figaroさんのレビュー一覧
投稿者:figaro
紙の本ムラブリ 文字も暦も持たない狩猟採集民から言語学者が教わったこと
2023/07/03 08:32
グローバル化への疑い
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人間は言葉というものを介して抽象概念を伝えることができる。これは大変素晴らしいことだ。最近ならば「英語」がその筆頭格なのだろう。便利であることには間違いないが、少数言語はより振り出し、どんどんと絶滅していくことになる。
ムラブリには時制の概念がない。逆に言うと私たちには時制について厳密に定まっており自由度がない、とも言える。
著者は大学にて研究者として活躍していたが、結果的には「自由」を選んだ。それは著者がムラブリ化した、ということもできる。
便利になったが故の不自由さを招いた現代社会をムラブリから考える著者の視点は、一考に値する。
2021/12/02 22:49
天才的数学者の憧憬
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フェルマーの最終定理。これを証明するにあたって、日本人数学者が貢献している。岩澤理論の岩澤健吉、谷山・志村予想の谷山豊、そして本書の著者、志村五郎である。
数奇というか、この谷山・志村予想で冠たる名前を有している谷山豊は残念なことに若くして亡くなっている。志村と同じ学友であり、共同研究者でもある。
天才的数学者志村五郎の幼少の頃、大学時代、葛藤、そして数学へ憧憬、そういった心うちを垣間見れる一冊である。
紙の本渡邉恒雄回顧録
2021/01/23 10:15
好きなヤツではないが、でも魅力的
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一般人でナベツネのファンなんていないだろう。私も好きではない。
とある公共放送でやっていた特番を観て、本書を読んでみようと思った。
彼が哲学科に在籍していたこと、共産主義運動に関わったこと、そのどれもがマキャベリスト的な今のナベツネとは相反するものに見えた。そして戦争を経験し、明日どうなるかもしれない死を潜り抜けた、このあたりがナベツネのナベツネらしさを形成したのだと思う。
権力者に接近し、そのなかに入っていく、それは人間的魅力なのか、あるいは術なのか、そのあたりはよくわからない。ただ、改めて本書を読んでみて、彼の考え方、冷静な見方、詳細な記憶力、これらには驚かされる。
好きなヤツではないが、でも魅力的に私には映る。
2019/11/16 09:44
日本の原風景、奈良
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奈良という場所では観光はするけど、長期間滞在ということはあまりしないようだ。
この本、奈良を奥深くまで観光するには実に良い本で、歩いて要所要所を訪れた場合、どのくらいの時間がかかるか、交通機関はどれを使うかとおすすめのプランが書かれている。全ルートを回らなくても、その一部に寄る、それだけでも十分に使える本だ。
日本の原風景、奈良にこの本とともに訪れてはいかがだろうか。
2019/09/09 21:06
なんと斬新な!!!
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家紋、と聞くとなんだか武家の覇権争いとか明智光秀の家紋を見て、織田信長が光秀の謀反に気付いたとか、ちょっとなあと思っていた。
が、これを意匠と捉えると、まあ豊かな世界が広がっていた。陣笠、とんぼ、鬼、こういうものをこの家紋に使うなんて、なんとも斬新、と改めて思ってしまった。
紙の本ふたりの花見弁当
2018/09/30 17:41
食事の記憶と日常
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「はじめ食堂」で出てくる海老フライ、ローストビーフ、オムレツなど、なぜか懐かしく感じる。
この小説で起こる事柄にすごいことはなく、すべてが日常にありがちなことだ。そして、その日常のなかで、ごく普通な食事をする。それは私たちも同じ。日々、三ツ星レストランで食事を済ませている人はごく少数だろう。
そう、日々の食事の記憶はそのごく普通の日々とを直結させるのだ。だから、懐かしさを感じさせるのだ。
ごちそうさま。
2018/09/18 21:11
まさにインテリジェンス小説!!
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この小説自体、本国での出版の際、かなりの校閲を求められたそうだ。
それはそうだろう。本国にとって、インテリジェンスは国の生死に直結するからだ。
今までに名著と呼ばれたインテリジェンス小説がある。が、ここまで詳細に描写している本は珍しいのではないだろうか。
主人公レイチェル。女性だからといって容赦することはない。訓練中も、オペレーション中も何もかも。なぜか?それは、ひとえに隙を見せた途端、死が待ち受けているからだ。
こういう過酷なインテリジェンス活動を行っているのと比べると、とある国はなんと「幸せ」なことか。
紙の本遊廓に泊まる
2018/08/12 20:36
聖なるもの、俗なるもの
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サイクリングを趣味とする私が何気なく入った地域は、昔の赤線地帯であった。
大きな神社もある都内の某エリアだが、あの不思議な街並み、今でも忘れられない。
伊勢は伊勢詣で有名であるが、しかし俗なるものも当然のように併設されていた。「精進落とし」などと呼ばれていたが、一生に一度行けるか行けないかそういう時代に伊勢まで行くこと、これ自体が奇跡であり、そして生き延びた、そういう中での「精進落とし」だったのだろう。
ただ単純に汚らわしいものと決め付けられないものがある。でなければ、聖なるものにこれほどの俗なるものが残っているわけなどない。
紙の本手塚番 神様の伴走者
2018/06/20 21:47
あー、神様!
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本書を読んで漫画の神様の実像を見たような気がした。
締め切りを守らない、どこかに隠れてしまう、そんなことから編集者の間では、「テヅカオソムシ」「雲隠れサイゾウ」などとあだ名された漫画の神様手塚治虫。
神様とともに伴走する編集者も本当に大変だったろう、そんなことを思わずにはいられない一冊であった。
締め切りを守らない神様ともみ合いになったA氏、なんだかんだと九州まで伴走してしまったB氏。しかし、いづれの方々も神様のことを悪く言わない。きっと、神様と編集者と良い作品を作るため伴走していたのだ。
そんなことを思った一冊であった。
2018/06/10 20:14
まだ見ぬ世界へ!
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頻繁に出張をしているような仕事ならいざ知らず、会社勤めをやっていると大方、いつも同じ通勤経路、同じ席、同じ景色が続く。
この漫画を見て、純粋に思った。まだ見ぬ世界へ行ってみたい、と。
主人公は親にも捨てられ、友達もなく、孤独。明るい性格でもない。地方の高校で、長時間の自転車通学をしていた。でも、スーパーカブをひょんなことから激安価格で購入。いつもとは違う風景が見え、行動範囲も広がっていく・・・。
これから彼女が何を見て、どう感じ、世界が広がっていくか楽しみだ。
紙の本東京「裏町メシ屋」探訪記
2018/06/04 22:13
下町って、本当にイイですね!
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私は根っからの東京下町っ子である。
今ではテレビなどで「下町」とフィーチャーされるが、一昔はそんなことはなかった。ごく普通の「生活の場」だったからだ。
たぶん、物事が何においてもグローバル化し、いまだに都内で懐かしさを体現できる場、それが「東京下町」なんだと思う。
文学的には永井荷風がふらついていた墨東界隈。さすがに昔とは大きく違っているが、いまだに花街がある。
まだまだ知らない東京がこの一冊で見えてくる。そして、B級グルメ情報も満載だ。東京人であっても、この本と気楽なショートトリップをいかがだろうか。
下町って、本当にイイですね!
紙の本バカのものさし
2018/05/27 20:58
子供はバカにできない!?
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子供の質問って、実にグサっと本質を突くものがある。
たとえば、マンション暮らしではなく、昔住んでいたボロボロの家のほうが懐かしいという少女。そちらのほうが精神的に良かったと。
養老先生はすでに他著で、脳と都市化について論じています。すべてが脳が心地よい世界、ましてや今はボタンを押すと全てが片付く世界。
そうではなく、身体を動かすそういう世界に行って、やってごらんなさい。そう言っている相手は子供たちではなく、私たち大人なんだと思う。
だって、そういう世界しか大人は与えられなかったんですもの。
紙の本悲素 上
2018/05/03 10:19
真実は小説よりも奇なり
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これは本当に面白い本で、一気読みであった。例の毒婦事件、夫妻とともに麻雀をしていた中に中毒症状を起こし、殺されかけた方がいたが、その方が事件解明の鍵になっていたことは知らなかった。
とにかく、そういう、「エッ!」と驚くことばかりの本である。まさに、事実は小説より奇なり、である。
2017/06/14 22:44
Naranian??ならではの情報
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奈良は観光地でありながら、京都ほど観光地化されていないと私は思う。
機会があるたび訪れるのだが、大阪から移動したとしても、目的地に行くのに電車を乗り継ぎということが結構ある。よく売っている旅行ガイドも定番の場所、定番の食事処ばかりで何ともと思うことしばし出会った。
そんななか、奈良をこよなく愛する著者の、実に詳細なガイド、まあ、かゆいところに手が届くとでもいうのだろうか、これは奈良をこよなく愛するNaranian??にとって本当にありがたい。
ちょっとしたランチが食べたい、一泊した夜に地元で食したい、そんな細々とした情報が地元目線で出ている、素晴らしい一冊です。
読んでいると奈良に行きたくなりますよ。