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  3. RIKAさんのレビュー一覧

RIKAさんのレビュー一覧

投稿者:RIKA

38 件中 16 件~ 30 件を表示

紙の本

紙の本望みは何と訊かれたら

2011/08/30 13:41

二人だけの世界

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

久しぶりに文庫本を手に取り、再び小池真理子の小説にはまった。

代表作なら昔も読んだことがある。「恋」「無伴奏」「欲望」。全共闘時代を背景に、男と女を描いた作品たち。「恋愛」といえばそうなのだが、男と女のかかわりは、これほど独特で、襞があるのだと、とぎすまされた文章で見せてくれる、小説を読む醍醐味に浸らせてくれるようなストーリーだった。

世代がまったく違う私は、等身大の世界としてではなく、自分よりもずっと大人の別世界を覗き見るようにこれらの作品群を読んだ。本作も、主人公は全共闘の時代を生きた世代である。

夫がいて、娘も大きくなり、特に不自由のない生活を送る沙織。ふと、人生に必要なものは何なのかと考える。そんなある日、一人の男に偶然再会し、若い日を回想することになる。それは、学生運動のさなか、過激派グループの活動に巻き込まれていく激流の中で出会った一人の男、吾郎だった。

ストーリーは40年前の「あの時代」へ。「あの時代」を生きた人間なら、と語られるその時代を私は知らない。
しかし何か異様な熱気にたくさんの若者が揺さぶられた時代だということはわかる。沙織もまた、その熱気に翻弄された一人であり、ごく平凡な女子学生にすぎなかった、と、物語の中で描写されている。

恋愛に溺れるアパートの女子学生、思想をふりかざす男たち。家庭を夢見る恋人、過激派グループのリーダー、取り巻き達。
そして吾郎だ。
吾郎と過ごした日々がストーリーの中心である。
幻のような、時間を止めたような、甘美で説明のつかない関係が、狭いアパートの中でただ続いていく。

その生活に憧れたり自分を重ね合わせたりはできない。
やっぱり男と女の間は、人と人との関係は独特で、”これが恋愛”という定型があるわけもない。

ただ思うのは、周りをシャットアウトするような1対1の濃厚な関係は人生に足跡どころか大きな裂け目のように刻まれていく、ということ。精一杯生きた若い時代を振り返る、主人公のような年齢になったら私もその境地に立つのだろうか。

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紙の本

母の声を聞いてみよう

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

福島みずほさんの、エッセイ本です。話しかけられているような自然さで、仕事や人間関係、結婚についての大切なことがたくさん書かれています。なのに決して説教がましくもなく、すらすら読めるし頭に入ってくる。で、元気が出る。本当に前向きでパワフルで、心の大きな女性なんだなあと、文章を読んであらためて感じました。

出会いを楽しむ、人に譲る、嫉妬をかわす、趣味の人間関係を作る、女性を敵に回さない、などなど具体的なアドバイスがためになります。たとえば、働く女性は「人のために働く」気持ちを持つこと。女性は組織で働こうとすると男性よりも競争が厳しいし子育てなどがあって自分のことで手いっぱいになりがち。そのためスタンドプレーの人が多い、という記述は心当たりもあり…。

「人とどう生きていくのか、その人のためになにができるのか、いろんな人のためになにができるのかを考えたり、努力したりできることが、年を重ねる深さなのかもしれない」という言葉も印象的でした。政治家だからではなく、人のために、と思えるから大きな仕事ができるのだと。良い意味で女性らしい包容力のある仕事の仕方を見習いたいものです。

そして、著者は最近話題の夫婦別姓も、結婚届けを出さない事実婚も、二十年前に実行した人。夫婦別姓を選んだのは、法制度上の差別をなくすためという信念のもと。でも、子どもに迷惑がかからないか、本当にそれでいいのか、葛藤したとのことです。しかし実際お子さんもしっかりと婚外子という選択を受け止めています。当時の選択を、不安があっても「そうしたかったからとしかいいようがない」と著者は言います。「心の奥底の声に耳を傾けて」というメッセージとともに。

そろそろ巣立っていく娘にいろいろなことを伝えたい…と、序文に書かれているけれど、これから社会人になる女性はもちろん、働く女性全般におすすめしたい「母からの声」です。むしろ、新人のうちからここに書かれていることをクリアしていたらすごい。出世は間違いない。友人関係も、結婚もうまくいくでしょう!

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紙の本

紙の本中田語録

2006/07/07 02:35

8年前の言葉

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

日本代表が初めてワールドカップに出場した年に、この本は発売された。当時買った本を、引退のニュースを聞いて、改めて開いてみた。
8年前、Jリーグも今より人気があったから、選手のマスコミへの露出も多かった。その中で、大衆にコビを売ることなくインタビュアーに文句を言ったりして異彩を放っていたのが中田である。
取材の態度にとどまらず、
「俺にはお手本はいらない」「ジコチューでいきます」などなど、
彼の発言は「生意気」とたびたび大人たちから叩かれた。
その当時、中田は20歳前後。私は中田と同じ年で、かなり生意気な20歳だった。だからだろうか、
「同じ年に、こういう人がいるんだ」
と目が離せず、彼のアウトローな発言に共感していた。
クールで何を考えているかわからない。
でも、誰より前向きだということは今では皆、知っている。
ついこの間も、W杯1次リーグのブラジル選を控えて、マスコミが(決勝トーナメントに出られなくても)仕方ないというようなムードだったとき、彼は「あなたたちはいつも悲観的だ。日本は勝ち点6を取れる」というような発言をしていて、こういう人が、日本に居てよかったと思ったものだ。
8年前の「語録」には、若いだけに中田選手のまっすぐな芯の部分がかいま見える。
彼のマインドは8年前も今も変わらないし、きっとこれからも変わらないのだろう。
そのことが頼もしく感じられる私にとって大切な一冊。

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紙の本

紙の本第4の神話

2006/05/20 15:22

寝不足になるくらい面白い

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

バブル時代を華やかに彩り、消えていった女作家、夏木柚夏。女としても主婦としても人生を謳歌して、皆に愛され死んでいった一人の女。その彼女のほんとうの姿は何だったのか。売れないフリーライターの万智子は、評伝記事の依頼を受け、彼女の人生に迫っていく。
私はこれを読んで、有吉佐和子の「悪女について」を思い出した。時代は設定はまったく違うけれども、一人の魅力的な女の「人生」がぐいぐい読む人をひっぱっていく鮮やかさが似ていると思った。
この本の面白いところは、主人公のライター万智子のリアルな心情かもしれない。
万智子はもう若くない。結婚もせず、子どもも産まず、恋人もいない。ライターとして名を残せないまま日銭を得て食いつなぐ惨めな日々。夏木柚夏とは、まったく正反対の人生なのだ。
「本当は不幸だったんじゃないの」スポットライトが当たる人へ向けられる、よくあるまなざし。
華やかなイメージはつくられたものではないのか・・・。万智子もまた、そうした視点を持っているので思わず共感してしまうのである。
家族や友人たちに話を聞き足跡を探れば、素顔が見えると思うのだが、話を聞くたびに、夏木柚夏という「人」の謎は深まるばかり。出版社の意図する原稿は完成しても、万智子の気持ちは釈然としない。そして、ライターといてのプロ根性と、生活の不安の中で、誰も知らない夏木柚夏を書きたいと思いたつ。しかし、大手出版社の思惑が絡まったり、本心を明かさない「男友達」も現れて、刑事事件なら迷宮入りしそうな展開になる。
いつのまにか、まるで自分が夏木柚夏という作家をよく知っていて、その人を自分で追いかけているような錯覚にとらわれるほどストーリーに入り込んでいた。結末は明かさないけど、最後まで目が離せない傑作。ミステリーが好きな人もそうでない人にも、特に本が好きな人に自信を持っておすすめします。

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紙の本

大人になりたい

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

仕事はちゃんとある。そこそこの美人。でも恋人を若い女に取られ、結婚相手を必死に探す29歳の女、と聞いてあなたは何を思い浮かべるだろうか。
主人公の志麻子はそういう女。
世間的には自立した女なのに、自立してしかるべき年齢・立場なのに、心の中では「自分を幸せにしてくれる王子様」を探している。ひとりで幸せになる覚悟も、自信もない。
一方、両親の離婚で生き別れになった妹のみのりは、「いい子」でいようとしない自由奔放な女の子。対照的な姉妹がそれぞれ成長していくというのがおおまかなストーリーである。
私がこのマンガを手に取ったのも、まさに29歳だったから。
仕事の責任が重過ぎてつまづいて、「誰かに養われたいなあ〜」なんて思っていた。一人で何かを背負うのはしんどい。言われたことだけしていたい…。そんな風に、大人になりきれない気分を引きずって現実から逃げようとしていた。
でも、男の人に幸せにしてもらおうとか、人生を仕切ってもらおうなんて思わないほうが絶対にいい。このマンガを読んだあとは、そう思っていた。思い直した。
もともと、一人でも幸せを作り出せるように仕事を始めたというのに、ちょっとした挫折を「いい機会!」とばかりに、かよわい女の子に変身しようなんて、虫のいい話だ。
槙村さとるのマンガは甘いラブストーリーではなく、「自立すること」の大切さがすごく丁寧に書かれている。でも、ただがむしゃらにがんばるような鉄の女ではなくて、彼氏との些細なすれ違いに心を痛めたり、男を理解できないと悩んだり、そういう女心もリアルに描かれていて共感できるところが好きだ。
この「イマジン29」の文庫版ではあの松永真理さん(iモードの生みの親)が解説を書いていて、彼女もまた、29歳のときは「揺れに揺れていたあの頃」「とにかく結婚に走ってしまいたい衝動にかられた」と書いている。それを読んでまた少し勇気付けられた。
bk1では在庫がないみたいなので、ぜひ入荷してください!

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紙の本

紙の本夜の果てまで

2005/03/16 21:30

こんな恋愛したことありますか?

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

タイトルに惹かれて手に取りました。男と女が出会い、恋に落ちて駆け落ちをする。どこまでもどこまでも行く恋愛のスピード感や下降していく感じにぴったりなタイトルだと思います。そして内容は期待以上でした。この作者の小説は初めてでしたがすっかりファンになりました。

将来のある大学生と家庭のある女の恋。都合よくお互いの空いた時間に逢引をする、そんな関係ではなく、本当に二人で生きようと思った。だから駆け落ちをするわけです。

帯に、「ここに書かれている恋愛に誰もが覚えがある」とありました。
好きな人のためになら全てを捨てられる…。
それって、本当に誰にも覚えがあるでしょうか。

今も昔も、大半の人は「適度に傷つかない恋愛」を器用に選んでいるんじゃないでしょうか。ここに書かれている二人のような、犠牲だらけ、馬鹿馬鹿しくて、危なっかしい恋愛を誰もが経験しているとはとても思えません。

そうした恋を経験したことがある人なら、この小説へどっぷり感情移入できるはず。丁寧な描写の一つひとつに、かつての熱情を、迷いを、重ねることができるでしょう。
経験したことがないという人は、とびきりの夢が見られるはずです。
現実では体験できないことを、ひとつのフィクションで体験する。それこそが小説の醍醐味なのですから。
でも、きっとどちらのタイプでも読み出したら止まらなくなると思います!

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紙の本

ドラマより、マンガの方が面白い!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

女の癒されマンガと私は位置づけているけれども、男友達に話したら女のエロマンガといわれた。
主人公は、新聞社に勤める高身長、高学歴、スタイルもモデル並というスーパーエリート、スミレちゃん。しかし優等生であろうとする心が感情を縛っているため、他人と打ち解けることが苦手で、彼氏にも敬語しか使えないというやっかいな性格。そんな彼女がある日、ダンボールに入った男の子を拾い、モモと名づけてペットとして一緒に住み始めるのだが…。

二人の間に肉体関係はない。スミレちゃんは超エリートの彼ではなくてモモの方に心を開きながらもそれが恋愛感情ではないと思っている。モモはあくまでもペット。恋愛の相手は学生時代の憧れの人、蓮実先輩だ。
モモはそんなスミレちゃんを誰よりも理解していて、スミレちゃんを襲うでもなく責めるでもなく、落ち込んだ時は慰めてくれ、淋しい時に添い寝をしてくれたりするわけです。

今、女が必要としているものは「癒し」だとか言われてずいぶん経つけど、まさにそういう感じかもしれない。「癒し」が必要な女は無理をしてるし、無理してることを当たり前だと思ってるし、無理しないと社会ではやっていけないと思っている。エリートのスミレちゃんのように。そうやって無理しながら、ありのままを受け入れてくれる王子様はどこかにいないかしら、と待っている。その王子様は自分よりもレベルの高い(高収入、高身長で自分に対して劣等感を抱かない)、ときめくような相手だと信じてる。

ただ添い寝をしてくれる男の子と暮らすこと、完璧な恋愛をすること。スミレちゃんはその2つのシチュエーションで揺れ動きます。
このふたつの願望は女の子の永遠の夢でしょうか。甘えでしょうか?

同じような願望を持つ人は、きっとたくさんいると思う。けっこうしっかり者で、ちゃんと働いている女性の人。そんな人にこそ、「きみはペット」を読んでスミレちゃんといっしょにペットのいる生活を味わってみてほしいです。ドラマ化されたこともあるけど、マンガの方が断然面白いから!

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紙の本

いつになったら大人になれるんだろう?

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

美大を舞台に繰り広げられる恋と夢のドラマ、なんていう紹介を見て、ちょっと食わず嫌いしていたマンガだった。だいたい大学生というのは、青臭い自分探しなんかしていて、恋愛だとか都会だとかに浮かれていて、背伸びしているくせに都合のいいときだけ子どもでいたりもして、とてもみっともない人種だと思っている。私も自分の大学生の時を振り返ると…いや、振り返りたくもない。

だけど美大生というのは、ある程度自分のやりたいことを見据えている人たちなんだと、ごく普通の文系大学生の私は、課題やら卒業制作やらに明け暮れる彼らをうらやましくも思っていた。でも、同じなんだな、とハチクロを読んでわかった。

登場人物達は、みな不器用でみなみっともない。美大に入ったものの自分の道が見えずにさまよう竹本や(今の若者にいちばん多いタイプかも)、美乳・美脚を持ち、色々な男を夢中にさせながらも自分の方を振り向かない男に片思いし続けるあゆ(もったいない!)、あゆに思われていることを知りながら、手の届かぬ年上の女性を思い続ける真山(不毛だね)、才能を過剰に積んだまま突っ走る森田(たまにいる、こういう天才肌)、そして誰もが憧れるような才能を持ちながらもマイペースなはぐみ(不思議少女?)。
共通するものはほとんどないようなキャラクターたちは、よくある片思いをしながら、才能を育てたり渇望したりしながら、それぞれ当たり前の現実を生きていく。
読んでいて心地いいのは、皆が「目指す」でもなく「頑張る」でもなく、淡々と毎日を進んでいるように見えるところ。そのゆっくり加減にほっとする。

何になっても許される世の中だからいつまでも宙ぶらりんでいられる。
そんな気楽さと裏腹の不安を、大人といわれる年になった人も、そうでない人も持ち続けているんじゃないかな。
そしてそういう時期は、もしかしたら永遠に続くものなのかもしれない。でもそれはそれで悪くないと思える作品。
答えは少しずつ出ていくのか、出ないのか。まだ完結に至っていないから、それはわからない。

読んだ人たちに感想を聞いてみると、「結末なんてなくていい。ハチクロの世界は大人にならないで欲しい」と思う人と、「いずれどこかで(色々な片思いに)決着をつける日が来る」と思う人に分かれるみたい。まるで読む人の「大人度」を試すようなこのマンガ。同世代の人もそうでない人も、ぜひ浸ってみて欲しいです。

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紙の本

紙の本結婚の条件

2003/11/24 15:45

結婚洗濯機論

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

すごく面白い本です。タイトルだけ見ると、まるで男選びの指南書のようですが、これは女がどうして結婚できないか、ということを社会学的に分析した本です。男を落とす方法が間違っている、というのではなく、「私に合う結婚相手」が大半の女は間違っていて、そのために、結婚できないのだ、ということをわかりやすく解説している本です。

結婚を洗濯機に例えて、「デザインが良くて、性能が良くて、手ごろな値段の洗濯機を探している。でも見つからないから洗濯は先延ばしでいいや」と言う人は滅多にいませんが、今、起きている晩婚化という現象も同じだ、と、作者は言います(なぜ同じなのかは本書を読んでみてください)。私はこれを「結婚洗濯機論」と名づけて世に広めるべきと思いました。

また、マダム雑誌「VERY」や「STORY」に見られる生き方を、フン、と思う人、「東京ラブストーリー」の関口さとみを嫌な女と思う人、いわゆる「女の幸せ」について、胡散臭い、打算的だ、と思ってしまう人、それでも、今の自分の生活に開き直れない人、その気持ちの奥にあるもやもやしたものを、すっきりと解説してくれる本でもあります。ほかにも、「だめんずうおーかー」を描いたくらたまの生き方や、梅宮アンナの生き方。鋭いです。目からうろこが落ちます。私は一通り読んだあと、自分がどういう男を選んだら幸せになれるのか、わかったような気がしてパワーが出ました。

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紙の本

大人にこそ読んで欲しい!!

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「NANA」を読むと元気になる。20歳の頃を鮮やかに思い出す。欲しいものに手を伸ばして焦がれる熱を。些細なことに喜んでは落ち込む毎日のことを。

ストーリーはテンション高めの和み系、小松奈々と、アマチュアバンドのボーカリスト、ナナという二人の女の子がこれから上京する新幹線で出会い、同じ部屋に住むところから始まる。奈々は恋のために上京し、恋のために毎日を過ごす。一方のナナは孤高のオーラを放ちながら、プロデビューすることに情熱を傾けている。性格も見た目も正反対の二人はルームシェアしながらそれぞれの生活を送って、心を通わせていく。やがてナナのバンド仲間や、その知り合いの超人気バンドトラネスのメンバーも出入りするようになって…。

細かいことを書いてしまうとネタバレになるのでやめますが、ストーリーも台詞も、モノローグも本当に上手い。マンガなのに映画のように密度が濃いんです。だから奈々が恋に落ちては揺れる気持ちや、ナナや出てくるミュージシャンがどれだけ真剣に好きなこと=「音楽」に向き合っているかということがすごく沁みこんでくる。そうそう、男を好きになるってこういうことだよね、夢を見るってこういうことだよね、ってマンガなのに会話している自分に気づく。

それから、ファッションも超かわいい。ヴィヴィアン・ウエストウッドがいっぱい出てきます。作者は元スタイリスト志望だったそうですが、さすが着こなしも、小物もインテリアとかのセンスもすばらしい!

でも、決して熱血マンガでもミーハーマンガでも、ファッション系のスノッブなマンガではないのですよ。一言でいえば、「せつない」マンガかな。この時代の切なさは多分、多くの女の子にとって、多くの人にとってこういう感じ。だからこれだけたくさんの人がシンクロしちゃうんだと思う。

なにしろ雑誌Cookieの超人気連載マンガで2004年4月現在10巻まで出ている少女漫画にしてはロングラン。なのにずっと同じテンション、同じかわいさ、同じキラキラ感を放っていて目が離せない。Cookieは「女の子」向けの雑誌だけど、「NANA」は高校生はもちろんのこと二十代、三十代、さらには男性まで巻き込んでいる大ヒット作。

そういう私も27歳ですが、出版社のおじさん(40代)に今の一押し!といって勧められて読んではまりました。20歳のころに読んでいたらどうだったかな、とも考えますが、やっぱり同時代に読めたことでもう、御の字です。読まなきゃ損!!

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紙の本

佐藤可士和が有名になったわけ

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

超有名なアートディレクター、佐藤可士和氏。

私は実は同じ広告業界にいるのですが、業界内には、有名なクリエイターというのはたくさん存在します。でも、業界の外にまで名を知られている人はそう多くはありません。

なぜ佐藤可士和だけがこれほど有名なのか?仕事が優れていることはもちろんですが、あれだけ多くの仕事をしながら、自分のPRなんてきっとしていられない。そう思ったときに、奥様であり、サムライ(佐藤可士和氏の事務所)のマネージャーでもあり悦子氏の存在を(メディアで)知り、興味を持ちました。

本の内容は、まず佐藤可士和氏のこれまでの仕事について。幼稚園、大学、病院など従来の広告媒体の枠を超えたデザインが、どのようなコンセプトでどのような環境で生み出されたのか、ということと、マネージャーとして参加してきた佐藤悦子さんの仕事の進め方を知ることができます。アイディアを産み出す方法、というよりはアイディアを世に出す方法といったほうがいいかもしれません。

ごく当たり前のことですが、どんなに優れたアイディアもそれを世に出す方法、段取りに問題があったら仕方ないからです。佐藤可士和氏の多くの優れたデザインも、本人についても、マネージャーの悦子さんがいなかったらこれほど注目されることはなかったでしょう。それこそマネージメントの力というべき。

本の中ではプライベートなことも書かれています。夫婦で仕事をすることを、はじめは反対されたそうですが、結果はこの通り。1+1が無限大になるような、足りないものを補い合う関係は本当に素晴らしくて、そんな夫婦のあり方がすごくうらやましいと思いました。

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紙の本

紙の本男よりテレビ、女よりテレビ

2008/09/18 23:30

テレビからわかる社会の仕組み

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

週刊朝日などに連載されたエッセイを1冊にまとめたもの。ネタがテレビなので、タイムリーさがなくなっているものの、廃れた感もなく、読み応えのある一冊でした。

私はテレビをそんなにたくさん見ないし連続ドラマを全部見ることも今はほとんどないのですが、何がやっているかは気になるという中途半端なミーハーです。そして、テレビ周辺のことに、ときどき「?」と思うことがあります。

たとえば、このあいだの「産む機械」発言で、発言にはさほど違和感を感じなかったけど、その後のマスコミのリアクションに違和感を感じたのはなぜだろう?とか、政治家の女性は似たような服を着ている(しかも一般の働く女性とは違うテイスト)けど何なのだろう、とか、梅宮アンナの親子関係とは何なのか、など。

そうしたいくつかの疑問が、この本を読んだら本当にすっきりしました。

「あのタレントってさあ」っていう噂話は大っぴらにしたくない、というひねくれ根性を満たしてくれたわけですが、著者の他の本を読んで社会学的視点の面白さを知っているので、この本の面白さも、テレビの噂話にあるのではなくて、人間関係を俯瞰して、私たちの住む社会全体の構造を解き明かしているところにあると思っています。だから、タイムリーでなくなっても面白いのでしょうね。具体的なタレントや政治家やドラマの役柄(「結婚しない男」のことが何度か出ていた。阿部寛のファンなのでしょうか?)などについて語っているため、わかりやすい面白さが味わえました。

それにしても、テレビに出るっていうのは本当に大変なことですよね。テレビに出るまで出世するのはもちろんだけど、出てからも鋭い視聴者にハッタリを見抜かれているのだから。テレビ番組が虚構であっても、キャラクターは嘘がつけない。ごくろうさま、と言いたいです。

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紙の本

紙の本袋小路の男

2005/06/06 21:07

恋は不毛でできている?

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

主人公の女は、長い間、ひとりの男に片思いしている。
恋人ではなく、友人でもない男。
自分を好きだとも、必要だとも必要じゃないとも言わない男。
不毛としかいいようのない、片思いを何年も何年も続けているのだ。
そんな女を飼い殺しにしている男は、長いあいだ小説を書き続けているが日の目を見ない。
曖昧に扱われてしまう片思いっていうのは、傍から見たら切ないようだけど、実は違うと思う。前に進まず、手に入らず、全否定もされずっていう状態は、する方にとって、苦しくも慣れた、いい逃げ込み場所だと思う。体によくなじんだ古い毛布のような。
弱いもの同士がゆるゆると、結びついているような関係。
それがいいとか悪いということを言いたいのではもちろんない。
そんな行き場のなさを、美しく描いているところにこの本のよさがある。
説明もなく、細かい風景描写もない。
行間に、じわじわと、登場人物の感情や、息をしている場所の温度を感じる。
人って馬鹿だなーと素直に思えるところがとても良いと思う。

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紙の本

紙の本ほかならぬ人へ

2010/02/21 22:07

あなたはもう会いましたか?

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「ほかならなぬ人へ」「かけがえのない人へ」という、同じテーマで綴られた2編が1冊になった本作。「ほかならぬ人へ」の主人公、明生は名家の三男。育ちに恵まれながらも優秀な兄たちに比べてぱっとしない人生を送っており、親に反対されながら元キャバクラ嬢と結婚します。「かけがえのない人へ」の主人公みはるは、容貌にコンプレックスがあるものの、学歴も仕事も整っており、同じ会社のエリートと婚約中。

恋愛において、何もかも恵まれた人だったら、選択肢は多いか極端に少なくなるだろうし、色々なことにハンデを持っている人は選択肢が少なくなる。多くの人は、その間にいて、どこかで折り合いをつけているのでしょう。結婚するときには、「恋愛結婚」という名目のもと、相手を選ぶのもある程度自由です。好きな人を選ぶのも選ばないのも。親の反対する人を選ぶのも選ばないのも。

しかし、結婚をある程度続けたあとに、「やっぱりこの人が運命の相手だった」と思う人は、少ないのではないでしょうか。事情はそれぞれ。運命の相手を見つけることが、幸せか不幸せかを論じません。

怖いのは恋愛が自由にできるからこそ、私たちはいつも危険にさらされているということ。運命の相手がどこかにいる、と思うことができる。また、なぜか惹かれる気持ちを肯定することもできる。あるいは、「もしかしてあの人が」と、後になってから思うことだってある。

2人の主人公は、決して自分の人生にドラマチックな展開を求めていたわけではありません。運命の人を探してさまよっていたわけでもない。でも、出会ってしまう。小説の中の言葉でいえば「明らかな証拠」をもった人と。それが、ほかならぬ人、かけがえのない人。表面上でごまかせても、自分だけがはっきりとその人とわかる人。

そして、真実が救いになるとは限らないわけで、運命の人がどこかにいるかも、と淡い願望をもつうちはまだ平和です。読みやすいけれど、今の恋愛のある部分をきれいに切り取っていて、かつ毒もある。そういう小説だと思いました。

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紙の本

紙の本ありふれた魔法

2006/10/31 21:41

職場の淡い恋のはずが・・・

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

都市銀行の中規模支店の次長で44歳の秋野。若い頃に職場結婚をし、妻や3人の子どもともうまくいっている。銀行内の地位も悪くはないほう・・・そんな順調で慎重な人生に突然、恋がやってくる。
相手は、職場の部下で総合職の26歳の茜。
仕事上のアクシデントから個人的に話すようになり、彼女に仕事の相談をされたり、秋野は娘の行動について相談をしたりしていくうちに・・・二人の距離は近づいていく。淡い恋心が積み重なった先に、予想のつかない結末があった、というストーリー。
現実・フィクション問わず、巷に職場不倫の話は飽和状態。多くの男女が軽い恋心(というか下心)で、あっさりとハードルを越えているのが現実だと思います。
2人の行動は違う。「恋心」を非常に大切に思っていて、軽はずみな言動で相手の人生を傷つけたくないと考える。もちろん自分自身が築いてきたものも。
だから、秋野は茜を女として意識し始めながらも、自制し、恋愛関係になるのを踏みとどまる。つまり2人は大人で、分別もあり、自分の人生を大事にしていて、相手に対する思いやりもある。
そのうえで恋という不意の出来事に悩み、葛藤する姿はいじらしくてとても好感が持てます。
でも、職場恋愛ってこんなに淡いものなのだろうか?とも思ってしまう。
いい年をした大人が落ちる恋ってこういうもの?
恋した相手の茜にしても、茜の性格や若さや体や・・・キャラクターに惹かれて、というよりは、
「職場では近づきがたい雰囲気を保ちながも、自分の前でかわいい一面を見せてくれる若い女性部下との恋」に翻弄されている印象を受けてしまう。こんな子が現れたら・・・、というおじさんの幻想といったら言い過ぎでしょうか。
同性の私の目から見ると、茜という女性は特に魅力的ではない。茜は、優秀で性格もいいけど、いい子過ぎて面白みがないOLという印象。(ごめんなさいね)
それが中年男性のリアルな恋心なのか、私にはわかりません。
ただ、キャラクターに個性がないぶん、「淡い思い」が際立ってみえるのは確か。
銀行という組織の中での様々なあつれきも浮かび上がってきます。
そういう作戦なのかもしれませんね。
小説としてはもちろん面白い。リアリズムの名手といわれるだけあって、一気に読めるストーリー展開は本当にすごいです。
ぜひサラリーマン男性の感想を聞きたい1冊です。

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