Buchiさんのレビュー一覧
投稿者:Buchi
2018/09/06 19:39
ただ怖ろしく恐いだけではありません
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ただ怖ろしく恐いだけではありません。 さすがの宮部みゆきさんです。
"小雪舞う日の怪談語り"ではホロリとさせられ、"まぐる笛"では お国訛りで語られて怪獣話が趣のある話になっていました。 "節季顔"では彼岸と此岸を行き来する商人が、単なる死の商人ではなく 人々の未練をつないで思いを成就していく良き商人と描かれています。
2018/09/06 19:37
日本漫画昔話みたいな怪談話
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前の巻では人の情の怖さが際立っていましたが、この巻は少し趣が異なっています。
TVアニメの日本漫画昔話みたいな雰囲気なんです。
登場する物の怪に可愛らしさを覚えてしまうほどです。 それに著者一流の人情にあふれた描き方には あいもかわらず泣かされました。
新たな脇役達も増え、次作でも活躍してくれるかと思うと楽しみもひとしおです。
2018/09/06 19:34
人情小説のような百物語
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題に百物語とありますが、蝋燭を百本立てて一本ずつ消していって最後に....なんておどろおどろしいものではなく、どちらかというと人情物のようなお話。
結末では、登場してきた人達(恐ろしいあるいは哀しい最後をとげて物の怪となった人達)が団結し、主人公助ける姿には心がほっとし、またホロリともさせられました。
続編があるということなので楽しいです。
紙の本猫の傀儡
2018/09/06 19:23
設定が素敵で奇抜...猫好きはニンマリ
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人間が猫を傀儡として操るのではなく、猫が人間を操るなんて...設定が素敵で奇抜。
傀儡師のミスジ"(猫)も傀儡の時雨(人間)も推理力抜群で次々と難問を解決していきます。痛快、痛快! 登場してくる猫たちも多彩で、たいへん面白いです。
私はユキの可愛らしさにやられてしまいました。 猫好きにはお薦めの一冊です。 猫を飼ったことがある人ならだれでも、"自分も傀儡になっていたかも...”と思わずニンマリしちゃいます。
紙の本スイス鉄道ものがたり
2018/09/06 19:04
大人にも読みごたえ充分な鉄道絵本
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「時刻表2万キロ』などの作品で鉄道紀行文や鉄道ファンの地位を高めてくれた鉄道ファンの神様みたいな宮脇さんが文を担当した科学絵本。絵は元国鉄マンの黒岩さんが描いています。
マッターホルンやモンテローザを眺めに鉄道でしか行けない町ツェルマットを一度訪れたことがあり、当時を思い出し少し興奮しながら読みました。
環境保全のために車よりも鉄道を優先させた施策をとるスイスは、日本やアメリカとはだいぶ異なる鉄道事情であることが覗えて興味深いです。
スイスの産業や歴史などにも少し触れられていて大人でも読み応えがあります。
紙の本蟬しぐれ
2018/09/06 12:16
時代小説の面白さが凝縮された傑作
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時代小説の面白さが凝縮された傑作だと思います。若い日の恋心を軸に、藩の権力争い、側室とお世継ぎの問題、剣の修行そして立ち回りと剣劇、若き藩士たちの出世と友情と苦悩など時代小説を面白くする要素がたっぷりと盛り込まれています。しかしなんといっても素晴らしいのは、江戸市中ではなく、国元が舞台であることではないでしょうか。山に囲まれ川が流れる城下、鄙びた田園や山村の様子、蝉しぐれに包まれる町や武家長屋、湯治場の風景などなど。どの情景も淡々と描かれ、ある種の潔さあるいは清々とした雰囲気をこの小説にもたらしています。
紙の本あずかりやさん 1
2018/09/04 19:38
"本当に大切なものは目に見えない"
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『星の王子さま』の有名な言葉 "本当に大切なものは目に見えない" ということを改めて教えてくれる本です。そしてこの本は、暖簾、ガラスケース、自転車などの"物"の視点で語られています。物にもそれぞれに性別や考え方、生き方があるんですね。物にも人生があるように、お客様にも人生があります。あずかりやさんを訪れるお客様には"迷い"があります。その"迷い"から距離をおくように預けていきます。そのお客様のことを物たちがいろいろと評したりするので、お客様の人生の迷いが垣間見えます。それがまた読者の心をうってくるのです。
紙の本猫は抱くもの
2018/09/04 19:33
すべての猫の幸せのために書かれたかのような物語
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野良も家猫もなく、すべての猫の幸せのために書かれたかのような物語です。"ねこすて橋"なんて誤解を受けそうな名称の橋が、猫と猫、猫と人間あるいは人間同士がつながる場所になっています。家猫、野良猫、行方不明の猫を探している人間、野良猫達の世話してくれる人間、人間を求める猫......様々な背景をもった猫や人間が、この橋を中心にしていろいろなドラマを見せてくれます。そして、最後に三毛の子猫がルノワールという名前を貰うエピソードに、猫好きの胸は強くうたれます。そして、ルノワールの画をネット検索してしまうのです。
2018/09/17 18:37
貧困の只中に放り出される可能性が誰にでもある
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高齢者が就労を継続する理由が「やりがいを求めてという人が大半だ」というのは誤った認識であることがわかります。
日本は社会保障が弱すぎるから高齢者が働き続けるしかない社会になってしまっていると納得せざるを得ないようです。"一億総活躍社会"という言葉が詭弁に聞こえてしまいます。"国自体を変えなければ「下流老人」貧困の撲滅はありえない"というこの本の訴えには頷かされます。
下流老人の悲惨な現状を知り、これから貧困の只中に放り出される可能性が誰にでもあるという現状を知ることができるという意味で良い本なのだと思います。
2018/09/13 12:37
涙を舐めながら飲む酒の味
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"フグの毒鍋"とは、これまた恐ろしい料理法を考えついたものです。
盲目の板前が目が見えないままフグを捌いて、鍋にするというもの.....並みの根性では怖くて食べられません。
『なみだ酒』の編では、義姉への想いをはっきりと自覚した魚之進。涙を舐めながら飲む酒の味は.....彼を大人の男へと成長させてくれるのかな....次巻以降も楽しみです。
2018/09/13 12:32
食への探求心と推理の勘
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今回登場する料理は、いなり寿司、大福餅、冷やし沢庵、醤油煮のおでん。どれもたいへん美味しそうです。 表紙の絵にもなっている串に刺さったおでんは、静岡育ちの私にはソウルフード。出し汁につかって具がなにか分からないなんて、まさに"しぞーかおでん"です。すごく心魅かれました。
魚之進の食への探求心が推理の勘をも冴えたものとするようで、難事件の解決につながっていきます。 兄殺しの下手人の影もおぼろげに見えはじて、ますます目が離せなくなってきました。
2018/09/13 12:26
食にからむ悪を隠密同心が暴いていきます
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味味方同心というすごく面白い舞台設定です。
"美味しいものの裏には悪がある"と、食にからむ悪を隠密同心が暴いていきます。
あまりシビアでない捕り物と軽い文体で手軽に楽しめました。
しかし、あの結末にはびっくり! どうなっちゃうの次巻?
2018/09/13 12:21
駅弁のイラストは写真よりも旅の情緒にあふれて見えます
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楽しいガイドです。著者の手による駅弁のイラストは、写真よりも旅の情緒にあふれて見えて、今すぐ旅に出たいとお尻のあたりがむずむずしてきます。
また、イラストに添えられたコメントも面白く、「そうそう、そうなんですよね!」とうなずいたりしながら、食べた駅弁とそのときの旅行を思い出したり、未知の土地を訪れてみたくもなります。
旅のガイドブックとしても楽しい一冊です。
食べた後の駅弁の容器の再利用の仕方も紹介されていて、良きヒントをいただきました。
紙の本歌川国芳猫づくし
2018/09/13 12:19
江戸末期に活躍した「奇想」な浮世絵師歌川国芳を主人公にした連作短編集
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江戸末期に活躍した「奇想」な浮世絵師歌川国芳を主人公にした連作短編集。
面白いです。 ミステリやらホラーやら色恋ものなど多彩で、それぞれの物語に猫が絡んで登場します。でも、猫がメインではありません。 タイトルに惹かれた猫好きには物足りないかもしれませんが、『飯どきに、あるいはふっと息を抜いて安らぐときに、いつも膝の上にやってくる』とあるように、著者の猫への愛情は充分に伝わってきます。
国芳や広重らのの代表作もたくさん登場しますので、実際にどんな絵かネットで画像検索しながら読むと楽しみが広がります。
紙の本隻眼の少女
2018/09/10 19:42
謎解きを楽しめる本格推理小説なのですが....
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鄙びた山村、秘湯、旧家にまつわる伝説と因習、連続首切り殺人、翡翠の義眼を持つ少女探偵という横溝正史ばりの舞台設定ですが、グロテスクなホラーではありません。
日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞をダブル受賞というのも納得と思いながら読み進んでいたのですが、第二部の18年後の事件にいたっての大どんでん返しに唖然です。
『神様ゲーム』では"天誅"などという論理も何もない解釈を強要するものがありましたが、このミステリの真犯人はそれに匹敵するような...ある意味"神"のような存在です。さすが麻耶雄嵩の作品です。