ブックキュレーターhonto編集員
呑んだら読みたい、読んだら呑みたい!お酒の肴に一杯やれる小説
お酒が呑みたい、けれどツマミの塩分や油分がちょっと気になる。そんな夜は、お酒にまつわる話を肴に一杯やってみませんか?お酒に彩られた物語は、不思議な陶酔感に満ちていて、読んでいるだけでお酒が進みます。ワイン、日本酒、ウォッカに至るまで手広く取りそろえていますので、どうぞご堪能ください。ただし、飲みすぎにはご注意を。
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金沢・酒宴
吉田 健一(著)
金沢の地を練り歩き、なんだかよくわからない人間と酒を酌み交わし、酩酊し、そしてただそのありのままの空間、風景を見つめ描いた本です。読点の異常に少ない文体は、それだけで目が回る不思議な味わいであり、気づけば同じ段落を読み返しているかもしれません。空間の捻じ曲がる本作は、そうそう味わえない逸品です。
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時は江戸の世。裏家業を生業とする4人組は、土佐の名酒である司牡丹を江戸で広告する役目を請け負います。物語の本筋は、その波乱に満ちた道程を描いたもの。しかし脇道にそれたなら、辛口の名酒の司牡丹、カツオのタタキ、塩辛、煮付けと、土佐の味覚の祭典。辛口を一献、クイッとあおらずにはいられません。
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小説ではありますが、事実を記した随筆なのかと錯覚するほどの濃密なリアリズムがあります。もはや古美術とすら評される「ロマネ・コンティ」に連なる短篇6話。日本では縁の遠い珍味の数々、阿片の禁忌的な酩酊感。まろやかに熟された甘美な快楽を前にすれば、もはやお酒などなくても酩酊しかねない、そんな本です。
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酔どれ列車、モスクワ発ペトゥシキ行
ヴェネディクト・エロフェーエフ(著) , 安岡 治子(訳)
ページをめくる前にウォッカをショットで一杯。それがこの作品を読むうえでの礼儀かもしれません。主人公は酩酊しています。他の乗客も酩酊しています。もちろん車掌も酩酊しています。まわらない呂律を駆使してあらゆることに管を巻く。ロシアの風土を余すことなく活用した、特製のアルコールファンタジーです。
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やし酒飲み
エイモス・チュツオーラ(作) , 土屋 哲(訳)
十の頃からヤシ酒を飲んでいる男は、死んでしまった専属のヤシ酒職人をよみがえらせるべく旅を始める。物語の原理がヤシ酒に支配され、文章からはヤシ酒の香りがただよいます。ともすればヤシ酒を飲みすぎた酔っ払いの戯言のような、それでいて聞かせる力のある物語。フワフワとした心地のよい酩酊を、存分に楽しめる本です。
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