ブックキュレーター三品和広
超長期の戦略眼を手に入れる
経営戦略の真髄は何か。
この問いを突き詰めていくと、「事業立地」という概念にたどりつきます。事業立地がなぜ重要なのか、良い立地をどう見極めるか、立地から立地へとどう移行するか。ここで紹介するのは、これらの問いに自分なりの答えを見出すためのの知識を与えてくれる本です。
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この本は第4章と第5章で超長期の因果関係を描き出しており、四半世紀内外にわたって自身を拘束する路線選択こそが戦略という見方を教えてくれます。結果を大きく分けるのは路線選択であり、より頻度の高いテクニカルな選択は結果に対して中立、ゆえに無視可能と私は受け止めました。
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これは第1章で事業定義論をわかりやすく教えてくれます。事業の物理的な定義と機能的な定義を対比させることで、似て見える事業が微妙に異なり、結果を大きく分けることがわかってくるのです。ビジネスにおいては、鋭利な事業定義が路線選択に相当すると私は解釈しました。
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ここでハイライトしたいのは上巻第5章で、そこには物理的な立地の非対称性、もしくは外生的な与件の重要性を印象づける内容があります。あらゆる立地は等しくできていない、だからこそ選ぶことが重要になる。この命題が、私の提唱する「戦略=立地選択」論の基礎を成しています。
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「海の道」の三〇〇年 近現代日本の縮図瀬戸内海
武田 尚子(著)
この本は瀬戸内海の歴史に材をとり、我々の日本に関する無知を埋めてくれる一方で、図らずも「事業立地」の栄枯盛衰を興味深く描き出しています。立地には外生的な浮沈がある、だからこそ選び直すことが重要になる。この命題は、私の転地論につながります。
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外交官やマーケッターや生態学者や社会学者の著作に触発されて編み出した「事業立地」という視点から、日本に実在する高収益事業をパターン分類してみました。網羅的に選び出した151の高収益事業を整理してみると、戦略の実戦が帰納的に見えてきます。
ブックキュレーター
三品和広1959年愛知県生まれ。経営学者。一橋大学、ハーバード大学を卒業後、ハーバード大学ビジネススクールで教鞭を執る。 処女作『戦略不全の論理』以降、『戦略暴走』『高収益事業の創り方』など、経営幹部向けのロングセラーを多数執筆。「立地」を重視した独自の戦略論を展開している。
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