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tsumeiさんのレビュー一覧

投稿者:tsumei

7 件中 1 件~ 7 件を表示

紙の本適当論

2011/07/25 21:13

面白い人について、面白い本を作ることの難しさ

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

高田純次さんは大好きなんですが、この本は残念ながらテレビの高田純次さんほど面白くも魅力的でもないです。

全4章、の薄い新書で、第1章が高田さんと精神科医の和田秀樹さんの対談、第2章と第3章が和田さんによる高田純次論みたいなもの、第4章が高田さんの自伝的な内容のインタビューをまとめたようなものです。第4章はそれなりに興味深いですがわずか20頁ほどですし、第1章の対談も高田さんの持ち味を生かせていないです。第2、3章は、高田純次の言葉から楽な生き方を学ぶとか、もう野暮の骨頂。

やっぱりこれは、根本的に本の作り方を間違えたとしか言いようがないです。せっかくの高田純次本なんですから、もっと高田純次の良さをわかって、その魅力を文字で伝えられる人に作ってほしかったです。

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紙の本英文快読術

2007/02/12 02:51

「ちゃんと読む」ことから逃げない

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 大学の英語の授業というと、まあたいていは退屈なもので、「あんなだから日本人は英語ができないんだ」という言い訳に使われているのが関の山です。しかし考えてみれば、まともに読めなければ聞き取れない、聞き取れなければしゃべれないわけで、逃げてないでちゃんと読む力をつけましょうという主旨の本です。
 第1章は日本人と英語について、あるいは現在の英語教育についての筆者の考え方。簡単に言うと、日本人は会話力が弱いとかいうけど、読むほうだってアバウトでろくに読めてないじゃないか、というような話です。第2章は、じゃあ読む力をつけるにはどうすればいいかということで、筆者は比較的やさしいものを多読することを薦めてます。
 本書のキモというべきは次の第3章、第4章で、英文を読む際のヒントが、具体的な例とともに豊富に解説されています。言っていることは、自動詞と他動詞をちゃんと区別しろとかとか、文脈から判断しろとか、いわば当たり前のことなのですが、特に「文法なんていい加減でいい、とにかく慣れろ」などという言葉の甘い誘惑に毒されたいい加減な学習者にはそれがなかなかできない。本書では、実際に出版されている本の誤訳を指摘しつつ、正確に読むということがいかに大事かを説きます。このあたりは、その人のレベルにもよりますが、英語をまじめに読みたい人にはかなり有益なのではないかと思います。
 全体の5分の2を占める第5章は、長文を4つ解説付きで。コンラート・ローレンツとかル=グインとか、選ばれている文章は確かに面白いんですが、肝心の注は、大学の英語のリーダーのような、イディオムの訳を中心としたもので、第3、4章のように、もう少し踏み込んだ解説を付けてくれればさらに良かったと思います。

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紙の本日本人の英語 正

2006/02/24 01:24

「だから」のつもりでついついthereforeを使ってしまう人たちのために

21人中、21人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 語学の本(ゼロからはじめる初学者向けの本を買う場合は除きます)を買うときに重要なことの一つは「この本は自分のレベルに合っているかどうか」という点でしょうす。簡単すぎればもちろんお金の無駄ですし,難しすぎれば挫折しますからやはりお金の無駄となります。では,この「日本人の英語」が絶大な効き目を発揮するのはどういう人たちかというと,ときどき英語の文章を書くことがあり,その際に「日本語の『それで』とか『だから』にあたる言葉は何かなあ…辞書を引くと therefore なんだけど,なんかしっくりこないなあ」とか「あれ『電車に乗る』のは get in だっけ get on だっけ」「ここは単数かなあ複数かなあ」といった疑問を持ったことのある人です。こういうことを感じたことのない人は,たぶん程度が高すぎるか低すぎるかどちらかなのでしょう。
 「絶大な効き目」と書きましたが,上に述べたような人たちにとっては,本書の効果はまさに絶大です。というのも,ここで扱われているのは,すべて日本人が英文を書く際に犯しやすい間違いばかり,ところが,普通の辞書や文法書ではなかなか調べられず,何か書いてあったとしてもどうもわかりづらいというような問題ばかりなのです。ピーターセン先生は,これらの厄介な問題を,豊富な例文と明晰な解説によって,非常にすっきりと説明してくれます。コンパクトな1冊の新書とは思えないほど,実に内容の濃い本です。もしも興味を持たれたならば買って損はないと思います。
 それから,「きわめて不自然な日本語」と謙遜する著者の日本語は,平易で洗練されていて,控えめなユーモアもこめられていて,個人的にはとても好きな文体です。これはそれほど重要なことではないかもしれませんが,私にとってはこの本の魅力の一つです。

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紙の本モンティ・パイソン正伝

2005/11/05 09:46

生きているパイソンズに最も近づくことのできる本

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 モンティパイソンの本というとどういうものを想像されるでしょうか。奇抜なアイディア、ジョーク,爆笑エピソード、そんなところでしょう。この本はしかし,そういうものとは全くかけ離れています。パイソンズのメンバーが語りたいことを淡々と語ったのを,年代順に編集してあるのですが,書いてあるのは,誰がどう言った,そのときこう思った,このときはこうだった,こういう企画があったが誰それが反対してだめになった,そんなことばかり。重大なことも瑣末なことも区別せず,ただ漫然と並んでいるように見えます。
 無味乾燥? とんでもない! 私はこの本を(見た目の厚さから予想されたよりもずっと短い時間で)読み終えたあと,一種独特な感動を味わいました。この本からは,生きて感じて考えて動いているパイソンズたち、ジョンや、エリックや、マイケルや、両テリーや、そしてグレアムの息遣いがまざまざと感じられるのです。パイソンズとの距離がずっと近くなったように感じます。これは他の本でも、ドキュメンタリーでもなかったことでした。「神は細部に宿り給う」のです。
 この感動が普遍的なものだとは思わないし、別にこの本を読まなくてもモンティパイソンを楽しむことはできるのだけれど、パイソンズに関心を持つ人は,この不思議な感動を味わうことのできる特権を持っています。ぜひ試してみてください。

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こだわりの紹介芸

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 マニアックなコレクターが長い時間と情熱を注ぎ込んで収集したコレクションを披露!というような本や博物館やウェブサイトは世の中にたくさんあります。何かの蓋だとか切符だとかなんとか。ただ,そういうものを見た感想は、申し訳ないのですが、「はぁーよく集めたもんですなぁ,私には何が楽しいのかわからんけど。」ということが多いんじゃないでしょうか。この本で紹介される「イロブン」は,著者のきだて氏が長年にわたり,並々ならぬ情熱を注ぎ込んで収集したであろうマニアックなコレクションであるにもかかわらず,子供から大人まで誰が見てもとてもとても楽しいという,世にも稀なるテーマであるということをまず特筆大書しなければなりません。
 「イロブン」とは「色物文具」のことです。色物文具,すなわち字を書く,紙を切るといった本来の文具としての用途のほかに,弾が飛び出したり,変形してロボットになったり,あるいは本来関係のない二つの道具を合成してしまったりといった、時には凝った,時にはチャチな創意工夫(時にはあさっての方向を向いた)を加えてしまった文具です。このような,(特定のいくつかの)文具メーカーの(一部の)人たちが、アイディアと技術と情熱を注ぎ込んで,たいていは中国のどこかの工場で作られて,短い期間売られるとすぐに消えてしまう徒花的製品の数々を,著者は愛情と敬意をもって持ち上げたり下げたり,見事な紹介芸で見せてくれます。ページをめくれば、そこはもうめくるめく「小学校の職員室の先生の机の引き出しの没収文具」ワールドです。
 今,われわれは、ほとんどパソコンのモニタ上で仕事をするようになり、具体的なモノの重さや感触や動きを指先で感じると言うことが少なくなりましたが、小さな道具が、動いたり、変形したりするということには、我々の無意識の底に眠っている、人間が道具を使い始めた頃の興奮と感動の記憶を刺激するような(というのは今適当に考えましたが)、理屈ぬきの楽しさがあります。おそらくこのような道具が目の前にあったら、それがごく単純なものであっても、延々遊んでしまうでしょうね。私にとっては,そんな忘れかけていた感覚をよみがえらせてくれる本でもありました。
 ところで,この本について,もう1つ感嘆した点があります。それは,本としてのとてもセンスの良い作りです。インターネットのサイトや掲示板を書籍化した本はもうずいぶんありますが,正直言って「これなら別に本買わなくてもサイトで十分じゃん」と思うものも多くあります(まあ面白い文章を書いてくれる人へのお礼としてそういう本を買うことは惜しくないんですが)。その点『イロブン』は,レイアウトといい写真といい,実に本好きのツボをついてくる丁寧なもので,本というカタチへの愛情が感じられて嬉しくなります。モノへのこだわりを持つ人は本作りにもこだわるということでしょうか。

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紙の本回想・モスクワの音楽家たち

2006/03/09 13:20

生き生きとした音楽家群像

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 戦前戦後から70年代あたりまでのモスクワを中心とした音楽家群像が描かれた回想です。その中にはオイストラフやニコラーエワ、ロジェストヴェンスキーのように国際的によく知られた人々もいれば、そうでない人々もいますが、その人間像は例外なく生き生きとしていて、ロシア・ソ連の音楽家に何らかの関心を持っている人ならば、興味深く読めることでしょう。
 そしてその中心となっているのが著者パパーノの師,アレクサンドル・ゴリデンヴェイゼルです。ゴリデンヴェイゼルは,一部の熱心なピアノ・ファン以外には知られていないのではないかと思いますが,モスクワ音楽院で多くの優れたピアニストたちを育てた名教師・名ピアニストであるにとどまらず,パパーノの言葉によると「私たちの世代とロシアの偉大な過去とをつなぐ」教養人でした。例えば1910年11月6日の寒い朝,レフ・トルストイが亡くなったアスタポヴォの小さな駅で,戸外で静かに集まっていた人々に,「レフ・ニコラエヴィッチ・トルストイが、たった今、亡くなりました」と告げたのはゴリデンヴェイゼルその人でした。パパーノは,困難な時代と環境の中に生きたこの偉大な音楽家のことを、敬意と愛情を持って回想しています。
 知られていないということで言えば、著者であるピアニスト、ドミトリ・パパーノ自身も、日本ではほぼ無名と言ってもよいでしょう。しかし、ショパン・コンクールなど多くのコンクールに入賞した彼は,華々しいレコーディング・キャリアを築くことこそありませんでしたが,彼が一流の実力を持つ音楽家であることは、本書の序文を寄せているアシュケナージ,そして跋文を書いたロストロポーヴィチの保証するところです。
 そして,戦争と亡命を経験したパパーノ自身の音楽人生も平坦なものではありませんでした。しかしパパーノは,むしろ淡々とした筆致で,尊敬すべき先輩や友人たちについて,あるいはピアニストが何を感じ,考えているかについて,またソ連の体制がどのようなものかということについて,衒いなく語ります。そこからおのずとにじみ出てくるパパーノの人柄と,音楽に対する真摯な姿勢は,きっとこのピアニストを知らない人にも、ぜひ彼の演奏を聴いてみたいと思わせることでしょう。
 訳文は明快で読みやすく、訳注も詳しく勉強になります。多くの人名が出てくるにもかかわらず、索引が付いていないのが惜しまれます。

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ユニークな教育者ロストロポーヴィチ

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

20世紀最大のチェリストの一人であり、個性的な指揮者でもあったロストロポーヴィチの評伝です。といっても、彼の生涯をバランス良く記述する、一般的な意味での評伝とは言えません。重要なできごとであっても、少ししか書かれていないこと、全く書かれていないこともずいぶんあります。例えば、ソ連を出てから後の活動については、全く触れられていないわけではありませんが、ごくわずかです。指揮者としての活動や、夫人であるヴィシネフスカヤとの関係についての記述も、他の本に比べると多くありません。

では何が書いてあるかというと、これまでの本ではあまり書かれていなかった、ロストロポーヴィチの教育者としての側面です。著者のエリザベス・ウィルソンは、モスクワ音楽院に留学し、ロストロポーヴィチにチェロを学んだイギリス人です。彼女は、大量の資料を基にロストロポーヴィチの生涯を記述していきますが、その中心にあるのは、自分が親しくその謦咳に接したユニークな教師としてのロストロポーヴィチ像なのです。

その記述は、実に詳細で生き生きとしたものです。例えばウィルソンは、チェロの奏法について、あるいはショスタコーヴィチやプロコフィエフの作品についてロストロポーヴィチが授業で語ったコメントを、ミーシャ・マイスキーが録音していたテープを参考に、細かく具体的に書いています。また、シャホフスカヤやグートマン、モニゲッティら、他の弟子たちの証言も貴重です。

この天才音楽家に関する本はすでに何冊かあります。正統的な評伝としてはヘーントヴァのもの(日本語版は訳に問題が多いですが)、ロストロポーヴィチ自身のインタビューはクロード・サミュエルの『ロシア・音楽・自由』が重要ですが、本書はそれらと並ぶ価値を持つ本だと思います。特に、ロストロポーヴィチのチェロの奏法や、個々の作品の解釈を具体的に知りたいという人には必読の書ではないかと思います。

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