紗斗実さんのレビュー一覧
投稿者:紗斗実
2002/07/24 04:53
モンゴメリの悲しい人生
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
この本は、「赤毛のアン」の時代背景や自然について書かれている。
「赤毛のアン」は、決して子ども向けの少女小説ではなく、政治や宗教的知識をも組み込まれた、れっきとした大人向けの小説なのだ、ということが、よくわかる。
モンゴメリの生涯についても解説され、「赤毛のアン」以下のアンシリーズが書かれた経緯なども、彼女の日記等を手がかりに、述べられている。
その後のシリーズは、自分の書きたいイメージと出版社の要望との板ばさみで、決して喜んで書いたわけではないことが、少し悲しい。
この本を読んだ後、「赤毛のアン」シリーズを再読したところ、時代背景や情景がよくわかり、いままで以上にすんなりとアンのことがわかるようになった。
2001/12/06 01:48
ある日突然一人旅に出かけたくなってしまう
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インドのデリーからイギリスのロンドンまでバスを乗り継いで行ってみよう。その計画の前哨戦のような、香港滞在編である。出発地点はデリーだったはずなのだが、飛行機のチケットの関係上、途中寄り道ができることがわかり、まずはいまにも落ちそうなオンボロ飛行機にて香港へ旅立つ。
地図もなく、当然ホテルの予約などもしていない著者は、偶然「黄金宮殿」という宿屋に滞在することになる。そのきらびやかな名前に反して、シャワーは満足に出ない、特大のゴキブリがカサカサいっているようなところだ。だが、その安さとうさんくささを気に入った著者は、ここに何週間もいつづける。
その間の、マカオでのカジノにはまるくだりが面白い。読んでるこちらまで熱くなってしまう。あわや一文無しか、というところまで落ち込んでしまったり、パターンをつかんで勝ちまくったり。
彼は旅先で面白いことを見つける天才だ、と思う。その天才が遭遇して見出した出来事が満載の一冊。これを読むと、ぶらりと一人旅に出かけたくなる。
2001/12/13 01:16
いまからできる、思考力トレーニング
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「教えてもらう」という受動的な「教育」ではなく、自ら進んで学ぶ「学習」をしよう。自分の頭で考える力、思考力を鍛えよう。そのためのトレーニング法を、身近でいますぐできるような形で紹介している。
現代では、大学までは自分の頭で考える力は養われない。考える前に、教師から解答が出されてしまう。自分で考えるということに人より早く気づけば、その人は成功する。「面接の達人」の著者でもある中谷氏は、就職活動をしている学生の生の声を聞くこともある。そんな彼の忠告、アドバイスは非常に説得力があり、共感できる。
明日から、と言わず、今日から、いまから、実践しよう。
紙の本アンの愛情
2001/11/27 05:48
回り道をしながら、真実の愛情に気づく道程
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やっと憧れのレドモンド大学へ進学したアン。旧友たちと暮らす可愛らしい「パティの家」での生活は、非常に魅力的だ。アンの子ども時代を思うと、誰からもうらやましがられるような生活を送っていることが感慨深い。いままでよく頑張ってきたね、とねぎらってあげたい気分になる。
才色兼備のアンは多くの崇拝者をもつことになるが、昔からアンに焦がれているギルバートがよせつけない。そのギルバートの情熱に戸惑い、彼を遠ざけてしまうアン。彼への感情に気づかず、あまつさえ、ほかの男性に恋をしていると錯覚してしまう。最後の最後で自分の真実の想いに気づくが、もう遅いのか? アンの最後の切羽詰った想いには、胸を締め付けられる。
2001/11/21 07:41
夢を持ちたい人、夢を実現させたい人のバイブル
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これは、私にとってバイブルのような本である。大学生活の過ごし方が一変した。この本で中谷氏が言いたいことはひとつ「大学の間に夢を見つけよう、そしてそれに向かって何かをしよう」ということである。夢をみつけるための能動的な動き方、夢を実現させるための努力のノウハウが書かれている。
日本の大学生は、夢を持っている人間が少ない。そんな状態だからこそ、一人抜きん出ることができる。
大学生はもちろん、高校生、社会人にも一読することを大いにお薦めする一冊である。
2001/10/22 15:01
龍馬の友、土方の夢
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修羅の刻(とき)第弐巻、第参巻は幕末の話である。
主人公は、陸奥円明流、陸奥出海。その名の通り、海のように広く強いだけでなく、世界に出て行くことが彼の夢だった。この話では、主人公はもとより、彼と同じく黒船を手に入れ世界に行きたいと夢見る坂本龍馬、新撰組の土方歳三、沖田総司らが活きている。殊に、ラストの土方の生き様(死に様)には、涙させられた。
龍馬にとっては、親友、いやそれ以上に、故郷土佐の「海」のような存在。「男と男の闘い」を通して、簡単に「友情」とも「好敵手」とも言えない剣士同士の関係を築く出海。彼は、新撰組を大きくするのが夢だという土方にとってのもうひとつの夢でもある。「陸奥出海と対決すること」
彼らの魂を通しての「関係」は、現在の社会には存在しえないであろうが、いまなお彼らのようなつながりに憧憬の念を覚える少年、男性は多かろうと思う。そういった人達にとって、この本は作者の言う「史実」となるだろう。私にとっても、もちろん「史実」である。
紙の本殺人よ、こんにちは
2002/07/27 00:10
サガンの小説をモチーフに
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私が赤川作品で最も好きな作品のひとつである。
裕福な家の少女の父親が亡くなったところから、物語は始まる。
母親とお手伝いさんとクラスメイトと、夏休みを過ごしに別荘にやってくる。母の愛人や、お金を工面してもらいに叔父さんがやってきたり、バタバタしているうちに、殺人事件が怒る。何事に対してもクールな少女は、冷静な推理力でもって、いわばひまつぶしに事件を解決しようとする。
サガンの小説「悲しみよ、こんにちは」をモチーフにした作品。
紙の本三毛猫ホームズの推理
2002/07/27 00:04
記念すべきシリーズ第1作
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もうかなりの数が書かれている「三毛猫ホームズ・シリーズ」の第1作目。
この本で、なぜ三毛猫ホームズが片山刑事のうちに「居候」することになったのかがわかる。
極めて健全に思える高校で、血なまぐさい事件が相次ぐ。その捜査に、われらが三毛猫ホームズが解決のヒントを与えてくれる。現実には決してありえない状況であるが、すんなりと受け入れられるのは、やはり赤川作品ならではだろう。
この話のラストは悲しいものであるが、ここから楽しいシリーズが始まるのだ。
紙の本死者の学園祭
2002/07/26 07:53
絡み合った謎を解きほぐす快感
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主人公は、ミステリーや冒険が大好きな、聡明な女子高生。転校した高校で、次々にクラスメートが事故にあい、命を落とす。そこに共通点を見出したヒロインは、かねてからやってみたかった探偵の真似事として、調査をしてみる。
複雑に込み入った事件、謎を、少しずつ解きほぐしていく彼女の冒険が、小気味いい。
ラストの謎解きは、映画や演劇の好きな赤川氏らしく、学園祭での劇中で行われる。それが効果的に使われていて、いい。
真実を知ろうと奔走したが、真実を知ったときのヒロインの感情は、どんなものか。その心情を思うと哀しくなるが、幸せもきちんと用意しておくところが、赤川氏らしい。
紙の本「赤毛のアン」の生活事典 A GUIDE TO THE GOOD OLD DAYS
2002/07/24 04:47
「赤毛のアン」の生活がわかる本
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この本は、現代日本に住む私たちに、当時のカナダの生活全般を教えてくれる。
「赤毛のアン」では、身の回りの生活用品、家具、洋服、そして自然がふんだんに盛りこまれているので、これらに対する知識があるのとないのとでは、物語の楽しみ方が全く異なる。
イラストや写真入りで詳細に解説されているので、より身近に「赤毛のアン」の世界を味わいたい人には、必読の本だと思う。
紙の本勉強はそれからだ
2002/07/24 04:30
沢木氏でも間違うことが
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自分自身の仕事としての「書く」ことについて、いろいろな体験、考えを述べている。
そんななかで面白かったのが、ノンフィクション作家としては本来してはならない、事実の間違った記述である。沢木氏だって、人間だ。間違いのひとつもあるだろう。だが、その間違いの内容がおかしい。沖縄のお茶の名前を、沖縄の言葉で「女性器」を表わす言葉と間違えて記述したり、実在していない人物を登場させてしまったり。
沢木氏には申し訳ないが、彼が言う「しばらくは思い出すたびに耳を塞いで大声をあげたくなるほどの恥ずかしさ」がわかるので、逆にそんな沢木氏を身近に感じられる、エピソードだった。
紙の本不思議の果実
2002/07/24 04:22
インタビューの役割
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この本は、かつてインタビューをした著名人についての話が載っている。
彼は、相手の知っていることのみならず、相手が「知らないこと」つまり「自分では気づいていないこと」を話してもらうように、骨を折っている。そのためには、適切な質問をしなければならないのは当然、雰囲気作りも大切であろう。
相手が話したいという「言葉の湖」に、うまく水路を作るのが自分の役割、と言っている。
そうしてなされたインタビューに基づく文章では、その人の違う側面や新たな魅力が描かれている。これこそ、インタビューのあるべき姿だろう。
畏れ多くも、この本を読むと、インタビューなるものをしてみたくなる。実際に彼のように事を運ぶのは、至難の技だろうが。
紙の本夕陽が眼にしみる
2002/07/24 04:16
珠玉の書評たち
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私は、ノンフィクション作家としては、沢木耕太郎氏が最も好きである。
この本には、エッセイのほかに書評が11本載っている。そのどれもが、入念に書かれているのがわかる。一冊の書籍の書評というよりも、その作者の全著作を読破したうえでの流れや、人物像まで描いている。
沢木氏の書評を読むと、自分にとっては、ただの本、ただの作家だったものが、急激に現実味を帯びてくる。興味を覚え、その本を手に取りたくなる。そうして購入した本が、どれだけあるだろう。
この本の書評は、そんな風に、多大に影響を与えてくれる。
もちろん、書評以外の、独自の視点から日常を切ったエッセイも、面白い。
2002/07/24 04:06
中谷式人脈術
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「今度」ではなく、「今からお会いしましょう」。
似ているようで全く違う、この一言が言えるかどうかで、その後の人脈、ひいてはその後の人生が変わるといっても過言ではない。
人と人とのつながりを非常に大切にする中谷氏ならではの、人脈術。
待っているだけではいけない。
自分から、どんどん声をかけていこう。
そんな勇気がわいてくる。
2002/06/27 00:52
ノーベル賞物理学者の易しい科学
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ノーベル賞物理学者のファインマン氏の大学での連続講演と、ノーベル賞受賞記念講演が収録されている。
一見難しそうなタイトルだが、ファインマン氏特有の平易な言葉でわかりやすく「物理学」の根本的概念、及び自らの「物理学」に対する情熱と姿勢を語っている。
物理に通じている人にはもちろん、詳しくなくともサイエンスに興味のある人にも楽しめる一冊となっている。科学嫌いの人も、この本を読んで興味を抱くかもしれない。
科学好きには、堪えられない一冊だ。