ありふれた日常がミステリーに変貌！日常の謎を描くミステリー小説

「時が止まる場所」に「人が消える銀行」。破天荒な男・陣内の周りには不思議な謎があふれかえっています。その謎を解き明かすのは盲目の青年・永瀬。本書は連作短編小説となっていて、どの話にも秀逸な謎と意外な結末が用意されています。洒脱な会話も魅力的で、特に陣内の歯に衣着せない物言いは心地よく、癖になります。

「小市民」として慎ましやかに生活しようと考える、高校生の小鳩君と小山内さん。そんな彼らの前に現れる日常の謎。「ポシェットの行方」「美味しいココアの作り方」などなど。「小市民」の生活にそんな謎は不要なのですが、小鳩君は謎を解く必要に迫られ・・・。少年少女の少しおかしな考え方が魅力的な、青春ミステリーの傑作です。

何事に対しても積極的に関わらない高校生・折木奉太郎。彼は姉のすすめで古典部に入部します。「作られた密室」や「古典部文集に秘められた悲劇的な謎」などなど、それら日常の謎を解き明かす折木。青春小説のさわやかさと、ほろ苦さをあわせもつ本書。読後はセンチメンタルな気分にさせてくれます。

どこにでもいるOLの主人公。彼女の日常はとある男性との出会いで不思議な謎で満ちあふれるようになります。名探偵と助手。そんな関係になった彼らは、次々と謎を解明。話はやがてほろ苦くもやさしい結末を迎えます。「見方を変えると、日常は謎だらけに変わる」。本書にはそんなメッセージが込められています。

外資系企業に勤める「僕」こと坂木には、引きこもりの友人・鳥井がいます。「男を襲う暴漢の謎」や「盲目の青年のストーカーの謎」などなど、彼らの前に数々の謎が現れます。それら謎を解き明かすことで浮き彫りになる、人間の複雑な感情。日常の謎にハートフルストーリーを掛け合わせたような小説です。