ブックキュレーターhonto編集員
日本文学を外側から問い直す!海外在住経験のある作家たちの小説
多くの小説は過去の作品も参照にしながら、ある種の伝統的な創作の手法に則って書かれています。そして、言語は物語を語るための道具としておもに使われているものです。けれどもここに集めた本は言語や文学史そのものを相対化した、あるいは問い直したユニークな小説ばかり。そして、著者はみな海外在住経験者であり、別の言語にも通じています。
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太宰治賞&大江健三郎賞を受賞した小説で、著者はオーストラリア在住です。オーストラリア移民のための語学学校をおもな舞台に、言語や文化の障壁と戦いながら懸命に生きる移民たちの孤独な人生と、彼ら彼女らの間でふと芽吹く友情を描いた小説です。読み進めるにつれて、タイトルのもつ意味が味わいを深めていきます。
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熊の敷石
堀江 敏幸(著)
著者はフランス文学者で、翻訳家でもあります。表題作は、翻訳の仕事で滞仏している「私」とユダヤ人である旧友ヤンとの交遊を描いた小説です。一見流麗な日本語で書かれていながらも、まるでフランス語の翻訳(たとえばプルーストのような)を読んでいるかのような明晰で息の長い文章は、フランス語に通じた著者こそが新たに発明しえた日本語です。
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私小説 from left to right
水村 美苗(著)
著者はアメリカに長年在住していました。本書は横書きで、日本語と英語を交えながら、英語=アメリカという巨大な主題を、また離散家族という主題を、あえて日本文学において伝統的な「私小説」の形式を用いて描いた野心作です。主人公の名も著者と同じ美苗。アメリカで暮らす日本人の戸惑いや不自由さが、赤裸々に吐露されています。
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