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本田亮司さんのレビュー一覧

投稿者:本田亮司

23 件中 16 件~ 23 件を表示

紙の本

紙の本屋上物語

2001/11/23 00:00

屋上に出現した楽園

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 北森鴻の創り出すキャラクターは常に魅力的だ。本作もその例に漏れず、軽くはあるがどこか物悲しい愛すべき探偵たちが魅力を放っている。
 本作は本格と呼べるほどの骨格は備えていないが、どの作品も質の高いユーモアミステリに仕上がっている。語り手の設定が大した効果を挙げていないのは残念だが、屋上という楽園を描き上げた手腕は買いたい。読み終えるのがほんの少し惜しく思えるような佳作である。

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紙の本

紙の本殺意の爪

2001/11/21 23:58

豊かな眼差し

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 小池真理子の著作はミステリ、幻想小説、ホラーと多岐にわたるが、どれを書かせても超一流の書き手である。本作もサスペンス小説として第一級のレベルを誇っている。付け加えることのない解説を寄せている宮部みゆきが指摘するように、人間を見る眼差しと流麗な語り口が女史の作品を外れのない高い質に保っているのだろう。
 本作にはさして目新しいアイディアが使われているわけではない。むしろ、サスペンス小説としてオーソドックスな構成・展開だといえるだろう。だが、それでも凡百の作家よりも何倍も面白い。細やかな、それでいてさり気ない描写はごく自然に読者の頭に流れ込み、澱むことなくページを捲らせる。自由に描き出される登場人物たちは誰もが好ましく、誰もが怪しい。その読者を不安に陥らせる手腕は高く評価できる。
 それにしても、女史の作品に登場する女性たちは格好いい。決して単純なステレオタイプな格好よさではなく、複雑な、時に矛盾を孕みながらも、一本筋が通った不思議な潔さがこの上ない魅力を醸し出している。それもまた、女史の夢幻たる眼差し故だろうか。磐石の信頼を寄せ得る数少ない作家の一人である。

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紙の本

紙の本名探偵は密航中

2001/11/27 01:54

軽めのオムニバス・ミステリー

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 常に良質の作品を提供しつづけている作者だが、本作は息抜きといった感があり、さほどの面白みは覚えなかった。登場人物が多く、入り混じっており、なかなかキャラクターとしての魅力を引き出すところまでは達していない。各短編の解決も急いでいるように思われ、出来の悪いホームズ譚といった印象を免れ得ない。そもそも、若竹七海お得意の連作長編としても付け足しに過ぎず、興味を感じさせないのだから意外性も何もあったものではない。
 唯一、『船上の悪女』は新味の叙述トリックに挑戦している点で評価できる。しかし、全く効果を挙げておらず、作者が自覚的なのか無自覚なのかも定かではないのが残念だ。子どもを書かせたら本当に巧いのは確かだが。
 本作はオムニバスミステリーと銘打たれているが、その効果は定かではない。オムニバスに徹しきれておらず、また連作長編としても中途半端になってしまっており、効果を相殺してしまっていると思う。設定自体は興味深いものがあり一本の長編として書かれていればと考えると惜しい作品である。

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紙の本

紙の本冥府神の産声

2001/11/23 00:06

鮎川哲也賞作家の受賞第一作

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 北森鴻の筆力には感心させられる。受賞後一作にしてこれだけ、読者をあきさせない文章を身につけている作家はそういないだろう。ともすれば、骨董無形な作品になりかねない驚愕の真相を危ういながらも、現実内に留まらせることができたのはひとえに北森の筆力ゆえだろう。ただし、本格としては弱く彼の才能が十分に発揮されているとは言いがたい。あまり印象に残らない作品ではあるが、北森の才能の一端を窺い知ることはできる。

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紙の本

紙の本彼方より

2001/11/23 23:28

上質の幻想

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 篠田真由美は本格ミステリの書き手としても良く知られているが、女史の才能は幻想文学においも驚くべき成果をあげている。本作では歴史という幻想の宝庫を舞台に神をめぐる芝居が繰り広げられる。
 惜しむらくは第2章終盤において描かれる救済がいささか類型的に過ぎ、過剰なエンターテイメントとなっている点だ。出版にあたってかなりの加筆修正が加えられたそうだが、著者20代の時に書かれた原型にこそ高らかなる飛翔が見られたのではないか、と夢想させられる。
 しかしながら、本作で達成される幻想は期待に違わず上質である。読了後、胸に去来するのは幻想と明かされた第2章『フレンチェスコの手記』ではなく、確かな現実である主人公達の黄金色の少年時代である。読了後に思い描くその時代は何と甘美で遠いことか。何と儚く朧に在ることか。わずか20ページ足らず、全体の15分の1に過ぎない一節が結末を迎えた後に放つこの輝きは、女史の幻視者としての確かな証に他ならない。
 幻想と現実の鮮やかな、黄昏色の反転がここにある。

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紙の本

紙の本世紀末サーカス

2001/12/28 00:38

シリーズ中、一二を争うアンソロジー

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 サーカスという言葉には妖かしや幻想が詰め込まれている。異形のものを幻視する作家たちによるシリーズ中でも、本作は「グランドホテル」に次いでレベルが高い。その中でも秀逸なのが『青い奈落』と『朋類』である。
 西澤保彦「青い奈落」
 何よりイメージが素晴らしい。言葉どおり上下逆さまの世界。眼下に広がる空はより青いだろうと思わせる。その世界で幻視される逆転の風景と時間。巧みな構成である。再度逆転の訪れた世界で見上げる夜空はさらに暗く美しいに違いない。
 北原尚彦「朋類」
 その眼差しの何たる夢幻なることか。井上雅彦の前書きに何ら付け加えることはないが、著者が幻視する贈り物にはロンドンの薄闇こそがふさわしい。集中随一の傑作である。

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紙の本

紙の本ステーシー 少女ゾンビ再殺談

2001/12/28 00:19

昏き妄想の…

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 傑作短編集「くるぐる使い」で見せた僅かな理性は本作では感じられない。ここにあるのは、狂人の祈りにも似た何かだ。「くるぐる使い」では曲がりなりにも結末への完結性を目指していたように思うが、本作では完成度には全くこだわっていない。しかし、それが瑕となっていない。むしろ昏き妄想の追求こそが、本作の何よりの魅力となっている。

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紙の本

紙の本名探偵の呪縛

2001/11/27 02:00

ファンには読み逃せない実験作

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 「名探偵の掟」において、本格ミステリの高次元でのパロディをやってのけた作者だが、その続編たる本作においては「掟」にあった、おかしみが感じられない。もちろん、自虐的なブラックジョークとして書かれた前作とそれを主たる目的としていない本作では自ずとその愉しみ方も違ってくるだろう。だが、本作にはどこにも愉しみを見出すことができないのだ。確かに本格への愛情は強く感じられるものの、それを作品として表現できているとは思えなかった。
 元来パロディとしての側面を持つ本格ミステリをパロディにすれば、畢竟その作品はメタミステリに行き着かざるを得ない。ではメタミステリとしての本作はというと実験精神に溢れた秀作といえるかもしれない。殊に本格ミステリの登場人物として造形されながら、事件の起こらない世界の住人となってしまうという設定には唸らされる。ただ、その登場人物たちの悲哀が描ききれていないところが本作の最大の瑕ともなっている。
 本作と前後して「どちらかが彼女を殺した」「私が彼を殺した」のこれ以上ない本格ミステリを発表した作者だが、いずれ本作に描かれるところの古色蒼然とした本格探偵小説を物してもらいたいものである。

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