックス」について鋭く対談。
これは問題として身近なので私も「ナニナニ」と思わず顔を近づける。

40年も画業をこなしてこられ、しかもいまだに第一線。
頭の下がることである。
ついでに溜飲も下がる。

コロナ禍でうつうつとしている方、必読の書と言っても過言ではないと思う。

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紙の本泣きたくなるような青空

2021/02/09 14:36

あんな時代もあったねと

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「泣きたくなるような空」って…? 
という素朴な疑問からこの本を手に取った。
作者は吉田修一。
脂ののった芥川賞作家である。
内容は「旅」にまつわるエッセイ。
なんと大好きな全日空(いまはANAと言うそうで)の機内誌「翼の王国」に連載されているエッセイをまとめたものであるそうだ。
ANAファンとしては人後に落ちないと自覚していた私だが、不覚にも知らなかった。
この本はそのシリーズの4冊目だそうで、ずいぶん長い間飛行機の旅をしていないことに淋しく気づく。
機内誌と言えば、わが愛する巨匠浅田次郎先生の某航空会社の機内誌エッセイだが、浅田先生とは異なる趣の味わいがあって、このシリーズも快適な読み心地。
難を言えば、誰それさんとの付き合いが…という背景が多いところが花につくのと、ちょいと気取って肩に力が入っているような感じがするどころ。
しかし、それも巨匠と敢えて比べれば、という話。
このシリーズだけ読んでいれば、さすがに全日空、というフランクな気軽なエッセイだろう。
自由に旅行も出来ないいまだから輝くエピソードも多い.あんな時代もあったねと…。
翼の王国だからといって、タイトルに「空」を入れることにあまりこだわらなくてもいいと思うけれど。
ちなみに、慌ててシリーズ既刊を全部買いました。

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ブルーバックスは文系には難しいやん

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大河ドラマのクライマックスが年を越え2月になるという初めての状況下、私も木村佳乃の身体を張った写真撮影のドタバタを観るのを諦めてチャンネルを回した。
「麒麟が来る!」
なんとも冴えない主人公であったが、本能寺の変を違った側面で見せてくれたのが新鮮であった。
さて、光秀はこうして天下人になったが、備中から毛利氏と講和して引き返して来た羽柴秀吉に天王山であえなく討ち取られ、望みを断たれる。
光秀が天下を取っていたら、と考えるのは楽しい歴史のIFであるが、この本ではまた異なる側面から歴史の「もしかしたら」を科学的に考えさせてくれる。
220キロの距離を20,000の大軍を率いていかにして8日間で引き返せたか?
秀吉の大返しは歴史の知識としてあるが、では実際にどうだったのか?
考えでもみなかったことに気づかせて貰えた。
元寇という歴史上の出来事も、科学的に観るとこういうことかと改めて思う。
特に筆者は戦艦大和に思い入れがあるようで、その運用方法に刮目した。
さすがに、理科系の方は素晴らしい発想をされるものである。
楽しいブルーバックスであった。

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紙の本B級グルメで世界一周

2021/01/23 15:42

古さを感じさせない

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グルメエッセイと言えば、東海林さだお。
その大ショージ先生のアンソロジーが最近相次いで出版されていて、賑わっている。
多くの作品は「あれもくいたい これもくいたい」(週刊朝日連載 単行本は朝日新聞社から。文庫版は「○○の丸かじり」といういわゆる「丸かじりシリーズで文春文庫から出版される)のライブラリーからピックアップされたもので、切り口を変えればどんなテーマでもまとまってしまうほどの作品数があると言うことで、これからも続々と出て来るでしょう!
さて、この「B級グルメで世界一周」もその例に漏れず、世界各地のうまいものというテーマで選ばれている。
かなり古い作品もあるが、いまでも賞味期限は切れていない。
まことに新鮮な味わいの作品に、思わず「腹が減る」。
そうなのである。
この人の、いやいやショージ大先生の作品は読んでいて腹が減るのが困るところである。
思わず本を置いてスーパーに向かってしまう人はあとをたたないだろう。
困っちゃうね。
でも面白いから許すのである。
どうか先生、いつまでもお元気で。
と祈らずにはいられない。

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まことになんと言うべきか

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小学生の頃に少年サンデー、マガジンに出会ってから、好きな本を感覚的に選びだす力には長けていると自信を持っている。
書店にずらりと並んだ本の背表紙が私に語りかけて来るのだ。
曰わく「私は面白い」
「読んで読んで読んで」
「あんまり自信ないです」
とワイワイひそひそと私に本が語りかけてくる。
その言葉に応じて選んだ本は、まず外れなかった。
長じて。
街の本屋さんは次々にシャッターを下ろし、大型の書店だけが生き残る時代になってしまった。
本棚は大型化し、収まりきれない本は平積みされるようになった。
まさに本の海。
嬉しい光景じゃある。
しかし、本の声は聞こえなくなった。
私は仕方なく、新聞というメディアの広告と書評に頼るようになった。
その方法で出会った本のひとつがこの作品である。
タイトルがいいよね。
「生き延びた特攻兵のポリス魂」。
命を捨てる覚悟でお国に尽くした男が、警察官になったのか。
見上げたものだ。
「ポリス魂」とあるから、警察官としてもさぞや活躍したのであろう。
たいしたものだ。
と、期待は大きく膨らんだ。
しかし、読み始めると混乱が生じた。
筆者の視点が全く定まらず、時系列も唐突で、それが何月のことなのかも不明なまま、繰り言のような思い出話が延々と続くのである。
本というのは読後、ある程度の記憶と感想が残るものであるが、この本にはなし。
もともと自費出版したものを、版元の目に止まり改めて出版されたとのことだが、では版元はしっかり校閲してあげたのだろうか。
この本を気持ちよく読めて、生き方に感動したという読者は果たしているのだろうか。
まことに残念な一冊であった。
版元は反省されたい。

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紙の本ベニヤ板の特攻艇と沖縄戦

2021/01/10 08:53

愚かしいけど、忘れてはならないこと

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昨年春に続いて2度目の緊急事態宣言が発令されてしまった。
もうあんなバカなことはないだろうと誰もがたかをくくっていたら、あれよあれよという間に2,000人を超える感染者が出始めた。
為すすべもなく、今回の緊急事態となった。
おりしも前の震災から10年目を迎えようとする新年早々に。
日本人は賢く、正義感が強く、我慢強い国民だと私は信じて止まないが、そうとも言えない過ちも犯して来ている。
それが肯定したくはないが、現実である。
新聞広告で知って、手に取ったこの作品。
「ベニヤ板で作った特攻艇」?
あり得ないでしょ、と思いつつ読み進めたが。
陸軍の兵器として存在したという。
主にフィリピン上陸阻止、台湾防衛戦を目的に作成され、乗務員を募り育成した部隊であったようだ。
船を知っている人なら誰でも解ることだが、船首にバラバスバウ(球状突起)をつけてないと、船はまっすぐ進まない。
水切りで使う平たい小石と同様に水面を跳ね、どっちに向かうかわからなくなる。
そんな操船が難しい木っ端ぶねに、爆弾や機雷を載せて大型船舶に体当たりもしくは、すれすれの肉薄攻撃をさせるとは。
考案者はなにを考えていたのか。
まさに貧すれば鈍する、ということか。
それよりもなによりも。
筆者は出撃する機会を与えられず、ひたすら戦争の状況を観察するばかりの日々を送ったようである。
そのため、極めて詳細に沖縄戦の様子が描き伝えられている。
兵隊も島民も悲惨な抵抗を強いられ、本当に気の毒である。
沖縄戦が本土の空襲の激しさに隠れてしまい、戦艦大和が海上特攻をしましたが、間に合いませんでした、程度に語られてしまうのは理不尽であるとつくづく考えさせられた。
日本人が犯した過ちを今一度学びたいと思わされる一冊である。
犠牲となったかたたちのご冥福をお祈りいたします。

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紙の本銀しゃり 新装版

2021/01/01 10:43

王道のグルメ幸せ小説

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2021年が穏やかに明けた。
コロナで大変な年になった2020年が東京都感染者1,000人突破で締めくくられ。
またしても非常事態宣言かという瀬戸際での年の瀬が終わった。
それでも2021年の朝は輝く日の出を迎えることが出来たことを幸せに感じる。
いいこともあり、また同じだけ悪いこともあるのだ。
大自然は変わらぬ営みを続け、四季が移ろっていく。
去年が歴史の中の痛い思い出になる日が来ることを信じて今年を生きて生きたい。
さて、山本一力先生の本作品。
こけらずし(柿鮨)という鮨職人として独立した主人公新吉の日々のなりわいを丁寧に描いていく。
幼なじみとの関わりや、武士との出会いを通じて、次第に力をつけていく新吉の日常はまさに一力節とも言える小さな感動の連続である。
細かに描写される飯炊きや鮨作りの過程は、詰まるところ当たり前の日常を丁寧に過ごすということ。
米研ぎはやらないにせよ、歯磨き、ひげ剃り、洗顔という日常の所作にも工夫と感謝を込めないといけないな、と教えてくれる。
結末はいささか予定調和の感が拭えないにせよ、やはり手慣れた仕事で丁寧に結ばれる。
一読の価値が十二分に詰まった、一力ワールドの「押し寿司」である。

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まあまあナノかな

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街に人出が少なくなってきてはいるものの、働かなければならない人々はやはり毎日出かける。
私もその一人であるが、気分のありようで日々環境の受け止め方も変わる。
「人間だもの」で片付けられる日もあれば、許し難い思いをする日もある。
通勤電車では社内放送やポスターでマナー向上を喚起するものの、そもそも人に迷惑な行為をする人間に、それを受け止める感性などあろうはずもなく。
だから周囲のイライラはますます募る。
そんなストレスを一気に解消してくれそうだと、手にしたのがこの本。
内容的には、よくまとまっていて頷ける部分も少なくない。
だが、読後「よかった、エガッタ」という満足感にかける。
なぜだろうと考えた。
・イラストがいまいち
 いわゆるヘタウマイラストなのだが、好感が持てない。これは受け止める側の感性の問題。画家のせいではない。
では内容?
・絶滅希望種の名付け方がいまいち
確かにそれはある。
かなり強引な名付け方がほとんど。
動物のみならず、細菌まで引っ張り出したネーミングは苦労が忍ばれはするものの、あまりピンとこない。
ということで、「おっしゃることはわかりますがね…」。
もやもやした感じが残るのは、ひねくれじいさんだからなのかな。
撃退法も書いたらよかったのでは?

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青いルポルタージュ

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クリマスマスが窮屈に終わろうとしている。
自粛のための、忘年会、パーティー中止。
人類の長い目でみればたかだか1年の辛抱なのだが、それでも人は目の前の幸せに目を向ける。
自分が幸せでないと思えば、さらに不幸な人がいることを知って、それよりは「まし」だと思う。
至極当たり前の行動だろう。心理だろう。
それが、人々の差別や偏見につながるのだが、人は見ないではおられない。
その興味の対象の典型が、山谷、西成といういわゆるドヤ街の内実、現場であろう。
この國友氏のルポルタージュはその西成に生活したという突撃ルポ。
氏は78日にわたって西成で暮らしたという。
彼が接するのは「飯場」といわれる解体工事に従事する建設会社の仕事とその労働者。
次にドヤといわれる「簡易宿泊施設」。
若いのにえらいなぁといいたいところであるが、もう少し社会をきちんとみてからの方がよかったかも知れない。
我々が読んで面白いと思う事象もあるが、いまいち表層的なのである。
むろんのこと、20代、あるいは30代前半であるので、社会経験もあまりなさそうであるので仕方がない一面はある。
だが、全体に漂う、「僕はこっち側だから」という雰囲気が年寄りの私には鼻についてならなかった。 
本になったYouTube、という感を拭えなかったのは私だけであろうか。
成熟して、再度ルポルタージュを試みてもらいたいと思い、期待する。

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紙の本燃えよ剣 下

2020/12/13 09:21

男の中の男

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司馬遼太郎先生の作品は現在60歳以上の方にとって懐かしくもあり、またこれからの生き方を教えてくれるものではなかろうか。
 映画化されると聞いて、私もこの本を手に取った。
 司馬遼太郎先生の新撰組ものは読んだような、読まなかったような、はなはだ心許ない記憶しかない。
 新撰組副長 土方歳三の人生を描ききったこの作品。
 おなじみの作者の意見が随所に挟まれて、極めて分かりやすく、深い。
 この作品を読むまで、土方歳三という男を知らなかったと言っても過言ではない。
 なぜ幕末、榎本武揚の軍に加わって海に陸に暴れ回ったのか、ようやくわかった。
 痛快な生き方をした男であったと思う。
 お雪との淡い恋も切ない。
 この作品を語るのに多くの言葉は要らないと思う。
 映画をみる前に。映画を見てから。
 ぜひご一読あれ。
 しかし、本題ではないが、幕末にもハシカの大流行があったという。
 それを江戸町民は耐えてきた。
 さらに時代を下って、明治にもスペイン風邪の流行もあった。
 ことごとく日本人は乗り越えてきた。
 いま、この時代。
 コロナが克服出来ないはずは、ない。
 頑張って、耐えていきたい。
 先人に嗤われないように。

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紙の本さむがりやのサンタ

2020/12/11 14:10

サンタクロースの季節だ!

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コロナ、コロナで一年が過ぎた。
 感染者の数字に一喜一憂しながらも季節は確実に移ろい、初冬師走を迎えた。
 クリスマスの季節である。
 忘年会もクリスマスパーティーも望むべくもない今年のクリスマスシーズンだが、長い人生の中で、こんな年もあってもいいのかもしれない。
 大切な仲間と年忘れが出来ないのなら、自宅で家族であるいはひとりでのんびりクリスマスを祝うのが乙でしょう。
 そのお供にお勧めなのが、この「寒がりやのサンタさん」。
 原題は「ファーザークリスマス」という。
 英語でサンタクロースはファーザークリスマスというのが正しいのでズバリそのままの題名。
 わかりやすい。
 作者のレイモンド・ブリッグスはイギリスの有名な絵本作家。
 「スノーマン」とともに人気のある本作品だが、「風に吹かれて」という反核兵器をテーマにした社会性の強いメッセージも発信している。

 さて、本作品だが、サンタクロースの夏休みに始まり、クリスマスのプレゼント配達までをドキュメンタリータッチで描いてあり、面白い。
 サンタクロースの存在を疑う子供たちや、信じることに疲れた大人たちに格好のプレゼントにもなるだろう。
 冬はクリスマスに始まり、大晦日、正月とせわしなく楽しい行事が目白押しとなり楽しい季節だが。
 今年はゆっくりお家で過ごすのもいいかも知れない。
 そんな気になれる楽しい一冊である。

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お疲れさま 健さん

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子供の頃、高倉健と三島由紀夫の区別がつかなかった。
 というか、人の顔を覚えるのが下手くそで、洋画は誰が誰やらわからなくなったものだ。
 高倉健と三島由紀夫の共通点は、スポーツ刈であることぐらいなのだが、わたしにはもうひとつ。
 どちらも私の記憶にくっきりと楔を打ち込んでくれたこと。
 東映の仁侠映画での健さん。
 市ヶ谷で自決した三島由紀夫。
 前者は太った色白の弱虫だった私の英雄。
 後者は、自衛隊は決して間違わない集団であることの証明。
 さて、健さん。
 惜しまれつつ亡くなったが、死後がガタガタしているようで、この本はそのルポルタージュというか、覗き見作品。
 健さんはたくさんの名画を残して逝ったのだから、遺産なんかほっときなはいよ、と言いたいところだが、親族はそうでもないらしい。
 であるので、「謎の養女」が攻め立てられているらしい。
 私はこの本に描かれている、健さんの律儀な生き方と、江利チエミとの愛の方に感動する。
 さすがだな、と思う。
 で、八甲田山のビデオに向かった。

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さいとう・たかをワーク集大成

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田中角栄元首相ほど毀誉褒貶の激しい人はないだろう。
首相として登場したときは、「平民宰相」「コンピューター付ブルドーザー」とその行動力と学歴に頼らない出世力を高く評価され。
ロッキード疑獄では、「銭ゲバ」と罵られ。
そして今、またその思考、行動力を再評価されている。
この本は歴代の昭和の宰相の人生を描いた伝記コミックシリーズの中の1巻。
描かれている場面には、ゴルゴタッチの人間はひとりもおらず、写実的な現実に存在した、あるいは存在している人びとが描かれ、セリフが多い。
さいとう・たかを色はないが、これこそがさいとう・たかを先生が提唱している、劇画工房の作品の真骨頂だろう。
さいとうタッチの太いのびのびとした線ではなく、細い写実的に描かれる線が、この作品の真面目さというか公平な史観に似合っている。
細い線で描かれる福田赳夫や三木のなんといきいきしていることか。
文庫版が手頃な価格であるが、単行本サイズの大画面で読みたい作品である。

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電子書籍坊っちゃん

2020/12/07 08:17

やはり名作

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小学生の頃、たまらなく本が好きだった。
少年サンデー、マガジン、冒険王、少年画報などの漫画本で字を覚え(吹き出しにはすべてルビが振ってあった)、やがて文章だけの本に進む。
父親の小説現代や母親の婦人公論まで読み散らかすので、母親が「こりゃヤバい」と思ったのか、思わなかったのか。
神戸市の須磨区は月見山商店街にあった本屋に連れて行ってくれて、文庫本を見繕ってくれた。
その中の一冊が「ぼっちゃん」。
他に「車輪の下」とか、「にんじん」とか、「小公子」などあったかと思うが、記憶になく、現物もない。
「ぼっちゃん」は読んでみたものの、言葉が古く、時代背景もさっぱりわからず、人が言うほどおもしろいとは思わなかった。
やがて、長じて。
谷口ジロー先生の夏目漱石を中心とした明治黎明期の群像伝記に出会った。
これは夏目漱石の日常を中心として、森鴎外、石川啄木などの青春を描いた大作。
これを読んで、また「ぼっちゃん」を読んでみたくなった訳である。
いつも前書きが長いので心苦しいが、そんなわけで読んだこの作品。
大人になってみると、なるほど、明治の青年たちも今とやることはあまり変わらないのだと納得する。
時代背景が人間の運命を、性格を形作ってくれるのだが、ぼっちゃんの社会や人に対する感性、ものの考え方は少なくとも現代の私に一脈通ずるものがあると感じた。
とにかく、ストーリーはおもしろいし、大人になって読み返して良かったと思う名作である。

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