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鈴木クニエさんのレビュー一覧

投稿者:鈴木クニエ

8 件中 1 件~ 8 件を表示

新書ながら内容は詳細

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 おもしろいけど難しい、難しいけどおもしろい。群馬大学薬剤耐性菌実験施設長を勤めた著者の橋本一氏が医者向けに行った講演を元にして書いただけあって、新書ながら歯ごたえ十分の内容。抗菌薬登場の歴史から、耐性菌の出かたや仕組みが、詳しくまとめられている。かなり専門的なレベルまで、この本1冊でいけるだろう。
 1950年代末に日本で発見された多剤耐性の赤痢菌をめぐる話は、当時を知る著者ならではの詳しさだ。このとき多種類の菌が同時に多剤耐性化した。常識では考えられない事態に、賢明に取り組んだ日本人研究者たちの様子が描かれている。もちろん世界的にも注目を集めていた。ここで得られた成果こそ、接合によるR因子(Rプラスミド)の移行にほかならない。

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紙の本あなたを狙う感染症

2000/07/10 08:38

具体的な感染症例を解説

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 共著者のうちの1人が『病原菌はヒトより勤勉で賢い』(三五館)の本田氏であり、基本的なトーンは同じである。もう1人の飯島義雄氏は神戸市環境保健研究所の細菌部副部長。
 内容的には、こちらのほうがより感染症そのものに重点をおいた構成だ。歴史や微生物の基礎的なことがらに加え、O157、MRSA、インフルエンザ、サルモネラ、エイズ、クラミジアなど29の感染症例が取り上げられている。いわば「お医者さんのお話」といった印象。とはいえ、語り口は平易で、一般読者向けに書かれているので、配慮は十分。また、実際の生活に必要な予防、感染症対策、治療法も具体的に示してある。

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再び脅威となりつつある感染症の現状をやさしく解説

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 「病原細菌は化学を理解している、と考えたくなる」という著者の本田武司氏は大阪大学微生物研究所の教授。96年に病原菌大腸菌O157が大きな被害をもたらしたときは、O157とは何かを一般向けに解説できる専門家として、メディアでひっぱりだこだった。
 微生物研究者の目に映った当時の様子も描かれる本書では、細菌の側からみた人間社会の問題点が浮き彫りになっている。細菌とは何か、人が病原菌と闘ってきた歴史、再び脅威となりつつある感染症の現状を極めてやさしく解説してあり、興味をもった人の最初の1冊に適した内容。少しでも専門的な表現には必ずひとこと説明があるのもうれしい。

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心と体の性の不一致が照射する性の多様さ

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 体は男だが心は女。あるいは、体は女だが心は男。96年、心の性と体の性が一致しない、この「性同一性障害」に社会的関心が集まった。著者が属する埼玉医科大学倫理委員会が、性転換手術を治療法として承認したためだ。
 そもそも性は、どのように決まるのか。受精卵からヒトになる発生段階で、性の分化が起こる。Y染色体上のSRY遺伝子が、性分化で重要な役割をはたすという。まだ解明されていない点もあるが、本書は体と脳が女または男となる過程をわかりやすくまとめている。とても精巧でかつ興味深い仕組みだ。おそらくは発生途中になにかが原因で生じた性同一性障害の診断と治療、さらに社会的課題を、著者は医療者の立場から誠実に綴る。
 アンダーグラウンドに追いやられていた日本の性転換を取り巻く状況が、少しだけ変わってきたと思う。日本で性同一性障害をもつ人は2200〜7000人と推定される。心と体の性の不一致が照射したのは、性の多様さだった。

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紙の本進化と人間行動

2000/07/09 07:26

現代人に不可欠な進化の基礎知識

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 進化心理学または人間行動進化学は、とても若い研究分野である。この分野の日本人研究者の手になる、初心者向きのスタンダードとなるだろう教科書がやっとできた。だが、単に大学生の教科書としておくには惜しい。なんといっても読みやすい文章で、現代のヒトに不可欠な進化の基礎知識がつまっているのだ。
 人間行動進化学とは進化理論をヒトに応用し、人間の行動や心理を説明しようというもの。鍵は「適応」だ。このアプローチや進化の枠組みの捉え方は、現在でも議論がある。それでも前半の遺伝や進化についての説明は「これ以上はない」と思えるほど。進化を進歩と勘違いして「人は生物の頂点」と思い込むことのおかしさも、端的に指摘している。「本書の核」という後半の血縁淘汰や性淘汰は、正直なところ判断に悩む部分もある。殺人や結婚を論じるのは簡単ではない。が、研究の肝がコンパクトにまとめられていて、知的好奇心が否応なく刺激される1冊だ。

目次
・1章 人間の本性の探求
・2章 進化の概念
・3章 遺伝子と行動
・4章 「利己的遺伝子」と「種の保存」
・5章 ヒトの進化
・6章 血縁淘汰と家族の絆
・7章 血縁関係間の葛藤
・8章 協力行動の進化
・9章 雄と雌の葛藤 性淘汰の理論と証拠
・10章 ヒトの繁殖と配偶システム
・11章 ヒトの配偶者選択・配偶者防衛
・12章 再び遺伝と環境、学習、文化

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数学が苦手な人と数学者の貴重な共有財産

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 てすと「フェルマーの最終定理」は350年もの間、数学者を苦しめ、惑わせ、そして魅了し続けてきた。「x^n+y^n=z^n(n>2)を満たす整数解はない」。中学で習う三平方の定理が少し変わっただけなのに、歴史的な数学者たちの挑戦をことごとくはねつけた。そんな難問に、ワイルズは7年間たった一人で挑んだのだ。彼の孤独な闘いに加え、フェルマーの最終定理の成り立ちや数学での位置づけ、ギリシャ時代から連なる17世紀以前の数学、最終定理への挑戦が生み出したもの、さらには数論を中心とした数学全体の様子まで、数学を知らない読者にもわかる語り口で説明されている。
 「数学は問題を解いて答え合わせをするもの」「数学者はどうでもいいことをやっている」と思う人たちに、ぜひ読んでほしい。イメージが変わるだろう。だが専門家に不要な本ではない。数学者と数学が苦手な人の共有財産となる、貴重な1冊だ。

<目次>
・序 ジョン・リンチ
・はじめに サイモン・シン
・第1章 「ここで終わりにしたいと思います」
1993年6月23日、ケンブリッジ/最後の問題/万物は数なり/完全無欠の証明/無数にある三つ組み数/ピュタゴラスの定理からフェルマーの最終定理へ
・覯章 謎をかける人
数論の発展/謎の誕生/余白のメモ/フェルマーの最終定理、ついに出版される
・第3章 数学の恥
数学のキュクロプス/遅々とした歩み/ムッシュー・ル・ブラン/封印された手紙
・第4章 抽象のなかへ
パズルとクイズの時代/知識の基礎/好奇心に突き動かされて/力ずくの計算/大学院生
・第5章 背理法
希望的観測/一人の天才の死/“良さの哲学”/ミッシング・リンク
・第6章 秘密の計算
屋根裏部屋の隠遁者/無限との闘い/最初のドミノ牌を倒す/「フェルマーの定理が解けた?」/闇の館/コリヴァギン=フラッハ法/世紀の講演/そして……
・第7章 小さな問題点
カーペット張り職人/悪夢の電子メール/誕生日の贈り物
・第8章 数学の大統一
未解決の大問題/シリコンによる証明/大切なもの
・補遺
1 ピュタゴラスの定理の証明/2 √2が無理数であることに対するエウクレイデスの証明/3 ディオファントスの年齢の謎/4 バシェの分銅の問題/5 ピュタゴラスの三つ組み数が無限に存在することに対するエウクレイデスの証明/6 点予想の証明/7 不合理に迷い込む/8 算術の公理/9 ゲームの理論とトルエル/10 帰納法による証明の例
・訳者あとがき 青木薫

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これだけ知っていれば「科学者」博士?

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 84分の53。目次に並ぶ科学者84人のうち、私が知っていた人物は53人だった。はたして多いのか、少ないのか。仮説実験授業の提唱者として知られる科学史家の著者・板倉曰く「これだけの人を知っていれば、まぁ、世界の代表的な科学者についてとても博識」というラインナップである。しかも紀元前から、20世紀に亡くなった人まで。現代科学はアインシュタイン一人に止めたというが、範囲は非常に広い。一人につき平均2頁程度の記述だ。超有名人でもけっこう知らないことが書かれている。
 事典なので、興味のある人物、年代の項目を読むことになろう。が、はしがきと巻末の「科学者の伝記夜話」はぜひ最初に読んでほしい。歴史を知ろうとするときの難しさと大事な点が、コンパクトにまとめられている。たとえば、18世紀の教育制度は現代とは違う。科学者が職業として成立したのも、実は最近だ。つい現代の感覚で考えてしまいやすい。さて、あなたは84分の何?

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紙の本サイエンス21

2000/07/09 06:42

21世紀における科学の座標軸

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 「これから100年」である。「これまで」ではない。
 冗談ではなく、著者・カクは「これから100年」について語る。夢物語か? いや違う。自ら科学者であるカクの足は、現在の科学という地面にしっかりついている。謝辞を捧げた科学者たちの名前は5頁にわたる。みな有名人だ。20世紀科学を作ったといえる彼らへの取材が基盤。堅実な内容だ。予測は具体的で明快。たとえば「2050年以降になると、脳を除く身体すべての器官が取り替えられるようになるにちがいない」。100年を2020年まで、2050年まで、2050年以降と3期間に分けて提示する。一方、科学がもたらすネガティブな面を考察しつつ、革命現場で「これまで」に起こったことのエッセンスがわかりやすくまとめられているのもうれしい。
 もちろん未来は確定していない。しかし、カクの仕事は21世紀における科学の座標軸となるだろう。こういう仕事によってこそ、我々は立ち位置を確認できるのだから。

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