身近なものから珍しいものまで。今すぐ文房具を買いに行きたくなる本

小説家・片岡義男のエッセイです。アメリカ文化に強い著者らしく、深い考察や使用感を交えて外国製の文房具を数多く解説しています。圧巻なのは「同じものを積み上げる手法」で撮られた何十冊にも及ぶノートやペン、消しゴムなどの写真。写真家としての肩書も持つ著者らしさが楽しめる一冊です。

東京大学の近く、本郷にある「スコス」。ドイツのヘルリッツやスイスのエルコなど、ちょっと珍しくておもしろい外国の文房具がぎゅっとつまったお店です。本書は、そんなスコスの店主が、まだ見たことのない文房具や雑貨を求めて北欧やヨーロッパへ旅をしたときの記録。読んだらきっと、スコスに文房具を買いに行きたくなります。

著者はステーショナリー評論家・土橋正。コクヨやぺんてるなど、メイドインジャパンのロングセラーアイテムを押さえつつ、NASAに依頼されて開発された宇宙でも書けるスペースペンなど、商品が生まれた経緯やメーカーの成り立ちなどを含め、使用感とともに紹介しています。背景を知ると、より文房具への興味が深まります。

随筆家としてのほか、さまざまな肩書きをもつ串田孫一が書いた本です。『現在は200字詰めを使っている』という原稿用紙、『なんとなく手許に溜まって来る』クリップなど、主に著者が仕事中に使っている文房具を56個紹介しています。一話一話が短めで読みやすく、短いながらも身近な文房具の魅力を改めて気づかせてくれます。

贈りものにぴったりなポップアップカードから絶妙なサイズのファイルまで、自分好みの文房具の作り方が紹介されている本書。その豊富なアイデアや写真を見てるだけで、今すぐマスキングテープや色紙を買いに行きたくなってしまいます。家に眠っている文房具も総動員して制作をはじめたくなる一冊です。