お茶でも飲みながら気楽に読みたい、おいしい和菓子に思わずほっこりする小説

米澤穂信作の学園ミステリ「小市民シリーズ」の第3話です。このシリーズは平和そうなタイトルと裏腹に結構ビターなストーリー展開なのですが、それでも甘いものの描写には思わず引き込まれます。癖のある、けっして甘くないヒロイン小佐内さんの存在は、甘いお菓子とは対照的です。そんなコントラストも楽しめます。

浅草の和菓子店、甘味処栗丸堂の若主人・栗田仁と、和菓子のお嬢様と呼ばれる不思議な雰囲気の女性、葵さんを中心に描かれるライトノベルのコージーミステリーシリーズです。登場する和菓子の丁寧な描写と下町浅草の四季の風景に、知らず知らず心がなごみます。現代に生きる下町情緒を軽く味わう小説としてもおすすめです。

デパ地下の和菓子屋「みつ屋」でアルバイトする梅本杏子（通称アンちゃん）を主人公にしたコージーミステリーです。ミステリーとしてはかなりライトな内容で、お仕事小説といったほうが近いかもしれません。アンちゃんの性格や雰囲気が親しみやすく和菓子もおいしそうなので、女性に人気の小説です。

江戸麹町にある菓子鋪「南星屋」を営む治兵衛一家の物語です。いろいろあっても日々お菓子を作りながら家族で支え合って生きていく姿に、ほっこりできるお話。時代小説が苦手な方でも、お菓子に惹かれてするすると読み終えられるのではないでしょうか。やさしい味わいの小説です。

晴太郎と幸次郎、菓子処藍千堂を営む兄弟をめぐる人情話です。短編連作時代小説です。兄弟の叔父（亡父の弟）との確執もあり、けっして甘々なだけのストーリーではないのですが、嫌な後味にならないのは、やはり和菓子の持つ魅力のなせる技でしょうか？丹念なお菓子の描写を、ゆっくり楽しみながら読み進めたい小説です。