専業の小説家にはない独特の感性が炸裂！お笑い芸人が書いた小説

劇団ひとりによる小説で、映画化されベストセラーにもなりました。主人公の売れないマジシャンはタイムスリップをして、自分の両親と交流をしていきます。設定自体は目新しいわけではありませんが、ラストシーンでは感動と笑いの両方が心に響く不思議な気持ちを味わえるでしょう。もちろん、随所に笑えるシーンもあります。

お笑いコンビ・インパルスの板倉俊之による2本目の小説です。主人公の二村は、悪友と一緒に裏カジノでイカサマして大金を手に入れようとするが失敗。闇の組織に脅されるようになります。ハードで猟奇的なシーンもありますが、さまざまな伏線が読み進めるうちにつながります。疾走感のある文章で、思わず一気読みしてしまうでしょう。

漫才コンビ・天津の向が書いたライトノベルです。この小説では10年売れていない芸人と、芸人志望の女の子が共同生活を始めます。女子との共同生活という設定ながら恋愛に偏らず、心に再燃する夢への情熱に焦点を当てていることに好感が持てます。芸人の日常生活や営業、芸人養成所の描写には、経験をベースとしたリアリティが感じられます。

鳥居みゆきは個性的な芸風が持ち味の女芸人。本書は彼女の芸風を感じさせる、独特な愛情と生死感がにじみ出た連作短編です。ホラーとブラックユーモアがあいまった小編が重なり、ゾッとするシーンのなかにもお笑いのテイストが入っています。奇妙なストーリーは、いわゆるホラー作品とは一味違って引き込まれてしまいます。

お笑いコンビのピース・又吉直樹による芥川賞受賞作です。若手芸人の主人公の徳永は先輩芸人の神谷に心酔していて、その2人の交流が描かれます。徳永の心の流れが巧みに描かれていて、それぞれの登場人物は魅力的に描かれています。読者を惹きつけるその筆力は、もはや「芸人が書いた小説」というくくりでは語れないレベルと言えるでしょう。