神楽坂さんのレビュー一覧
投稿者:神楽坂
2012/01/24 10:48
範囲が10倍ずつ拡大する地図で、宇宙のスケール感が分かりやすい
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国立天文台を起点とし、ページをめくるごとに縮尺が1/10になっていく。町並みと都市、日本列島のスケール対比が分かりやすく、初めてグーグルアースを使った時の感動を思い出す。
無論、それは序章。本題は宇宙へ出てからである。地球と月の距離、他の惑星との距離の大きさは、日常感覚から大きくズレている。それを伝えるのが、この本のテーマの一つだろう。その試みは大成功だ。
地図は、太陽系を超え、銀河系、ついに(観測可能な)宇宙全体にまで至る。地図の間に挿入された天体写真も美しい。
ただ、「地図」と銘打つわりには記された天体名が少なく、便宜上宇宙を平面で表しているため座標も曖昧である。
紙の本マーラーの交響曲
2012/01/24 11:54
親しみやすいマーラー解説本
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
好きなクラシック音楽作曲家は? 一般のアンケートなら、1位モーツァルト、2位ベートーヴェンといったところだろう。しかし、クラシックファンに限れば、最近はマーラーが一番人気だそうだ。近年増えた安価なクラシックCD BOXの影響だろうか?
この本は、『ベートーヴェンの交響曲』、『ロマン派の交響曲』に続く第3弾。ベートーヴェンは交響曲の代名詞だし、第2弾がその後の時代なのもうなづける。その次となるとマーラーは順当かなと思う。交響曲第5番はドラマ等でよく使われているので、聴けば分かる人は多いはず。そのわりに内容が知られていないのが、マーラーといえるだろう。
これまでもマーラーの交響曲を解説した本はあったが、高価で専門的なものばかりで敷居が高かった。この本は、マーラーと他の作曲家等とのエピソードも多く書かれ、親しみやすい。ハンス・ロット(!)の影響をそんなに受けていたとは初めて知った。
また、(未完含め)11曲の交響曲が章ごと分けて解説されており、曲の内容や作曲の背景を知ることができる。マーラー交響曲全集は持っていても、よく分からないまま聴いている人は多いだろう。私もそうだった。この本を読んで全曲聴き直そうと思った。
2001/10/05 18:04
C言語のバイブル
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
長らく「K&R」という愛称で知られてきたC言語のバイブル的文法書。K&Rとは、著者のB.W.カーニハンとD.M.リッチーのことである。「UNIX流プログラム書法と作法」というサブタイトルが示すように、プログラムをどう書くべきかが解説されている。
プログラムは動けば良いというものではない。分かりやすさや処理効率を高める工夫が必要である。加えて、この本ではエレガントさにまで言及しているのだ。「nc=nc+1を、nc++または++ncと書いてもいい」というのに始まり、「i=i+2はi+=2と圧縮できる」や「x=n++とx=++nでは、xが異なる値になる」のようなテクニックを紹介し、それらをプログラム上でどう使うかが重要だと教えてくれる。決して、こういう場合はこう書けという押し付けはない。こういう自由度こそがC言語の本質であり、どの書き方を選ぶかがプログラマのセンスなのである。
入門書としてはやや難しいが、C言語を語るには欠かせない名著だ。C言語ブームの頃は、マニアの間でK&Rの第何版の何刷を持っているかが競われたほどだ。無論、版が古いほどステイタスとなる。
紙の本Slam dunk 完全版(ジャンプ・コミックス) 24巻セット
2002/07/31 15:32
1シーズンに凝縮して成功した
8人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
作者の世代を反映してか、桜木軍団やケンカの描かれ方は80年代の校内暴力を思わせる。そうした学園ものとしても、ギャグマンガとしても、本格的バスケものとしても、転んでいけるような柔軟性を持って描かれ始めたのは有名な話だ。
この作品は、始まった時点でどこまで続くか見えていた気がする。桜木花道が1年生、2年生、3年生と成長して全国制覇するというストーリーにはなり得なかった。つまり、1シーズンの戦いに全ての要素をつぎ込んでしまったのである。だから、桜木以外の選手は敵味方問わず、既に完成されていた。昔のスポコンもののような、努力して強くなるというプロセスが流行らないのも事実だが……。
2012/01/26 18:31
実践的だが厳しい入門書
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
小説を書くための参考書だが、難しい。内容がではなく、読んで実践すべき事柄が一筋縄ではいかない。既存の小説の読み解きに始まり、取材方法からキャラクター造形と、どの工程にも近道は無いようだ。これらのノウハウはミステリーに限ったものではなく、あらゆるジャンルの小説に通じるだろう。読み通して、ドッと疲れが出た。
紙の本図解・八八艦隊の主力艦
2012/01/25 13:34
資料的価値は高いが著者の想像も多い
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ワシントン海軍軍縮条約で中止されただけに、八八艦隊主力艦の資料は少ない。戦艦8隻、巡洋艦8隻の予定スペックが知られる程度である。
この本は「図解」とあるので期待したが、期待通り各艦の設計図が掲載されている。しかし、実際の設計図ではなく、考証によって著者が導き出したものだった。私には妥当性は分からないが、四連装砲塔は無いだろうと思う。そもそも八八艦隊自体、実現性に疑問があったのだから、考証と現実の間に距離があっても良いだろう。
2012/01/24 15:06
アート志向ながら、衣装のセンスは抜群
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
写真がアート志向なため、アイドル写真集としてはやや物足りない。ファースト写真集は、もっとありきたりな方がありがたい。しかし、使われている衣装は最高。スクール水着、ワンピース水着、キャミソールタイプのレオタード。そして、フィギュアスケートのコスチュームに白タイツ。衣装が気に入ったら★5つ、そうでない人は★3つの評価かな。
紙の本お屋敷散歩
2012/01/26 18:16
洋館、和風、モダニズム、なんでもござれ
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近代建築のお屋敷というと洋館が定番。時代を象徴する建築様式としては、確かに魅力ある題材だ。しかし、和風建築ファンとしてはこうした偏重に疑問を感じていた。
この本では、冷遇されがちな和風のお屋敷が、洋館に匹敵するほど掲載されている。さらに、モダニズム住宅までフォーローされているのだ。これも、今までお屋敷から除外されがちなジャンルだった。
紙の本図説メソポタミア文明
2012/01/26 18:01
手軽なメソポタミア入門書
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古代エジプト、古代中国等、古代文明の中でもメソポタミアの話題は少ない。シュメール、バビロニア、アッシリア等、名前ぐらいしか知らない。そこで、何か入門書は無いかと探していた。
この本は図版が多いのが良い。当時の建築や社会等意外に分かっていることが多く、驚いた。アッシリア時代の戦争など、興味深い。
紙の本図解でわかる!エンタメ小説を書きたい人のための黄金パターン100
2012/01/26 17:30
小説を書くための辞書のような……
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小説を書くためのハウツー本は、時代ごとに変わってきた。昔は、作家が自作の方法論や人生論を語るものが多かった。その後、具体的なテクニックがメインとなり、ここ2、3年はパターンものが流行っている。
この本もその一つだ。小説の設定やストーリーを漠然と考えているなら、この中から当てはまるパターンを見つけるといい。自分で既存の小説を読み漁って分析する労力を考えれば、これほどの近道はない。実用性は買うけど、実効性はどんなものか?
紙の本日本切手専門カタログ 日専 2012Vol.3 日本関連地域編
2012/01/26 16:47
変化は乏しいが、無くなると困る
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日本切手専門カタログが3分冊になって久しい。特にこの「日本関連地域編」は沖縄と戦前戦中の旧植民地で、内容の変化が最も少ない。変更前・変更後を併記して分かりやすくして欲しいものだ。また、そろそろカラー化したらどうか?
しかし、不満はあれど、郵趣家人口が減り新しい人がほとんど入ってこない状況下で、カタログをコンスタントに発行してくれるのはありがたい。
2012/01/25 18:11
綺麗なヌードで幕を下ろした
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実質ヌードだが、乳首とヘアを見せていないので一般的な基準ではセミヌードということになる。どちらでもいい気がするが、この差を重要と考える人も多いのだろう。
アイドル写真集の中にセミヌードのページがあるような、全体的に綺麗な印象だ。今どきヌード=アダルトでもないだろうが、最後の写真集でもアイドルから逸脱しなかったのがうれしい。衣装では、サロペットが良かった。
2012/01/25 15:33
奇跡の下着ショット
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日本では、下着の写真がタブーになっている。アイドルの写真集やグラビアでは、白いビキニを下着風に見せるのが常道である。通販カタログ等では、下着だけ外国人モデルが使われている。日本人モデルだといやらしく見えるからだという。
この写真集で使われた衣装は、ビキニを含めアイドル写真集として標準的なものだ。その中に、場違いなように下着ショットが登場する。下着姿は、ヌード写真集のヌード手前にあるのが定番だが、むしろ、こうした日常的な雰囲気の下着姿の方が刺激的といえる。ビキニに比べ露出度が高いわけでもなく、セクシーに見せる演出があるわけでもないが、この試みは大成功だ。
紙の本人魚 逢沢りな写真集
2012/01/25 15:31
なんだか急に痩せたような……
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以前より痩せたようだ。特にビキニの時。写真集の半分がビキニで占められているので、いっそう痩せて見える。2年前のファースト写真集と比べてみたが、体型はほとんど変わっていない。顔が大人びたから、そう感じるのかもしれない。一着だがワンピース水着もある。ワンピース水着ファンのことも考えてくれているらしい。これは重要だ。
紙の本奇想の天才絵師歌川国芳 幕末最大の人気を誇った反骨の絵師
2012/01/25 13:51
キワモノ多しの主要作品集
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伊藤若冲ブームの後に歌川国芳ブーム。2人には異形さと現代的センスが共通している。その前の北斎、写楽ブームは浮世絵師の中での異形さだったが、若冲と国芳はそうした形式をも逸脱している。若冲も国芳も昔から知っているが、以前は2人ともキワモノ扱いされていなかった。だから、最近のブームに面食らっている。
この本は、国芳の入門書としてオススメしたい。今や彼の代名詞となった残酷絵の他、奇抜な構図、武者絵、美人画等、様々作品が掲載されている。キワモノを集めたのか、彼の全貌がキワモノなのか、奇妙な作品ばかりである。