ブックキュレーターブック・マーチャンダイザー 矢部潤子
今から追いつく大沢在昌
大沢在昌と言えば、ハードボイルド。組織や社会からはみ出た魅力のある人物が登場し、謎解きだけでなく、緊張感とともに描かれる暴力や深い闇が真骨頂です。作家生活も長く、主人公のキャラクターも様々な多くのシリーズものや肩の凝らない短編集など、その幅も魅力。たくさんの本の中から入門編をご紹介します。今から追いついて、次の傑作を一緒に待ちましょう。
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主人公新宿鮫こと鮫島は、警察組織の人間でありながら、そこに収まらない魅力を放っています。台湾から日本に潜入した完璧な殺し屋「毒猿」と鮫島は、徐々に対決は避けられない状況へと向かいます。「毒猿」は、数ある日本のハードボイルド小説のなかでも1,2を争う敵役。主人公をもしのぐ強烈な印象を残して、シリーズの人気を不動のものにしました。
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財政破綻寸前の港町に全財産を寄付して死んだ大地主。6年後に甥を名乗る遺産相続人が突然現れたことから、町の有力者や土建屋、ヤクザ、警察など利権がからむ面々が動き始めます。おだやかな町に実はうごめいていた悪を、バーで毎晩ハイボールをひとり飲む定年間際の刑事が追い詰めます。終盤たたみかける展開に、ボリュームも気にならず一気読み。
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香港の中国返還を背景に、ヘロインをめぐる抗争を世界的規模で描く大作です。ロシア、中国、グアム、日本、アメリカと舞台は動き、浮かび上がる麻薬組織の頂点に立とうとする謎の男。中国の公安やアメリカの捜査官と共闘する日本人麻薬捜査官の緊迫した活躍は、スケールの大きな闇を際立たせて、読みごたえありの長編です。
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氷の森 新装版
大沢 在昌(著)
「新宿鮫」より以前に書かれた本作は、私立探偵を主人公にした正統派ハードボイルド。依頼されたふたつの事柄が次第につながって、圧倒的に冷酷で無慈悲な殺人者に対峙することになります。最後まで姿を見せない敵役と、格闘する元麻薬捜査官の主人公がスタイリッシュ。緊張感漂う一冊。
ブックキュレーター
ブック・マーチャンダイザー 矢部潤子1980年芳林堂書店入社、池袋本店の理工書担当として書店員をスタート。3年後パルコブックセンターに転職、新所沢店、吉祥寺店を経て、93年渋谷店へ。2000年、渋谷店店長のときにリブロと統合があり、リブロ池袋本店へ異動。売場と仕入を走りまわりながら2015年の閉店を見届ける。現在は、ハイブリッド型総合書店hontoのコンテンツ作成に携わり、書店のように“本との出会い”を創造するキュレーションサービス、ブックツリーを担当、日々オススメの本を探す。著書に「本を売る技術」(本の雑誌社)。いつか、世の中の新刊が全て入荷する本屋のバックヤードで日がな一日検品して暮らしたい!
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