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すまいるさんのレビュー一覧

投稿者:すまいる

64 件中 46 件~ 60 件を表示

紙の本村上ラヂオ

2002/06/28 23:17

チューニング

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 正直言って、僕はこの本の春樹さんの文章はあまり好きじゃない。というと誤解を受けるかもしれないけど、敢えてそう言わせて欲しいと思う。内容そのものは、いつもの春樹さんのエッセイと比較しても、別に見劣りしないし勿論面白い。

 しかし村上春樹さんの文章を愛してやまないファンの一人である僕には、なんだか不自然な文章に感じられた。いままで喫茶店で共に語り合っていた友人が、唐突に学校のホームルームでもはじめたかのような戸惑いを覚えた。もしそんなことがあったら、やっぱりびっくりしますよね(笑)。

 あるいは、春樹さんは「誰にでもわかる丁寧な文章」を書こうとしただけなのかもしれない。僕の読み方に何か重要な過ちがあるのかもしれない。だけど、春樹さんの文章が大好きで、新作をいつも楽しみにしている人の中には、僕と同じように感じた人も少なくないのではないだろうか?

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紙の本走れ!タカハシ

2002/06/27 13:12

隠れた名作

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 「ヨシヒコが走るとき、何かが始まり何かが終わる。」そんなキャッチコピーの村上龍作品。僕の個人的ないきさつを書くと、だいぶ前に買って読んでいなかったものを本棚を整理してたら発見、しかも読んでみたらなかなかの面白さであったという嬉しい一冊だったりします♪

  タイトルの「タカハシ」とは広島東洋カープのプロ野球選手高橋慶彦選手の事です。でもタカハシ選手にまつわる物語、というわけではないんです。う〜ん何て言ったらいいのかなあ? 「帰宅後何気なくスイッチを入れたTVに」「かつて子供の頃父親に連れられて行った野球場で」等々、みなさんもいいろいろなところで野球選手を目にしたことがあると思います。本書に収められている連作短篇は、そういった何気ない日常を送っている人々の物語です。ですから勿論、野球に関する知識は無い人でも十分楽しめる作品なのです。安心して手に取ってください。

 村上龍作品の中ではあまり知られていない部類に入るのかも知れませんが、実はかなり面白く、特に村上龍作品では『69』が好きだ! という方にはおすすめの一冊です。え、理由ですか? 読めば納得してもらえると思いますので、ぜひ一読を(笑)。

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紙の本リヴァイアサン

2002/06/27 12:56

『リヴァイアサン』

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 物語は主人公の友人であるベンジャミン・サックスという男が、ウィスコンシン州の道端で爆死した事からはじまる。彼は自らが作成した爆弾で死んだのだ。主人公は「友人が爆死するに至るまでの人生」を出来るだけ詳細に文章として残そうと決意する。

 そしてその文章こそが、本書『リヴァイアサン』なのだ!

 僕としては、作品の後半1/3くらいの盛り上がりまでの部分が、多少だれ気味な気がして残念に思えた。後半は文句無く面白かったので、なおさら惜しい気がしてくる。この作品に同じ著者の『ムーン・パレス』のような、最初から読者を引き込み、引っ張っていくものがあれば、申し分ないのにと思ってしまうのは僕のわがままだろうか?
 
 本書を手に取った読者は、もしかしたら前半なかなか進行しないストーリーにじれったく感じることもあるかもしれない。けれど、ぜひじっくりと作品を楽しむ余裕を持って欲しい。なぜならそれは、濃縮された後半への、大いなる助走なのですから。 読後には、きっと何か感じるものが残るはずです。

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紙の本青が散る

2002/06/27 12:38

大人の回想

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 主人公と仲間達の不器用な大学生活の物語…。2流の新設私立大学に入学した主人公が、いろんな人間との出会いやら別れやらを通して成長していくわけです。新設の大学にテニス部をつくろうと奮闘したり、まあいわゆる恋愛云々があったりと、なかなか盛りだくさんの内容。

 しかし僕は、どうしても「(ある程度年をとった)大人が描いた(既に通過した大人の目を通して書かれた)青春もの」って感じがしてしまい、作品の世界に上手く溶け込むことが出来ないのだ。

 う〜ん、この作品に共感できる大学生って、本当に多いのだろうか…? 僕にはむしろ、昔の出来事を「ふっ」と思い出した大人が読む小説だと思う。僕もいつの日か、「この小説の登場人物たちより、青く、そして熱い青春を過ごせたか。自分の過去を振り返りながら、競ってみたい」と思うのである。

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紙の本奇跡の人

2002/06/27 12:11

奇跡の人・人の軌跡

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 交通事故による瀕死の脳死状態から、主人公の相馬克己は奇跡の回復をみせる。しかし彼は事故以前の記憶は失ったままである。唯一の肉親であり支えであった母親の亡き後、彼は事故以前の自分自身への欲求を抑えることができない。そして……。 という「いわゆる記憶喪失系」のミステリー。

 物語の前半は主人公の長期にわたるリハビリや、母親の献身的な看護などが抑え目のトーンで淡々と(しかし、感動的に)語られる。すべての知識を失った主人公が回復していく過程には、何となく『アルジャーノンに花束を』ともイメージが重なるものがあり、僕は感動しつつも平穏な読書を楽しんでいました…。しかし! しかーしである! この小説、その平穏な読書のひとときを、いともあっさりと覆してくれちゃいます。

 主人公が事故以前の未知の自分を探し始める後半から(彼は、事故以前の彼の情報が意図的に隠されていると感じて、過去の自分の人間性に疑問を抱いちゃってます。みんなが優しさから情報を隠蔽してる、と思うわけですね)、作品のトーンががらりと変わるのです。人間の持つ「負の側面」とでもいうべき要素が溢れ出てきますので、読者は覚悟して読んでくださいね(笑)。僕はこの話は全体としても面白いと思いましたし、むしろこの作品の存在意義は後半部で、ああゆう形である意味読者を裏切ることは作者の「すぐれた」意図であるとも思う。だけども、読者は前半で主人公に共感し感情移入してしまっているだけに、なにしろ辛く哀しい……。

 はっきりいって気分が落ち込んでいる時に、本書を読みはじめるのはあまりおすすめできないです(笑)。ウキウキ気分で元気いっぱいの時に読んでください。そして著者には、この作品のような挑戦を今後も続けていって欲しい。そうすれば、近い将来、この著者はすごい作品を読ませてくれそうな予感がします!

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紙の本蒲生邸事件

2002/06/27 11:50

現代人・過去人・未来人

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 平河町一番ホテルに宿泊していた受験生・尾崎孝史は、二月二十六日未明、ホテル火災に見舞われた。危うく焼死するところを、謎の男に助けられた孝史は、その男とともに昭和十一年二月二十六日にタイムスリップ—雪の降りしきる帝都では、今まさに二・二六事件が起きようとしていた。その日、蒲生邸では蒲生陸軍大将が自決。三宅坂一帯は叛乱軍に占領され…。この叛乱の結末、これからの昭和の戦争への悲惨な歴史を知る孝史たちにできることはないのか。“運命の四日間”に交錯する人々の命運! 当代随一のストーリーテラーが時を超えて描く。

 基本的には、いわゆるタイムスリップものの定番そのものなのだけれど、魂のこもった魅力的な登場人物、2・26事件という特殊な舞台設定などによって、「ありがちな設定」という弱点をしっかり補えていたと思う。「さすが宮部みゆき!」といったところだろう。

 ただ、納得できない点がひとつだけ……。既にその時代の成り行きを知ってしまっている未来からやってきた(作中の言葉を借りるなら)「未来人」が存在するのに、何故その時代より過去からやってきた時間旅行者「過去人」が出てこないのか? 登場しない明確な理由は示されていなかったと思うのですが、僕が気付かなかっただけなのだろうか?

 例えば、タイムスリップは時間旅行者が明確にイメージできる時代にしか行くことが出来ない。だから結果的に「過去人」が現れないだとか、何とでも理由付けはできると思うのですが、それを何故文章にしなかったのだろう? 少し丁寧過ぎるくらいに読者に配慮した作品を書かれるのが宮部みゆき作品の良いところのひとつだと思うのだけど……。

 主人公の青年がそのことに疑問を持たないことが不自然にすら思えた。いつになったら「過去人」について触れるんだろうって、そればかり気になっていたのに、結局最後まで説明されないまま終わってしまった。宮部ワールドの面白さ炸裂の本作であるだけに、その点が残念である。

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紙の本少年H 下巻

2002/06/24 01:08

少年Hが見た空は。

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 いわずと知れた妹尾河童さんの大ベストセラー作品。舞台は、第二次世界大戦前後の神戸の街。少年Hが体験した「あの戦争」とは、一体なんだったのか?

 彼は、時代に翻弄されながらも、「一体これはなんなんだ?」、「こんな世の中まちがっている!」という疑問を常に持ちつづけている少年だ。ジョン・アーヴィングの『ガープの世界』が、「ガープの目を通した世界」であるのと同様に、この作品は「H少年の目を通した太平洋戦争」つまり『少年Hの戦争』だ。その生きざまは非常に痛快である。

 映画や小説など、様々なメディアが「あの戦争」に触れてきたわけだけれど、僕は今までこの作品ほど共感できたものには出会わなかったかもしれない。僕が生きているこの日本で実際に起こった戦争。その戦争をH少年の目を通してリアルに感じることができるというその一点だけで、とても貴重な作品だと思う。

 僕やあなたが生きている間に、実際に「戦争」というものと直面することがあるかもしれない。いやむしろ「戦争にかかわらずに生きていけるのではないか」などと考えるのは、虫が良すぎるというか、楽天的に過ぎるのだろう。とても残念だけど……。この小説とH少年は「その時どう生きたら良いか」のヒントをきっと読者に与えてくれるだろう。

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紙の本偶然の音楽

2002/06/24 00:32

偶然という運命

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 妻子との別れの後、音信不通だった父の遺産二十万ドルが転がり込んでくる。しかしナッシュは愛車のサーブでアメリカ全土をめぐり、遺産を浪費していくばかりである。二十万ドルもあとのこり僅かとなったとき、彼は「自称天才ポーカー」の青年ポッツィと出会う、ナッシュは彼の腕に残された全ての財産を賭けてみようと決意するのだが——。

 この小説を読んでいて頭に浮かんできたのは、安部公房の名作『砂の女』イメージ。主人公が自らの意思に関わらず、というか「自らの意思決定に基づいて」行動しているつもりでも、抗うことの出来ない特殊な状況にじわじわと追いつめられていく過程は、まさに『砂の女』そのものという感じがする。これはアメリカ版『砂の女』だなと。

 『砂の女』同様、読書中のぞくぞく感には、他では得がたいたまらない何かがある。bk1で本書のページをクリックしたあなたは、既にポール・オースターが奏でる偶然の音楽を聴く運命にあるのかも!

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紙の本サーカスの息子 上

2002/06/24 00:13

物語の息子

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 『ホテル・ニューハンプシャー』や『ガープの世界』等の作品で、彼独特の共同体的(あるいはホーム的)家族観を読者に示したJ・アーヴィング。本作『サーカスの息子』では「故郷(ホーム)」についての問題を読者につきつける。主人公の老整形外科医にして映画脚本家ファルーク・ダルワラ医師は、生まれ故郷のインドにも、長年生活の基盤をおいてきたカナダにも、自分の故郷を感じることが出来ないでいる。——不安定感。

 現実社会と同じく、ダルワラ医師の周りの人々も(一見すると、そうは見えなかったとしても)皆それぞれの不安定要素を抱えて生きている。そして、それらの解決方法(というものがあるとしたらの話だけれど)もまた、人それぞれなのだろう。——僕やあなたと同じように。

 ——そして本書を読んで強く感じたこと。それは短篇作品「ピギー・スニードを救う話」で表明されたアーヴィングの作家としての基本指針が、この作品においてもきっちりと貫かれているということ。

 ピギー・スニードの死後に彼の名誉をみごとに救出した「作家」J・アーヴィングは、今もなお、彼の物語の登場人物たち・そして我々読者を救い続けている。

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紙の本インターネット的

2002/06/24 00:02

イトイシゲサト的

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 何かちがう気がするなあと思うときには、その作家の人生観や世界観に、観ているあなたの考えがフィットしなかったわけです。しかし、ちがうなあとは思いながらも、作家が本気で問いかけた時には「おれはそうは思わないけれど、その幸せもあるだろうなあ」と、何となく納得できたりします。(本文より)


 僕は糸井重里さんの運営のホームページ『ほぼ日刊イトイ新聞』が大好きで、それこそほぼ毎日読ませてもらっているし、糸井脚本のTVゲーム「MOTHER」なども大好きだったりするし、糸井さんと同じように魚釣りがすきだったりもする。かといって「あなたは糸井重里氏のファンなのですか?」と問われたら「よく分からない」と答えるしかない。

 『インターネット式』と題された本書についても同じである。彼の発言は、僕にとってとても興味深いものであることには間違いはないのだが、完全に納得しているわけでもない。

 はっきりしない。

 そこで僕は気がついた。僕にとって糸井さんとは「常につるんでいたわけではなく、むしろ殆ど会話すらしたことが無かったのだが、心の中では評価し合い認め合っていた高校のクラスメート」のようなものなのではないかと。当然糸井さんは僕の存在すら知らないわけだから、その喩えは矛盾しているのだが、そういった気持ちを読者に感じさせる彼の文章が、本気の文章であることは間違いないだろう。

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紙の本辺境・近境

2002/06/22 02:47

カンガルー脚の行く先は?

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 著者の村上春樹さんは『遠い太鼓』や『雨天炎天』などの旅行記を書いていますが、おもしろさとバリエーションの豊かさでは本書が一番かもしれません。

 今回の村上春樹さんは、瀬戸内海の無人島でのキャンプ、讃岐うどんをめぐる冒険、そして大作『ねじまき鳥クロニクル』にも登場したノモンハンの戦場跡まで、相変わらずのフットワークの良さで、さまざまな場所へ意欲的に足を運ぶ。

 本書をじっくりと楽しんだ読者は「交通機関や情報網が高度に発達した現代では、アメリカ大陸を横断するよりも、香川でうどん屋めぐりをするほうがより辺境を旅することになるのかもしれない」という著者の言葉に、思わず頷かされてしまうことだろう。
 
 そのときあなたは、著者と同じ「カンガルー脚」への道を歩きたくなっているはずです!

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紙の本青ひげ

2002/06/20 16:31

映画より映像的な文章

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 大邸宅に孤独に暮らす元抽象表現派の画家であり、前大戦において多くの勲章を得たアルメニア人の老人ラボー・カラベキアンの回想録。そんな彼の元をおとずれた謎の女性は何者なのか? カラベキアンがひた隠しにする納屋の中にはいったいどんな秘密が隠されているのだろうか?

 ヴォネガットの作品にしばしば見られる回想録の形をとっているこの作品。過去と現在が交互に語られているのにもかかわらず、読者に少しも読み辛さを感じさせないところがすごい。うっかりしていると、読者はいつのまにか著者の紡ぎ出した映像的な文章の世界の真っ只中に!

 著者の文章とあなたのイマジネーションは、一体どんな情景を生み出すのか!?

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紙の本

2002/06/20 15:39

侍は今?

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 豊臣から徳川へと時代が移り変わっていく中、藩主その他もろもろの人達の思惑によって、遠く異国の地へ行くことになる一人の下級武士。彼は日本を離れる事によって、当時の日本では弾圧の対象になりつつあり、自分とは待ったくの無関係なものだと考えていたキリスト教と、正面から向き合わなくてはならない立場に追い込まれていく……。

 同じ著者の『沈黙』や『深い河』といった作品ともに「信仰とは何か」を考えさせられる作品。信仰とは言っても特定の宗教についての問題よりもむしろ、「日本人であるということ」、「人間であること」とは、一体どうゆうことなのか。と思わず考えさせられてしまうスケールの大きな作品です。

 主人公の侍の、あまりにも世間ずれしていない人物像には多少違和感を感じないわけではないが(今は小学生だってもうちょいすれているのでは?(笑))、当時の時代背景などを考えれば「それはそれでありかな」と、充分に納得できる許容範囲内。

 歴史にも宗教にも関心が無いという人でも、思わずのめり込んでしまうはず!

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紙の本地下街の雨

2002/06/20 15:18

わかりやすい解説

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 大作『模倣犯』が大人気の宮部みゆきさんの作品で、わりとさらっとした短篇集です。って思って読み始めたのですが、この本、そんなに簡単に通過させてはくれません。だれもが違和感なく物語の世界に入っていける、わかりやすい著者の文章ですが、作品の面白さは一筋縄ではいきません。思わず「むむむっ!」って唸らされちゃいます。さすがは宮部みゆきさん、侮れません。

 どの短篇も「世にも奇妙な物語」的な、一風変わったちょっと恐いような雰囲気を持った作品ばかりです。中でも僕のお気に入りは「さよなら、キリハラさん」。どんな話かというとですね、元老院直属の音波管理委員会の太陽系第3支部から派遣されてきたキリハラさんに音を抜かれちゃうようなタイプのお話ですね。‥‥え〜と、わかりやすい解説に出会えて良かったですね(なんつって…笑)。

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紙の本燃えよ剣 改版 下巻

2002/06/20 14:59

幕末のonlyisnotlonely

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 特に愛嬌があるわけでも、人格家なわけでもない。幕末の世で、ただひたすら自分が信じた道をゆくだけ。それなのに著者の描く土方歳三(ひじかたとしぞう)の魅力は果てしないものがある。時代小説は、ほとんど読んだことがなく、本書を読み始めた時には主人公の名前すら読めなかった(!)僕ですが——「ひじかたさいぞうさん?」かと…(汗)——とうとう最後には、土方のある種滑稽なまでの頑なさまでが愛しくなってしまう有り様でした。

 最近話題の「only is not lonely」という言葉。僕は土方歳三にささげたいと思います。まさに彼の為にあるような言葉です。——そして、もう一人の「only is not lonely」坂本竜馬が主人公の司馬遼太郎『竜馬がゆく』も、ぜひとも読まなくてはと思っている。

 皆さんも時代小説にチャレンジしてみませんか?

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