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  3. 13オミさんのレビュー一覧

13オミさんのレビュー一覧

投稿者:13オミ

80 件中 61 件~ 75 件を表示

紙の本脳を究める 脳研究最前線

2004/05/08 10:45

ぴんとこないシナプス可塑性

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 難しい。専門用語が連発する。脳の仕組みを平易な言葉で書こうとしているが、論理的であるだけでは理解できない。高校の教科書と同じだ。上から振りかぶって説明する先生の典型である。

 今は無き「科学朝日」の連載記事をまとめたものだが、その密度の濃さはすごい。脳の研究には3つの方向がある。心としての脳=自意識や真善美の解明。働きとしての脳=記憶や運動の解明。細胞としての脳=シナプスや科学伝達物質の解明。そのうち細胞や分子レベルでの脳の解明がどこまで進んだかについて本書は詳しく言及している。

 脳の分子レベルでの動きには、信じられないほど複雑で多様な化学過程が存在する。シナプスやニューロンという言葉をこの本で初めて私は知り、深い興味を抱いた。その中でも最大の注目点は「シナプス可塑性」なのだが、これがいくら説明を読んでもよくわからない。ぴんとこないのだ。なぜ人は匂いを識別できるのか? 形を認識できるのか?といった問題に答えを出してくれる可塑性。この可塑性が神経回路構築の基盤であり、高次の脳機能を説明するポイントであるそうだが…。

 最もインパクトがあったのは、生まれたばかりの猫の片目に眼帯をかけてしまうと眼帯をした目は弱視になってしまうという実験だ。生後2から3ヶ月間の感受性期に刺激を加えないと神経細胞は反応しなくなる。が、刺激を与えないからといって片目の神経回路が全くなくなるわけでもないらしい。開いていた目を摘出するという実験では、無反応であった眼帯をしていた目が逆に反応するようになる。脳神経というのは生きるために作り出されたマジックのようだ。生後2から3ヶ月の感受性期の子どもにはいろいろな刺激を与えて神経回路の活性を図らなければいけないなあと実感させられる。

 脳化学はまだまだ未知の分野であり、これから研究がどんどん進んでいくであろう。しかし、素人にはわかりにくいという問題がついて回る。その部分にも注意を注いでいってもらいたい。

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紙の本恋する伊勢物語

2004/05/05 12:46

古典鑑賞参考書

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 史実にどれだけ基づいて伊勢物語を捉えているのかは全くわからない。著者である俵万智氏の想像なのか事実なのかが読んでもはっきりしない。物語だから架空の人物が登場しているのだと考えれば致し方ないか。

 古典に苦しんだ。その中でも、今昔物語集・宇治拾遺物語集などの物語集で、話が滑稽なものはよかった。それ以外は古典の全く面白くなかったことよ。いったい、学校は我らに古典の何を伝えたかったのか? 今考えると、ほとんどの生徒に鼻から拒否されていた古典は可哀想だったなあなどと憐みの情が湧く。

 文学作品を鑑賞するのが国語の授業であるならば、古典という文学作品を鑑賞するのが本道である。にもかかわらず、歴史的仮名遣いや古語を覚えるという瑣末な部分の徹底を国語の授業の根幹に据えてどうして生徒がついていくだろうか? いやいや、それが徹底できなければ読むことすらかなわぬではないかという反論がある。しかし、子どもが言葉を覚えるのは周囲の状況に興味があるからで、古語のような日常使わない宇宙語を理性で覚えることは至難だ。だったら、生徒に古典への興味を湧かせることのほうが学習の早道だと思う。

 俵万智氏はそれを知っている。実際、国語の先生だそうだが、そういう授業をしているかどうかはわからない。しかし、ここに書かれた彼女の説明は体現している。面白い。興味が湧く。

 「むかし、男ありけり」=「とりあえず、ビール」と説く。「短歌」=「ラブレター」と説く。そうした現代とのマッチングを考えた展開はさすがに引き込まれる。どれも出だしで「お!」と思わせるのだ。

 中に出てくる短歌の解釈も難くなく、読んでいて短歌から匂いが感じられる。学校ではどんなに短歌を読んでも匂いはなかった。

 昔の人間はナイーブで遊び心のセンスがあったらしい。それに比べると現代人は機械人間かと思われてくる。古典は心を確かに豊かにしてくれる。

 受験のための参考書も必要だが、もっと古典を文学作品として引きずり込むような参考書があってもいいのに。そんな参考書、期待したい。
 

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紙の本奥さまは官能小説家

2004/05/03 10:34

公園デビュー失敗

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 奥さま! 官能! 「むふふ♪」 いやらしい官能小説かと思い手に取って裏書きを見たら主婦のエッセイだった。あたしはまんまとだまされた。

 時折差し込まれるへたくそな4コマ漫画がいい味だしている。さすが小説家。漫画だけど字の占める割合が多い。

 公園デビューのところがよかった。初めて公園に子どもと連れ立った著者。公園のママたちは完全無視。とぼとぼと肩を落として帰る彼女のあまりの切なさよ。そうしてようやく初めて声をかけられた著者に浴びせられた言葉は罵声だった。あぁ、公園デビューの恐ろしきこと。

 ネットで仲良くなった主婦と毎日チャットで話しているので、私はこの本の内容がなんだか自分のことのように身近に感じられた。ほんとのことだとわかるのだ。

 官能小説家としてよりも母親としていかに日々をやりくりしているかということがよく描かれており、いろいろ辛いことがあっても最後は主婦仲間のボスにまで成り上がる。ハッピイエンドだ。泣き笑いのある気持ちのいいエッセイだった。

 彼女は自分や周囲の体験をそのまま官能小説に取り入れているらしい。つわりゲロ小説・妊娠小説・母乳小説・嫁姑小説・社宅小説・離婚小説などなど。しかしSM小説だけは書けないという。それ頑張ってほしい。

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紙の本人はなぜストーカーになるのか

2004/05/02 06:42

ストーカー対処はこうする

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 本書ではストーカーのケースを4つ紹介している。事例が少ない。著者は「被害者は性別・年齢・職業に無関係」と断言している。様々な事例を挙げていかないと読み手が自分に当てはめて考えることができない。どこまでがストーカーなのかといった定義づけは非常に困難。加害者と被害者の関係の深さや当事者間の微妙な思いは千差万別だから。

 小・中学生の頃、今でいうセクハラはすごかった。クラスの女子を家の玄関まで呼び出してちゅうしたり、教室で背後から忍び寄って胸を揉んだりは日常茶飯事だった。学校の廊下で「あいつのお尻を掴んでこい」と指令を出すと「わかりましたっ」と言って、目の前で掴んで「なにするのよっ」と叫ばれ、当の女子にびんたされるなんてのもいつもであった。女子には悪いが、そこには鬱屈したものというよりはむしろ楽しむという行為があった。行為の対象はクラスの知り合い。行為によって必ず相手に自分の存在をわからせること。びっくりさせるという遊びの要素が強い。相手の気持ちを慮ることのできない子どもの行為であったと今なら理解できる。ストーカーは、相手の気持ちを慮ることのできない子ども大人の行為そのものである。

 そうしたストーカーへの対処方法が本書ではこと細かく載っている。悩む女性の拠りどころとなる。自己防衛法や実際にある防犯対策を紹介している。

 被害者と加害者両面の心理葛藤を描いているのも読み手にとってはストーカーの本質を理解する助けになっている。

 補章では、桶川女子大生刺殺事件を典型的なストーカー犯罪と断定し、その時系列での対照表を載せているのでどんな行為があったのかが詳細に把握できる。あまりにもひどい事件だ。

 相手の嫌がることをしてはならないという自制よりも自分がしたいという欲求を天秤にかけるまでもなく行うストーカー。その一歩手前に存在するセクハラという行為に対して今度は著者に詳説してもらいたいと思う。

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紙の本一日だけの殺し屋

2004/04/30 12:03

短編の神

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 8つの短編からなる。そのうち6つは悲しいことにそれほど光るものはなかった。感動の盛り上がり方にうならせるものがない。

 「闇の足音」は警官を殺してしまった男が見ず知らずの一人暮らしの女のところに逃げこむ。そこから展開する話は極上ものである。

 「脱出順位」は男が帰宅すると家が火事。妻と娘のどちらを助けるか究極の選択を迫られる。その緊迫感には引き込まれてしまう。

 赤川氏の短編は普通の人が主人公である。どちらかというと頼りないように思える人が日常ではほとんどありえない事件に巻き込まれて、その実力を発揮する。そうしたところが読む者の心を熱くさせる。実際の我々の平坦な日常を開放させてくれる。自己陶酔できるのだ。ありえない大きな事件を発生させたとしても、そこで展開される人間のやり取りは至極自然であり感動を呼び起こす。

 赤川氏の作品はすぐに読めてしまって軽いとか中味がないとかのそしりを受けることがあるが、そんなことはない。主人公の短い言動の中に凝縮された人生の重みを感じることができる。読み手の頭にはっきりと映像を送る言葉を紡ぎだす力はすごい。おそらく彼のような秀逸な作家は今後出てこないだろう。O・ヘンリに匹敵する。短編の神といってもいい。が、継ぐ者の台頭を期待したい。

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紙の本毛沢東を超えたかった女

2004/04/29 13:06

中国4000年の歴史が内部崩壊

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 現存する主人公劉暁慶の一生を描く手法は、新聞記事の取材のようで淡々としている。彼女の言葉は彼女自らが書いた自伝から引っ張ってきている。だから、著者の熱い思い入れは読んでいて感じられない。ルポのレベルとしては低いねえ。題名も別に彼女がそう思っていたとは到底考えられない。

 中国人の知り合いがいる。学校はめちゃめちゃ厳しいらしい。毎日宿題が山のように出る。特に計算や漢字のような単純宿題は狂ったように出る。しかし、学校の時間割は適当。普通、一日の授業は1時間目国語、2時間目算数、3時間目社会…と続くが、丸一日国語だけぇとかその日によってころころ変わるらしい。いい加減なんだってさ。さすが共産党。そんなこと日本じゃ怖くてできない。親が殴りこみますぜ。

 この本を読むと中国がわかる。中国に誇大なイメージを私は持っていたが、目から鱗が落ちた。社会主義市場経済に移行することで、中国国民は租税を払うことになった。今までは私有財産が認められていなかったから、租税という概念は国民の頭にはない。富裕層は税金なんて払いたくないと思うのが当然でしょうね。

 劉暁慶がなぜ脱税容疑で逮捕されるに至ったかについては生まれや育ちの面からよく描かれていた。特に劉個人が中国国家を敵に回してびくともしないという激烈な性格はすさまじい。というか劉にとっては相手が国だろうが個人だろうが一緒。税金を払わないどころか誰に対しても詐欺行為を働いている。しかし、悪いなんざあひとっかけらも思っちゃいない。ここまで来るとあんたはすごいよの世界だ。

 さらに、彼女が国民的ヒロインであったというところがすごい。あの映画『西太后』に主演。その後も中国国民の注目の的であり続けるが、成り上がるまでの彼女の努力と才能ははっきりと認められる。気骨と聡明の両面を兼ね備えていたからこそできたのだ。

 独りの尊大不遜な女性の歴史を通して、私が中国に抱いた新しいイメージはとんでもない。中国4000年の歴史? 眠れる獅子? 超大国? 馬鹿馬鹿しい。そんなものは存在しない。ただ国民が我慢強かっただけ。日々の苦しい生活を文句も言わずに過ごしてきた結果が現在の中国の姿だ。長いものに巻かれるだけ巻かれたひ弱さの証左だ。この考えは民族差別かもしれない。けど、中国をのっとろうとか中国人排斥といった気持ちはない。中国に持っていた「あそこはなにかあるぞ」という間違ったイメージを払拭できただけだ。劉暁慶は国内では超急進だが、今後も中国にとっては起爆剤として欠かせない存在であると思う。

 松野氏には、国をも揺るがす強大なる精神を持つ人物をどんどん紹介してもらいたい。中国だけではなく、全世界にそうした人物はいるはずだから。

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紙の本ストリート・チルドレン

2004/04/28 10:53

性の性格は後ろめたくあれ

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 この話は4つの章からなるが、きちんと登場人物に感情移入出来るのは3章目の戦後からだろう。しかし、その3章目から人物の行動と心情を詳細に描こうとしてしまって物語の疾走感が薄れる。つまんない。どこにでもある眠たい話になった。

 昔と言っても7年くらい前あたしは風俗に通い詰めていた。きっかけは彼女と別れて性欲の処理がつかず、上司のススメ?もあって未開の地に足を踏み入れた。そこで、風俗店を新規開拓したりお気に入りの女性に入れあげたりと楽しい毎日を送った。そのうち、ある風俗月刊誌に体験を投稿するようになり、そこで年間トップ賞をいただきパーティーで表彰された。パーティー会場には全国の風俗馬鹿が集まり、あまりにも明るい雰囲気の中で風俗嬢の生脱ぎオークションやゲームが開催された。そのときに話した素人の風俗ライターの(もちろん本名は不明。みなペンネームで呼び合っていた)「最初はセックスがしたくて風俗に通ってたけど、体験投稿しているうちに、書くために通うようになってさ。新規で風俗店を開拓しなくちゃとか可愛い子を紹介しなくちゃってプレスがかかって単純に楽しめなくなってくるんだよね。あははは」という言葉に大きく頷いている自分がいた。性はこんなにも明るくて楽しいものであったのか?

 第1章から2章はとにかくガキを孕ませ続ける。基本的には和姦なのだが、みな性欲の権化となり父も母も息子も娘もない。時々理性をもつ人間がでてくるが、基本的には子を産んで死ぬ。末路はみな悲惨で、それはあたかも子を産んだら君の役目は終わりだというような昆虫の類と一緒だ。それが延々と続く。ただ淡々と描く。グロテスクな描写はない。それだけに人間の性の真実が浮かび上がる。

 こうして300年間受け継がれてきた一族の話を読むと一人の人間の人生があまりにもちっぽけで悲しく感じる。と同時に性というのはやはり後ろめたいものがついて回らなければならないような気がした。明るい家族計画など性には似合わない。とにかく自分の種子を継続させるためにはなんでもやるという保存欲求の強さ。性の持つなんでもありだという性格が後ろめたさを衣服としてまとわせるのだ。不倫だとか近親相姦だとかを理論的・精神的な面で説明することのむなしさを感じる。

 性を表に出して明るく楽しくなどと考えていたが、全くおかど違いも甚だしいことを痛感させられた。今の性産業に踊らされるところだった。改めて地下に潜って密かに子種を排出することにしよう。

 日本以外の先進国アメリカやヨーロッパでの物語を読んでみたい。もし、盛田氏だったら外国の血族をどう描くか見たい。

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紙の本ジャンプ

2004/04/26 10:43

なぜ彼らは別れなければならなかったか?

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 失踪を用いてミステリー風に恋愛の切なさを描いた。大きな事件もなく人も死なないし、主人公も大活躍ではない。くそわがままな二人の恋人の退屈な失恋ストーリーだ。

 テレビで浜崎あゆみが言っていた。「事実は一つでもそれをどう捉えるかという真実は無数にある」。恋愛がすれ違うのは解釈の問題。そしてその解釈のズレを話し合いで解決しようとしない別れがものすごい数、存在しているのだということを痛切に感じさせてくれた本だった。自分の過去の失恋を思い出させてくれ、「ああ、そうだよなあ。結局話し合ってないよなあ」と反省させてくれました。

 話の展開は冗長だったが、失踪の理由が明かされる最後の場面は読ませる。

 ただの失恋をここまで盛り上げる佐藤氏の腕は確かで、虚構ながらも現実にある話を味付けする力をもつ。さすが恋愛小説の名手だ。

 フジテレビで別れの理由みたいなドキュメント調の番組をやっていた。かつて恋人同士だった二人を出演させてインタビューで別れの理由を明らかにするというもの。やらせかどうかは判らないが、かなり面白かった。失恋のメカニズムを解くような小説を再び佐藤氏には書いてほしい。

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紙の本ヤクザの恋愛術

2004/04/25 12:50

もてない男が日本を滅ぼすかもしれない

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 どうすればいい女にもてるんだろう? なんで自分はもてないんだろうと嘆く男たちにとって全く実践できない話。そもそも、もてるというよりかは男と女の間で対等で真摯な関係を求めようとするなら、この話は役立たないだろう。

 知り合いの弁護士が「とにかくヤクザはもてる」と言っていた。この本によると、そのからくりは徹底したアメとムチ。天性の計算高さだろう。まず、いい女を連れていることがヤクザの必須条件。周りの状況がそれを強いる。会社員が商品を客に売るのが当たり前と同じで上から要求されたらやるしかないでしょう。次に、外に対しては心身ともにカッコよく振る舞い、女には金と身体で尽くす。いい女を仕留めるまで毎日そのことだけを考え、外見はかっこよくし、金を湯水のように使い、女の身体を舐め続ける。そんなことがあたしたちにできますか? もてることがヤクザの仕事の一つなんです。それを明言しています。

 となると、もし回りに不細工なのにもてる男がいたとしたら、ほとんど全て以上のようなことをしていると考えた方がいい。もてる男の条件とかいろいろ本はでている。本書の中で石原氏は「世に出ている恋愛マニュアル本はろくでもないものばかり。本当にもてたことのない奴が知識だけで書いた恋愛マニュアルなんか役に立たない」と断言している。まさにその通りだろう。

 随所にどういう形で女を落としてきたかが紹介されているので説得力がある。
どうやら私がもてないのは、そういうことを徹底して実践してないからだと理解できた。

 さて、外見がいいだけではもてない。誠実に生きていてももてない。もてない男はそのままの人生を送る。そんな男ばかりの日本は滅びるかもしれないと石原氏は言う。どうして滅びるのかを具体的にストーリー性をもって語っていただきたい。そのためには本ではなく「もてる男を作り出す石原塾」なるものを実際に主宰してもらいたい。私は参加します。
 

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紙の本刑務所の王

2004/04/24 10:44

力は正義ではない。正義が力だ?

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 人物伝になるのだろうか? おそらくほとんど全部嘘の話なんだと思う。そうでなければアメリカの司法とか刑務所といった機関は無法地帯になるから。そんなことをもし許しているとしたら正義はこの世にない。戦争は永遠になくならない。

 昔のヒーロー者のセリフを思い出した。「力が正義なのではない。正義が力だ」。カッコええ。やっぱり正義が勝つし、強いよなあと憧れた。この本を読むとそれは無残にも打ち砕かれる。やっぱり力が正義なのだ。いや、正義などというモノは幻想なのだということに愕然とさせられる。刑務所内での殺人や麻薬取引は茶飯事。刑務官のいじめやたかりもある。刑務所収監は完全懲罰のはずなのに、日常生活と変わりない生活。逆に虐待もある。簡単に言えば、現場で力あるものが勝つという原始の構図がはっきりと存在するのだ。

 こんな話がある。銀行の不良債権処理がなぜ進まないのか? バブル当時、暴力団に金を銀行が貸してしまった。表上は暴力団ではなく会社だからね。まあ、誰にでも金を融資してた。バブル崩壊で銀行が立ち行かなくなって、銀行は債権回収に走る。しかし相手は暴力団。借りたものを返すつもりはさらさらない。一銀行員が職務意識と自己の正義の名の元に返済を迫る。ある日、銀行員が家に帰ると郵便受けに差出人不明、消印なしの封書を見つける。封を切ると自分の家族の写真が一枚だけ入っていた。彼は転勤になるまでずっとその会社の不良債権処理は行わない。上司もそれは暗黙の了解である。これが構図の一端だ。正義なんてないのだ。力が支配する。せめて刑務所の中は違うと言ってくれなんだが、そうではないことをこの本は物語っているのかもしれない。井口氏は執筆において、ものすごい仕事をした。

 読むのは苦ではない。非常によく内容はまとまっており自伝としての要素は十分に兼ね備えている。でもやっぱりこれが嘘であることを祈るばかりだ。

 この書籍はアメリカで翻訳されたのであろうか? 私はこれが刑務所の実態であるとしたら米司法当局は糾弾されるべきだと思う。いや、こんなことが明るみに出たらアメリカは終わるだろうなあ。だって、理性のかけらもない。井口氏は自分が大和銀行巨額損失事件で投獄されたという経緯がある。おそらく正義はないということを彼は知っている。力が全てを支配するということを身をもって感じているに違いない。事なかれ主義は、ほぼ全世界のほぼ全人を覆っている。私たちはどうすればいいのだろう。井口氏に聞きたい。その答えをどこかで書いてほしい。

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紙の本なぜかれらは天才的能力を示すのか サヴァン症候群の驚異

2004/04/23 06:48

スプーンはもてないが一聴でピアノを弾く男とは?

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 題名に衝撃を受けて、その答えはどこに?と読み進めていくとなかなかゴールまでたどりつけない。事例紹介の状況ばかりが延々と語られていく。途中で飽きちゃう。科学の本が読まれない理由をそのまま体現した感じだ。なんとかならんか? ますます科学離れが進行するねえ。

 表紙にある緻密な馬の彫像写真。これを造ったのは、一瞥しただけで精緻なレプリカの芸術作品を仕上げてしまう男アロンゾ。彼は知能指数が50しかなく、読み書きも出来ない。習得語彙数はなんと数百しかない。知的障害者だ。ここでは、そんな知的障害を持ちながらも天才的な能力を有している賢人が何人も登場する。サヴァン症候群がそれだ。本書での丁寧な説明は、はっきりとその実態を私たちに伝えてくれる。直観像、遺伝、感覚遮断、抽象思考の欠如、補償行為などがその原因に寄与していることを説得力をもって語っている。しかしながら、本当の原因は今だ解明できていない。逆に原因を安易に断言していないところが科学者としての信頼度を増していて好感がもてる。脳というものの深遠さを改めて実感させてくれる良書である。

 こうした真摯な姿勢をもつ科学者が政治・経済などの分野を語るということをしてほしい。専門分野ではなくても、科学的な検証をすることができる人にこの世の複雑な問題を論じてもらいたい。例えば「なぜかれらは詐欺的能力を示すのか〜国会議員症候群の驚異」とかね。

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紙の本13階段

2004/04/22 11:28

死刑に潜むねじれの構図を炙り出した

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 ドキドキハラハラのサスペンスを期待すると足元を救われます。最後の事件解決のシーンも盛り上がりに欠け、江戸川乱歩賞としてのエンターテイメント性は皆無です。そういう意味では冗長で単調な話かな。

 さて、この本を読んでいて思い出したことがあります。大学生のときにとった「刑事政策」の講義。初日、大講堂には300名強の学生がわいわいがやがやと授業が始まるのを待っていました。遅れて教授がやってくると、彼の手には一台のテープレコーダー。それをどんと机上に置くとスイッチを入れました。20分程度でしょうか。一家強盗殺人事件の死刑囚の肉声が講堂には流れました。この間、講堂内の学生はしんと静まり返り、最後にはすすり泣く女子学生の声があちらこちらで聞こえてきました。彼は死刑執行され今はこの世にいません。しかしながら、確実にそのときの彼の肉声は「改悛」していました。それはそこにいた学生の誰もが認めることでしょう。冤罪を描いた13階段ですが、中心はそこではないなと思います。「人が人を裁いていいのか?」そこには冤罪の可能性や改悛の情や復讐の連鎖や執行者の心情などものすごい複雑な問題が提起されています。

 刑務官南郷の辛さと仮釈放中の三上の辛さは異なりますが、刑事政策の渦中に生きた二人の心はとてもよく描かれています。死刑は、公刑であっても私刑であっても必ず人々の遺恨となります。あなたは、この日本の刑事政策をどう思うの? …かなり恐ろしい問題を突きつけられました。

 高野氏にはエンターテイメント性ではなく、今後もこうした重厚なテーマを描いてもらいたいです。できるのなら、制度として認められているものを取り扱ってほしい。学校制度=「人が人を指導してもいいのか?」とか医師制度=「人が人を治療していいのか?」とか誰かがやらなければいけないという制度の中に潜むねじれのようなものを炙り出してほしい。
 

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紙の本話を聞かない男、地図が読めない女 男脳・女脳が「謎」を解く

2004/04/21 10:52

ゲイを守る理論になるか?

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 男と女は根本的に違う人種だと言い切る。じゃあ、その根本とは何か? 人にはホルモンを原因とする男脳度と女脳度があって、うんぬんかんぬん…脳の違いを述べるが、脳は人類にとってブラックボックスなので真相は闇の中。状況証拠はそろっているが、物的証拠は何もない。そんな感じの本です。素人が科学をちょっとかじった深みのないお話。

 読み進めていくうち、物的証拠はなくても状況証拠が沢山あるので「ああ、そうだったのか」と過去の自分の行いを許し、過去の異性の行いを許すという目から鱗的な気分にさせてくれる。私たちの生物的社会はヘテロだが、精神的社会の台頭から最近はホモが表に出るようになってきた。母親の胎内にいるときのホルモンの放射量によってゲイになってしまうという理論は、環境による後天的なものという考えを覆す意味でゲイ批判を抑える効果がある。先天性だから急進批判ができなくなる。まあ、そうすると親の責任が批判対象に置かれるけどね。しかし、読後に「ああ、違う人間なんだ。じゃあ、私とは相容れないな」と考えるか「もっと理解しあわなくてはいけないのね」と考えるかは微妙で、読み手の捕らえ方に依拠するところが大きくなる。差別や区別といったモノに対する自分のスタンスをはっきりさせる触媒となる可能性は高い。

 私は、この理論が男と女の間だけではなく、広く民族に応用できないかと思う。性差別を緩和することができるのなら民族差別も同様にできる可能性があるからだ。ピーズ夫妻にはそこを取り扱ってほしいと思う。

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紙の本彼のこと

2004/04/19 07:02

人生の目的は細部に宿る

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 だれが主人公だかわかんない話なんだけど、まあ、相原って失踪した男が主人公なのかな。この彼、相原は過去から現在に至るまで全く一貫性がない行動をとるから「なに? いったいなんなの? こいつ」って思う。キャラ的に意味不明です。読み進めていくうちにラストはこうで、失踪の理由もこうかなあとなんとなく予想できちゃったけど。

 彼の失踪の理由を過去関係のあった12人の女から聞き取り調査を行うというインタビューで話を進めていくというやり方は非常に面白い。12人それぞれの女性のキャラが分類されているので、12人いても飽きない。藤堂志津子氏の作品は女性の心理描写が詳細に描かれているので、どの作品もなかなかぐいぐいと読ませます。彼の矛盾した行動には呆れかえるが、失踪の理由は男なら「ああ、そうか」となんとなく共感するだろう。でも、どうするんだろう…今後の彼は。

 「あたしの人生をどうやって生きよう」と進んでいく毎日に拘泥されながら考える私たち。しかし、人生の目的は細部に実は宿るのだということをもっと描いてもらいたいなあ。些細な毎日の嬉しさとかは藤堂氏は描かない。もっと描いて。主婦が様々な味噌汁作りに耽溺している情景とかその思いを訴えているシーンとか。例えばだけどさ。そうしないと読んでて辛い。登場人物に日常を与えて。

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紙の本バイブを買いに

2004/04/18 11:25

男は絶対に読むべき本

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 たぶん…女の人にとっては当たり前の感情がつらつらと書き連ねられているだけの新しい発見はなんもない短編小説です。あるいは、いわゆる社会性のない退屈な生き方をする女たちと映り、ガキだの一言で片付けられる話かもしれない。

 しかし、絶対に男は読むべきである。付き合っていて「こいつわかんない。不可解だ」と相手に思う男性は多い。どうやら女性はやっぱり子宮でモノを考えるかもしれないと気づかせてくれる。特に『やっとお別れ』の章で、たかちゃんが家族のいる小田原の家にスーパーマーケットのビニール袋を持って帰ろうとするとき、美佐子が言った一言。「たかちゃん、うちのビニールを小田原で使いたいの?」すぐに謝ったたかちゃんだが、もう手遅れ。なぜ? これは読んでのお楽しみです。おそらく女性の方はこれだけで理由はなんとなくわかるんじゃないでしょうか?

 どんなに社会的ステータスが男にあっても、男は女の可愛いところに惹かれるというのも確認させてくれる。行動と心の思いはどうしてこんなにも一致しないことがあるんだろうとせつない気持ちにもさせてくれます。

 女性の視点からSEXを描いてみせる手法は官能小説とは異なる切り口である。それはSEX論を登場人物の女性に語らせることが多いから。もっと、まぐわいの描写を濃く書いた官能小説風も男としては入れてもらいたいなあ。

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