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理由 改版 みんなのレビュー
- 宮部 みゆき (著)
- 税込価格:1,155円(10pt)
- 出版社:新潮社
- 発売日:2014/08/01
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紙の本
親族崩壊
2008/06/25 21:10
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
理由 宮部みゆき 新潮文庫
「家族」に対する問題提起です。結婚、親戚づきあい、マンション購入、こどもの教育などを経験されたことがある皆さん向けの内容です。
結婚というのはふたりだけのことであればわずらわしさは少ない。互いの親、きょうだい、職場の人間、趣味の仲間、同窓生などがからんでくる。金の貸し借り、保証人、競売、宗教、政治、こどもの学業成績・素行、近所づきあい、病気、いろいろなものがからんできて、うまくいくことがうまくいかなくなる。物語の前半で登場人物女性が夫の親族に対して「私は死んだことにして」もう親戚づきあいはしない。この世にいない存在として扱ってと主張します。
さて、作者が登場人物の個性設定をしていく。ひとりひとりの履歴書を作成して、登場人物をコントロールしていくのが創作の通常です。ところがこの作品の場合、登場人物が作者に乗り移っているように感じるのです。作者はキャラクターの魂にあやつられるように著述していくのです。
人がこの世に生まれてきた「理由」を問うために、この作品はできあがったのです。
紙の本
不動産に絡むある事件で生じる殺人事件を丁寧に描く
2019/06/06 11:45
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は宮部の数々ある作品の中でも記念碑として記憶に残る作品である。すなわち、直木賞受賞作品であるからだ。本書も長編である。何しろ文庫本で780頁もある。何故長くなるのか。宮部の読者ならばとっくにご存じのはずである。
舞台は東京の荒川区にある再開発された広大な工場跡地に建てられた高級高層マンションである。ある日突然住民家族4人の遺体が部屋とマンションの1Fから発見された。殺人事件であることは確かのようである。
本書は一見不可解な上記事件を解決すべく、関係者に話を聞いていく。その記録ともいうべき構成になっている。最初の事件についての立場はマスメディアのような書き方であるが、関係者へのインタビューが進みにつれて個々のライターのレポートのようでもある。
この事件の要諦はマンションを購入する際に借り入れた資金の返済が滞り、結局払えなくなり、手放すところに端を発している。当初の購入者、競売で手に入れた者、競売での購入者が手に入れる前に当該住戸に入り込み、居座る者、競売で安価に手に入れることのできる点に目を付け、利を得ようとする者が暗躍するうちに殺人事件に発展するストーリーである。
個々の関係者には個々の事情があるのだが、宮部はそれを一つずつ記述している。この世にはあまり知られていないが、利益になりそうなものには、それに目を付けるものが出てくる。個々の関係者のプライバシーなど知りたくもないという向きもあるかも知れないが、知れば知るほど興味を持つのも人間である。ここまで書けるエネルギーは誰もが持っているものではないと思う。
紙の本
家族って何・・・
2023/11/13 09:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:えんぴつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮部みゆきの直木賞受賞作品を、遅ればせながら読んだ。こういう作品が直木賞になるのは喜ばしい。
宮部さんは、この作品で何を書こうとしたのか・・・家族の形、社会の闇、人の心の浅ましさ、愚かさ、ギリギリの清新さ・・・。
この作品で描かれる人たちは、特別な人たちではない。どこにでもいる人たち、どこにでも起こりうる話・・・。
仮想家族ということが話題になったことがある。仮想でも家族を求める人たちがいることの悲しさ、ウソの危うさ・・・。
今、世情が激変して安穏と暮らせない時代になった。「理由」は、今の時代をも映す。新たな寒々しい悲しさを感じさせる。
紙の本
家族とは
2023/05/02 16:54
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
一人一人それぞれに事情がある。
そんな人たちの寄せ集めで一見どこにでもいる家族が出来上がってしまう。
その寒々しさに金銭上の利益が絡むと…
その薄ら寒さの容れ物になった高層マンションでの事件を宮部みゆきが描く。
さすがの構成でした。
紙の本
高い塔に住む人々
2019/11/16 09:04
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
一見すると優雅な暮らしているような、高層マンションの住人たちの虚栄心が暴き出されていて圧倒されます。ドキュメンタリータッチの語り口や、複数の視点から映し出されていく試みも面白かったです。
紙の本
生きることは不自由なこと
2017/07/28 18:25
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投稿者:もょもと - この投稿者のレビュー一覧を見る
とある高層マンションで起こった惨殺事件をきっかけに、
インタビュー形式の内容で出ては引いていく様々な登場人物たち。
産まれも育ちも今いる環境もバラバラな彼らだが、それぞれに悩みを抱えている。
それは事件をきっかけに起こったものだったり、それ以前からの身の上話だったりするのだが、
誰も彼も生きていく上で数多くの見え隠れする障害があり、それと付き合っているのだ。
人は人と関わっていく以上、自分の我の全てを押し通すことなど出来ないものだ。
もしそれでも押し通そうとするなら、必ず衝突が起きる。
だからこそ人間は、どこか不自由に、収まらないピースを抱えたパズルのように生きていく。
人が殺される時は、誰かが不自由を受け入れられなかった末路なのだ。
そう思った。
紙の本
やっぱり本当の家族がいいのか?
2014/05/06 23:37
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投稿者:英現堂 - この投稿者のレビュー一覧を見る
文庫本になったら読むぞと決めていたが、文庫本になって早や11年半。やっと手に取った。『火車』、『レベル7』、『返事はいらない』、『淋しい狩人』を読んだのが16年前。『スナーク狩り』を読んだのは15年前。この頃はけっこう読んでいた。
いやーひさしぶりの宮部みゆき。いいですね。本人はNHK特集的にやろうとしていたみたい。殺人事件が起きて、犯人はもちろん、その事件の周辺にいた人たちの事件への関わり方や、どういう家族と暮らしてきたなどの背景が詳しく語られる。かれらも事件にかかわったのは一部でそれまでの、それぞれのドラマがあるのだ。物語はインタビュー等、事件を振り返る形で進められる。殺人事件が物語なのでなく、それに関わった多くの人間の物語だ。1999年の直木賞受賞作。