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あの意外な作品とも関係が!? 谷崎潤一郎『細雪』の前後の影響がわかる物語
文豪・谷崎潤一郎の代表作である『細雪』は、神戸の上流階級の家を舞台にした、性格もそれぞれ異なる4姉妹の華やかで切実な人生を描いた大作です。今や日本文学史に残る古典となった『細雪』は、どのような作品の影響のもとに書かれ、その後どんな影響を与えたのでしょうか。『細雪』の前後がわかる5冊を紹介します。
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潤一郎訳源氏物語 改版 巻1
紫式部(著) , 谷崎 潤一郎(訳)
谷崎はなんと3回も『源氏物語』の現代語訳を行っています。そして、『細雪』にも多大な影響があるのですが、特に結末は最終巻「夢浮橋」の影響を直に受けていると論文などで指摘されています。また、この訳を執筆していた際のエピソードが『細雪』で使われてもいます。谷崎を導き手に、『源氏物語』読破に挑戦してみてはいかがでしょう。
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谷崎の愛読者を公言していた横溝正史による推理小説。ここでは3姉妹が中心となって物語が展開します。本作に登場する「菊人形」が参考にしている歌舞伎の場面(「鬼一法眼」三段目、菊畑の場)を、まさに『細雪』の雪子たちが観劇しているのです。本書は『細雪』の出版から3~4年後に書かれており、意外な影響関係にある一冊です。
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恋愛太平記 1
金井 美恵子(著)
『細雪』を80~90年代にかけての日本に置き換え、さらに『若草物語』とミックスした4姉妹物語です。舞台は東京に近い地方都市の中流家庭。『細雪』と同様に日々流れてゆく平板な日常の細部を描いています。恋愛を扱っていながら、決してロマンチックではない。ただ淡々と丁寧に恋を描いた、大人の恋愛小説です。
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本格小説 上
水村 美苗(著)
上流階級の家庭で暮らす3姉妹物語。この小説はエミリー・ブロンテ『嵐が丘』を下敷きにしています。ですが著者自身がエッセイで『細雪』への偏愛を表明しているとおり、ここで登場する3姉妹は『細雪』の4姉妹たちの化身でもあります。本書を通じて、『嵐が丘』と『細雪』との意外な類似点も見つかるでしょう。ぜひ『嵐が丘』と併読してみてください。
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