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名脇役「足をひきづっている田中」が活躍する伊坂幸太郎作品
伊坂幸太郎の小説には、同じ名前・特徴を持つ人物が横断的に登場します。なかでも最も多く登場する「足をひきづっている田中」に注目し、彼が名脇役として物語をスムーズに進めたり、起承転結の転を担う小説を紹介します。すべて同一人物かは定かではありませんが、彼に注目してさまざまな小説を読むと、「この世界と、この世界がつながってるかも?」と思いをめぐらすことができるでしょう。
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特殊な能力を持つ4人のギャングたちの活動を陰で支える存在、それが20代でひきこもりの「田中」です。彼は、ストーリーが進行するうえで必要な合鍵、ナンバープレート、盗聴器まで、大抵のものを作ってしまいます。少々都合がよすぎるところもありますが、そのおかげで、物語がスピード感のある展開になっています。
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首相暗殺の濡れ衣を着せられた男の逃亡劇。主人公の視点で事件の実際を描く前に、テレビ視聴者の視点で事件を描いているのが特徴的です。それにより、「事件の実際が描かれた章」を読者が読み進めたときに、徐々に警察の隠ぺいが明らかになるという仕掛けが成功しています。そのテレビ視聴者こそ、左足を骨折して入院中の「田中」です。彼の一人語りが、読者の認識を作っています。
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「魔王」の続編にあたり、50年後の世界を描きます。ネット検索をきっかけに、ある秘密に関わった主人公が、それを隠ぺいする「システム」に翻弄されていきます。その「システム」の管理者が「田中」です。本来はラスボス的な位置づけの彼ですが、その「システム」の目的や、行っていることすら把握していません。その設定こそ、物語の大きなメッセージです。
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